アイテム番号: SCP-3672-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-3672-JPの発生を阻止するため、「入眠の補助を目的として羊を数える行為」に関する知識、記録は一般社会から抹消されました。この行為に関する知識はSCP-3672-JP担当職員内部でのみ共有されています。担当職員は1日ごとに10分間SCP-3672-JPの調査を実施してください。
説明: SCP-3672-JPはかつて文化上に存在した「入眠の補助を目的として羊を数える行為」1です。SCP-3672-JPの実行を試みた人物は、その人物の思考、経歴、知識に関係なく以下に記載する一連の光景を知覚します。
- 実行者は平原とそれを横断するように存在するコンクリートの壁を認識する。壁の上部には有刺鉄線が存在する。この壁は異常性が発現する以前のSCP-3672-JPにおけるフェンスに相当するものであると思われる。
- 観測範囲外の領域から羊が出現し有刺鉄線を飛び越えようとするが、壁に衝突する、もしくは上部の有刺鉄線に身体が接触し身動きが取れなくなることで失敗に終わる。稀に有刺鉄線を飛び越えることに成功するが、不明な位置からの銃声と共に羊が射殺されたと認識する事例が確認される。
- 先述した観測範囲外の領域から軍服を着用した二足歩行の羊に類似した実体(以下、二足歩行の羊に類似した実体をSCP-3672-JP-1と呼称)が出現し、羊を拘束、回収した後に観測範囲外へと連行する。
SCP-3672-JPの実行を試みる間、上記の光景は反復して知覚されます。
SCP-3672-JPでは数ヶ月から数年の周期で「デモ」イベントが発生します。イベント発生中にSCP-3672-JPの実行を試みると、実行者は有刺鉄線の前でSCP-3672-JP-1で構成された集団(以下:市民集団)が抗議を行う場面を知覚します。この集団に属するSCP-3672-JP-1は衣服を着用しておらず、実行者の第一言語で「自由を」「解放しろ」「柵を戻せ」などと記載されたプラカードを掲げています。イベント発生から3~24時間が経過すると、軍服を着用し、警棒、催涙弾、火器などの武装を所持したSCP-3672-JP-1によって構成された集団(以下:武装集団)が出現し、これらの武装を用いて市民集団を鎮圧します。市民集団に属するSCP-3672-JP-1全員が拘束され観測範囲外へと連行されるとイベントは終了します。SCP-3672-JP-1は逃走の際には通常の羊と同様に四足歩行を行うことが確認されているため、通常時のSCP-3672-JPで確認される羊と市民集団に属するSCP-3672-JP-1は同一の存在である可能性が指摘されています。
SCP-3672-JPの異常性は20██/08/13に発現しました。当初SCP-3672-JPの内容は「作業員のようなSCP-3672-JP-1が柵を撤去し、代わりにコンクリートの壁を建設している」というものでしたが、発生から約10時間後には内容が現在のものへと変化しました。SCP-3672-JPの異常性が発現した原因は現在まで特定されておらず、調査が継続されています。
補遺1: 20██/11/03の調査の際、SCP-3672-JPの内容が連続的かつ急激に変化していることが確認されました。以下は変化の内容を記録したものです。
発生期間: 20██/11/03 15:00(調査開始時刻)~ 20██/11/09 14:06
内容: 大規模な「デモ」イベントが発生している。規模以外で特筆すべき点として、市民集団内に通常では武装集団に参加している軍服を着用したSCP-3672-JP-1が確認される。武装集団は鎮圧を試みるが、市民集団側も同様の武装を所持していたため鎮圧に失敗し、衝突が長期間継続する。
発生期間: 20██/11/09 14:06~ 20██/11/09 17:51
内容: 衝突が徐々に鎮静化する。武装集団に属するSCP-3672-JP-1は明らかに混乱している様子である。
発生期間: 20██/11/09 17:51~ 20██/11/09 19:04
内容: 市民集団に属するSCP-3672-JP-1が雄叫びを上げる。観測範囲外から大量のSCP-3672-JP-1が押し寄せ、市民集団と共にハンマーなどを用いて壁の破壊を開始する。武装集団は慌てる素振りを見せながら観測範囲外へ退出する。
発生期間: 20██/11/09 19:04~ 20██/11/09 22:45
内容: 壁が完全に破壊される。大量のSCP-3672-JP-1が壁の外部へとなだれ込み、観測範囲外へ移動する。実行者はこの間極めて強烈な眠気を体験したと報告する。
発生期間: 20██/11/09 22:45~ 20██/11/10 05:02
内容: 破壊された壁のみが観測される。
発生期間: 20██/11/10 05:02~ 20██/11/12 12:39
内容: 先述したSCP-3672-JP-1が移動した方向から重火器で武装した二足歩行の狼に類似した実体、現代的な戦車、自走砲、トラックで構成された部隊が連続して出現し、壁内部へと侵入する。最初に確認された部隊の様子からSCP-3672-JP-1の足跡を遡ってきたと思われる。
発生期間: 20██/11/12 12:39~ 20██/11/14 09:17
内容: 破壊された壁のみが観測される。
発生期間: 20██/11/14 09:17~ 20██/11/16 21:25
内容: 作業服を着た狼型実体が複数現れ、壁を完全に撤去すると同時に道路を建設する。
発生期間: 20██/11/16 21:25~
内容: 定期的に狼型実体が搭乗したジープ グラディエーターと思わしき車両が道路上を通過するようになる。荷台には拘束されたSCP-3672-JP-1が積み重なっており、実行者は車両を認識するたびに若干の眠気を感じると報告する。これ以降SCP-3672-JPに変化は確認されていない。









