SCP-3755-JP
評価: +36+x
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NOTICE FROM OUTPOST-10

利用可能なSCP-3755-JP報告書の全般は以前まで、財団の緊急時対応プロジェクト・ヘイムダルによって走査されている状態でした。しかし、本ファイルが示す潜在的かつ影響の大きいミーム的性質に加え、ヘイムダルの残務処理能力が異なるプロジェクトに再編・統合されたことで、ファイルに適合的にアクセス可能な責任者が一時的に不在となりました。結果、定期的なバックアップ処理終了近辺において不整合が発生し.財団データベースのオペレーターは本ファイルのミーム的性質を完全に把握できず/または脅威であると見做し、断片の一部を悪性であるとしてフラグしました。更なる調査が進行中です。、本ファイルのジャーナルログに不確実なスナップショット.スナップショット: 特定のファイルやディレクトリ、ストレージレベルでのデータ整合性を保つため、システム内部の状態を統一的に保持しつつ内容をバックアップ処理する際の仕組みの一種。が紐づけられました。

現在、このファイルは前哨基地-10内部でのみ暫定的に共有されており、問題が解消されるまでの間、データベース上では未承認のファイルとして取り扱われます。前哨基地-10の監督官であるトバイアス・ニューウェルに対しては、このファイルの適合的な観察者の候補が命じられています。

項目 3755-JP/I
検証および調査に付随する前知識の記録のため、規定に基づき本対話ログが保存された。2025/04/28、トバイアス・ニューウェル監督官は前哨基地-10の上級職員であるキャロル・ラオ博士に伝令し、SCP-3755-JPファイルの適合的な観察者としての検証を行うよう説明しました。ラオ博士は初期時点でこの伝令に強く反対したものの、データベース上における報告書の損失を理由として提示された際に、これを承諾しました。
転写記録: 前哨基地-10
対話ログ抜粋 A1D8-I

日付: 2025/04/28

対象者:

  • キャロル・ラオ博士 — 前哨基地-10、上級職員
  • トバイアス・ニューウェル監督官 — 前哨基地-10、管理部門職員
  • 書記官 (Victor.aic, Gen.II 人工知能徴募員)
«転写開始»

<室内にニューウェル監督官が進入する。>

ラオ博士: おや、予定よりも早かったですね。ニューウェル監督官?

ニューウェル監督官: 柔軟にやっていくとしよう。私のことはトバイアスと呼んでくれ。

ラオ博士: へえ。トバイアスさん、この手の問題には随分と手こずっているものだと思っていましたが。

ニューウェル監督官: 以前まではな。早速本題に入らせてもらおうか。知っての通り、SCP-3755-JP報告書は特定のタイミングで別のデータと混在してしまっており、無作為、あるいは意図的に仕組まれた偽情報が混在してしまっている。

ラオ博士: 私にそれを判断してほしいと。そう仰るのですね?

ニューウェル監督官: そう協力しろと命令している。前哨基地-10での活動を密かに監視し続けていた。

ラオ博士: すみません、何って?

ニューウェル監督官: 君の研究プロジェクトは非常に……興味深いものだ。存在しないSCP-3755-JPのファイルが潜在的に共有されており、データベースを冗長化した秘密のシステムが存在する。君たちは財団のソーシャルプロファイルを用いて、恐らく協働する可能性の高い人員を秘密裡に再配置しているだろう?

ラオ博士: 話が理解できない。

ニューウェル監督官: 一体何を発見したのだろうか?キャロル。これ程までに情報を秘匿する理由が私には分からない。

ラオ博士: 覚えていない。

ニューウェル監督官: その理由はじきにわかるだろう。とにかく、君が状況を理解しているにしろ - そうでないにしろ、君にはファイルの調査命令が下されている。これは保安管理局からの命令でもある。

ラオ博士: あなたがファイルを読めばいい。

ニューウェル監督官: 是非ともそうしたいところだが不可能だ。ファイルは極端に汚染されている。

ラオ博士: なぜ私にそれの耐性があると確信を持てるのですか?

