SCP-3667
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インシデント記録17/12/2010以後のSCP-3667。SCP-3667-1aはフレーム外に存在。

アイテム番号: SCP-3667

オブジェクトクラス: Keter Thaumiel

特別収容プロトコル:


説明: SCP-3667はサハ共和国ミールヌイ市1に位置するキンバーライトダイヤモンド鉱山"ピース"の最下層に空いたシンクホール内に発生する地形異常です。地中レーダーや地磁気地電流法ではミールヌイの鉱山あるいは都市部の異常な地下構造は明らかになりませんが、当該シンクホールは幅最大5キロメートル、高さ最大6キロメートルものライプニッツ-クラス2地形異常を内包しており、洞窟及び坑道による地下ネットワークを構築しています。坑道内部には以下の物が存在します。

  • 様々な石製の建造物及び複合施設。概して粗雑に組み立てられている。
  • 現時点で24種類の固有生物種。SCP-3667-1aから-1xに指定済み。知性を有する種が存在し、圧倒的多数は異常性を持つ。全ての種は人間に対し敵対的(特にロシア系人種に対し顕著)な態度を示す。
  • 現時点でおよそ12,000体の異常人類。SCP-3667-2に包括指定済み。その殆どが様々な程度の心理的ストレスに苛まれている。
  • 人間またはヒト型生物を監禁しかつ/または拷問する目的で設計された、大部分が木製の様々な機械装置。SCP-3667-3に指定済み。
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基底の地形学に基づいたSCP-3667の外周予想図(2016年9月23日)

発見: SCP-3667への入口を含むシンクホールは、2010年12月17日、ミール鉱山の作業員らが平常通りの掘削作業を行なっていた際に形成されました。掘削機が意図せず当該地形異常を掘り当て、SCP-3667の洞窟網に突貫したところ、結果として発生した陥没事故により少なくとも作業員1名が死亡、他数名が怪我を負いました。作業員らによる当該洞窟網の初期調査にて、前述の石製建造物の一部及び人間の遺体とみられるものが確認されました。しかしながら、作業員らが上長に報告しようとしたところ、SCP-3667-1a実体がシンクホールから出現して彼らを襲撃し、殺害しました。

有翼のヒト型生物に関する数十件もの警察に対する通報が傍受されたため、財団の人員が近郊のサイト-574から急派されましたが、ミールヌイの市街地全体に広がった火事と建物倒壊により財団職員の到着に大幅な遅延が生じました。地上部隊の攻撃は当該実体の制圧ないし終了に効果が得られず、財団籍のヘリコプターが脅威の排除に成功するまでの間、機動部隊員17名が敵の攻撃や瓦礫の崩落により殉職しました。

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SCP-3667-1a実体による襲撃直後の様子。後日、ガス漏れによるものと説明が行われた。

突如発生した本事件の後、ミールヌイ市街地には財団実働部隊により記憶処理剤が空中散布されました。広範囲に及ぶ火災は、近郊のミールヌイ総合技術研究所からのガス漏れに帰するものとされました。生存したアルローサ・マイニング社の作業員及び役員らには個別に記憶処理が施され、ミール鉱山は2004年をもって産出が枯渇し、一般人の立入禁止区域になったとの偽記憶に誘導されました。地対空ミサイルシステムによる防衛線が、今後のSCP-3667-1aによる侵犯を見据えて現在の形に拡充され、SCP-3667はKeterクラス異常存在に指定されました。現在までに、3体のSCP-3667-1a実体、ならびに1体のSCP-3667-1f実体がシンクホールから出現しましたが、全数が迅速に終了されました。

特筆すべきSCP-3667-1準実体:

こちらは最も危険かつ特筆すべきSCP-3667関連生物に重点を置いた部分的なリストにとどまります。準実体群の全リストについては、 文書3667-1: 準実体群の包括的リスト を参照してください。

SCP-3667-1a: イヌの頭とコウモリのような翼を有する体長およそ3メートルのヒト型生物。全身が硬い体毛で覆われ、可燃性の油性物質を分泌しており、これにより可能となる異常な発火を攻撃に利用する。捕獲された実体は原始的な言語能力を示し、また複雑な社会構造を形成している事が示唆されたほか、抽象的な図形の反復紋様を知覚する事が可能。

SCP-3667-1f: 体長およそ1メートルのヒキガエルに似た生物。呼吸系や消化系の器官を一切有さず、代わりに棘で覆われた体腔が備わっており、これを用いてSCP-3667-2実体をSCP-3667-3へ転移させているところが観察された。SCP-3667-1f実体が如何にして明確な栄養源なしに代謝機能を発揮しているかに関する研究が進行中。

SCP-3667-1m: 赤茶色の肌と極端に大きい頭部を有する、体長およそ1.5メートルの極度に憔悴したヒト型実体。実体は人間と同水準の知性を示すほか現代ロシア語を話し、対象の所持する物品と引き換えに富と力を授ける事を提案するが、当該実体は如何なる異常能力も有しない上、取引が成立したと見るや、即座に再交渉を開始し別の物品を得ようとする。

SCP-3667-1x:SCP-3667-1x: 毛皮で覆われ、主にヘラジカ・シカ・アカシカから成るツンドラ地帯に生息する様々な動物の過度に巨大な頭骨を装備した、体長およそ5メートルの脊柱後弯症のヒト型実体48体。古代教会スラヴ語を話すものの、大部分に散見される文法的誤りや時代錯誤から、現代ロシア語話者とも簡単な会話が可能。実体群は自身達を総称してマギストラートмагистрат、すなわち「行政官」と称する。

