アイテム番号: SCP-3726-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-3726-JPの発生予測は困難であるため、収容努力は情報隠蔽を主とします。全国の精神科及び警察機関から情報を収集し、適切なカバーストーリーを適用してSCP-3726-JP-1を確保してください。SCP-3726-JPに関してカバーストーリー「新種の精神疾患」を流布し、早期発見を促してください。
説明: SCP-3726-JPは原因不明の精神疾患です。被影響者(以下SCP-3726-JP-1と指定します。)は影響以前の性格特性に関わらず、極めて幼稚かつ利己的な性格となり頻繁に軽微な悪事1を行います。
非異常性の精神疾患と異なり、SCP-3726-JPは瞬間的に影響を及ぼします。このためSCP-3726-JP-1は急激に性格が豹変することとなり、初期段階での警察機関への通報や、医療機関への受診につながるため初期確保は容易となります。一方でSCP-3726-JPの発生に一切の予兆は存在せず、傾向として日本の小中学校やその周囲、学習塾などの学習施設、ゲームセンターなどの遊興施設など2において、顕著に発生確率が高いことを除き、SCP-3726-JPの発生を予測する方法は確立していません。
確保前のSCP-3726-JP-1を目撃した人物の一部からSCP-3726-JP-1の背後に黒い影のような実体を目撃したとの証言が得られていますが、カント計数機やハルトマン霊体撮影機などの超常計測機器を含む既知の計測機器において、そのような実体を観測することは出来ませんでした。実体を目撃した人間の共通点として以下の特徴が挙げられます。
- 5歳から15歳の女性である
- 品行方正、あるいは利他的な性格である
- フィクション作品に対して否定的でない
小学校などの上記の条件を満たす人物が多数存在する状況での発生例において、当該実体の目撃者が全体の0.██%±0.██%程度であったことから、他に実体を視認する条件が存在することが推測されています。
事案記録: 202█年█月██日、SCP-57263及びSCP-5726-1がサイト-19から消失しました。SCP-5726-1に取り付けられていたGPS装置は日本の██県██市のゲームセンター██████を示しており、サイト-19より連絡を受けた日本支部により機動部隊に-8("地域猫")が回収のために出動しました。後述するインタビュー記録により、当該事案にSCP-3726-JPが関与していることが示唆されたため、当報告書に記載しています。
インシデント5726-02
前記: 以下はゲームセンター██████の監視カメラ映像からの抜粋です。監視カメラにはマイクが付属しておらず、音声は記録されていません。
[17:45:32] 男子高校生2名が対戦格闘ゲーム██████████をプレイしている。7回目のゲームの勝敗が決定すると同時に敗者側である酒井康太氏が激昂した様子を見せ、勝者側である前田優氏を殴打して店舗出口へ歩き去る。4
[17:46:15] 通行中に複数の筐体を殴打しながら酒井康太氏が出口へ向かっていると、目の前にSCP-5726-1が瞬間的に出現する。3秒遅れて強い発光が発生し、録画に白飛びが発生する。
[17:46:42] 光が収まるとSCP-5726がSCP-5726-1を所持してポーズを取っている。
[17:47:04] SCP-5726と酒井康太氏が30秒間何らかの会話を行う。
[17:47:36] 酒井康太氏が激昂した様子を見せ、SCP-5726へ殴打を試みる。
[17:47:39] 殴打を回避したSCP-5726がSCP-5726-1を掲げるとSCP-5726-1の先端からハート形の爆発放射が放たれ、酒井康太氏に命中する。酒井康太氏は昏倒するが出血などは確認できない。
[17:48:54] SCP-5726が酒井康太氏を抱き起こすと酒井康太氏は目を覚まし、SCP-5726と15秒間会話を行う。
[17:50:05] 酒井康太氏が座り込んでいた前田優氏へ歩み寄り、謝罪するような仕草を行い、30秒間会話を行う。
[17:51:25] 酒井康太氏と前田優氏が握手をし、SCP-5726はそれを見て笑っている。その後3名は談笑しているように見える。
[18:01:44] 機動部隊に-8("地域猫")が到着すると、SCP-5726は自主的に投降し謝罪する様子を見せた。
総括: SCP-5726-1から放たれた放射が命中した酒井康太氏に損傷が存在しないことは特筆すべきです。調査のため、カバーストーリー「警察での取り調べ」の元で酒井康太氏と前田優氏を拘束し、サイト-8141にてインタビューを執り行う予定です。
インシデント5726-02中に呈した症状及び発生地点が遊興施設であったことから、SCP-3726-JPの関与が疑われましたが、インタビューの結果酒井康太氏は激高して以降の記憶が希薄であったものの、特筆すべき精神影響は見られませんでした。酒井康太氏と前田優氏にはAクラス記憶処理を行った上で、カバーストーリー「喧嘩による補導」を適用して解放しました。
SCP-5726インタビューログ050
インタビュー対象: SCP-5726
インタビュー者: 大角豆ささげ研究員
前記: このインタビューはSCP-5726の初期インタビューに則り、SCP-5726の下の名前を呼称にして行う事が検討されましたが、本人がそれを拒否しました。そのため、通常通りオブジェクト番号を呼称として行われています。
大角豆研究員: SCP-5726、はじめまして。私の事は大角豆と呼んでください。先日の件について、いくつか伺いたい事があって来ました。
SCP-5726: [10秒程の沈黙] ……その、本当に、ごめんなさい!誰にも言わないで、勝手に出て行っちゃって。……怒られちゃいますよね?
