アイテム番号: SCP-3608-JP
収容クラス: Euclid
特別収容手順: SCP-3608-JPに関するデータの管理は反ミーム部門の管轄になります。部門外担当職員に対する記憶補強剤の支給は反ミーム部門による判断で行われます。
SCP-3608-JPはカバーストーリー「インフラ整備」を適用し、路地を封鎖して民間人の立ち入りを禁止します。また建造部門と法務部門が主導となって恒久的な侵入防止を目的とした、SCP-3608-JP及び周辺区画の買収と研究施設の建造が計画されています。
財団の管理下にある生存しているSCP-3608-JP-Aは、臨時収容エリア-3608-JPに収容されます。SCP-3608-JP-Aの生活環境は特別マニュアル-3608-JPに則った夏を想起させるもので整えられます。特に冬期の体温低下が予想されるため、対処を目的として施設には医療部門が常駐します。
SCP-3608-JP-Aの異常性緩和条件の解明を目的とした実験は、承諾したSCP-3608-JP-Aのみを対象として行われます。実験は医療部門と形式部門の合同チームが主導となります。
SCP-3608-JP
説明: SCP-3608-JPは神奈川県川崎市中村区████町の路地上にある異常な空間です。SCP-3608-JPの範囲は路地沿いの建造物の外壁間、両端部は交差点の端、上下方向には地盤面からおおむね高度7mまでが含まれます。
SCP-3608-JPに関する情報は限定的な反ミーム性を有し、認識してから短時間で違和感や好奇心を減退させます。反ミーム性に耐性を持つ人物とSCP-3608-JP内に侵入した人物(以下SCP-3608-JP-A)はこの影響を受けません。
SCP-3608-JP内は周辺とは無関係に快晴かつ高温多湿の状況が維持されています。またSCP-3608-JP内の生物相は常に夏期の南関東で一般的な環境で固定され、成長や繁殖といった変化はありません。これらの生物は誰からも観測されていない状況で自然発生、消失し、またSCP-3608-JP外に出る瞬間に消失します。
SCP-3608-JP-AはSCP-3608-JPを離脱してから8日経過すると異常性が発現します。SCP-3608-JP-Aは虚脱感や発汗などの、直射日光に晒されている場合にみられる生理的反応が確認されるようになります。これらの反応はアイシングなどの一般的な対処法では限定的な効果しか確認されませんでした。
SCP-3608-JP-Aの異常性に対して効果的なものとして、当事者が継続的に夏を想起させることをするというものがあります。これによって異常性はほぼ完全に停止させられるものの、完全な無力化は不可能かつどの程度の頻度で行う必要があるかも不明瞭です。夏を想起させることには扇風機を使う、スイカやそうめんを食べる、ホラー映画を視聴するといったものが含まれ、判明している限りでも118個の条件があります。
SCP-3608-JP内には死亡したSCP-3608-JP-Aと同一の容姿の人型実体が不定期に出現します。この実体をSCP-3608-JP-Bに指定します。SCP-3608-JP-Bは出現ごとにそれ以前の記憶は持たないように振る舞います。SCP-3608-JP-BはSCP-3608-JP内にいる人物に対して、背後から話しかけるという形で出現します。話しかける内容は「今日も暑いですね」といった日常会話から始まります。またSCP-3608-JP外には出ようとはせずに、連れ出すと範囲外に出る瞬間に消失します。
SCP-3608-JPはその異常性から起源などは不明瞭です。しかし周辺地域での熱中症による死亡者が有意に増加したのが2000年代であるため、SCP-3608-JPの発生もその付近であると考えられています。████町の住民からは「夏の道」「死んだ人が帰ってくる道」として受容されていました。しかしSCP-3608-JPの反ミーム性や路地自体の人通りの少なさから、暴露者や情報の拡散は確認されていません。
