SCP-3740

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アイテム番号: 3740
レベル2
収容クラス:
keter
副次クラス:
none
撹乱クラス:
ekhi
リスククラス:
caution

Ashur.jpg

SCP-3740。写真はSCP-3740の私物から回収された。

特別収容プロトコル: SCP-3740は現在、サイト-81にある改装された複数の大型ヒト型実体収容室に収容されています。SCP-3740の収容室には手作りの質素な調度品、多数の動物の毛皮と松明、巨大な石造りの暖炉、クマの敷皮が設置されます。常時15樽以上のビール樽を調理室に準備しなければいけません1。SCP-3740は自分で料理を作ることが可能ですが、時折、収容チームのメンバーに食事への参加を要請する場合があります。この際、財団職員はウシまたはブタ1頭を提供し、SCP-3740はそれを自らの好みに応じて調理・提供します。

如何なる状況でも、何者かがSCP-3740を“アッシュール、風強き平原と天高き空の神”、“最大の戦勝者にして揺るぎなき主、神々しきアッシュール”、もしくは単純に“最強のアッシュール”以外の名称で呼ぶことは認められません。加えて、SCP-3740の収容チームメンバーは以下の偽名を名乗り、またそれを用いてお互いを呼び合わなければいけません。

  • バレット博士: 壊れざる者ウルマー
  • フィッシャー博士: 廃物たちの覇者ニエムス
  • リーズ博士: エレアノーラ・サンダークラップ、聳え立つ雲の女魔術師
  • ジマーマン研究員: 悪徳のフット
  • オッペンハイマー研究員: アルドゥス・マンハッタン、敵を殺す者
  • クイン研究員: 同様に壊れざる者キャルメ2
  • リー研究員: 東方のソロモン
  • マーシャル研究員: ニヌルタ、忘れられし夜の剣3

現在も進行中であるSCP-3740の収容には、サイト-81の収容スペシャリストたちによって作成された偽情報活動の厳守が求められます — この活動は現在マウント・オリンポス・プロトコルに指定されています。詳細は補遺3740.2を参照してください。

説明: SCP-3740は、アッシリア-バビロニア神話における風の神であり、アッシリア神格の主神、アッシュールだと考えられているクラスVIIIヒト型現実改変実体です。SCP-3740は自在に気流を操作し、飛行能力を持つ動物と意思疎通し、気圧や気温を制御することが可能です。SCP-3740は500kph以上の突風を生成し、サイクロンやその他の気象現象を作成/制御できます。SCP-3740は若くて背の高い筋肉質な人間男性の外見をしており、概ね滑らかな肌と黒髪を有しています。SCP-3740は幾つかの死語、英語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語、ファルシ語、アルメニア語を流暢に話すことが可能です。

その能力と特性のために、SCP-3740は現在Keterクラス異常実体に分類されています。しかしながら、収容の努力はSCP-3740が著しく騙されやすいという事実によって幾分容易になっています。SCP-3740はほぼ全ての声明を額面通りに受け入れ、懐疑的な態度や不確実さの兆候を全く示しません。SCP-3740は、話し相手が自らと同様に強大な神格であると信じている限り、その人物が言ったほぼ全ての事を容易に信用します。神の力を証明するにあたって、実際の超自然的な特技は必要とされません。単純なカードトリックや手先の早業による手品は、SCP-3740の目からは十分な神性の証拠と見做されます。

補遺3740.1: 発見

SCP-3740はトルコのガズィアンテプ市に近いバーで起きた喧嘩によって発見されました。目撃者の報告によると、当時SCP-3740は大人数の一団と共に酒を暴飲しており、自身が侮辱されたと思い込んだ別の常連客に突き飛ばされました。乱闘が始まり、最終的にSCP-3740は建造物の前壁を吹き飛ばして、負傷者18名と数千ドル規模の資産被害をもたらしました。地元当局に逮捕された泥酔状態のSCP-3740は、現地の財団エージェントが当局を傍受して彼を拘留するまで、自らの“信じがたい宇宙の力”について絶え間なく喚き続けました。