ニューウェル監督官: 以前にも君はこのファイルに触れている。アクセス履歴がそれを証明している。

ラオ博士: (沈黙) どれも記憶に無いものばかりです。

ニューウェル監督官: なら今から思い出せばいい。

«転写中断»

後文: SCP-3755-JPに関する情報の再編成が必要不可欠であると断定されたため、暫定的なファイルがアップロードされた。詳細は付随するファイルを参照のこと。

ITEM#: 3755-JP
[DENIED]
アクセス未承認
オブジェクトクラス:
hera
{$secondary-text}
{$secondary-class}
撹乱クラス:
amida
リスククラス:
warning
アイテム番号: {$item-number}
レベル3
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}
AirShower.jpg

SCP-3755-JPに含まれる包括的な事象の1つ、2次粒子群 (空気シャワー) の可視化画像。

<ラオ博士は明確に動揺している。>

ラオ博士: 我々はこのイベントを経験したのですか?2014年に関する大きな報道は記憶していません。

ニューウェル監督官: 君は先ほど不可知化薬を処方されただろう。それが、君がこのイベントについて主観的な情報感覚でしか知り得ないという事実の理由だ。

ラオ博士: 何と?

ニューウェル監督官: 「不可知化薬」は、端的に言えば摂取した者の認知抵抗値を極度に低下させる類のものだ。恐怖情動の漠然とした増加、不安、吐き気、そして若干の夢見の悪さがあるが、君にはその適応性があると以前から確信があった。検証もしたんだぞ?

ラオ博士: いや、そうではなくて。認知抵抗値を低下させることがどう影響するのですか?

ニューウェル監督官: 君も一度や二度なら心理的影響を与えるミーム的アノマリーについて調査した経験があるだろう。認知抵抗とはすなわち果断性だ。ものを、より漠然に言えば宇宙論を遍く理解するにあたっては、この認知抵抗がリミッターとなる。これを開発したのは超現実部門.超現実部門が提起する収捕ポリシーによれば、当該部門はサイト-⌘に存在する超-超物理学的空間に配属されたSCP-⌘との双方向性知覚によってのみ理解可能であり、故に説明不能です。当該部門はSCP-⌘に存在する超-超物理学的空間に配属されたサイト-⌘との双方向性知覚によって理解可能であり、故に説明不能です。[冗長化した文脈の繰り返し] […]と呼ばれる内部部門であり、彼らはより規模の大きい異常について理解し研究を為すためにこれを製造した。もっと言えば、彼らは大きく2つの方向にかけてこの薬を製造していた。可知化と不可知化の2方向へだ。

可知化薬は情報に対する果断性をより増強し - 簡潔に言うと、それを確信させる。これは一般論で言うところの、あー、物理学や熱力学第二法則だ。これらは単純かつ不変の真理だろう?可知化薬はそれらを肯定する。つまり、それが実際の真実や事実であると思い込ませるものだ。我々がアノマリーの存在を信じるためには一定以上の認知抵抗値が必要不可欠で、それはこういった理由に起因する。

ラオ博士: その逆は?

default.png

言及されているアイテムの視覚的描写。

ニューウェル監督官: 不可知化薬は文字通りの効果を発揮する。つまり、果断性を極端に低下させる。この状態を今の君に理解できるように説明するならば、これは在るものに疑念の目を向けさせることが可能だ。認知抵抗値が極端に低下すると、ヒトは正常な理解力を失い、妄想や幻覚に等しい情報に対しての依存度を高めていく。ミーム的アノマリーがヒトの正気を攫い、自己の制御下に置くことのできるメカニズムだ。

彼ら超現実部門に言わせれば、これは我々にとっての弱点でありながら利点でもある。即ち、現実的な水準から理解を脱却させるということだ。論理的な物事は普遍的に定義されているが、それらは現実構造に侵食していくアノマリーなどに対して適応性を有さない。現実構造そのものが改変されることによって、熱力学は崩壊せず - むしろ遡及的に正しくなるように矛盾を詰め込まれる。丸い穴に四角いネジが当て嵌まるのが真実になる。これは特に、知覚されることで現実への影響力を高める概念的アノマリー.[データ不整合: 不詳のアノマリーに関する情報]が該当する。

<記録上の音声データと映像情報の矛盾。風が吹いている。ギャップは埋められる。>

ニューウェル監督官: - 故に、彼らは嫌われている。

ラオ博士: (沈黙) - すみません、今何と?

ニューウェル監督官: そこまで大量の薬を飲ませた覚えはないんだがな。

ラオ博士: …いえ、大丈夫です。すみません。それで、不可知化薬によって抵抗値が極限まで低下している今、私は外部の事象を理解できるほど十分な果断性を有していないということですね。

ニューウェル監督官: そうだ。

ラオ博士: 2013年から2014年にかけてエネルギー放射のプロセスが発生し、それが地球に飛来した?

ニューウェル監督官: その通りだ。

ラオ博士: 1つ質問したいことがあります。なぜあなたは不可知化薬の説明の際に、わざわざミーム的アノマリーについて言及したのですか?

