利用可能なSCP-3755-JP報告書の全般は以前まで、財団の緊急時対応プロジェクト・ヘイムダルによって走査されている状態でした。しかし、本ファイルが示す潜在的かつ影響の大きいミーム的性質に加え、ヘイムダルの残務処理能力が異なるプロジェクトに再編・統合されたことで、ファイルに適合的にアクセス可能な責任者が一時的に不在となりました。結果、定期的なバックアップ処理終了近辺において不整合が発生し.財団データベースのオペレーターは本ファイルのミーム的性質を完全に把握できず/または脅威であると見做し、断片の一部を悪性であるとしてフラグしました。更なる調査が進行中です。、本ファイルのジャーナルログに不確実なスナップショット.スナップショット: 特定のファイルやディレクトリ、ストレージレベルでのデータ整合性を保つため、システム内部の状態を統一的に保持しつつ内容をバックアップ処理する際の仕組みの一種。が紐づけられました。
現在、このファイルは前哨基地-10内部でのみ暫定的に共有されており、問題が解消されるまでの間、データベース上では未承認のファイルとして取り扱われます。前哨基地-10の監督官であるトバイアス・ニューウェルに対しては、このファイルの適合的な観察者の候補が命じられています。
検証および調査に付随する前知識の記録のため、規定に基づき本対話ログが保存された。2025/04/28、トバイアス・ニューウェル監督官は前哨基地-10の上級職員であるキャロル・ラオ博士に伝令し、SCP-3755-JPファイルの適合的な観察者としての検証を行うよう説明しました。ラオ博士は初期時点でこの伝令に強く反対したものの、データベース上における報告書の損失を理由として提示された際に、これを承諾しました。
| 転写記録: 前哨基地-10 対話ログ抜粋 A1D8-I |
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日付: 2025/04/28 対象者:
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| «転写開始» |
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<室内にニューウェル監督官が進入する。> ラオ博士: おや、予定よりも早かったですね。ニューウェル監督官? ニューウェル監督官: 柔軟にやっていくとしよう。私のことはトバイアスと呼んでくれ。 ラオ博士: へえ。トバイアスさん、この手の問題には随分と手こずっているものだと思っていましたが。 ニューウェル監督官: 以前まではな。早速本題に入らせてもらおうか。知っての通り、SCP-3755-JP報告書は特定のタイミングで別のデータと混在してしまっており、無作為、あるいは意図的に仕組まれた偽情報が混在してしまっている。 ラオ博士: 私にそれを判断してほしいと。そう仰るのですね? ニューウェル監督官: そう協力しろと命令している。前哨基地-10での活動を密かに監視し続けていた。 ラオ博士: すみません、何って? ニューウェル監督官: 君の研究プロジェクトは非常に……興味深いものだ。存在しないSCP-3755-JPのファイルが潜在的に共有されており、データベースを冗長化した秘密のシステムが存在する。君たちは財団のソーシャルプロファイルを用いて、恐らく協働する可能性の高い人員を秘密裡に再配置しているだろう? ラオ博士: 話が理解できない。 ニューウェル監督官: 一体何を発見したのだろうか?キャロル。これ程までに情報を秘匿する理由が私には分からない。 ラオ博士: 覚えていない。 ニューウェル監督官: その理由はじきにわかるだろう。とにかく、君が状況を理解しているにしろ - そうでないにしろ、君にはファイルの調査命令が下されている。これは保安管理局からの命令でもある。 ラオ博士: あなたがファイルを読めばいい。 ニューウェル監督官: 是非ともそうしたいところだが不可能だ。ファイルは極端に汚染されている。 ラオ博士: なぜ私にそれの耐性があると確信を持てるのですか? ニューウェル監督官: 以前にも君はこのファイルに触れている。アクセス履歴がそれを証明している。 ラオ博士: (沈黙) どれも記憶に無いものばかりです。 ニューウェル監督官: なら今から思い出せばいい。 |
| «転写中断» |
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後文: SCP-3755-JPに関する情報の再編成が必要不可欠であると断定されたため、暫定的なファイルがアップロードされた。詳細は付随するファイルを参照のこと。 |
特別定義: HERAクラスのアイテムは財団および人類全体に対して遍く敵対的であるものの、その影響は財団によって広範に収得・利用されます。
VEDIST / ヴェール撹乱脅威レベル: V ("鋭利な剃刀Острая бритва") を維持しています。財団監督下における単一の異常現象の漏洩が発生する可能性がありますが、広範囲にわたる情報開示につながる可能性は極めて低いものと予想されます。しかし、財団階層構造上の停頓問題に伴い、複数の内部部門がSCP-3755-JPに関係した異常現象に影響されています。これら財団内部部門の復旧には想定以上の時間を要するものとされています。
前哨基地-10、徽章。
特別収容プロトコル: SCP-3755-JPの収容は原理的・兵站的理由から不可能と断定されているため、財団は目下の影響を最小限に抑制し、また対外緊張関係の逓減に尽力しています。人類全体の知識レベルで共有されている情報の中でも、SCP-3755-JPは創発や再発見によって悪化する情報パンデミックの起源となり得る可能性が非常に高いため、今後SCP-3755-JPが人類に対し及ぼし得る影響を鑑み、これを監督する特殊な前線サイトを設立する必要がありました。SCP-3755-JPの主要な研究活動は前哨基地-10にて継続されています。
SCP-3755-JPの被影響者は本質的に全人類であることから、アイテムに対する直接的な介入は効果的な措置となりません。財団は目下全てのサブジェクトを収容対象とは見做さず、代わりにSCP-3755-JPのミーム的性質が与える影響を長期的に観察し、必要に応じた不可知化処遇.以前の文脈における「記憶処理」に該当する。によって逸脱者を鎮圧することが可能です。この目的のため、前哨基地-10には専門機動部隊 オブリタス-1 ("ノクトゥルヌムの譫妄") が配備されました。
目下学術界におけるSCP-3755-JPへの研究の試みは、財団によって承認されたコンソーシアムへの情報集積のみを条件として認可されています。そうでない場合、あらゆる分野においてのSCP-3755-JP包括的事象への研究活動は個人・団体を問わず停止されなければならず、条件を是認しない関係者には不可知化処遇が適用されます。また、世界的なデータベースからSCP-3755-JPに関する情報を削除し、可能な限りこの事象への興味・関心を逓減する必要があります。オブリタス-1の情報班により、毎週の定期走査が執り行われています。
