SCP-3711-JP
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アイテム番号: SCP-3711-JP

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 生息域の関係上、非負傷状態でのSCP-3711-JPの確保は非常に困難であるため、収容方法は主に観測と予防的措置に依存しています。生息域における航空機・船舶事故を避けるため、衛星監視による監視を24時間体制で行っています。SCP-3711-JPの現在地を通る進路を予定している航空機と船舶には気象状況の悪化を口実に警告を発し、進路を変更させてください。

当該海域には無人運航船を複数待機させ、SCP-3711-JPが落下した場合には回収を試みます。生存した状態のSCP-3711-JP個体が回収できた場合、直ちに治療を行った上で、所定の海洋生物用収容房に移送する必要があります。回収したSCP-3711-JP個体は可能な限り生存を長引かせるため、毎日100gの魚を与えてください。これらの個体を用いた実験には、レベル3以上の職員の許可が必要です。

SCP-3711-JPによる事故は全て標準的な衝突物や自然災害によるものと偽装し、関係者にはクラスA記憶処理を施します。目撃情報は竜巻が原因として公表し、噂話が流布されている場合には財団フロント企業を通じて「魔の海域」に関する真偽不明の情報として処理してください。SCP-3711-JPの残骸は事故調査の過程で「破損した機械部品」として処理した後、冷凍保存が行われます。

説明: SCP-3711-JPはマゼランペンギン(Spheniscus magellanicus)に酷似した実体群の総称です。体表が青みがかっている点を除き、体格やDNA配列ともに通常のマゼランペンギンと区別できません。当該実体群は北大西洋西部の海域1上空、高度およそ12,000mの雲上に生息しており、2015年時点で89体の生存が確認されています。

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財団飼育下におけるSCP-3711-JP。

SCP-3711-JPは体外の水の粒子と反発する性質を持つため、雲や海面上を歩行可能です。しかし、財団が確保した個体を用いた実験により、大気中や煙、霧などの水分濃度が低く、水粒子が一定粒径以上ではない対象の上では歩行できないことが判明しています。また、SCP-3711-JPは嵐などにより雲が拡散する気象変化に対して非常に敏感であり、危険を察知すると、雲を乗り継ぎながら安全圏へと移動を開始します。この際には通常のペンギンと同様、体力を温存するために腹ばいで雲上を滑って移動します。安全圏に移動する前に周囲の雲が拡散してしまった場合、当該実体群は狭い範囲に集合します。集合している間、当該実体群の足下の雲は拡散せずに形を留めることが可能です。この現象の正確な原理は不明ですが、SCP-3711-JP同士が密集することで、雲の水粒子が異常な安定性を得ているのではないかと推測されています。この現象の発生に必要なSCP-3711-JPの数は現時点では不明です。

SCP-3711-JPの代謝は極端に低く、空気中の水分のみで約6年間生存することが可能です。当該実体群は全個体が雌であり、生後2年が経過した個体は6月頃に2~4個の卵を産卵します。この卵は通常の無精卵とは異なり7日程度で孵化可能ですが、孵化可能な卵の産卵には高度10,000m以上という特定の環境が必要であり、それ未満の高度では通常の無精卵しか産出されないことが確認されています。孵った雛は2週間程度で歩行可能となりますが、それまでは群れの中心に集められています。これは突発的な雲の拡散や体温の低下、あるいは体重が軽い雛が風にあおられて落下することを防ぐために行っていると推定されています。

生後5年を経過した個体は通常のペンギンと同様に、魚などの食物を摂取することが可能となります。これは加齢による身体機能の低下によって、空気中の水分を十分に吸収することができず、足りない栄養を食物で補うためであると推定されています。また、身体機能の低下は歩行能力や認知能力に影響を及ぼすようになります。これらのSCP-3711-JP個体は認知能力が低下したことで群れから孤立する行動をとり、光や音への過敏な反応を示すほか、雲の隙間や気象変化に鈍感になります。この状態の個体は雲上を広範囲に移動し、足を踏み外して直下の海に転落する可能性が非常に高くなります。SCP-3711-JPの強度は通常のペンギンと相違ないため、実体の多くは水面衝突により致死的損傷を負います。