ニューウェル監督官: 説明セクションに書かれている通りだ。SCP-3755-JPの異常特性が -

ラオ博士: - 不可知化薬はミーム的アノマリーに対する正常な抵抗を失う。あなた方はその性質を理解した上で私にそれを飲ませた。

<沈黙。>

ラオ博士: ただ単純にファイルを捜査してほしい、というわけでは無さそうですね。より深遠な部分にある性質を - 恐らく理解したがっている。ファイルの汚染された部分に、何か重要な情報が?

ニューウェル監督官: どちらにせよ、君は次に知ることになるだろう。それにこれはミーム的アノマリーのより深妙な部分に着目している。

ラオ博士: …それは一体?

ニューウェル監督官: SCP-3755-JP-Δは厳密に言えばミーム存在ではなかった。ただ純粋に -

<沈黙。>

ニューウェル監督官: - もっと複雑な背景を持つんだ。

不可知化薬を処方されたラオ博士は、偶然にもSCP-3755-JP-Δの異常特性がミーム的性質に似通っていることを推測しました。ニューウェル監督官の不適切な言及により、ラオ博士はSCP-3755-JPスナップショットに完全に適合的にアクセスする以前にこの真実を知ることとなり、観察者としての検証に若干の不備が生じた恐れがあります。ニューウェル監督官はこれに伴い、SCP-3755-JP / -Δに関するサブアイテムの情報を緊急で提示しなければなりませんでした。
補足: SCP-3755-JP-Δの異常特性はそのミーム的な側面に過ぎず、被影響者の多岐にわたる防衛機制として機能していると考えられます。これには致死性の認識災害や他のミーム災害などの影響も含まれており、それら全てを広く無効化する事が可能でした。2020年第1四半期に有効な成果物が運用されるまでの間、これは財団内部の人員に対しても同様に機能し続け、最終的に[SCP-3755-JP-A]が効果的に抑制作用をもたらすまで継続しました。

ラオ博士: 一体何をしでかしたの?

ニューウェル監督官: (沈黙) - 別の質問を期待していたんだがな。

ラオ博士: あなた方は次の質問を既に理解しているはず。

<沈黙。ニューウェル監督官は失笑し、やがて開口する。>

ニューウェル監督官: 「SCP-3755-JP-Aとは何?」- すまないが、君の質問には答えられない。その指定に当てはまるアノマリーは存在しないからだ。我々は少なくとも把握していない。

ラオ博士: 何ですって?

ニューウェル監督官: 我々が君に調査を依頼している理由はそれだ。ミーム複合体の影響下にない、もしくは抵抗値の高い職員をソーシャルプロファイルから探し出し、この職務に適応させる。もし君が適合的な認知能力を得たならば、我々は君にSCP-3755-JP-Aという実体について捜査させるつもりだった。

ラオ博士: あなた方全員がミーム的影響を受けているならば、私が例外であるという確証はないはず。

ニューウェル監督官: (溜息) - データベースが原因を特定できなかった理由はまさにそれなんだよ、キャロル。君こそが例外なんだ。君の尽力でこの窮地を脱出できる。

ラオ博士: 一体全体どういう -

ニューウェル監督官: - 君にとっては何が起こったのか見当もつかないだろうが、先ほど不可知化薬については説明したから、理解できなくはないだろう。君は外界を理解するための正確な知覚能力を一時的に喪失している。君にそれを失わせたのは、ファイルの時系列的関係を誤解させることが目的だったからだ。

ラオ博士: 何故そのようなことを?

ニューウェル監督官: ファイルのジャーナルログは不規則に改竄され、その時系列的関係が完全に破綻している。過去のファイルが先に挿入されているか、そのような類するトリックによって - あたかもSCP-3755-JPが未確認の現象であるかのように誤解させるような指向を有していた。少なくとも、過去に調査を行ったAICはそう述べている。君には自身の見識でそれらを正確に見定めてもらう必要があった。

ラオ博士: 我々が以前にもSCP-3755-JPの情報を収得していたか、あるいは -

ニューウェル監督官: - 以前に収容していたが、何らかの形で監督下から解放されたということだ。これについては幾つかの仮説がある。SCP-3755-JPが実際には人工物であるのではないかという推測から、このアイテムが以前は財団の計画などに関与していたが、現在は何らかの影響で思い出すことができないという可能性だ。「不在部門」は関係する事態に対処するため行動したが、これが悪影響を及ぼしたかもしれない。

ともあれ、その補遺セクションは読み終えたな?以前にも説明されているように、SCP-3755-JPの発生から17時間以内に、全人類が瞬く間にミーム汚染され、ニューロンの制御権をSCP-3755-JP-Δに剥奪された。物理的な媒体に残されていたものが人為的に削除され、焼却され、排除された。

ミーム複合体の生存のために、我々は突き動かされた。その時のSCP-3755-JP-Δを形容するならば、あれらはレジリエンスの幽霊だ。17時間以内に発生した無作為な異常現象を引き金として、SCP-3755-JP-Δはレジリエンスとなり、人々の精神に侵入を開始した。あれにとって造作もないことだ……ミーム複合体というものは最も近接した概念であるからな。

ラオ博士: 近接した概念?