補遺3740.2: マウント・オリンポス・プロトコル

序: 以下の文書はサイト-81収容研究チームのメンバー間で回覧された内部メモの抜粋である。

SCP財団暗号化サーバー
サイト-81

3740/4機密情報

TO: 3740研究チーム、サイト-81収容研究チーム、サイト-81管理部、サイト管理官評議会、財団収容委員会

FROM: G・マクエロイ博士、サイト-81収容研究主任

この業務連絡を送信したのは、我々が追加収容措置の注文をキャンセルしたことに、皆さんの多くが朝までには気付くだろうと確信しているからです。クラス8は言うに及ばず、概して現実改変者を収容するのは至難の業であり、我々は通常なら本気でそういう奴らに立ち向かいます。しかし、今回のケースではその心配はありません。

恐らく皆さんはこう自問しているでしょう。「しかしマクエロイ博士、サイト-81の屋根を文字通りの意味で吹き飛ばせる実体には全力で対処すべきではないのか? このような無気力さでSCP-3740の収容に取り組むのは反直感的かつ危険な行為ではないか?」 第二の質問に対する答えはイエスです、通常ならば。しかし今回の我々は幸運でした。時として不自然な事物の秩序はソフトボールを投げつけてきますが、そのボールはモッツァレラチーズで出来ている可能性もあるのです。

要点はこうです。SCP-3740は確実に、どれだけ真剣に考えても、100%疑いの余地無く、私が今までの人生で遭遇した最も騙しやすい人物です。冗談ではありません。私は彼の収容室に入って、純粋なエネルギーのみの存在 ブリス・ディライトであると自称し、手を揉み合わせて作った静電気を軽く彼に当てました。すると彼は「神の同輩に会えるのはいつだって光栄な事だ」と言い、今日に至るまで私をブリス・ディライトと呼び続けています。ジム・オッペンハイマーは自分がどのようにして“兄を裏切った一千人の男たちと単独で闘って殺した”かを語り聞かせ、今ではアルドゥス・マンハッタン、敵を殺す者などと呼ばれています。正気の沙汰ではありません。

ですから、我々は十分に説得力のある話を考え出して、収容室を破壊しないのが超重要事項であると彼に伝えました。そして彼は、そこで寛ぎながら酒を飲んでファックして収容チームのメンバーたちと一緒にふざけた饗宴を開くのに満足しきっています。

確かに、SCP-3740はいつか収容上のリスクに変化する可能性がありますので、当面は分類に異議を申し立てるつもりはありません。しかしどうか安心してください。サイト-81で最も危険な実体は、アクタス管理官が電灯の点け方を知っているという理由で、彼を“マルセウス、ハドリアヌスの地獄の恐怖”という超自然的な宇宙の支配者だと信じ切っていますのでね。

SCP-3740はいつ如何なる状況でも即座に収容違反するのに十分な能力を帯びています。このような事態の防止とSCP-3740の長期的収容の維持を目的として、SCP-3740との将来の意思疎通を調整するため、以下のマウント・オリンポス・プロトコルが制定されました。

SCP-3740は現在、その発見に繋がった乱闘の最中、泥酔して前後不覚になっている間に征服した“アンゴリアンの館”という建造物の内部に住んでいると思い込んでいます。収容室内でSCP-3740との交流が許可されている人物は3種類に分類されます。

  • 使用人: SCP-3740は収容室内に使用人または奴隷が配属されていると考え、それらを“エラム人”または“カルデア人”と呼びます。この役職はSCP-3740に話しかけること、目を合わせることを許可されていません(不敬を示すものと解釈され、SCP-3740を著しく憤慨させるため)。このタイプの役職は全てDクラス職員です。SCP-3740は通常、これらの人物が配役を維持している限りはこの役職を無視し、敵意を持った行動を取りません。
  • 館の守衛: この役職はサイト-81保安職員から成り、年代的に適切な装甲と武器を装備して、収容室の正面ドアの警備員を務めます。軍人としてのステータス故に、SCP-3740は通常この役職を戦友として扱いますが、自分とは階級や地位が大きく異なる点を明確に理解しています。SCP-3740は時折、この役職を呼んで模擬戦に付き合わせます — この際、守衛役はSCP-3740に圧倒されてから降伏することが期待されます4
  • 神々と英雄: この役職は、自らを神格または伝説の英雄であるとSCP-3740に信じ込ませたサイト収容チームのメンバーや研究職員です。SCP-3740はこれら全ての人物と極めて親密な関係を築き、家族の一員であるかのような態度で話しかけます。SCP-3740は定期的にこの役職に収容室で開く饗宴への出席を求め、自らは非人間的な量のアルコールを消費する、仲間の神々と共に経験した壮大な物語を吹聴する、エラム人やカルデア人を揶揄・軽蔑するなどします。