インタビュー記録3608-JP-10
日時: 2014/10/04
対象: 佐伯丸子氏
インタビュアー: エージェント・春山
付記: 佐伯氏はSCP-3608-JP沿いの住民で、SCP-3608-JP-Aである。
<記録開始>
[重要度の低い箇所を割愛]
Agt.春山: あの路地について、どうして夏のようになったかについて何かご存知でしょうか。
佐伯氏: 知らないです。何があったというわけでもないですし、そもそもどうしてか私達以外は何もおかしいと思っていないですからね。何度も自分の方がおかしいのかと思いました。
Agt.春山: この路地についてのことは他の方にも話されたのですか。
佐伯氏: 話しましたよ!だってこんなことが起こってるんですから、そうしますよ。でも誰も違和感を持たないんです。ご近所の方も、警察も、役所も。どうにかは出来なくとも、せめて人が入らないようにするとかぐらいでもと思いましたが駄目でした。自分達で通行止めのようにしたら、道に私物を置くなと撤去されました……。
Agt.春山: 路地を使う方は結構いらっしゃるんですか。
佐伯氏: いえ、あんまりはいません。私達ぐらいです。それでもたまには入ってくる人もいます。私達も常に注意できるわけではないので。
Agt.春山: 例えば、どういった方が入ってくるのですか。
佐伯氏: ……それは、話す必要があるんですか。
Agt.春山: ええと、私達も被害の状況を確認し、対策を練るためには傾向は把握しておきたいので。
佐伯氏: ……子供です。冬に見られるはずのないカブトムシやセミに興味をもって、そしてふらっと入ってしまうんです。
Agt.春山: 子供ですか、ありがとうございます。全体の中でも子供が多いということで。
佐伯氏: あの、今日はもういいでしょうか。少し気分が良くなくて、また何かあればお答えします。
Agt.春山: あ、はい。ええ、ありがとうございました。お大事になさってください。
<記録終了>
インタビュー記録3608-JP-15
日時: 2014/10/07
対象: 丸山サヤ氏
インタビュアー: エージェント・春山
付記: 丸山氏はSCP-3608-JP沿いの住民で、SCP-3608-JP-Aである。
<記録開始>
[重要度の低い箇所を割愛]
丸山氏: 佐伯さんは優しい人だからね、入ってきちゃう人達のことも自分のせいだと思っちゃうんだよ。全然そんなこと無いのに、私達だって被害者なのにね。
Agt.春山: となると、本当にまったく心当たり無く、突然こうなったんですね。
丸山氏: そう、初めは訳も分からずね。涼しくなり始めてるのに路地だけ暑いし、どこ行っても暑い暑いって、意味が分からなかったわ。たまたま夏のものを全然片付けてないおウチがあったからどうすれば何とかなるか分かったけど……もしかしたら全員その年に死んじゃってるところだったのよ。
Agt.春山: それは……不幸中の幸いでしたね。
丸山氏: 本当にね、そんなおかげで年がら年中スイカ食べてるんだけど。まあそれでも体の弱い人や、ここじゃないところに住んでる人は何人か死んじゃったんだけどね。しかも死んじゃったと思ったら路地に出てくるし、もう最初は驚きすぎてこっちも死んじゃうかと思ったわよ。
Agt.春山: 亡くなられた方の中にはお知り合いもいらっしゃいましたか。
丸山氏: ええ、まあご近所の方だからね。何十年の付き合いよ。
Agt.春山: その方と路地で再会した時、何か話されましたか。
丸山氏: 死んじゃったんじゃなかったの?って聞いたわ。私がすごいボケちゃってるかもしれないでしょう?そしたら加藤さん黙っちゃって。あ、ごめんなさい。その方は加藤さんって方なんだけど、私すごい失礼なこと聞いちゃったって思ってすごい謝ったの。そうしたらまた普通にね、話したんだけど……でもやっぱり加藤さんは死んじゃってるのよねえ。普通に考えれば幽霊なんだろうけど、幽霊に対して普通って言葉使うのもねえ。あなた、何か分かる?