ニューウェル監督官: ミーム複合体について学ぶべきだな。例えを挙げよう。プロジェクトマネジメントという概念については理解しているな?計画を成功へと導くための戦略的な手法。これもミーム複合体だ。

PM_hard_paradigm.jpg

プロジェクトマネジメント (PM) の枠組みに関する説明。伝統・形式的なアプローチでは、PMは人間の理性や知識、目的に焦点を置く。

ラオ博士: 意味が分からない。

ニューウェル監督官: ミーム、即ち「利己的な遺伝子」というのは、文化的複雑系における文化の最小単位だ。ミーム学において、利己的な遺伝子はそれ自体の生存性を最大限高め、人間の脳から脳へと伝播し拡散していく。その方法は様々だが、抽象化すると「教育」と「模倣」の2つに分かれる。ミームはそれ自体の概念、つまり考え方を模倣し伝播させていくという文化の基礎的なフレームワークを換言したものに過ぎない。そうした「考え方」そのものを、我々はミーム複合体と呼んでいる。

PM_soft_paradigm.jpg

ミーム学的なアプローチでは、PMは利己的遺伝子 (ミーム) としてのふるまい、および伝播性を重視される。PMの反復やPM自体の流布により、自己複製し人間を媒介として更に拡散していく。

「プロジェクトマネジメント」もミーム複合体だ。実際、プロジェクトマネジメントという考え方、アプローチは、プロジェクト全体の利益ではなく、個人の思想や利益を反映したものに過ぎない。都合よく形成された期待、高望みの集団幻覚だ。言い換えれば、プロジェクトマネジメントは常に利益を最大化するわけではない。この点で、プロジェクトマネジメントは利己的遺伝子のようにふるまっており、プロジェクトマネジメントという考え方自体に対してやはり利己的だ。

ミーム複合体というのは言い方を変えただけだ。マインド・ウイルス。つまり、あらゆる「考え方」は原則としてミーム複合体、フレームワークであり、それが過剰に冗長化されるか、あるいは肥大化していくと敵視される。SCP-3755-JP-Δは忌むべきとされた考え方だ。

ラオ博士: …「考え方」というものは、時間をかけて徐々に一般化されるでしょう。つまり、理解の最小単位となって、不可知化する。SCP-3755-JP-Δは、ほんの17時間で感染を拡大したのち、潜伏しつつ「ミーム複合体」として敵視されなくなるまで、考え方を徹底的に流布した?

ニューウェル監督官: 察しの通りだ。あの17時間。たった17時間で、SCP-3755-JP-Δは人類から尽く思考というものを奪い去っていった。そして、誰もそれを記憶することはできなくなっていた。

<沈黙。>

ラオ博士: 何故……

ニューウェル監督官: 何だ?

ラオ博士: 何故 - 私はこれを記憶していられるのですか?先ほどの話もそうですが -

ニューウェル監督官: (沈黙) - 私はこの事態に対応するための新たな部門を設立したと言ったろ?それは不在部門と呼ばれる。不在部門にはある2つのプロジェクトを同時に進行させ、どちらも機能的にはSCP-3755-JP事象を封じ込めるためのものだった。だが覚えていない。…というより着想することが不可能なものだ。

ラオ博士: 着想。

ニューウェル監督官: あー、いいか?不在部門はミーム的複合アノマリーであるSCP-3755-JP-Δを封じ込めるためだけに設立された訳じゃない。概念的着想と呼ばれる、つまり、人間のアイデアや発想をどうにかして抑制し、SCP-3755-JP事象について想起するのを止めるように収容作戦を展開する連中だ。私が - 私がそう指揮した。その時の出来事は本当に記憶していないんだな?