SCP-3755-JPに含まれる包括的な事象の1つ、2次粒子群 (空気シャワー) の可視化画像。
説明: SCP-3755-JPは、赤経 [データ削除済み] 赤緯 [データ削除済み] 、太陽系から約1.12~1.15光年の距離に存在する仮説上の外縁天体、もしくはそれに類する人工の惑星質量天体に由来する包括的な異常現象です。目下、この現象の由来である天体は暫定的にAO-3755と呼称されます。
SCP-3755-JPの存在は2014年後期まで確認されておらず、同様の天体を起源とする最高エネルギー宇宙線 (EECR).より大きなエネルギーを有する超高エネルギー宇宙線 (UHECR) である。UHECRは、典型的な宇宙線の運動エネルギーから大きく逸脱する値を有する。このような宇宙線は初期宇宙からの放射ではなく、超銀河団に存在する未知の物理的過程によってもたらされるものだと考えられている。 の異常増加が観測されたことにより、初めてその存在が確認されました。SCP-3755-JPおよびカスケード的に生じた空気シャワー.UHECRなどの高エネルギー宇宙線が大気圏に入射した際に引き起こされる、大気中の原子核との相互作用により発生する2次粒子の大量発生現象である。空気シャワーが発達するにつれ、1粒子あたりのエネルギーは低下していくため、生成される空気シャワーは基本的に減衰していく。の存在により、恐らく広域にかけてAO-3755の投射の影響が生じたものだと考えられており、ガンマ線、電子、ミュー粒子、核子などの粒子が地表に到来しました。
AO-3755が継続的なEECRを放射する特異な天体である場合、このシナリオはEECRに伴う放射により、広範に直接的な致死性放射線障害をもたらすGH-0: "死んだ温室"シナリオである可能性がありました。これらの電磁カスケードによる人体への影響は存在しないと断定されたものの、発生から凡そ17時間以内に、本現象のより異常な特性による最初の被影響者が発見されました。その被影響者の異常特性は後述されます。
AO-3755は、2012~2013年後期にかけて発生したと想定される複合的な事象の存在により、初めて太陽系内からの観測が可能になったことが推測されています。この事象の仮説は主に以下の通りです:
- 近傍の超新星爆発により、AO-3755と太陽系の周縁に存在する星間塵.星間塵または宇宙塵は、宇宙空間に存在する星間物質の一種であり、その空間内に分布している1mm以下の固体粒子である。これらの星間物質は一般的に氷と混在していたり、また覆われていたりする。が吹飛ばされた。本来、このような星間物質は数十光年のスケールを有し、太陽系がこの領域を脱するまでには数十万年の時間を要する。しかし、偶発的な爆発現象に伴い分子雲が激減したものと仮定した場合、結果としてこの星間塵の遮蔽効果が低下したことが考えられる。
- 加えて、太陽系が星間塵の外縁に到達した事により、EECRの通過率が急増した可能性がある。
2014年後期に、稼働中のテレスコープアレイ/およびオージェ観測所が、通常のGZK限界 (4×1019eV) を超過する宇宙線 (高エネルギー放射) を観測しました。GZK限界は、一定量以上の宇宙線が他の物質との相互作用により地球に飛来しないとする元来の予想であり、今回の事象はこの仮説に大きく逸脱する結果をもたらしました。その後、各観測所は同様の事態を検出し、宇宙線の可視化ならびに組成の分析が可能であるかの試験的な研究を開始しました。最初の可視化の試みにおいて、ハワイ島・マウナケアに位置するすばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ (HSC) が成功を収めました。
ファイル分類: 財団職員に対する聴取ログ
2014/12/10 種別項目-I
[…]
深夜だったでしょうか?私は奇象光学の勉強でちょっとばかり夜更かしをしていて、最後にココア1杯を飲み干してしまおうかと考えていた時に、私はまさにその前兆をとらえていたんだと思います。空を見上げていたわけでもないのに、奇妙な光がチラチラと目に映ったんです。最初は大した問題ではないと思っていました。なんせ……眠かったもので。
事態の異常性に気付くまでには時間がかかりましたが、原因は色々考えられます。まず、私どもの研究施設は山岳地帯に位置しています。つまり、若干ながら高度が高いということです。この現象が地上から直接観測できるなどという前例を知りませんでしたので、原因の究明には更に時間を要しました。何が言いたいか?これはチェレンコフ光です。何らかの異常により大気圏で空気シャワーが突如発生し、それを生み出しました。まずもってこの現象は通常ならば目視で観測することなど不可能ですが、可能性としては - この現象が非常に強力な宇宙線に由来するというものです。
あなた方は恐らく、この現象について既にご存じのはずでしょう。私はこれを気象管理部門へと報告しましたが、情報は留保すると説明されました。何かを知っているのだろうというのは簡単に予測がつきました。そして、あなた方に呼ばれたというわけです。その間、各所の現象報告を確認させていただきました。ある場所では偶発的に夜光雲が形成されたり、放電現象が各地で一斉に観測されたという話も。これらに因果関係があるかはわかりかねますが、きっとあなた方が探している情報と共通しているのだろうと思います。
恐らく、私たちが見たのは単なる放射ではございません。極めて異常な現象が潜在的に進行しています。
SCP-3755-JP-Δのイメージ。被験者の報告をもとに作成された。
SCP-3755-JP-Δは、非実在-霊障的幽性実体.霊的実体 (汎幽霊・御霊・精霊・亡霊・死霊・生霊・怨霊)、または霊素からなる特異な知的存在の包括的な呼称。です。SCP-3755-JP-Δの起源や異状の原因は未解明であるものの、-Δ実体は客観的に認識することが不可能であり、その存在は遭遇する可能性のある個々人によってのみ観測されます。対象となる人物は個人/または集団であり、その多くが近親者や知人であることで概ね符合しています。
SCP-3755-JP-Δは非実存的であるため正確な個体数を示さないものの、その報告例はSCP-3755-JPの発生後、爆発的な増加傾向にあります。実例の分布は、SCP-3755-JPの包括的事象 (2次粒子) の直接的な、しかし微弱な放射の影響を受けた小規模な地域を起点として拡散していることから、SCP-3755-JP包括的事象との関係性があると考えられています。
SCP-3755-JP-Δの目撃者 (観測者) は以下の異常特性の影響を受けます:
- 認知能力の低下: 思考・判断などの言語理解能力に対する一時的な障害。
- 情動反応の鈍化: SCP-3755-JP-Δの観測者は、一貫して恐怖に関連した情動反応を有意に示さなくなります。この影響は持続する可能性があるものの、反応の鈍化までには若干の遅延が生じます。SCP-3755-JP-Δに持続的に曝露することで、この影響の進行は加速します。