Agt.春山: 興味深いので、是非とも調査させていただきます。
丸山氏: そう?なら頑張ってね。あ、スイカ食べる?一応いつも持ち歩いてるんだけど。
Agt.春山: ああいえ、結構です。
<記録終了>
インタビュー記録3608-JP-16
日時: 2014/10/13
対象: 加藤喜多治氏
インタビュアー: エージェント・春山
付記: 加藤氏はSCP-3608-JP沿いの住民で、SCP-3608-JP-Aである。
<記録開始>
[重要度の低い箇所を割愛]
Agt.春山: こんにちは、加藤さん。今日は路地についてお話聞いてもいいですか。
加藤氏: ああ?なんだまたまがいもんの話か?だからお前らはあんなんに騙されて馬鹿みたいにギャーギャー喚いて馬鹿らしい……。
Agt.春山: すみません、そのまがいもんというのはどういうことでしょうか。
加藤氏: だからあ!あいつらが全員まがいもんの嘘っこきだって言ってんだ!あいつらは夏だからああやってるだけなんだ!
Agt.春山: あの、申し訳ないんですが、その夏だからやってるというのはどういったことかを教えていただけますか?
加藤氏: はあ……だからな?あいつらは暑いから暑いってんじゃないんだよ。暑いって言えば夏っぽいから言ってるだけなんだよ。ただあの道を夏みたくするために言わせられてんだよ。だからまがいもんなんだよ、分かったか?
Agt.春山: ありがとうございます……あの、加藤さんの奥様も路地で見られることについて
加藤氏: あれは希子じゃねえ!奥様なんていうんじゃねえ!
Agt.春山: す、すみません。不躾なことをお聞きしました。
<記録終了>
映像記録3608-JP-5
日時: 2014/10/27
付記: 本記録はSCP-3608-JP定期調査に起きたSCP-3608-JP-Bとの偶発的な交流記録である。
<記録開始>
[SCP-3608-JPの外縁にいたAgt.春山の背後に死亡したSCP-3608-JP-Aの一人、佐伯丸子氏と同一の外見のSCP-3608-JP-B-21が発生する。]
SCP-3608-JP-B-21: こんにちは、今日も暑いですねえ。
Agt.春山: へ?ああ、はい。そうですね。
[Agt.春山とSCP-3608-JP-B-21はSCP-3608-JPの境界を挟んで相対している。]
SCP-3608-JP-B-21: こうも暑いとまいっちゃいますよねぇ。ちゃんとお水とってます?
Agt.春山: おかげさまで、常にお茶は2リットル持っています。すみません、少しお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか。
SCP-3608-JP-B-21: ええ、私でよければいくらでも。
Agt.春山: ありがとうございます。あなたは佐伯丸子さんですか?
SCP-3608-JP-B-21: はい、そうですよ。
Agt.春山: 失礼ですが、あなたは以前インタビューさせていただいた後に亡くなられたと我々は認識しています。それについてご自身はどのように捉えていますか?
SCP-3608-JP-B-21: ……
[SCP-3608-JP-B-21は笑顔のまま無言でAgt.春山を見つめ続ける。]
Agt.春山: 佐伯さん?
SCP-3608-JP-B-21: ……
Agt.春山: 気分を害されたなら申し訳ありません。
SCP-3608-JP-B-21: ……
Agt.春山: あの、佐伯さ
SCP-3608-JP-B-21: こんにちは、今日も暑いですねえ。
Agt.春山: あ、はい。暑いです。
SCP-3608-JP-B-21: こうも暑いとまいっちゃいますよねぇ。ちゃんとお水とってます?
Agt.春山: はい、たっぷりとっています。あの、一つお聞きしてもよろしいですか?
SCP-3608-JP-B-21: ええ、私でよければいくらでも。
Agt.春山: 本当に暑いと思っていますか?
SCP-3608-JP-B-21: ……
[SCP-3608-JP-B-21は笑顔のまま無言でAgt.春山を見つめ続ける。]
Agt.春山: 汗もかかれていませんよ。
SCP-3608-JP-B-21: ……
Agt.春山: 佐伯さん。
SCP-3608-JP-B-21: ……
Agt.春山: ……いえ、失礼しました。今年の夏は本当に暑いですね。
SCP-3608-JP-B-21: そうよねえ。あ、ごめんなさい、私もう行かなくちゃ。またお話してくださいね?
Agt.春山: ええ、私でよろしければ。
[SCP-3608-JP-B-21はAgt.春山から見えない位置に移動する。Agt.春山はすぐに確認するもその時点で消失していた。]
<記録終了>