SCP-3740は、その発見に至った乱闘があまりにも激烈だったために時空間の通り道が発生し、かつて自らがアッシリア神格の頂点に君臨していた古代まで時間を遡って帰還したと思い込むように誘導されています。例によって、SCP-3740はこのカバーストーリーを問題なく受け入れています。他のアッシリア神格に扮した財団の演者たちの助力によって、プロトコルの錯覚性はより一層強化されています。

補遺3740.3: SCP-3740へのインタビュー

注記: 以下は、マウント・オリンポス・プロトコルの導入後間もなく、モニカ・リーズ博士によって実施されたインタビューの転写からの抜粋である。

リーズ博士: アッシュール、こんにちは!

SCP-3740: こちらこそこんにちは、驚異の女魔術師! 噂をすればだ、ちょっと待て。タデウス! アルテモール! (保安チームのメンバー2名を身振りで指す) ここに来い、そうだ、こっちだ。ちょうど我が兄弟タデウスとアルテモールにお前の話をしてたんだ、エレアノーラ! 彼女こそは、友よ、美しくも恐ろしきエレアノーラ・サンダークラップ。素晴らしい美貌だろう!

(保安チームのメンバーは — 両者ともにリーズ博士に直接報告を入れる立場である — 頷いて同意を示す。)

リーズ博士: そう言ってもらえてとても嬉しいですよ、アッシュール。

SCP-3740: 止せ止せ。お前みたいな偉大な戦士たる女帝を紹介する時、俺はこれ以上の褒め言葉を知らん。なぁエレアノーラ、こいつらにあの- あのアレをもう一回見せてやってくれ。そう、雨のアレだ、嵐を呼ぶアレ。頼むよ!

(リーズ博士が3回拍手し、外部の収容職員が室内のスプリンクラーを起動する。)

SCP-3740: ハハハハ! どうだこの凄まじい力! 俺はこの前彼女に言ってやったんだよ、兄弟たち、ついこの前だ — お前には俺が今まで出会った誰よりも強大なパワーがあるって! 変幻自在のディオゲニシスや、アラブの井戸マルムルックよりも強大だ! 多分あの偉大なる覇者ソロモンに次いで2番目かもな、俺は最近奴が片手の親指を消してもう片方の手に移し替えるのを目の当たりにした! まさしく驚嘆すべき業だ。

(両方の守衛は頷いて同意を示す。)

SCP-3740: だがまぁともかく、エレアノーラはきっと俺と重要な話があって来たんだろう。タデウス、アルテモール。持ち場に戻れ。 (守衛が去る。) さて、エレアノーラ。ざっくばらんに話そう。元気でやってたか?

リーズ博士: おかげさまで、アッシュール。どう-

SCP-3740: この機会にお前との性的な交わりを大いに楽しみたいと思っている。

リーズ博士: え- ええ、確かにそうですね、アッシュール。ただ残念ながら、その、私は呪いを掛けられてしまったのです。

SCP-3740: 呪い? 呪いだと!? どうしてそんな事が? 誰がお前にそんな惨い事をした? さてはエラム人か? 魔女か? エラム人の魔女か?

リーズ博士: いえそれはその、絶対にエラム人ではありませんでした。実はですね、あの、ゴブリンが… ゴブリンが走って通り過ぎながら… 何気なく私の股のあれを盗んだのです。とても悲劇的な事件でした。

SCP-3740: (テーブルに拳を叩き付ける) 神々よ呪われてあれ! ただし俺たち以外だ、勿論、でも余りにも酷い! (深呼吸し、目を僅かに閉じる) それで、愛しいエレアノーラ、どうなんだ… その、被害の規模は? (予想して身を強張らせる)

リーズ博士: ええと、いえ… 全体的にこう… 全体的に滑らかになってますね。

SCP-3740: 精霊たちよ憐れみ給え! (猛烈な風が吹き上がり、SCP-3740の椅子が後ろ向きに倒れる。SCP-3740はもがきながら立ち上がる) 惨めな、救われぬ魂めが! お前にこんな真似をした極悪非道な獣には梅毒の災いを振りかけてやる。奴の悲鳴が塩の大地で永遠に響き渡らんことを!