大角豆研究員: ええ、本来ならば褒められる行為ではありませんでしたね。それについては今後、我々のチームで検討を行わせていただきます。さて、SCP-5726。まず、貴方はどのようにして██████5に辿り着いたのですか?
SCP-5726: ……「声」、が聞こえたんです。
大角豆研究員: 「声」?
SCP-5726: はい。「声」です。……その、私、あの日まではずっと遠いところで……ぐっすり眠っていたんです。もうこのまま、目覚められないんじゃないかな、って思うくらい。[俯く]
大角豆研究員: ええ、それは辛かったでしょう。
SCP-5726: でも、ある時いきなり「声」が聞こえたんです!「ダーリンピンク、目覚めなさい」って。そうしたら、気付いたら目の前があの、ゲームセンターになっていて!
大角豆研究員: なるほど、その「声」に感化され、無意識の内にテレポートを行った、という訳ですね。……わかりました。その事について、もう少し教えて頂けますか?
SCP-5726: ええ。きっと……あれは、ダーリンスパークルトーチ6の声でした。トーチが、私の心の中に語りかけてきて。直接身体の中に響いていくような……あっ、って言っても、わからないですよね。
大角豆研究員: いいえ、続けてください。
SCP-5726: ……その「声」はさらに言ったんです。「ダーリンピンク、あなたがこの世界を救うのよ」「行きなさい、いちご」って。……「声」が止んだら、もちろん、私はすぐに目の前の「ダークネス」をやっつけに向かいました。それが私、魔法少女ダーリンピンクの使命ですから!
大角豆研究員: 「ダークネス」、ですか?
SCP-5726: ええっと、そっか、大角豆さんはわかりませんよね。ダークネスは人の心に入り込んで、その人の考える事を乗っ取って勝手に悪さをするものです。私は、そのダークネスに取りつかれたみんなをプリティー・ピュアリティ・ハート・バブルで綺麗にして……あっ……
[10秒弱の沈黙。SCP-5726にやや動揺が見られる。]7
大角豆研究員: ……SCP-5726。この世界に貴方が来てからの事は、ある程度存じ上げています。つまり、「酒井康太氏はダークネスに憑依されていた」。それが、貴方の見解という事で合っていますか?
SCP-5726: ……なんだ。私の事、ちゃんと知ってくれていたんですね。……はい、その通りです。康太くんはダークネスに取り憑かれていました。
大角豆研究員: 承知しました。大変興味深い事実です。では、今後は酒井氏の件の発端は「ダークネス」の影響、という前提で進めさせていただきます。よろしいですか?SCP-5726。
SCP-5726: ええ。もちろん!そのダークネス、なんですけど……ええ。「この世界のダークネス」、いや、「この世界」は私が元々居た世界とは違う事がいっぱいで。とっても大事な事なのに、康太くんに向けてプリティー・ピュアリティ・ハート・バブルを打つその瞬間まで、すっかり忘れてしまっていました。……もう、あんな事 したくなかったのに。[俯く]
大角豆研究員: [無言で相槌を打つ。]
SCP-5726: ……「元の世界」では、私の魔法を当てればどんなダークネスでもやっつけられました。でも、「この世界のダークネス」はとっても手強くて……私が力不足なせいで、結局一度も助ける事が出来なかったんです。私は、全部。全部をなくしてしまいました。私のせいで……私の、せいで「死ぬ」、「死ぬ」……「死な」せる?