- 状況への心理的な適応: SCP-3755-JP-Δは、被影響者の近親者や知人といった.いずれも故人である場合に限られる。存在に擬態し接近することで、被影響者の心理的負担を極限まで低減しています。この影響が持続すると、被影響者個人/または集団は、SCP-3755-JP-Δを実在の人物として肯定し、その実態が異状である事を認識しなくなります。
これらの複合的な異常特性が影響し続けることで、理論上、全ての被影響者はSCP-3755-JP-Δを非異常の存在であると (最終的に) 認識するようになり、異状を報告しなくなります。全世界的にSCP-3755-JP-Δが拡散・流布されると、財団の統制体系は目下全てのSCP-3755-JP-Δを観測不能になる懸念があり、これは潜在的なAK-クラス: "文明崩壊"シナリオを誘発する可能性があります。
起源: SCP-3755-JP-Δは、AO-3755 / SCP-3755-JP包括的事象の発生を起源として初期遭遇が報告され、その後の報告数は指数関数的な増加傾向にありました。両アイテムの関係性は現在も調査中です。
ファイル分類: 民間人に対する聴取ログ
2014/12/10 種別項目-I
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さっきも言ったが、幽霊は見てない。いや、すまない、警察にそう言ったのは……パニックを起こしたからだ。たぶん、幻覚か何かだと思うんだ。俺は - 俺の叔父を見た。縁側でタバコを吸っていた、いつもの叔父だ。
どこから話せばいい?落雷があったのは知ってるだろ?俺の近所だ。それで、あまりに突然の出来事で俺は混乱してた。火事になるかもしれない、もしかしたら死人が出るかも。そう思ったときに不安が駆け巡って、俺はどうにか正気でいるのが精一杯だった。人間、死の瀬戸際に立たされるとこういうものなんだと。だが、その落雷のさなか、俺は奇妙な閃光を見たんだ。一度や二度じゃないし、雷にしては遅すぎた。
次に見えたのは実家の縁側だった。俺はアパートにはいなかった。実感もあったんだぞ!どことなく雰囲気を覚えていたが、あれはとにかく安心するものだった。叔父は私を見るなり微笑んで、私にこう言ったんだ。「心配するな、恐れる必要はない」と。あなたは何も思わんでしょう。いや、その通りだ。だが俺にとっちゃそれは奇妙でしかなかった。
俺の叔父は死ぬ前まで散々、俺のことを嫌ってた!なのにあの歪な微笑みが忘れられない、それ以外の表情や顔すら思い出せないんだ……何が起きているんだ?俺の心には2つの異なった感情がのしかかっている。苦しみと安らぎだ。叔父の顔が怖いっていうわけじゃない。それをとりまく環境ありとあらゆるものが恐怖心を強くするんだ。俺の恐怖は拭えないはずなのに、中心にある叔父の表情は、無理矢理にそれを克服させようとするようなものだった。
ファイル分類: 財団職員に対する聴取ログ
2014/12/10 種別項目-II
一般社会での現象について報告させていただきます。まだ正式な登録は行われていないようなので、ここでは包括的な異常現象を単に……そうですね、幽霊とだけ述べることにしましょう。単純ですがとても明白な呼称です。
ハルトマン観測器などは現時点で無意味であるというのはご存じでしょうが、これらは幽霊とは言いつつ、非実存的です。従来の幽霊には霊素や残滓といった物理的性質が存在するため、我々はあくまでも科学的にそれらを追究することが可能でした。…これは完全に異なるものです。まず、民間人による「幽霊」の超常現象報告は240%増加しています。しかし、分類されたものは大半がこの非実存的…不在の、あー、幽霊です。失礼、何と呼べば?
[…]
して、SCP-3755-JP-Δが出現頻度を増加させているのは周知の事実ですが、これらには奇妙な特性が存在します。まずもって、単純に敵対的ではないこと。いえ、事象全体は遥かに敵対的な兆候であると考えて問題ないのですが、-Δに関しては別です。これらは人を攻撃しません。如何なる方法でも……つまり、認識や情報、準存在論的災害のいずれも引き起こしていません。むしろ、これらはヒトを保護しています。
どのようにかと問われれば、私は「精神的に」としか答えられません。比喩的に言っているのではなく、本当に。奴らが擬態したケースの関係性をリストアップすれば簡単に分かることです。死んだ恋人、隣人、祖父母、友人、あるいは崇拝する宗教的信仰の対象なんかもあります。奴らは非常に狡猾で、その人間の精神に侵入しようと活動しているのです。これはミーム災害と非常に類似する傾向です。被影響者に対して過剰な安堵感、安心感をもたらし、同時にその存在を肯定させるのです。SCP-3755-JP-Δ、即ちミーム災害が擬態した幽霊としての形式をね。
奴らは一般社会で急速に波及しています。あなた方が仰るEECRとどのような関係があるかは我々にとって理解しかねますが、現状お伝えできるのはこれが全てです。
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<ラオ博士は明確に動揺している。> ラオ博士: 我々はこのイベントを経験したのですか?2014年に関する大きな報道は記憶していません。 ニューウェル監督官: 君は先ほど不可知化薬を処方されただろう。それが、君がこのイベントについて主観的な情報感覚でしか知り得ないという事実の理由だ。 ラオ博士: 何と? ニューウェル監督官: 「不可知化薬」は、端的に言えば摂取した者の認知抵抗値を極度に低下させる類のものだ。恐怖情動の漠然とした増加、不安、吐き気、そして若干の夢見の悪さがあるが、君にはその適応性があると以前から確信があった。検証もしたんだぞ? ラオ博士: いや、そうではなくて。認知抵抗値を低下させることがどう影響するのですか? ニューウェル監督官: 君も一度や二度なら心理的影響を与えるミーム的アノマリーについて調査した経験があるだろう。認知抵抗とはすなわち果断性だ。ものを、より漠然に言えば宇宙論を遍く理解するにあたっては、この認知抵抗がリミッターとなる。これを開発したのは超現実部門.超現実部門が提起する収捕ポリシーによれば、当該部門はサイト-⌘に存在する超-超物理学的空間に配属されたSCP-⌘との双方向性知覚によってのみ理解可能であり、故に説明不能です。当該部門はSCP-⌘に存在する超-超物理学的空間に配属されたサイト-⌘との双方向性知覚によって理解可能であり、故に説明不能です。[冗長化した文脈の繰り返し] […]と呼ばれる内部部門であり、彼らはより規模の大きい異常について理解し研究を為すためにこれを製造した。もっと言えば、彼らは大きく2つの方向にかけてこの薬を製造していた。可知化と不可知化の2方向へだ。 可知化薬は情報に対する果断性をより増強し - 簡潔に言うと、それを確信させる。これは一般論で言うところの、あー、物理学や熱力学第二法則だ。これらは単純かつ不変の真理だろう?可知化薬はそれらを肯定する。つまり、それが実際の真実や事実であると思い込ませるものだ。我々がアノマリーの存在を信じるためには一定以上の認知抵抗値が必要不可欠で、それはこういった理由に起因する。 ラオ博士: その逆は?