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航空機の翼に衝突する直前のSCP-3711-JPを撮影した写真。

SCP-3711-JPは1999年1月5日に発生した民間航空機事故の調査中に発見されました。墜落現場の機体残骸からはマゼランペンギンに酷似した死体が回収されたことで、事故原因の解明のために財団の調査が開始され、周辺空域においてSCP-3711-JPの存在が確認されました。長期間の観測ならびに過去の航空機・船舶事故の報告では、SCP-3711-JPが航空機や船舶に衝突し、事故の原因となる事例が数件確認されています。

補遺: 以下は2005年から2011年にかけて財団が観測したSCP-3711-JPの死亡数と死亡要因の統計データです。全てのデータは計測したデータからの概算であることに注意してください。

死亡要因 死亡数
(2005年)
死亡数
(2006年)
死亡数
(2007年)
死亡数
(2008年)
死亡数
(2009年)
死亡数
(2010年)
死亡数
(2011年)
不注意 62 72 59 70 87 44 21
群れからの孤立 26 19 30 29 51 29 35
個体間の争い 9 2 0 5 11 1 0
気象変化 33 19 21 42 12 9 2
飛行機の光・音への 
過剰反応
10 2 16 11 20 1 0
飛行機による 
衝突事故
0 1192 0 0 0 0 0
その他 26 51 20 10 2 32 18

SCP-3711-JPの死亡要因は、雲上を歩く際の判断力の低さなどの不注意による雲上からの落下死が最多であり、次いで、群れから何らかの要因で離れたことで孤立した個体が気象変化時に雲を固定化できず落下に至る事例が多く確認されています。気象変化に関連する死因としては、雷の直撃や、低代謝ゆえに突発的な気温変化によってショック状態に陥る個体も観測されています。まれではありますが、嵐の渦流に巻き込まれて気流に攫われ、低気圧障害を起こす例も確認されています。また、老化に伴う代謝系の崩壊、あるいは産卵行動の失敗に起因する内臓損傷や体力の枯渇も確認されています。現在までに確認された死亡要因のほとんどは、当該実体の生存が極端に限定的かつ不安定な環境に依存していることに起因しており、SCP-3711-JPの生存自体が例外的状態に近いとする見解も存在します。

SCP-3711-JPは1999年に発見された際にはおよそ300体が生存していました。個体数は観測以来減少の一途を辿っていましたが、2006年に産卵期のSCP-3711-JPの群れに飛行機が衝突したことで相当数の若年個体と孵化前の卵が死亡したことで個体数の維持に絶大な影響を与えました。現在の個体数の減少を鑑み、財団はSCP-3711-JPの確保を試みていますが、ドローンなどの飛翔体による接近に対し、海面へ飛び込むなどの逃走行動や飛翔体への突撃などの攻撃行動を取るため、確保は非常に困難です。また、SCP-3711-JPの中には機体の金属反射やジェット音に過敏に反応する個体も多く見られ、パニックに陥る様子が確認されています。これらの行動はSCP-3711-JPが落下に対する警戒意識をほとんど持たない一方で、生息域に外敵が存在しない環境で長期間過ごしてきたことにより、接近する物体を異常なまでに警戒あるいは攻撃対象として認識する傾向を強めているためと考えられています。

財団はこれまでに海面衝突後にかろうじて生存していた2体の個体を回収することに成功しています。両個体とも衝撃で骨や内臓に重度の損傷を受けていましたが、現在は生存に問題ない状態まで回復しています。しかし損傷による身体面・精神面の負荷が大きく、詳細な生体検査は不可能な状態です。現在は安定した繁殖の研究のため、生殖環境の再現を試みていますが、両個体とも老齢のため研究試料としては不適格です。

以下は現在考案されているSCP-3711-JPの回収計画案です。

回収計画3711-JP-1「気球」作戦


概要: SCP-3711-JPを回収するため、大型の気球を用いて誘導し、回収可能な距離へと近づける。気球の静止性と高高度での安定性を活かし、SCP-3711-JPが死亡するリスクを最小限に抑えつつ安全に回収する。