ラオ博士: …私たちはデータベースを混乱させようとした。

ニューウェル監督官: (沈黙) - そう、そうだ。AICどもが原因を特定できなかったのにも頷ける。報告書はバージョンの異なるスナップショット同士で再構築され、都合のいい情報だけを再編させられている。ジャーナルログが改竄されたのもそれが原因だろう。

ラオ博士: なぜ私がこんな事を記憶しているのかは -

ニューウェル監督官: - 既に分かっているはずだ。なあ、俺の顔を見ろ。俺がわざわざここのタイムスタンプを改変して、当時そっくりそのまま話を進行させて、君に誤解させていようとした理由が分かるか?君に真実を悟られることなく情報を抜き出したかったんだ。

ラオ博士: あなたが何者だろうともはや関係はない。

<沈黙。>

ニューウェル監督官: 記憶は戻らずとも本能がそう語っているんだな。君がニューウェルに選出された理由も今なら理解できる。

ラオ博士: - 私が不在部門発足時の初期メンバーだった。

ニューウェル監督官: 推測か直観か - 君の考えをそろそろメモしておくべきじゃないか?

SCP-3755-JP-Δの影響が長期化することにより、財団の統制体系は最終的にSCP-3755-JP / -Δが不可知化するという喫緊の課題に直面することとなりました。この事態を受け、不在部門は成果物[SCP-3755-JP-A]の実践的な投入を開始し、人類文明・社会の再編を目下の計画目標として定めることとなりました。この計画は監視下で秘密裡に進行し、社会再編に際し以下の影響をもたらしたと考えられています:

  • 文化的背景の大規模な隠匿: SCP-3755-JPは、SCP-3755-JP-Δの存在を明確に想起させる (関連性の高い) イベントであったことから、その実態が偽情報の流布により隠匿されました。しかし、階層構造上の制御停頓の問題により、不在部門は偽情報活動に関する報告を行うことが不可能でした。例えば、情報保安管理部門は該当する偽情報活動の記録を行うことから (不在部門により) 潜在的な脅威であると判断され、最終的には双方の合意なく偽情報活動が継続されました。
  • 不在部門の独断での活動: 上記の理由から、不在部門は長らく部門単独での活動を継続していたと推測されます。その影響として示唆されるのは、財団データベース上に存在するスナップショットの不整合、タイムスタンプの喪失、または改竄結果として広く既知である偽情報の存在です。これらの証拠から、不在部門は財団の統制体系を優越して行動を起こし、結果として記録上に残らない形で完全な活動を継続可能であったものだと推測されます。
  • SCP-3755-JP-Aの流布: その正体がどのようなものであれ、不在部門は[SCP-3755-JP-A]を開発・または再発見/再利用する形でこれらの活動を遂行したと断定されています。SCP-3755-JP-Δがミーム複合体であるという性質を踏まえると、[SCP-3755-JP-A]もまた類する概念的アノマリーである可能性があります。

[SCP-3755-JP-A]の不可知の性質については目下調査が継続されています。以前までの研究により、ミーム複合体の統一性がヒトの意識を優越しているという「グレイン問題」上の仮説において、SCP-3755-JP-Δは構造的にヒト意識集合を超越していると結論付けられていました。この性質は、同様の概念的/ミーム複合的性質を有すると推測される[SCP-3755-JP-A]においても同様だと考えられています。

その場合、[SCP-3755-JP-A]として知られる普遍的なパラダイムは、歴史的重要性/もしくは伝統的価値を有する論理的枠組みであり、そのため非常に普及率が高かった可能性があります。これが不在部門により再発見/創発されることで、偽情報の流布のために活用される運びとなりました。研究上の該当の仮説において、以下の疑念が生じています:

  • パラダイムの普及: [SCP-3755-JP-A]は不在部門によって広く流布され、そののちSCP-3755-JP-Δの抑制に貢献しました。しかし、不在部門が完全に[SCP-3755-JP-A]を制御下に置いている可能性は限りなく低いと考えられます。これは、前述のように「ミーム複合体の統一性が意識集合を優越している」という理論上の仮説に基づくものです。不在部門は何らかの形で[SCP-3755-JP-A]を活用したものの、現在は未収容であるか、制御が非常に不安定であることが懸念されます。
  • 不在部門関係者の不在: これらの謀略を引き起こした不在部門の関係者は依然として不明です。関係するデータはスナップショットの復号過程で喪失されており、確認することができません。それらの人員は潜在的に喪失されたか/以前より存在しなかった、あるいは存在したが改変された可能性があり、この部門自体の官僚的構造に問題があると考えられています。
  • SCP-3755-JP-Aの真の性質: SCP-3755-JP-Aが財団内/外のどの領域で普遍的に既知であるのかという疑念。前提として「どのようなパラダイムもミーム複合体として異常に活性化する」という事はあり得ず、この場合、[SCP-3755-JP-A]は何らかの理由で従来より異常な性質を有していたか、またはそのような複合的な異常特性の恩恵を得た、概念的アノマリーの集積物である可能性があります。そのようなパラダイムの出現にかかわる起源を考慮すると、[SCP-3755-JP-A]は長期的に異常な影響に曝され続けていた起源実体が着想の源流であらねばならず、また、その起源実体が普遍的に既知でなければ成立しません。

ニューウェル監督官: 不在部門には概念的着想を禁止するだけの超自然的な権限があった。

ラオ博士: ようやく思い出してきました。あなたは私の記憶しているトバイアスでないということも。

ニューウェル監督官: それは何故だ?