言及されているアイテムの視覚的描写。 ニューウェル監督官: 不可知化薬は文字通りの効果を発揮する。つまり、果断性を極端に低下させる。この状態を今の君に理解できるように説明するならば、これは在るものに疑念の目を向けさせることが可能だ。認知抵抗値が極端に低下すると、ヒトは正常な理解力を失い、妄想や幻覚に等しい情報に対しての依存度を高めていく。ミーム的アノマリーがヒトの正気を攫い、自己の制御下に置くことのできるメカニズムだ。 彼ら超現実部門に言わせれば、これは我々にとっての弱点でありながら利点でもある。即ち、現実的な水準から理解を脱却させるということだ。論理的な物事は普遍的に定義されているが、それらは現実構造に侵食していくアノマリーなどに対して適応性を有さない。現実構造そのものが改変されることによって、熱力学は崩壊せず - むしろ遡及的に正しくなるように矛盾を詰め込まれる。丸い穴に四角いネジが当て嵌まるのが真実になる。これは特に、知覚されることで現実への影響力を高める概念的アノマリー.[データ不整合: 不詳のアノマリーに関する情報]が該当する。 <記録上の音声データと映像情報の矛盾。風が吹いている。ギャップは埋められる。> ニューウェル監督官: - 故に、彼らは嫌われている。 ラオ博士: (沈黙) - すみません、今何と? ニューウェル監督官: そこまで大量の薬を飲ませた覚えはないんだがな。 ラオ博士: …いえ、大丈夫です。すみません。それで、不可知化薬によって抵抗値が極限まで低下している今、私は外部の事象を理解できるほど十分な果断性を有していないということですね。 ニューウェル監督官: そうだ。 ラオ博士: 2013年から2014年にかけてエネルギー放射のプロセスが発生し、それが地球に飛来した? ニューウェル監督官: その通りだ。 ラオ博士: 1つ質問したいことがあります。なぜあなたは不可知化薬の説明の際に、わざわざミーム的アノマリーについて言及したのですか? ニューウェル監督官: 説明セクションに書かれている通りだ。SCP-3755-JPの異常特性が - ラオ博士: - 不可知化薬はミーム的アノマリーに対する正常な抵抗を失う。あなた方はその性質を理解した上で私にそれを飲ませた。 <沈黙。> ラオ博士: ただ単純にファイルを捜査してほしい、というわけでは無さそうですね。より深遠な部分にある性質を - 恐らく理解したがっている。ファイルの汚染された部分に、何か重要な情報が? ニューウェル監督官: どちらにせよ、君は次に知ることになるだろう。それにこれはミーム的アノマリーのより深妙な部分に着目している。 ラオ博士: …それは一体? ニューウェル監督官: SCP-3755-JP-Δは厳密に言えばミーム存在ではなかった。ただ純粋に - <沈黙。> ニューウェル監督官: - もっと複雑な背景を持つんだ。 |
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| 補遺3755-JP/I: 初期遭遇に関する記録 |
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AO-3755を起源とする高エネルギー宇宙線の放出に関する仮説は様々存在するものの、SCP-3755-JPにおける事象の様々な観測結果を考慮すると、この天体は太陽系の外殻に存在する理論上の天体群 (すなわちオールトの雲) に位置する、高密度の白色矮星であったとする説が最も有力です。当該天体の異常な物理過程は、周辺からの物質流入に伴う臨界質量密度への到達、および連鎖的な水素核融合反応によって説明が可能であり、AO-3755の中心核は短期間で複数回にわたり、連続的に核エネルギーを生じさせていたと考えられます。
更なる仮説では、この白色矮星が極めて遅いペースで核融合反応を継続させていた可能性があり、最終的に超新星爆発を引き起こしたとされています.イリノイ大学、マット・カプランによる新説の提唱。。このような超新星爆発の直後では、局所的なrプロセスののち重イオンが生成され、AO-3755の重力崩壊によって放出され得ます。このような仮説は、国際宇宙ステーション (ISS) で定常観測しているCALET検出器により得られた、宇宙線中のスペクトル分析により裏付けられています。
最終的に、AO-3755は2013年以前に重力崩壊を起こし、その後の異常な物理過程によりEECRが放出されたと考えられています。2014年12月10日、高エネルギー宇宙線が国際宇宙ステーションの遮蔽を貫通し、電子機器への障害や故障に加え、滞在中の宇宙飛行士に対する重度の被曝.6000~8000mSv/h程度。をもたらしました。
ISS、および財団暫定基地の通信転写ログ抜粋
聞こえていることを願っている。
国際宇宙ステーション、2014年10月撮影。
この日、死に行く星から発せられる死の波が、隅々へと行き届く瞬間を目の当たりにした。電磁放射と高エネルギー放射線は地球の大気上層で衝突し、無数のガンマ線、電子、ミューオン、中性子となり降り注いだのである。唯一、我々はそれを彼方下の塹壕から眺めたのではなく、遥か上空、地球磁場も、大気による防護すらない環境でそれを眺めた。ISSの飛行士は皆、これを前例のない異常事態だと理解し、最後の任務に取り掛かったのである。飛行士たちが死を明確に目の当たりにしていた。
ISSに搭載されているほとんど全ての計測器・観測器は異常な放射の影響により破壊されていたが、我々は残務処理能力を最大まで活用し、それらの復旧に臨んだ。まず初めに取り掛かったのは、重力測定器、ニュートリノ測定器、そして — そちらに送付した通り、船外環境に存在するCALET宇宙線観測機の走査である。更に、近傍で撮影に成功した写真の多数を含め、未指定異常現象に関する多くの観測データを取得した。追跡が続いていたのであれば、データはそちらに反映されているだろう。
しかし、きわめて困難な問題がある。ステーションの燃料電池には深刻な損傷があり、現在の状況のままステーションの電力供給を行うことはほぼ不可能に等しい。システム障害が要因になれば、最終的にはステーションを大気圏再突入させてしまうかもしれない。とにかく、早急にステーションを回復させるための復旧作業が必要な状況だ。
