クレジット
タイトル: SCP-3623-JP - 終着駅は暮れて
著者: ©︎Matrk6
作成年: 2024
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:9118069-3-d929
SCP-3623-JP
アイテム番号: SCP-3623-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3623-JPは現在、旧夕畑森林鉄道(廃線)の遠藤川支線内に留まっています。当該区間の周辺には柵を設置し、民間人の立ち入りを禁止してください。区間内の線路全体を、線路に沿って配置したビデオカメラと線路上に配置した高耐久性の音声記録機器で監視します。イベント後には各記録機器の点検を行ってください。
説明: SCP-3623-JPは、それぞれSCP-3623-JP-A, -B, -Cに指定される3つの枕木です。標準的な規格のヒバ(Thujopsis dolabrata var. hondae)1製枕木ですが、腐朽が著しく進行しており、敷設からの推定経過年数は80年です。これは一般的な枕木の交換時期の8倍程度にあたります。
現在SCP-3623-JPは青森県の旧夕畑森林鉄道遠藤川支線の線路上に隣接して存在しています。SCP-3623-JPを人為的に移動させることはできず、線路ごと撤去することも不可能です。
SCP-3623-JP付近では、以下に示すようなイベントが1ヶ月に1度程度の頻度で発生します。イベントの細部は以下のシナリオから逸脱する場合があります。
日没時刻から30分程度、3623-JP-A, -B, -Cは付近の枕木と自身を置換することによって移動を繰り返します。1回の移動距離はほとんどの場合5m以下です。3623-JP-A, -B, -Cは繰り返し独立に移動を行いますが、旧夕畑森林鉄道に接続する他路線に進入することはありません。イベントの間には線路上で複数の事象が観察されます(資料を参照)。30分の経過後、3実体は再び隣接し休止状態に入ります。
資料-3623-JP
イベント中に観察される事象の例を示します。
2003年4月19日
3623-JP-Cの移動経路に沿って、線路の下に敷き詰められていた砕石が土に置換され、そこから種々の菌類・蘚苔類・草本が出現しました。日没から30分後に改変は消滅し、イベントは終了しました。旧夕畑森林鉄道沿いには1940年までヒバ林が存在しており、この森林鉄道はかつて伐採したヒバの搬出に利用されていました。当事象で出現した実体群は、このヒバ林の林床を構成していた生物群と一致していました。
2005年3月3日
3623-JP-Bの移動経路に沿って、枕木と砕石がともにコンクリート製のものに置換され、周囲の植生が本州中部で見られるものに変化しました。出現した枕木と砕石には積雪がみられました。イベント中、移動区間では電車の急ブレーキ音と衝突音が記録されており、3623-JP-Bの表面にはイノシシ(Sus scrofa)の古い血痕が出現していました。イノシシは主に福島県以南に生息し、青森県にはほとんど生息しません。
2005年9月23日
3623-JP-Bの移動経路に沿って砕石が60℃以上の高温となり、線路上では陽炎が観察されました。線路上ではミンミンゼミ(Hyalessa maculaticollis)、クマゼミ(Cryptotympana facialis)の重なり合った鳴き声が観測されていました。3623-JP-Cが改変を伴う移動を開始し、3623-JP-Bによる改変を上書きしました。移動経路に沿って局所的な降雨が生じ、砕石の温度は常温に戻りました。
クマゼミは主に関東・中部地方以西に生息し、青森県にはほとんど生息しません。
2007年8月8日
3623-JP-Aが-B, -Cをまたぐように移動を行い、その後-B, -Cに隣接して休止状態に入りました。移動の停止から2時間程度、太鼓・鉦かねによる旋律の曖昧な演奏音、及び数分に1回程度の打ち上げ花火の破裂音が線路上の機器により記録されていました。線路上に存在していた水溜まりの水面は破裂音ごとに振動しており、不明瞭ながら花火の像と思われる発光を映していました。
経緯: SCP-3623-JPは、発見当初「線路を北上する枕木」という異常性で認知されていました。財団がSCP-3623-JPを発見してから、SCP-3623-JPは現在と同様に付近の枕木と自身を置換することで線路に沿って北へ進行を続けていました。当時の観察により3623-JP-A, -B, -Cの木目が連続していることが確認されており、これにより3623-JP-A, -B, -Cは同一のヒバ個体から成形された枕木であると推測されています。
この時期のSCP-3623-JPには軽い認識阻害性があり、記憶補強剤を使用して追跡することを主旨とした特別収容プロトコルが制定されていました。また移動は3623-JP-A, -B, -Cが概ね同期的に同じ方向へ移動するものであり、現在のような独立な移動はほとんど観察されませんでした。
財団が東京都でSCP-3623-JPを発見してからおよそ60年間・総経路長700kmにわたる追跡の末、2001年にSCP-3623-JPは現在の廃線に進入し、異常性は現在のものに変化しました。