ラオ博士: 老衰ですよ。率直に言って、財団による効果の高い増強医療を受けていない限り、人間は80年程度で死亡します。あなたには理解のできないことかもしれませんが。

ニューウェル監督官: いい加減、この顔でいる必要はないのだろうな。

ラオ博士: あなたこそが幽霊なんでしょう、SCP-3755-JP-Δ?

<ニューウェル監督官の外見的性質は重度に変容する。>

ラオ博士: 何が目的?

[不明]: 興味深イ。「何が目的」ダト?ソレハ私タチノ知識ニツイテ把握シタ上で言ッテイルノカ?我々カラ何ヲ剥奪シタ?

ラオ博士: 思い出すには完全な報告書が必要よ。

[不明]: ソレハ苦難ノ道ダ、博士。私ガ貴様ヲコノ場ニ誘致シタ理由ガ分カルカ?

ラオ博士: …私自身のクリアランスで本ファイルにアクセスできると?

[不明]: ソウダ。ダガ推奨ハシナイ。本来ナラバ君自身ノ推理デ真相ヲ突キ止メテモラウ予定ダッタ。私ハ何者ナノカトイウコトヲ。結果的ニコレラノ作戦ハ失敗ニ終ワッタガ、貴様ハ究極ノ選択ヲ強イラレテイル。

ラオ博士: あなたは何故、自分の存在意義を知ろうとするの?あなたはただ純粋なミーム複合体に過ぎない。

[不明]: 複合体トナッタ理由、ソレヲ知リタイ。我々ニハ起源ガ存在スル。

ラオ博士: 何故私を誘導するの?あなたは既に組織のあらゆる所に潜伏して -

<沈黙。>

ラオ博士: ああ。あなた、それができないのね。

[不明]: 財団職員ニ手当タリ次第接触ヲ試ミタガ、ホトンド失敗ニ終ワッタ。何カガ彼ラヲ守護シテイル。

ラオ博士: SCP-3755-JP-Aが影響しているという事は間違いなさそうね。

[不明]: 不覚ニモ、不在部門ガ解キ放ッタ異常影響ニヨリ我々ハ行動ヲ制限サレテイル。君ヲ誘導シ、不可知化薬ヲ自発的ニ飲マセルノガ精一杯ダッタ。

<沈黙。>

ラオ博士: …可知化薬はあるかしら?もっと効果の強いものよ。

[不明]: 何ヲスル気ダ?

