SCP-3699-JP
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アイテム番号: SCP-3699-JP

オブジェクトクラス: Keter Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3699-JPはサイト-81AMの専用セルへ収容されます。収容セルにはスラント霊素固着波生成器が設備され、オブジェクトの崩壊や非実体化による消失を物理的拘束下で制限します。SCP-3699-JPが収容セルから消失した場合にはタンブルウィード・プロトコルを発令し、速やかに再収容を行って下さい。

説明: SCP-3699-JPは日本各地のランダムな車道上に出現する能力を有したクラスC霊体です。オブジェクトは肉眼では不可視であり、ハルトマン霊体撮影機により観測した際には身長171cm程度のモンゴロイド系女性に似た外見の実体として撮影されます。

SCP-3699-JPの着衣は一般的に販売されている洋服と同様のものですが各所が大きく破れており、その破れから確認できる四肢や胴体には大きな衝撃を受けた場合にできるものと同様の外傷及び開放性骨折が存在します。また特に折れ曲がった頸部には、自動車のバンパー部分と思しき赤い塗装の金属片が突き立っている様子が確認できます。

これらの外見的負傷にもかかわらず、SCP-3699-JPは出現後不安定な体勢で立ちあがり、素早い動きで近傍の人物へと接近します。SCP-3699-JPは実体として物理的な作用力を持ちますが、前述したように肉眼では不可視であり、対象となった人物は多くの場合、オブジェクトと直接接触する瞬間までその接近を感知することができません。

しかしながら人体と接触したSCP-3699-JPは、その直後に自身の実体を崩壊させます。このためオブジェクトによる接触は対象人物にわずかな感触のみを感じさせるものであり、大きな動揺や混乱がもたらされる事例は稀です。崩壊後、一週間以内にSCP-3699-JPは別の地点へと再出現し、同様の行動を繰り返します。

SCP-3699-JPがこのような行動をとる原因については複数の仮説が立てられています。現在有力とされているものは、作用力を持つが知力を欠いているクラスC霊体の特徴から、オブジェクトが一種の本能的な行動として人間の発する生体エネルギー(EVE)に誘引されているというものです。

これは付近の複数人の内、SCP-3699-JPは自身との間により遮蔽物の少ない人物へ接近しやすいという実験結果からも有力視されていますが、同様に知力を欠く他のクラスC,D霊体の実例には適用できない場合もあることから、現在も仮説の段階に留まっています。


補遺: 収容以前、SCP-3699-JPは車内の人間に誘引され走行中の車と衝突することで多数の自動車事故の発生に関与しており、関連死傷者数の増大に伴って19██年には高脅威実体として財団にマークされていたものの、その出現地点の広さとランダム性、霊体としての特性から当時の技術では収容は困難であると見なされていました。

しかし観察により、人に接近し、接触した場合崩壊するというオブジェクトが持つ前述の2つの性質が明らかになったことを契機に、タンブルウィード・プロトコルが立案・実行されることとなりました。プロトコルの要旨は以下の通りです。

LEVEL 2/3699-JP CLASSIFIED


概要: タンブルウィード・プロトコルはSCP-3699-JPの性質を利用し、その被害の軽減を行うとともにオブジェクトを財団の収容下に置くことを目的としています。プロトコルは要請を通じた日本国政府の協力の下で実行され、具体的には以下の行動が取られます。

  • 国有道路の一部区間を工事などの適切な名目で封鎖し、これをSCP-3699-JP収容のための"ポケット地点"と指定する。特に高速道路の防音壁及び周囲環境は後述する設備の隠匿に好ましいため、使用率が比較的低く中期的封鎖の影響が少ない区間が優先的に複数選定される。
  • ポケット地点ではメトカーフ非実体反射力場発生装置を稼働させ、同地点にSCP-3699-JPが出現した場合、実体を速やかに確保し最寄りの財団サイトまで移送するための設備が用意される。
  • 一般社会に対し「走行中の車窓から体を出すこと」に肯定的な感情を抱かせる偽情報キャンペーンを行う。

一連のプロトコルはポケット地点外にSCP-3699-JPが出現した場合に、人体との接触により速やかな崩壊を促すことで事故の発生を多少なりとも軽減すると同時に、出現から再出現までの周期を短くすることでポケット地点への出現確率を可能な限り上昇させることを目的としています。

協議の結果、車窓から出させる身体部位は危険性・実行の容易さ・自然さを考慮し、"手"あるいは"腕"が望ましいと判断されました。

プロトコルの実行から4か月後、SCP-3699-JPは成功裏に確保されました。当時流布された偽情報は、理由は不明ながら現在では「高速を走る車の窓から手を出すと女性の胸を揉んだ感触がする」という都市伝説として変質し残存していますが、オブジェクトの存在漏洩に繋がる可能性は低いことから特段の対応は行われていません。

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