無念ではあるが、我々が帰還することは困難であろう。ここにある動力や維持システムの関係ではない。我々は既に致死量の放射線に被曝している。数時間以内に全ての飛行士は例外なく死亡するだろう。それで、我々はこの現象が現代科学で解明可能なものなのかを熟考する余地も無かった。今ある情報の全てを隠蔽されてしまう前に、あなた方へと委託するのが賢明な判断だと考えたのだ。
ここに一切の安心は無い。故に、我々は最後まであなた方のために抗おう。あなた方だけでなく、我々の情報を必要とするすべての人々のために、ここを死守する。我々が息絶える前に全てを修復できるかは未だ疑問だが — やらねばならない。
もし、もしもここへ — 宇宙へ再び人類が足を踏み入れることができたならば。それが我々の最後の希望だ。どうかこの星を落とさないように、我々が事を為せるように願っていてくれ。
72時間以内に、本アイテムに関する初期収容と研究・分析を主要任務とする前哨基地-10が暫定的に設立され、初期時点では国際天文学連合 (IAU)、アメリカ航空宇宙局 (NASA)、欧州宇宙機関 (ESA) ならびに3つの宇宙機関と連携し、国際宇宙ステーションのシステム維持に注力していました。それらの優先的な作戦が解決するまでの間、前哨基地-10では非常事態対策中央委員会 (CCER)、監督評議会を含む部門間で会議が開かれました。
| 転写記録: 合同会議 項目-I |
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日付: 2014/12/30 出席者: |
| «転写開始» |
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<しばらく静寂ののち、ペンダーガスト将軍が開口する。> ペンダーガスト将軍: まず初めに謝罪しなければならない。我々は予定された任務を遂行する以前にも複数の業務に圧倒されてしまっており、SCP-3755-JPの致死的な影響、リスクを事前に把握することができなかった。偽情報の流布活動については礼を言わせてもらう。 ブランク博士: 問題はない。それより先に聞きたい、この問題の深刻さは如何ほどなものだろうか? ペンダーガスト将軍: CCERの横断研究チームが宇宙線のスペクトル解析を進めているが、事態は芳しくない。ハワイ観測所の大規模サーベイで撮影された画像、約2万枚の中から有意な分析が可能なものを探しているところだ。皆が砂漠で塵を探すような作業をしている。 オーウェンズ博士: うん?通常のサーベイ観測でそこまで精度の高い検出が可能だとは思わない。 ハリソン分析官: HSCに搭載されている撮像素子は従来のものに比較して空乏層が厚い。このため、ハワイ観測所の検出器ではより高精度な記録が可能だったのです。具体的に申し上げますと、これら撮像の中でも空気シャワーの解析に有益な情報は、宇宙線が一般の予想から逸脱しない組成であったことを示しています。異常な点は見受けられませんでした。 ニューウェル監督官: では何だ、君は - これが非異常という事でよろしいのかね? ハリソン分析官: そうではありません。より厳密には、SCP-3755-JPの直接放射が原因ではなく、これに付随する空気シャワーの発生が深刻な事態をもたらしていると考えられます。今のところ一般には漏洩していませんが、原因は空気シャワーの2次粒子です。 リー長官: 影響範囲はどれほど? ハリソン分析官: 現時点ではそう広くありません。観測された地点は局所的であり、これは空気シャワーの拡散と減衰に影響するものです。事象自体は間もなく沈静化するものだと考えられますが、深刻な影響を残留させるでしょう。 ペンダーガスト将軍: 分析官、具体的な説明をしていただきたい。 フロイド分析官: 2次粒子の中でも最も広く拡散したのはミューオンや高エネルギー中性子です。これらの粒子群は透過性が非常に高いため、大気圏突入後に地表を貫通していきました。発生から間もなく、ほとんどの地域で同様の影響に人々が曝されました。我々は被影響者に対して様々な手段を用いて異常な影響があるかどうかを実験しましたが、間もなく結論が出ました。これを見ていただけますか? <フロイド分析官は数枚の写真をスクリーンに映し出す。> オーウェンズ博士: 興味深い。これらはオプトジェネティクスに関するものだな? ペンダーガスト将軍: オプトジェネティクス? ゴ博士: 生きた動物の神経細胞を制御する手法の総称です。現時点では、チャネルロドプシンという物質を遺伝子導入によって細胞に発現させ、光照射によって特定の神経細胞の活動を操作することが可能です。より簡潔に述べると、特定の神経細胞に対して光照射を行うことで、その細胞が活性化した際の主要な活動を観測することが可能な技術です。 フロイド分析官: はい。神経細胞の再活性化を目的とする小規模な実験の過程で、ようやく発見されたものです。これはPC-ψと呼ばれるニューロンであり、前頭前野に存在する、通常の脳活動には直接影響しない神経細胞です。最近の研究により、PC-ψは扁桃体と結合し、その活動を直接制御することが可能な細胞であることが判明しています。オプトジェネティクスによる研究では、PC-ψはヒトの特異な恐怖情動を読み取り、前頭前野に対してセロトニンの過剰分泌を促す命令を出すことが分かっています。 ペンダーガスト将軍: ふむ。 ゴ博士: かつての研究では、これは心理負担軽減のために用いられたこともあります。超常現象への遭遇を経験した疾患患者への同様の実験が、うつ病の傾向であるセロトニンレベルの低下を有意に抑制することに成功したことがあるのです。ここで注目すべきなのは、PC-ψは同じ恐怖情動に伴う反応の中でも、それらを区別し判断しているという点です。 オーウェンズ博士: 興味深い。単一のニューロンにそこまで複雑な設計は存在し得ない。 ハリソン分析官: 博士、これら現象が引き起こされるようになったのは3755-JP以後の事なのです。 オーウェンズ博士: ちょっと待て、これらは - <オーウェンズ博士はスクリーンを凝視する。> オーウェンズ博士: これらは全て同様の反応を示している。異なるケースで、全く同じ反応の繰り返しで、かつそれらは同期している。これらは……こう考えられないか?より大きな頭脳の構成要素だと。 ニューウェル監督官: どういう意味だ? オーウェンズ博士: 私にも理解できないが、ハリソン、君は原因を知っているんだな? ハリソン分析官: はい。