大角豆研究員: 我々の世界では、一般的に「殺す」という動詞を用います。
SCP-5726: 「殺す」……殺す。「殺した」。私は、殺した……
[以後10秒強、以上の単語を繰り返し唱え続ける。]
SCP-5726: ええ、そう。そうです。私は、この世界で魔法少女ダーリンピンクの役目を全うする前に、人を「殺して」いたんです。はぁっ……![両手で顔を覆う]
大角豆研究員: ……この世界に来てから、貴方がその、長い眠りにつくまで。「この世界」で「ダークネス」に対する勝利を収める事は出来なかったのですね。
[SCP-5726が勢いよく椅子から立ち上がる。]
SCP-5726: でもっ、あの日は違ったんです!康太くんに取り憑いたいたダークネスは、私が放った魔法できれいさっぱり……綺麗にされました!あの、真っ赤な、そう、目に焼き付くみたいに真っ赤な姿は……無かったんです![両手で顔を覆う] ……「殺さ」ない。「殺さ」なかった ……そう、「殺さなかった」んですっ!
[SCP-5726が泣き出す。以後12分間会話は行われない。対応として、大角豆研究員はハンカチを手渡した。]
大角豆研究員: インタビューを再開します。では、SCP-5726。他に、「ダークネス」の事について何か分かる事はありますか?
SCP-5726: ……はい。実は私、あの日からずっと感じているんです。まだ、この世界に居るダークネスの気配を。
大角豆研究員: それは、「ダークネス」が酒井康太氏の例に留まらず、まだこの世界に居る、という事ですか?
SCP-5726: [激しく頷く] ええ、その通りです。康太くんのダークネスを倒したあの日からずっと、目を閉じているとまた「声」がするんです。いえ、正しく言うなら声によって、気配を感じるっていうような。……いつもいつも、ダークネスに取り憑かれたみんなが、私に助けを求める声と、そのダークネスの不敵な笑い声が……
大角豆研究員: 今度のその「声」は、どこからか聞こえてくる、といった感じですか。
SCP-5726: はい、その通りです。例えばそう……「そっち」……「そっちの方」から、何だか不気味なくらい、たくさんの「声」が聞こえるんです。
[SCP-5726が片手で耳元を抑えると同時に、反対の手でSCP-5726から見て斜め前方、██の方角を指差す。]
大角豆研究員: 承知しました。
[大角豆研究員が手元の用紙に書き込みをする。SCP-5726は落ち着かない素振りを見せる。]
大角豆研究員: どうしましたか?SCP-5726。
SCP-5726: 大角豆さん。きっと……これは私に与えられた試練です。いえ、この試練を乗り越えることが、私が殺してしまった男の子たち、言葉の通じなかった外国人のおじさんや……加奈子さん8への「つぐない」、になります。どうか……手伝わせてくれませんか?
大角豆研究員: 「つぐない」……
SCP-5726: 人を殺すのはダークネスのすることです。
大角豆研究員: ……分かりました。今後の調査等を迅速に検討させて頂きます。本日はありがとうございました、SCP-5726。
SCP-5726: いえ、こちらこそ。……あの、大角豆さん。その、お願いがあるんですけど、いいですか?
大角豆研究員: 構いませんよ。SCP-5726。
SCP-5726: ……ありがとうございます。……キムさん9に、ごめんなさいとお礼を伝えてほしいんです。
大角豆研究員: 謝罪に、お礼を?