探査記録:

2012年3月20日、ミール鉱山防衛線の確立、及びその後のSCP-3667-1実体の出現を受け、SCP-3667の探査がアンジェリーナ・ミハイロヴァ地域管理官により優先事項に指定されました。2012年3月22日、機動部隊カイ-5が第1回探査のために動員され、SCP-3667への初踏査が2012年3月23日に実現しました。記録の全文はロシア語から翻訳済みです。

SCP-3667-2:

要レベル3/3667-2クリアランス

侵入記録:

2014年8月23日、SCP-3667内部の大部分のマッピングならびに既知のSCP-3667-1全種の捕獲・収容を行なった41回の探査の後、巨大な(体長およそ50メートル)豚型のSCP-3667-1未確認種がシンクホールから出現して機動部隊カイ-5駐屯基地を襲撃し、3名の犠牲者と20名の重傷者が発生しました。当該実体の有する、かねてよりSCP-3667-2実体に見られたものと同様の再生能力、及び外骨格と思しき体組織により、現地職員は終了の試みに失敗し、軍備増強のためサイト-574への戦略的撤退が発令されました。ミール鉱山への再赴任の際、財団職員らは当該SCP-3667-1実体(SCP-3667-1vに指定)によりミサイルシステム防衛線の大部分が破壊されており、実体がシンクホールの近傍に戻っているのを発見しました。鉱山の最下層に居た実体は財団の追撃に即座に対応できず、準備の上行なわれた空対地ドローンによる管制斉射等により、財団は最終的に実体の終了に成功しました。

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アンジェリーナ・ミハイロヴァ地域管理官(左)とンデイ・ボクムサイト管理官。

対応として、サイト-574管理官ンデイ・ボクムならびにサハ共和国地域管理官アンジェリーナ・ミハイロヴァ両名はO5評議会に対し共同声明を発出し、巨大かつ敵対的なSCP-3667-1実体の存在ならびに既に収容済みのSCP-3667-1実体の数に鑑み、財団職員及びミールヌイ市民が曝されている当面の継続的な危機を力説するとともに、機動部隊カイ-5及び財団の追加軍備によりSCP-3667内部のあらゆる敵対的なSCP-3667-1実体を積極的に殲滅し、可能であれば知覚的実体との協力関係の確保を試みるべきと主張しました。

8回の倫理委員会聴聞会を経て、2015年2月13日にO5承認が下されました。機動部隊カイ-5チーム1ないし3及び機動部隊ゼータ-9("メクラネズミ")チーム2ないし4が、2015年2月22日に侵入準備に着手し、2015年4月7日にSCP-3667に突入しました。

SCP-3667-1x: 侵入から3日後の2015年4月10日、それまで未確認であったSCP-3667-1準実体である、SCP-3667-1x実体が24体、シンクホールから出現しました。ミサイルシステム防衛線に配置されていた機動部隊員らは、実体群の内1体が白い布を結び付けた枝を繰り返し振っているのを目撃したため、即座に発射しませんでした。アンジェリーナ・ミハイロヴァ地域管理官との検討の末、機動部隊実働隊員から成る小数分遣隊が通訳者のペレヴォチクを伴ってシンクホールへ入り、対話を試みました。以下全ての対話文はロシア語及び古代教会スラヴ語から翻訳済みです。

サイト-667: 2015年6月6日、SCP-3667-1実体に対するSCP-3667内での限定的な自治権の公認及び独断的な終了措置の免除と引き換えに、SCP-3667の管理権の割譲を受ける件について、財団はSCP-3667-1x実体を代表とするSCP-3667-1残存個体群との合意に達しました。ライプニッツ-クラス異常及び同実体群を直接研究する目的でSCP-3667内部に敷設されたサイト-667の建設は2016年1月3日に着手され、2017年12月11日に竣工しました。第二棟であるフランシス・ジョウ9記念研究センターが現在開発中です。ンデイ・ボクム管理官は異動の上サイト-667管理官に着任し、後任のサイト-574管理官にはアナトリー・ポリアコフが着任しました。

SCP-3667-1x実体の忠告、ならびにライプニッツ-クラス異常に対する最新の研究成果を受け、サイト-667に在勤する財団職員らにより、彼らが駐在する当アノマリーの継続的安定性の確立のため、複数の超常科学的進展がなされました。その内最も関連する事項として、SCP-3667の”統治者”には当アノマリー及びこれを形成する個体群の宗教体系の双方の代表者であることを正確に表す尊称がなければならない事が判明しました。その結果、慎重な協議の末、ンデイ・ボクム管理官の尊称は「地獄の管理者」に定められ、あらゆる公式文書においてその称号で呼称されるようになりました。SCP-3667の継続的安定性を確保するために、SCP-3667-1x実体群にはその他様々な儀式( 文書3667-4: 認可済みのサイト-667ライプニッツ-クラス儀式 を参照)の実行も承認されています。

補遺:

5年弱に及ぶ研究の末、我々はSCP-3667-2実体群はその異常な再生能力の他には何ら異常特性を有しない事を突き止めた。彼らの維持管理に必要な膨大な物的コストさえ許容されるなら、すぐにでも財団は本部門を解体し、全てのSCP-3667-2実体を機密エリアに移住させ、そこで暮らす限りにおいて彼らに一般社会への復帰を許可する事だろう。

本部門で尽くしてくれた人間、人外も含めて全ての者に感謝の意を表したい。この5年間共に働いてくれて本当にありがとう。

パウル・シャラヴォックス、業火を喰らう者
サイト-667 SCP-3667-2研究部門長

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