リーズ博士: 同情していただき心から感謝します、アッシュール、ありがとう。でも実を言うと、私が会いに来た理由は、あなたがこの館で快適に過ごしているかを訊ねるためなのです。

SCP-3740: 当たり前だろう! ご覧の通り、ここは家具も装飾も最上の品が揃ってる。良き友ティアマトは最高級のアンバーエールを満たした底無しの樽を調達してくれたし、これなんかどうだ! ウルマーがこの一際風変わりな松明を俺に持ってきた。見てろよ! (SCP-3740が手を1回叩くと灯りが点く) 実に非凡な宝じゃないか!

リーズ博士: 勿論です。あなたが不自由なく暮らしているのを確認したかっただけですよ、アッシュール。

SCP-3740: 全く文句ないね。なんで俺がこれほど見事な宮殿をわざわざ離れなきゃならない? (沈黙) でも一つだけあるな、思い出した。いつかお前との性-

リーズ博士: ゴブリンです、アッシュール。下は全体的に滑らかになってます。

SCP-3740: 神々よ呪われてあれ!

補遺3740.4: 超常的能力の証明

SCP-3740との適切な意思疎通を促進する目的で、全ての研究職員と管理職員は、彼らがSCP-3740と同等の神格的存在であるとSCP-3740に十分証明できる特技を披露することになっています。現在までのところ、以下の行為はSCP-3740を欺くのに十分であると確認されています。

  • クラーク博士: 磁石とワイヤーを使って室内で鉄球を浮遊させる。
  • イェンマ博士: レーザーポインターを使ってネコを走り回らせる。
  • キリュウ研究員: 不自然な髪色をしている。
  • ヴァンダービルト博士: SCP-3740の耳から25セント硬貨を取り出すふりをする。
  • アンドリューズ博士: 鉛筆を頭の横に持ち、呑み込むふりをする。
  • ダンスビー研究員: ジャグリングをする。
  • シュミット管理官補佐: カードトリックを行う。
  • クアルト研究員: ビールを一気飲みする。
  • アクタス管理官: 照明のスイッチを入れる。

補遺3740.5: 饗宴イベント転写

注記: 以下は、SCP-3740が研究チームのメンバーと共に収容室内で開催する毎週の饗宴に際して録音された音声の転写を抜粋したものである。

SCP-3740: -で、俺は戦場にただ一人立っていて、川向こうにはアダム・エル・アセムがいた。奴は完全にブチ切れてた、何故って俺は奴に向かって例のアレを振ってたし、それに-

ケール研究員: 例のアレ?

エージェント アイヴァース: チンコのことだろ。

エージェント アレン: “神の竿”な。

(部屋中が笑う)

SCP-3740: そう、それ! でもって俺がそいつを奴に振ってると、奴は- ちょい待ち、ジヌー、もう一杯飲むかい? いやいや何言ってんだ、当然お前なら飲むよな! 注いでやるよ-

(SCP-3740は室内の風を操作してエージェント アレンのジョッキを樽まで運び、新たに飲み物を注ぎ足して返却する。エージェント アレンは頷いて感謝の意を示す。)

SCP-3740: ともかく、奴は- 奴は川を丸ごと俺に叩き付けようとした! 信じられるか? せっかく俺が好意でもって先手を打たせてやったのに、奴が選んだ攻撃は- 俺をずぶ濡れにするだけのお遊びだったんだぜ!

ヴィッカース博士: とんでもねぇ野郎だ!

ケール研究員: で、君はどうしたんだい?

SCP-3740: そりゃ勿論、神の竿で奴の面を引っぱたいてやったさ!

(再び部屋中が笑う)

ロビンソン研究員: 私の伝説はもっと凄いぞ。ある時、私はアラガッダの荒れ野で壊れた神と闘うために雇われた。そこで私は右手に信じざる者の槍を、左手にはジャック・ブライトの生首を-

SCP-3740: へぇ! スリル満点の物語だな! 続けろよ!

エージェント アイヴァース: あーいやいや、こいつの話は聞かなくていい。クソが詰まってるだけだ。

SCP-3740: 精霊の守りよ在れ! とんでもなく厄介な急展開じゃないか。我が友たる骨砕き5、この広間を少し下った所に相応しい場所がある — 遠きコーラーの地から直輸入された、この国土全体で最も高級な設備だ!