SCP-5726: はいっ!まず、黙って出ていっちゃった事を謝りたいのと……キムさんが教えてくれた強化マシンのおかげで強くなれたんです、って事を。そう、初めて「殺さなくなった」んですよ、って。
総括: インシデント5726-02の原因はSCP-5726本人による意思では無いと見られます。SCP-5726は酒井康太氏の凶暴化を「ダークネスの仕業」、また、死傷者を出さなかった事を「強化マシンによる成長」と認識しています。その後の調査で、インタビュー中、SCP-5726が指し示した方角を調査した結果、██kmの距離にSCP-3726-JP-1収容房が存在する事が判明しました。
SCP-5726インタビューログ050を受けて、SCP-5726によってSCP-3726-JPの無力化が可能であることが示唆されました。これを受けてSCP-3726-JP研究チームによってSCP-5726とのクロステストが申請されました。SCP-5726の致死的な特性を鑑みて、当該申請は倫理委員会により審議中となっています。倫理委員会の承認を受け、SCP-3726-JPとSCP-5726のクロステストが実施されました。
実験記録-01
目的: SCP-5726によるSCP-3726-JPの無力化を確認する。
実験内容: SCP-3726-JP-1に対し、SCP-5726による爆発放射を照射する。
実験対象: SCP-3726-JP-1-13、小林直哉氏。元教師であり、SCP-3726-JPの影響を受けた後に児童への暴行容疑で起訴され、懲戒免職処分となっている。
結果: 標準耐爆実験室にSCP-3726-JP-1-13を移送した後、SCP-5726へ実験内容を伝達すると、SCP-5726は瞬時に消失し、強い発光を伴ってSCP-3726-JP-1-13の目の前に出現する。SCP-5726はSCP-3726-JP-1-13に対し先述の暴行に関する叱責を行い、続けてSCP-5726-1の先端からハート形の爆発放射が放たれ、SCP-3726-JP-1-13に命中する。SCP-3726-JP-1-13は昏倒するが出血などは確認できない。
SCP-5726が昏倒したSCP-3726-JP-1-13を抱き起すとSCP-3726-JP-1-13は覚醒し、暴行事件に対する反省と被害者への謝罪について発言する。SCP-5726は笑顔で応対し、SCP-3726-JP-1-13と握手をする。
実験終了後、SCP-3726-JP-1-13へ行われた各種検査において、SCP-3726-JPによる影響は完全に消失していた。また、SCP-3726-JP影響下の記憶は希薄であり、「何かに操られていたよう」に感じているとの証言が得られた。SCP-3726-JP-1-13は1ヵ月の経過観察の後、Aクラス記憶処理を行って解放した。
実験前後に行われた検査においてSCP-3726-JP-1-13には精神影響の消失を除いた変化は一切観測されなかった。また、実験室に設置された各種超常計測機器においても特筆すべき数値の異常は確認されなかった。
考察: SCP-3726-JPの無力化に成功したことを鑑みると、SCP-3726-JPにSCP-5726の証言する「ダークネス」との関与が考えられる。一方で、各種超常計測機器において「ダークネス」は検知出来ていない。SCP-3726-JPの確保時の調査において、一部の若年女性が当該実体を目撃したと見られる証言を行っていることから、特定の条件を満たした人間によってのみ視認可能な実体である可能性が考えられる。今後は「ダークネス」を視認可能な条件の特定と、SCP-5726に頼らずに無力化する方法の研究が必要となる。
実験記録-01を受け、SCP-3726-JPの発症に関与していると推定される実体をSCP-3726-JP-2と指定し、SCP-3726-JP-2の観測方法及び無力化方法の研究が開始されました。これに伴い、観測および無力化方法のモデルケースとして、SCP-5726との長期的なクロステストが申請されました。
警告・SCP-3726-JP: 以下の文書へのアクセス権はセキュリティクリアランスレベル4/3726保有者またはセキュリティクリアランスレベル5保有者のみに与えられます。
-
- _
補遺: 202█年█月██日、既知のSCP-3726-JP-2を観測できる人物にのみ視認出来るアノマリーが複数確認されました。SCP-5726及びSCP-3726-JPとの関与が疑われたため、暫定的にUE-3726-JP-Xとして分類し以下に抜粋して記載します。
番号: UE-3726-JP-1
概要: 原因不明の発熱性疾患。かぜ症候群と類似する症状を呈するが、細菌及びウイルスの増殖は確認されず、伝染性も存在しない。医療用の解熱剤や市販されている風邪薬などの服用によって一時的に軽快するが自然治癒することはなく、治療方法は確立していない。一方で死亡や予後を悪化させる症状は発生せず、長期間に渡る寝たきりとなっても筋肉量の衰えは発生しない。
視認可能な実体: SCP-3726-JP-2を視認可能な人物には細菌やウイルスを戯画化したような実体が被影響者を攻撃しているように観測される。
番号: UE-3726-JP-4