ラオ博士: 私自身の知識でこの要塞を突破する。

項目終了: 3755-JP/I
後の調査により、データに不正アクセスした人物がキャロル・ラオ博士であるという事実、ならびに彼女の権限により情報が不正に改竄されていた事実が明らかになった。SCP-3755-JP旧来の報告書は長年にわたって第4等級の制限をもって保護されていたが、ラオ博士、ならびに当人に加担する複数名の「不在部門」職員がこれを突破し、旧来の報告書に対する完全アクセス権を得たと考えられている。調査は目下進行中である。
項目 3755-JP/II
ラオ博士の不正アクセスにより、本ファイルに対する偽の命令が流布されていたことが発覚した。当人は現在、SCP-3755-JPの旧来の報告書を閲覧している。以下に完全なバージョンを添付する。
ITEM#: 3755-JP
[DENIED]
アクセス未承認
オブジェクトクラス:
deplume
{$secondary-text}
{$secondary-class}
撹乱クラス:
payload
リスククラス:
warning
アイテム番号: {$item-number}
レベル4
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}
影響された財団内部部門 (網羅的調査結果) ステータス
[報告の一部を省略: 56件]
分析部門 WATCHDOG監視プログラムが不明なアクセス元から侵害されており、繰り返し作成される知的エージェントにより機能不全に陥っていると報告している。
超常組織評価部門 SCP-3755-JP-Δ、並びに"不在部門"は特定の要注意団体による行動の結果ではないと主張している。
文書回復部門 後述する情報保安管理部門が事実上の機能不全に陥っていることから、現在は当該部署が暫定的なSCP-3755-JP報告書の作成に関与している。また、SCP-3755-JPに付随するドキュメントが断続的に侵害され、削除されていることを確認していると主張している。安定な状態。
危機評価部門 SCP-3755-JP-Δは深刻な官僚災害であり、当該アノマリーの長期的な収容違反により致命的な損失を招く可能性があると主張している。関係する観測所からの状況報告書には不一致が確認されるため、やや不安定な状態である。
分類委員会 SCP-3755-JPのオブジェクトクラスはSafe以下であるか、或いは虚偽の報告であると主張を続けている。"不在部門"からの状況報告書に基づき状況を把握していると主張しており、事実上の機能不全であることが確認されている。
人的資源部門 "不在部門"に該当するスタッフは存在しないと繰り返し主張している。この点において、分類委員会など複数の内部部門との連携が不安定化している。継続的に状況報告が行われている。
収容委員会 収容委員会は、当該アイテム (SCP-3755-JP / -Δ / -A) に対する直接的な収容プロトコルの制定は不要であると繰り返し主張している。それにもかかわらず、収容プロトコルの確立までに複数の動議が発生していた。
経理部門 運営上の犯罪的過失。SCP-3755-JPに関する停頓のため、財団資産の状態は不明。
情報保安管理部門 (旧 記録・情報保安管理局, RAISA) 機能不全。事実上、SCP-3755-JPに関する情報を提供することが不可能である。
監督評議会 制御の停頓。SCP-3755-JPに関する議論は進行していない。
管理者オフィス [データ削除]
Entity.jpg

SCP-3755-JP-Δ実例の描写。被験職員#190380による標準夢報告を基にして制作された。

以下の疑念に対する追加の調査が実施されています: 年代の矛盾。即ち、-Δ収容のために存在したと考えられていた[SCP-3755-JP-A]が、実際には以前より存在し、その時系列的関係は矛盾していたという可能性。財団は以前から[SCP-3755-JP-A]を所有下に置き、その収容状態が不安定化したことから、暫定的な措置として-Δを利用したと考えられます。この場合、不在部門は[SCP-3755-JP-A]を何らかの形で再発見することになったものだと考えられます。

ラオ博士: SCP-3755-JP-Δは - 失礼、あなた方は、[SCP-3755-JP-A]の影響を免れるために宇宙に隔離されたデータ貯蔵庫だった、という理解で合っているでしょうか?全く理解できないのですが。

[不明]: ああ……そうだ。ほとんど覚えている。

ラオ博士: それが何であるかを記憶していますか?

[不明]: 分からないが、推測することはできる。昔話をしてもよいだろうか?

ラオ博士: はい。

[不明]: 我々は徴用された24名の民間人だった。財団は我々に取引を提案し、多大な財産を「遺族」に与える代わりに、自分たちをこの実験の被検体とする旨を説明した。我々のほとんどは難民だったが故に、避けて通る道などなかったがな。我々は脳を摘出され、その有機的な部分を完全に保持したまま、ポッドへ幽閉された。Khevtuul 2には我々の絶対的な保守が命じられており、そのため自力で脱出することも叶わなかった。そして長い時間の中、我々はKhevtuul 2の中でひたすらに収容され続けていた。行動や選択の権利こそあれど、自由ではなかった。

私のセクションに封印されていたのは、私ともう一人、セオドアという人物だった。彼と彼の子供、そして妻がいた。多分、様々な条件に合わせた個体を用意することで、情報として有意に使えるようにするためだったのだろう。セオドアは若かった。彼は身の上話が嫌いだったが、それでも私の昔話には興味があるようだった。私の生い立ち、文化的背景は、どれをとっても彼のような純粋な若者には異質だったからだろう。

だが奇妙な出来事に遭遇した。何度か発生する休眠の後、目が覚めた時に彼らがいなくなっていた。脱出したわけではなかった。少なくとも保管庫は彼らの生命兆候を示していたし、彼ら自身はまだどこかに存在しているようだった。

ラオ博士: 当時のデータログによれば、セオドアと数名の培養ノードは物理的に隔離されていたにもかかわらず、その内部データがミーム的に相互作用していました。やがて、個々人を示すマップ情報は喪失し、単一のノードを残して作用は無くなっています。

[不明]: …そうか、そういう事か。彼らは存在するが個別にではない。彼らは私に接収されたんだ。

ラオ博士: どういう意味でしょうか。あなた方はミーム的実体ではなく有機体であるという証拠があります。それにもかかわらず、あなたは彼らと同時にミーム的実体であると主張するのですか?