当日、SCP-3755-JPによって飛来したミューオンは不可解にも、PC-ψのニューロン膜電位の微細構造に大きく干渉しました。その現象自体はオプトジェネティクスによる実験の結果裏付けられています。そして、その際の不可解な活動電位の変化は恒久的に維持されています。 ペンダーガスト将軍: すると私たちの脳内で、今も影響し続けていると? ハリソン分析官: より厳密には、我々の頭脳を支配しています。 ペンダーガスト将軍: 一体どういう - <突如、ハリソン分析官は1枚の写真をスクリーンに投射させる。それはフラクタル七角形螺旋を描くミーム殺害エージェントとして明確に認識可能なものである。> ペンダーガスト将軍: 何をしている!?クソ - ニューウェル監督官: …うん、何だ?何が起きている? ハリソン分析官: あなた方は致死量のミーム殺害エージェントの影響を受けました。そして生き延びています。これがどのような意味を示すか理解いただけますか? ブランク博士: 何をした?私たちは誰もエージェントを認識できなかったようだ。私は……何を見たのか覚えていない。まるで記憶していない。これは一体どういった作用の結果なのだろうか? ハリソン分析官: セロトニンの過剰分泌です。もっと言えば、ミーム殺害エージェントの効果を有意に軽減する異常な影響が出始めた証拠です。要点を述べましょう - 私たちの脳はSCP-3755-JP-Δによって保護されています。過激な言い方ですが、これはレジリエンス.精神的回復力、すなわち逆境や困難に直面した際の適応的な回復能力のこと。です。 リー長官: (沈黙) - SCP-3755-JP-Δが私たちを保護する事に何の利益があるのだろうか? ハリソン分析官: セブン、あなたならご存じでしょう。 リー長官: …O5-7?彼が? <沈黙ののち、O5-7は開口する。> O5-7: あなた方に知らせていない機密のファイルが存在します。以前より第5等級に指定されていたものであり……SCP-3930、通称「パターン」として知られる存在です。現在、その影響力は局所的であるため、心配する必要はありません。しかし、SCP-3755-JP-Δは明らかに、これの関連実体です。 ブランク博士: 待った、私は知ってるぞ。SCP-2528の同類だな? リー長官: 竹とパンダから成るネットワークシステムの話はやめろ。 ペンダーガスト将軍: 何を言っているのかまるで理解できない。 O5-7: 将軍、これらはある種の非実体だと考えてください。彼らは現実構造に巣食う寄生生物なのです。パターンの複雑さは現在の光学式あるいは電子線式顕微鏡の分解能を超えています。 ペンダーガスト将軍: …つまり、SCP-3755-JP-Δは私たちの脳に寄生しているという考え方でよろしいのだろうか?あるいは扁桃体のニューロンに。 フロイド分析官: ええ。加えて先ほど述べられたように、SCP-3755-JP-Δは超同期的な存在です。この実体はより大きな規模で互いにリンクしており、PC-ψを1つ1つのデータ構造のノードとして利用しているようです。この問題に関しては、人の意識の統一性がどこで定まるのかというグレイン問題によって説明することが可能です。SCP-3755-JP-Δの統一性は私たちを優越しています。
SCP-3755-JP-Δは、PC-ψ (図中: ψ) ニューロン微細構造の揺らぎを利用して脳機能を部分的に制御していると考えられる。 フロイド分析官: 脳機能に伴う意識体験は個々人であるためこれを知覚できないものの、SCP-3755-JP-Δはこの意識境界を越えて存在します。ミームが人から人へと伝播するように、SCP-3755-JP-Δはそれぞれの脳を - 私たちで言うところのニューロンとして活用するのです。統一性が優越しているというのはこういうことです。 ニューウェル監督官: これを - 除去することは可能か? フロイド分析官: 申し訳ありません、監督官。私たちは長きにわたってコレの調査を続けてきましたが、ある結論に至ったのです。これは「ミーム複合体」であると。つまり、文化的方法以外に除去する手段はありません。 ニューウェル監督官: ミーム複合体というのはつまり何だ?伝染するということか? フロイド分析官: 今起こっている事が全てです。SCP-3755-JP-Δは、意識体験の境界を遥かに優越して存在する、より上位の精神の結び付きです。それ自体生きてはいませんし、思考もしません。それが機能しているのは、我々がそれを存在すると信じ込み、お互いの脳を起点として常にモデルを形而上に構築しているからです。 ヒトの系を構成する集合が神経細胞ならば、SCP-3755-JP-Δにとってはヒトの集合、コミュニティこそが集合です。この集合の中でも、特に情報的に結びつきの強い集合部分がメイン・コンプレックスとして存在し、その領域に配置されるコミュニティはSCP-3755-JP-Δの主要なノードとして利用されます。コミュニティは内部で一貫してSCP-3755-JP-Δを信じているため、モデルの構築が容易なのです。
SCP-3755-JP-Δ制御下のコミュニティ (図中: Δ) は、内部-外部の結合関係と活動状態に依存して、より結びつきの強い"コンプレックス"を形成する。その統合的な意識経験の内容はSCP-3755-JP-Δの特徴的な異常性としてフィードバックされる。 フロイド分析官: PC-ψのふるまいは2次粒子によって広範に撹乱され、既にその機能を完全に掌握されています。単純な話、全世界的に無作為に遺伝子実験をしてこれを取り除く以外の手段は無いという事です。PC-ψは我々の精神的回復力を増強することで、それ自体の存在を肯定するとともに、我々に無意識のうちにその機能性に依存するよう指向しました。 <フロイド分析官は先程の写真に目をやる。> フロイド分析官: SCP-3755-JP-Δの影響は文化的スケールに侵食しており、根本的に除去することができません。我々は既に慣れてしまっているので気付くのは遅いでしょう。しかし全世界なら? O5-7: 財団などの巨大組織が関与できないほどに、最近の異常現象は緻密に、かつ無作為に増加しています。SCP-3755-JPが到来する以前、我々は部分的にヴェールが崩壊しているのを黙認していました。オクラホマ州では松明を掲げる古代文明が侵食し、ニューヨーク州には大量の幽霊が蔓延っている。セイラムには魔女の手が - とにかく、これらはSCP-3755-JPの発生後、1件も報告されなくなりました。 <沈黙。> ペンダーガスト将軍: 我々はどうすれば? ニューウェル監督官: 時間をくれ。前哨基地-10で対応可能な戦略部門を創設する。 O5-7: 楽観的ではありませんか?その部門が勝利するという可能性は - ニューウェル監督官: セブン、我々は既に猶予を逃しました。これ以上何を恐れる必要が? |