ロビンソン研究員: えっ? 洗面所のことかい? 何故?

SCP-3740: だってお前、クソが詰まってんだろ?

(再び部屋中が笑う)

補遺3740.6: 2017/11/4の事象の転写

注記: 2017/11/4、SCP-3740から“スエン”と呼称される別の実体が、突然SCP-3740の収容チャンバー内に出現した。この実体 — 鎧の胸当てと兜を着用し、槍を持った筋肉質な男性ヒト型存在 — は収容職員との短時間の意思疎通に続いて消失した。以下は当該のやり取りの転写である。

SCP-3740: -だから俺は言ってやったんだ、オレンジ色のボールを指1本で回転させられる奴より強大な力を帯びた神なんか存在するのか、ってな。全く信じられねぇよな!

(何かが罅割れるような大きな音が聞こえ、未知のヒト型実体が出現する。)

スエン: アッシュール? 勘弁してくれよ、もう時間- って。待てよ、これどういう事?

SCP-3740: ああ、スエン! 友よ! お前も過去に戻って来たんだな? 実に幸運な偶然だ! ちょうど今、我が友ウルマーに昔の俺たちを襲った災難話をしてたんだよ!

スエン: ウルマー? (バレット博士に話しかける) アンタ誰?

バレット博士: わ- 私はウルマー。あの、こ、壊れざる者だ。君は誰かね?

スエン: ウルマー? 壊れざる者ウルマーなんて聞いたこと無いぞ! おい、このふざけたお芝居はどういう冗談だ、何が起きてる? アッシュール、こんな事をする訳は何だ?

SCP-3740: もう言っただろ、優雅にして繊細なるスエン。こいつは-

スエン: その呼び方は止めろ。

SCP-3740: -壊れざる者ウルマー! 俺と同様、この世界に生きる力強き支配者だ。その華麗なパワーをご覧あれ、ってな! (肘でバレット博士を突く) お前の能力の雄大さを見せつけてやれ、ウルマー!

(バレット博士は躊躇いながら口元に肘を寄せ、舌で舐める。)

SCP-3740: (大きく息を飲む) この荘厳な光景をお前も見たよな、スエン! どうだ、あんな真似をしたのにウルマーの腕は折れても肩から外れてもいない! そして舌の長さを熟視しろ! 世界の国々はこの男を怖れて当然だ!

(スエンは感銘を受けた様子を見せていない。)

SCP-3740: さっきも言ったけどな、スエン、お前と再会できたのは素晴らしい事だよ。親愛なるウルマーとその神殿仲間たちは、俺が今住んでるこの高貴な館を田舎のあちこちから集めた最高級の家具で存分に満たしてくれた。これぞまさしく贅沢の要塞だ、我が友よ!

スエン: どういう意味さ、“高貴な館”って? まさか自分が何処にいるか気付い- (沈黙) ははーん、そういう事。じゃあ君は今- うん、オーケイ、いやホント、最高。 (溜め息) 助かった…

バレット博士: 何? どういう意味だ?

スエン: (バレット博士を脇に連れて行く) 皆がどれだけ昔からアッシュールの子守をしてたか、君らは聞いても多分信じないだろう。アイツもうホントどうしようもない奴でさ。君らも勿論、身に染みて分かってるだろうけども。手に負えない、だろ? (笑い) とうとう保護者役を決める羽目になってね、僕が何十年か面倒を見た後はネルガルと交代する予定なんだけど、彼はいつも何かしら忙しいんだ。それにあの魚がどうのこうのって五月蠅いナザレの飲んだくれは二千年くらいバックレてるし… とにかく、いいかい、君らのおかげで僕は大いに助かった。言葉に表せないぐらい感謝してる。

バレット博士: いや- 何だって? 第一、君は何者なんだ?

スエン: スエン、月の神。 (軽くあしらうような仕草) でもその辺の話は気にしないで、今の調子で頑張ってくれ! もし何か必要になったら呼んでね! (スエンは何の前触れも無く消失する)

バレット博士: な- はぁ? 誰か他にも今のを見た奴はいるか?

SCP-3740: (含み笑い) スエンの野郎め。久々に会ったよ。おかしな奴だと思ったろ、え? 信じられるか、あいつは自分が神だと思ってんだぜ? (笑い) “月の神”だとよ。どういう意味だそりゃ?

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