アイテム番号: SCP-3602-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-3602-JPはサイト-81██の標準死体収容チャンバーに収容されます。
説明: SCP-3602-JPは20██/██/██に自殺した真桑友梨佳氏の死体です。超常的かつ人為的な防腐処置が施されており、腐敗の兆候を示しません。後述のメモより、当該防腐処置は要注意団体"弟の食料品"によって施されたものであると推定されています。
SCP-3602-JPの非破壊検査により、生前に異常および非異常な医療機器・医薬品1を使用したと思われる痕跡が確認されています。以下はその痕跡の一例です。
- 外的な脂肪量・筋肉量の増減。
- これらの比率から判断される値より有意に低い肉の硬さ。
- 全身における核酸・無機塩・多糖2の増加および不快臭発生の原因となる化学物質の減少。
- 速筋と遅筋の比率から想定される色より有意に強い筋肉の発色。
以上より、SCP-3602-JPは食用として非常に美味である人肉であると推測できます。また、注射針の刺突痕の位置・方向などより、生前のSCP-3602-JPは医療機器類を自ら使用したことが示唆されます。なお、これらの異常な機器類は、量産された、入手が比較的容易なものであることから、この事案に異常な組織が大きく関与している可能性は非常に低いと判断されています。
補遺: SCP-3602-JPは、警察組織内部に所属している財団職員への、"[編集済]に異常な死体がある"旨の通報により発覚しました。通報者は、匿名であり連絡元も不明瞭ですが、後述のメモの内容より"弟の食料品"関係者であると推測されています。[編集済]には、椅子に座らされた状態のSCP-3602-JPおよびメモが放置されていました。以下は、当該メモの内容です。
SCP財団様
突然のお呼び出しをお許しください。結論から申し上げますと、当該ご遺体の収容をお願いしたく存じます。
当該ご遺体のお名前は真桑 友梨佳様でございます。先日、当店へいらっしゃった真桑様より「遺体を調理してほしい」旨のご依頼がございました。遺体の在処をお尋ねいたしましたところ、真桑様は超常的な薬品を取り出し、それを注射なさいました。真桑様は、██ ██様に自身を食べさせてほしいとのみ仰り、その後亡くなりました。
真桑様は、生前より様々な"食味を向上させる"身体改造を施していたと見受けられます。私がかつて調理させていただいたご遺体の中でも最上級の味わいを齎すと、一瞥するのみでも理解できました。また、自殺される際に注射なさった薬品も、肉体に損傷を与えないものでした。私めの推測ですが、真桑様は、██様に食べられたいと長い間お考えであったのだと思われます。身体改造に用いられた技術は決して高度ではなかったことから、真桑様ご自身の努力により最高級の食肉へと変化なさった筈でございます。
さて、私どもは██様へのコンタクトを試みました。しかし、██様はインターネット上でご活躍なさっている大手の配信者であり、真桑様と全く面識がないと判明しました。また、真桑様は██様に対してコメントを積極的に送るなどなさっていたようですが、多くのファンがいらっしゃる██様側からの直接的な返信は一度しかなされておりません。なお、██様が人肉食に言及なさったことは、確認できる限りございませんでした。
結果として、██様へ真桑様のご遺体をご提供することは見送られました。
真桑様からすれば、██様へ食べられることが特別な体験となるのだと推測いたします。しかし、██様からすれば"特別な味"にはならないと判断できます。ご遺体が強く願われていらっしゃっても、それを召し上がる方にご満足いただけないのでしたら、私どもはお料理の提供はいたしません。
なお、真桑様のご遺体は、先述のように食材として非常に美味であると推測されます。よって、真桑様と特別な関係であるどなたかに提供することも選択肢としてございました。しかし、それは真桑様の意思に反します。さらに、真桑様は親族との関係が希薄であり、また現実世界での人々との交流もあまり行っていないため、"特別な味"として提供できるお相手が存在しないと判断されました。
真桑様のご遺体には異常な痕跡が残っており、通常のご遺体と同様に取り扱うのはリスクが伴うと存じます。よって、誠に勝手ながら、ご遺体に防腐処置を施した上で、財団様に異常関連物品としての収容をご依頼するということが決定されました。お手数をおかけし申し訳ございません。
弟の食料品
当該メモの内容について、"弟の食料品"側が虚偽の情報を伝える必要性が薄いことから、信憑性は高いと推測されています。
現在、生前のSCP-3602-JPが"弟の食料品"と接触した経緯について捜索が行われています。









