特別収容プロトコル: SCP-3708はサイト-73の標準的な低脅威度収容区画の内部に保管されます。レベル2職員は実験に利用可能です。
説明: SCP-3708は重量5kg、高さ21cmの、雄鶏1を象った石像です。
毎朝正確に6:30(現地時間)、SCP-3708は自律活動を開始し、75~80デシベルの範囲で時を告げる鳴き声を発します。SCP-3708はその後、次第に動揺しているかのような様子を見せつつ、首を伸ばして周辺領域を見渡します。この行動中にSCP-3708は低い鳴き声を数回発し、6:31に再び無生物化します。
SCP-3708は物理接触した人物に軽度の陶酔感をもたらします。対象者は“温かさ”と“健康さ”の感覚を報告しています。
SCP-3708はウィスコンシン州ギルマンにある、最近死亡した83歳の農夫、レイニア・コステードの住居から回収されました。コステードの親戚によるSCP-3708の異常特性の目撃に続き、フィールドエージェントが小さな村に流れている“生きた鶏の像”の報告に対応しました。コステードの住居が捜索され、SCP-3708は特に問題なく回収されました。
補遺3708.1: 回収文書
SCP-3708の回収に際して、胴体側面にテープで貼られた小さなメモが見つかりました。
パパへ
しばらく留守にします。
帰らないかもしれません。
あまり家にお客さんが来ないのは分かっているけれど…
でも、パパの相手になってくれる子を見つけました!
私からの置き土産みたいなもの。名前はベニーです。
面倒見てあげてね?
マルグリットより。
補遺3708.2: 回収文書
SCP-3708と共に、1冊の日誌がコステードの住居で発見されました。無関係な内容は除外されています。
2016年10月23日
マルグリットが午後に家を出ていき、小さな彫刻を残していった。見ていると子供の頃に飼っていた雄鶏を思い出す。とりあえずナイトスタンドに乗せておくことにした。
2016年10月24日
今朝は雄鶏の鳴き声で目を覚ましたが、この農場ではもう60年以上も飼っていないはずだ。一瞬だけ、マルグリットが声をかけてくれたのかと思った。きっと小さなベニーが私と仲良くしようとしたのだろう。一人きりで起きるよりはいい気分だ。
2016年10月25日
今日、少し早めに起きて朝の日課をやっていると、またベニーの鳴き声を聞いた。置いてあった場所に行くと、何という事だ、ベニーは動いていた! 私が手を伸ばして触れると、彼は身体を擦りつけてきた。その後、普通の彫刻に戻ってしまった… 寝不足かもしれない。
2016年10月26日
寝不足のせいかと思っていたが、今日もまた起きた。今回、彼は私を待っていたようだ。また撫でてやるとすぐに動かなくなった。マルグリットがまだほんの赤ん坊だった時期を思い出した… いつも真夜中に泣きながら起きて、私があやしに行くまで泣き止まなかったものだった。
2016年11月19日
ベニーにお早うを言うのはもう日課の一部だ。彼は私との付き合いに慣れてきたようだし、私もそうだ。仲良くする相手が必要だというマルグリットの言葉は正しかった。毎朝1分以上ベニーと時間を過ごせたらと願うばかりだ。とは言え、そのおかげで共に過ごす時間がいっそう大切になっているのだけれども。マルグリットとも久しく顔を合わせていない。
2016年12月21日
今日のベニーはいつもより活発な気がした。ほとんど羽ばたきそうな様子で、私には全く分からない何かのことを首を伸ばしながら鳴いていた。普段なら神経に障るところだが… 彼が相手では、それも難しい。マルグリットが帰ってきたのを知らせてくれたのかと半ば期待したが、そういう訳ではなさそうだ。誰か訪ねて来ないだろうか。
2016年12月22日
ベニーは今日も引き続きそわそわしていたが、驚くにはあたらない。落ち着くまであやしてやった。その後、石に戻った。ああ、なぜ彼は石に戻らなければならないんだろう?
[…]
どうもこの様子だと、何か病気にかかったようだ。午後は半分がとこ酷い咳をしながら過ごした。しかし我慢できる程度だ。少なくとも朝には楽しみが待っている。
2016年12月23日 (最後のエントリ)
インフルエンザらしい。ベニーもそれを分かっているのだと思う。今朝お早うを言いに行った時、不安げにしていた。けれど私は大丈夫だ、ベニーのためにも。マルグリットのためにも。