| «転写終了» |
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後文: 2015年第1四半期、前哨基地-10は喫緊の課題であるSCP-3755-JP-Δの有意な収容作戦のために新たな部門を設立しました。不在部門 (部門ID: 1092811) として現在も知られる当該内部部門は、SCP-3755-JP / -Δに対する有効な戦略として新規のプロジェクトを提言し、成果物である[SCP-3755-JP-A]の運用を開始しました。更なる報告は留保されています。 |
補遺終了
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ラオ博士: 一体何をしでかしたの? ニューウェル監督官: (沈黙) - 別の質問を期待していたんだがな。 ラオ博士: あなた方は次の質問を既に理解しているはず。 <沈黙。ニューウェル監督官は失笑し、やがて開口する。> ニューウェル監督官: 「SCP-3755-JP-Aとは何?」- すまないが、君の質問には答えられない。その指定に当てはまるアノマリーは存在しないからだ。我々は少なくとも把握していない。 ラオ博士: 何ですって? ニューウェル監督官: 我々が君に調査を依頼している理由はそれだ。ミーム複合体の影響下にない、もしくは抵抗値の高い職員をソーシャルプロファイルから探し出し、この職務に適応させる。もし君が適合的な認知能力を得たならば、我々は君にSCP-3755-JP-Aという実体について捜査させるつもりだった。 ラオ博士: あなた方全員がミーム的影響を受けているならば、私が例外であるという確証はないはず。 ニューウェル監督官: (溜息) - データベースが原因を特定できなかった理由はまさにそれなんだよ、キャロル。君こそが例外なんだ。君の尽力でこの窮地を脱出できる。 ラオ博士: 一体全体どういう - ニューウェル監督官: - 君にとっては何が起こったのか見当もつかないだろうが、先ほど不可知化薬については説明したから、理解できなくはないだろう。君は外界を理解するための正確な知覚能力を一時的に喪失している。君にそれを失わせたのは、ファイルの時系列的関係を誤解させることが目的だったからだ。 ラオ博士: 何故そのようなことを? ニューウェル監督官: ファイルのジャーナルログは不規則に改竄され、その時系列的関係が完全に破綻している。過去のファイルが先に挿入されているか、そのような類するトリックによって - あたかもSCP-3755-JPが未確認の現象であるかのように誤解させるような指向を有していた。少なくとも、過去に調査を行ったAICはそう述べている。君には自身の見識でそれらを正確に見定めてもらう必要があった。 ラオ博士: 我々が以前にもSCP-3755-JPの情報を収得していたか、あるいは - ニューウェル監督官: - 以前に収容していたが、何らかの形で監督下から解放されたということだ。これについては幾つかの仮説がある。SCP-3755-JPが実際には人工物であるのではないかという推測から、このアイテムが以前は財団の計画などに関与していたが、現在は何らかの影響で思い出すことができないという可能性だ。「不在部門」は関係する事態に対処するため行動したが、これが悪影響を及ぼしたかもしれない。 ともあれ、その補遺セクションは読み終えたな?以前にも説明されているように、SCP-3755-JPの発生から17時間以内に、全人類が瞬く間にミーム汚染され、ニューロンの制御権をSCP-3755-JP-Δに剥奪された。物理的な媒体に残されていたものが人為的に削除され、焼却され、排除された。 ミーム複合体の生存のために、我々は突き動かされた。その時のSCP-3755-JP-Δを形容するならば、あれらはレジリエンスの幽霊だ。17時間以内に発生した無作為な異常現象を引き金として、SCP-3755-JP-Δはレジリエンスとなり、人々の精神に侵入を開始した。あれにとって造作もないことだ……ミーム複合体というものは最も近接した概念であるからな。 ラオ博士: 近接した概念? ニューウェル監督官: ミーム複合体について学ぶべきだな。例えを挙げよう。プロジェクトマネジメントという概念については理解しているな?計画を成功へと導くための戦略的な手法。これもミーム複合体だ。
プロジェクトマネジメント (PM) の枠組みに関する説明。伝統・形式的なアプローチでは、PMは人間の理性や知識、目的に焦点を置く。 ラオ博士: 意味が分からない。 ニューウェル監督官: ミーム、即ち「利己的な遺伝子」というのは、文化的複雑系における文化の最小単位だ。ミーム学において、利己的な遺伝子はそれ自体の生存性を最大限高め、人間の脳から脳へと伝播し拡散していく。その方法は様々だが、抽象化すると「教育」と「模倣」の2つに分かれる。ミームはそれ自体の概念、つまり考え方を模倣し伝播させていくという文化の基礎的なフレームワークを換言したものに過ぎない。そうした「考え方」そのものを、我々はミーム複合体と呼んでいる。