手順:
1. 気球が空域に侵入後、高度12,000m付近でSCP-3711-JPを捜索する。
2. SCP-3711-JP発見後、気球の側面に取り付けられたアームを用いて餌や模倣魚を実体群の近くに配置する。
3. SCP-3711-JPが餌に反応し接近した場合、当該実体群を無理なく誘導できる速度で餌を移動させ、気球まで誘導する。
4. 気球に取り付けられた捕獲網を展開し、SCP-3711-JPを回収する。

備考: 使用する気球は、大型で耐久性が高く、複数の回収機器を積載できるタイプを選定する。気球に取り付ける捕獲網は緩衝用の機構および素材が用いられており、SCP-3711-JPへの物理的ダメージを最小限に抑える設計となっている。


懸念点:
・気球は気象条件に大きく依存するため、突発的な変化により操作困難になる恐れがある。
・SCP-3711-JPが予測不能な速度で接近する可能性があるため、捕獲網の展開が間に合わない可能性がある。
・確保した2個体を用いた実験により、餌に反応することは確認されているが、上空におけるSCP-3711-JPの挙動が不透明である。

回収計画3711-JP-2「人工雲」作戦


概要: SCP-3711-JPを回収するため、特殊改造を施した航空機を用い、大量の水粒子と塵を噴霧することで人工的な高密度雲を形成する。これを段階的に高度を落としながら形成することで、SCP-3711-JPを回収可能ポイントに誘導する。

手順:
1. 複数の航空機が空域に進入後、高度12,100から12,500mの範囲で飛行を開始する。
2. 航空機が一斉に水粒子と塵を噴霧し、約70m2の人工雲を形成する。
3. SCP-3711-JPが人工雲上に着地・移動を開始したことを確認し、航空機の位置を段階的に移動させて人工雲を移動させる。
4. 回収可能ポイントに待機していた捕獲班が回収し、SCP-3711-JPを別途用意された収容房へ移送する。

備考: 作戦成功率は高度12,000m付近の風速、湿度、温度、気流の安定性に左右されるため、当日の気象条件を確認して実施する必要がある。


懸念点:
・通常の雲とは異なり、人工雲は短時間で拡散・蒸発する可能性が高い。歩行可能な水分濃度を保つには、継続的かつ大量の水の噴霧が必要となる。
・複数の航空機を運用するため、作戦決行時には綿密な飛行計画とリアルタイムの航空管制が必要となる。
・人工雲の範囲外へ逸脱する個体、偶発的に落下する個体が予期される。これにより、確保の不安定化と航空機が損傷する恐れがある。
・気象条件の突発的変化により、人工雲が即座に拡散する可能性がある。これにより、相当数のSCP-3711-JPの死亡や作戦範囲外への離脱が予期される。

回収計画3711-JP-3「地引網」作戦


概要: SCP-3711-JPを直接的に回収するため、特殊改造を施した無人航空機を用い、対象が生息する空域を広範な網を展開しながら低速飛行する。これにより、SCP-3711-JPを網に絡め取り回収する。

手順:
1. 無人航空機が空域に進入後、高度12,100から12,500mの範囲で飛行を開始する。
2. 弾性の高い網を展開し、60km/h以下で対象群の上空を通過する。
3. 網内に捕捉されたSCP-3711-JPは、帰還後、別途用意された収容房へ移送される。

備考: 網には緩衝用の機構および素材が用いられており、SCP-3711-JPへの物理的ダメージを最小限に抑える設計となっている。


懸念点:
・SCP-3711-JPの突撃行動により無人航空機が損傷する危険性が高い。
・飛行速度を現在の想定以下に維持することができないため、捕獲時の衝撃によりSCP-3711-JPが致命的損傷を受ける可能性が高い。特に、飛行安定性維持のため速度調整が困難な状況下では、対象群が「網に叩きつけられる」形となる事例が予想されている。

 
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