概要: 原因不明の機械類の誤動作。人間による操作を必要とする機械類が操作なしで動作し、周囲の人間に対して危害を加える。この際車両による事故などの死亡や重傷を引き起こしかねない事例であっても、全治1週間以内の軽傷しか発生しない。
視認可能な実体: SCP-3726-JP-2を視認可能な人物には、影に類似した人型実体が機械類を操作しているように観測される。
番号: UE-3726-JP-13
概要: 身体の動作を強制される現象。主に人混みで発生し、被影響者は身体を引っ張られる感覚を覚えながら他者への攻撃を強要される。
視認可能な実体: SCP-3726-JP-2を視認可能な人物には、被影響者の背後に糸のような実体が伸びており、その先に蜘蛛のような実体が存在しているように観測される。
上記のアノマリー群はSCP-3726-JP-2を視認可能な条件を満たした人間にのみ視認可能であり、超常技術を含めた物理的な干渉が不可能です。一方で上記のSCP-3726-JP-2を視認可能な人間による攻撃はわずかながら成果を得ていることが判明しました。ただし、一時的な無力化あるいは実体からの逃走には成功した例があったものの、これらのアノマリーを無力化ないし収容するには至りませんでした。
空想科学部門による提言
以下に空想科学部門によるUE-3726-JP群への対処に関する提言を付記します。
各地に出現したSCP-3726-JP-2及びUE-3726-JP群には、物語的な類似点が存在します。それは女子児童向けジャパニメーション、いわゆる魔法少女アニメの悪役としてのアイコンです。具体例を挙げれば「純粋無垢な女児にしか視認不可能である。」「先述の女児による攻撃によって一時的な無力化が可能である。」「加える加害が回復可能な程度に収まっている。」などが存在します。これに加えて、当該実体群が既知の超常計測機器にて一切の異常が観測不可能であるにも拘わらず異常性を発生していることからも、当該実体群は創作改変10の影響を受けていることが推測されます。
これによってSCP-3726-JP-2及びUE-3726-JP群には、魔法少女アニメの悪役としての物語上の役割を付与され「物語として解決されない限り消滅しない」という異常性が存在すると推測されます。これはインシデント5726-02及び実験記録-01に見られる「悪役が自身の悪事を反省し、被害者と和解する」という物語的特徴からも推測できますが、無力化自体はSCP-5726による攻撃のみで完了していることを鑑みると「魔法少女によって討伐されること」が最も簡易に「悪役を物語として解決する手段である」との仮説が立てられます。
この仮説の検証、及び今後の研究を進展させるため、空想科学部門はSCP-3726-JP-2及びUE-3726-JP群と「魔法少女類似アノマリー」とのクロステストを提言します。
上記の提言を受け既知の魔法少女類似アノマリーであるSCP-5726、PoI-1337-JP11、SCP-1455-JP-A12をUE-3726-JP群と接触させる実験が行われました。
実験記録-05
目的: 魔法少女類似アノマリーによるUE-3726-JP群の無力化の可否を確認する。
実験内容: 各UE-3726-JP群に対し、魔法少女類似アノマリーを接触させて、経過を観察する。
実験対象: SCP-5726、PoI-1337-JP、SCP-1455-JP-A
結果: 以下に示す通り、魔法少女類似アノマリーによってUE-3726-JP群への干渉が可能でした。
実験対象 接触対象 結果 SCP-5726 UE-3726-JP-1 SCP-5726-1から放たれた爆発放射に接触したUE-3726-JP-1被影響者は症状が完治した。SCP-3726-JP-2を視認可能な人間から実体が消失したと証言が得られた。 PoI-1337-JP UE-3726-JP-4 PoI-1337-JPはUE-3726-JP-4が存在していると思われる場所へ所持しているステッキから火炎を投射した。SCP-3726-JP-2を視認可能な人間から実体が消失したと証言が得られた。 SCP-1455-JP-A UE-3726-JP-13 SCP-1455-JP-AがUE-3726-JP-13が存在すると思われる場所へ殴打を加えたことで被影響者は身体の自由を獲得する。その後に不可視の実体により攻撃を受け、SCP-1455-JP-Aは昏倒する。SCP-3726-JP-2を視認可能な人間からは、SCP-1455-JP-Aが蜘蛛のような実体に暴行を受けていると証言が得られた。 上記の実験を受け、UE-3726-JP群に対する魔法少女類似アノマリーの無力化ないし干渉が可能であると確認されました。UE-3726-JP群の急激な増加及び他の手段での対処の困難さを鑑み、魔法少女類似アノマリーを用いた初期収容及び無力化が提案されました。
-
- _
機動部隊ま-7 (“ガラスの靴よ消えないで”)
部隊任務: 機動部隊ま-7は、魔法少女アニメのキャラクターに類似するアノマリーで構成されています。機動部隊ま-7は、UE-3726-JP群と指定されていた創作改変による干渉困難性を伴うアノマリーの確保及び無力化を目的として結成されました。
収容支援の対象オブジェクト:
- SCP-3726-JP