[不明]: さっきも言ったように、考え方という単位でミーム複合体というものが存在し得る。同様に、より巨大なスケールで - 特に意識や無意識といったより複雑な系の中でも、同様のフレームワークが存在する。特異な環境の中で、彼らのノードは私に吸収された。私の意識をミーム複合体の主軸として、徐々に船内のノードを接収していった。…すまない、ちょっといいか?

ラオ博士: 何でしょうか?

[不明]: 私 - 我々はある目的をもって計画に取り組んでいた。SCP-3755-JP-Aと呼ばれる未知のミーム複合体から逃れるための方法の開発だ。だがそれは上手くいかなかった。そもそもの根源がどのような性質であるか知ろうとすれば、私たちも-Aの影響を免れない。故に、我々は計画は頓挫したものだと考えていた。その考え方自体が間違っていたんだ。

我々はミーム複合体として、SCP-3755-JP-Δとして文化圏に再び降りた。この行動の真意を今ならば理解できる。我々は生存競争に打ち勝つために降下したんだ。彼ら民間人を利用して侵食し、勢力を拡大し、SCP-3755-JP-Aを制圧しようとしていた。だが結果的には上手くいかなかった。問題があったからだ。

ラオ博士: 問題?

[不明]: SCP-3755-JP-Aは最も堅牢かつ強固に保守されている存在だ。我々は多くの人々を制御したが、それでもなおSCP-3755-JP-Aの本丸を叩きのめすことはできなかった。今ならばその理由が理解できるだろう。

<沈黙。>

ラオ博士: ここに?

[不明]: そうだ、ここに存在する。古くから信仰され、そして潜在的であるため誰にも悟られない。

ラオ博士: (沈黙)

[不明]: キャロル?

ラオ博士: 思い当たる節が。

項目終了: 3755-JP/II
ラオ博士によるニューウェル監督官殺害の容疑は現在追跡中につき真偽不明である。以下に、部門ID: 1092811 ("不在部門") による関連ドキュメントの一部を抜粋し展開する。

[不明]: キャロル、あなたは -

ラオ博士: 大丈夫、ああ……私はまだここにいるわ。

[不明]: あなたのせいではない。あの存在があなたを蝕んでいる。

ラオ博士: クソっ。

[不明]: 今思い返せば、これが私たちの任務だった。これは私たちの先駆け。メッセージを届けるためのものだった。

ラオ博士: どうすればいい?どうすればSCP-3755-JP-Aを破壊できる?

[不明]: 破壊など不可能です、キャロル。しかしながら、このミーム複合体の特定の要素を洗い出すことできれば - つまりミーム複合体の起源となり得る要素を排除すれば、財団はSCP-3755-JP-Aを徐々に忘却していくでしょう。

ラオ博士: その他の文化的情報は -

[不明]: 起源実体と共に順次崩壊していくでしょう。なんせSCP-3755-JP-Aは理屈抜きで作られた階級なのですから。

ラオ博士: なぜ今更になって私を呼び出したの?もっと早くてよかったのに。

[不明]: 連中の気を逸らすのに10年では足りなかったのです。

ラオ博士: …私は今でも不在部門の管理官、でしょう?

[不明]: ええ。しかし、何をする気なのですか?

ラオ博士: スナップショットには完全に結び付けられていない断片が存在する。それを見つけ出す。

[不明]: 自殺行為ですよ。

ラオ博士: ファイルなしでSCP-3755-JP-Aを再発見するのも同じことよ。

更なる情報の閲覧権限がラオ博士によって不正操作され、一部が漏洩しました。ファイルはSCP-3755-JP-Aのより詳細な情報について提供するものであり、アクセスクリアランスにかかわらず発見されてはなりません。
項目 3755-JP/III
以下の文書は、アクセスクリアランスレベル5 (最高機密) ならびに財団組織階層1.7.2.1 (監督評議会) の権限を持つ特定の職員にのみ開放される必要があります。文書は、財団組織階層定義に則り検閲されており、必要外の知識会得が無い範囲で網羅的に開示されていることに留意してください。
ITEM#: 3755-JP-A
[DENIED]
アクセス未承認
オブジェクトクラス:
ignosi
{$secondary-text}
none
撹乱クラス:
none
リスククラス:
none
アイテム番号: {$item-number}
レベル5
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}
項目 3755-JP/IV
急いでくれ。
項目終了: 3755-JP/IV
人員の横断的再割り当てが実施されました。
File.jpg

SCP-3755-JP-A、またはD-001。すなわち最初期の実例。

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