アイテム番号: SCP-3654-JP
オブジェクトクラス: Thaumiel
特別収容プロトコル: SCP-3654-JPが存在する住宅は現時点で財団フロント企業の管轄下にあります。
説明: SCP-3654-JPは要注意団体"AKI建設"により設計・制作されたと考えられる双方向性ポータルです。ポータルは床面から時間流的異常空間(以降、SCP-3654-JP-A)に接続されており、ポータル径は通過物の形状に合わせ伸縮します。
SCP-3654-JPを人間以外が通過した際は重力に沿ってそのままSCP-3654-JP-Aに完全に落下するものの、SCP-3654-JPに人間が落下した場合は肩部までがSCP-3654-JP-Aに転移した状態で停止します。この際、SCP-3654-JP-Aを通過する形での神経系の情報伝達が困難となり、落下者は胸部以下の自身の肉体感覚の一切を失います。この性質により、落下者が自力でSCP-3654-JPから脱出することは事実上不可能です。
SCP-3654-JP-A内部にはイマイソギンチャク亜目の特徴を持つArdorクラス悪魔実体が多数生息していることが確認されています。SCP-3654-JP-A内部の時間流的異常により詳細な調査は困難なものの、実体群は落下者の生命維持を行いながら肉体の非致死的かつ不可逆的な改造を行うことを目的としており、それにより得られる妖魔共振エネルギーにより生存活動を行っていることが判明しています。以下は現在までに確認されている改造内容のリストです。
- 体臭の変化
- 一部受容体の鋭敏化
- 腸内構造の変化
- 胸部、臀部の肥大化
本来であれば代謝の影響で上記の改造は緩やかに進行するものの、時間流的異常により基底現実の基準において上記の改造は非常に短いスパンで行われます。
悪魔実体による生命活動の補助により、落下者が飢餓等の事由により死亡することは極めて稀であり、ほとんどの場合は外部からの力によって落下者の救出が可能です。
発見経緯: SCP-3654-JPは当初、要注意団体"AKI建設"に複数回の接触を行っていた個人への追跡調査の際に捕捉されました。当時の調査より、対象はSCP-3654-JPの作成をAKI建設に依頼しており、友人を騙しSCP-3654-JPに落下させることで自身の性的欲求を満たすことを計画していたことが判明しています。
しかし、機動部隊により追跡対象への突入作戦が実行された際、追跡対象はSCP-3654-JPに落下した状態で発見されており、周辺の記録から突入の約2か月前に誤ってSCP-3654-JPに落下したものとみられています。
追跡対象は衰弱していたもののSCP-3654-JPの異常性により生存していたため機動部隊による救出が試みられましたが、追跡対象をSCP-3654-JP-Aから脱出させる際に大規模のバックラッシュが発生し、追跡対象と機動部隊を含む計7人が死傷を負いました。後の調査によりSCP-3654-JPの胸部より下部から高いEVE値が検出されたことから、SCP-3654-JPから追跡対象を脱出させた際に追跡対象の下半身が準神格的実体として顕現したことによるバックラッシュであると結論付けられています。
神格化の原因として、「時空間異常下で無自覚の状態で悪魔実体からの接触を受ける」という状況が宗教的価値観における「悪魔の誘惑」に打ち勝っていると解釈された可能性が戦術神学部門により提言されています。提言の真偽は不明なものの、実証実験によりSCP-3654-JP-Aへの没入時間と検出EVE値に正の相関がみられることは判明しています。
旧来、取扱者に高水準のEVE値を必要とするオブジェクトの確保・収容業務には、長期間の修行を行った聖職者の存在が不可欠でしたが、SCP-3654-JPを適切に人体に対し用いた場合は極めて短時間でそれに準ずるEVE値を獲得することが可能です。
現在、戦術神学部門の制御の元、志願者に対してSCP-3654-JPを運用し、"聖者の行進"1や"守り人"2等の一部の機動部隊でSCP-3654-JPによる肉体改造者の採用が試験的に行われています。現時点でSCP-3654-JP導入によるメリットはリスクを上回っていると評価されているものの、体形や神経系の変化が日常生活に与える影響は無視できるものではないため、関連職員全員へのSCP-3654-JP運用計画は保留されています。