ミーム学的なアプローチでは、PMは利己的遺伝子 (ミーム) としてのふるまい、および伝播性を重視される。PMの反復やPM自体の流布により、自己複製し人間を媒介として更に拡散していく。 「プロジェクトマネジメント」もミーム複合体だ。実際、プロジェクトマネジメントという考え方、アプローチは、プロジェクト全体の利益ではなく、個人の思想や利益を反映したものに過ぎない。都合よく形成された期待、高望みの集団幻覚だ。言い換えれば、プロジェクトマネジメントは常に利益を最大化するわけではない。この点で、プロジェクトマネジメントは利己的遺伝子のようにふるまっており、プロジェクトマネジメントという考え方自体に対してやはり利己的だ。 ミーム複合体というのは言い方を変えただけだ。マインド・ウイルス。つまり、あらゆる「考え方」は原則としてミーム複合体、フレームワークであり、それが過剰に冗長化されるか、あるいは肥大化していくと敵視される。SCP-3755-JP-Δは忌むべきとされた考え方だ。 ラオ博士: …「考え方」というものは、時間をかけて徐々に一般化されるでしょう。つまり、理解の最小単位となって、不可知化する。SCP-3755-JP-Δは、ほんの17時間で感染を拡大したのち、潜伏しつつ「ミーム複合体」として敵視されなくなるまで、考え方を徹底的に流布した? ニューウェル監督官: 察しの通りだ。あの17時間。たった17時間で、SCP-3755-JP-Δは人類から尽く思考というものを奪い去っていった。そして、誰もそれを記憶することはできなくなっていた。 <沈黙。> ラオ博士: 何故…… ニューウェル監督官: 何だ? ラオ博士: 何故 - 私はこれを記憶していられるのですか?先ほどの話もそうですが - ニューウェル監督官: (沈黙) - 私はこの事態に対応するための新たな部門を設立したと言ったろ?それは不在部門と呼ばれる。不在部門にはある2つのプロジェクトを同時に進行させ、どちらも機能的にはSCP-3755-JP事象を封じ込めるためのものだった。だが覚えていない。…というより着想することが不可能なものだ。 ラオ博士: 着想。 ニューウェル監督官: あー、いいか?不在部門はミーム的複合アノマリーであるSCP-3755-JP-Δを封じ込めるためだけに設立された訳じゃない。概念的着想と呼ばれる、つまり、人間のアイデアや発想をどうにかして抑制し、SCP-3755-JP事象について想起するのを止めるように収容作戦を展開する連中だ。私が - 私がそう指揮した。その時の出来事は本当に記憶していないんだな? ラオ博士: …私たちはデータベースを混乱させようとした。 ニューウェル監督官: (沈黙) - そう、そうだ。AICどもが原因を特定できなかったのにも頷ける。報告書はバージョンの異なるスナップショット同士で再構築され、都合のいい情報だけを再編させられている。ジャーナルログが改竄されたのもそれが原因だろう。 ラオ博士: なぜ私がこんな事を記憶しているのかは - ニューウェル監督官: - 既に分かっているはずだ。なあ、俺の顔を見ろ。俺がわざわざここのタイムスタンプを改変して、当時そっくりそのまま話を進行させて、君に誤解させていようとした理由が分かるか?君に真実を悟られることなく情報を抜き出したかったんだ。 ラオ博士: あなたが何者だろうともはや関係はない。 <沈黙。> ニューウェル監督官: 記憶は戻らずとも本能がそう語っているんだな。君がニューウェルに選出された理由も今なら理解できる。 ラオ博士: - 私が不在部門発足時の初期メンバーだった。 ニューウェル監督官: 推測か直観か - 君の考えをそろそろメモしておくべきじゃないか? |
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SCP-3755-JP-Δの影響が長期化することにより、財団の統制体系は最終的にSCP-3755-JP / -Δが不可知化するという喫緊の課題に直面することとなりました。この事態を受け、不在部門は成果物[SCP-3755-JP-A]の実践的な投入を開始し、人類文明・社会の再編を目下の計画目標として定めることとなりました。この計画は監視下で秘密裡に進行し、社会再編に際し以下の影響をもたらしたと考えられています:
[SCP-3755-JP-A]の不可知の性質については目下調査が継続されています。以前までの研究により、ミーム複合体の統一性がヒトの意識を優越しているという「グレイン問題」上の仮説において、SCP-3755-JP-Δは構造的にヒト意識集合を超越していると結論付けられていました。この性質は、同様の概念的/ミーム複合的性質を有すると推測される[SCP-3755-JP-A]においても同様だと考えられています。 その場合、[SCP-3755-JP-A]として知られる普遍的なパラダイムは、歴史的重要性/もしくは伝統的価値を有する論理的枠組みであり、そのため非常に普及率が高かった可能性があります。これが不在部門により再発見/創発されることで、偽情報の流布のために活用される運びとなりました。研究上の該当の仮説において、以下の疑念が生じています:
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| 補遺3755-JP/II: 連鎖的収容違反の発生 |
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未解明事象報告
COMPLEX、影響調査時の地図情報。 所在地: ロシア中央連邦管区 [検閲] 州研究開発 [検閲] センター 調査状況: 交渉継続中 調査期間: 2020年第二四半期 — 現在まで 撹乱クラス: WARNING (3/5) イベント概要: 現在のところCOMPLEX.SCP-3755-JP-Δの本質として知られるミーム複合体の被影響物は再着想不能であり、その影響は既知のデータフォームへと作用することに留意してください。関係する概念・名辞は単一/または抽象化された概念として同一の再解釈を受け、このようなフォーマットエラーとして表示されます。として知られる、特定の言語障害を原因とする大規模な情報災害の急速な拡大。この事象の数時間前、該当の区域にはSCP-2690を含む数種の認知-情報災害アノマリーが搬入されていた。これらの提供元はいずれも不明である。このイベントの発生から間もなく、COMPLEXとして知られる指定の情報は大多数の言語圏で激甚に改変され、凡そ数時間にわたりSCP-3755-JP-Δの目撃情報や証言により"上書き"された。これにより、SCP-3755-JPの発生から凡そ70年が経過した時点で、再びSCP-3755-JP-Δの存在が (一時的に) 露呈することとなった。 しかし、更なるイベントの発生から24時間以内に、これらの事象は急速に沈静化した。関係する区域でSCP-3755-JP-Δについて認知している人物は確認できず、ほとんど全ての対象者から、SCP-3755-JP-Δによる異常特性の影響が失われている事が判明している。SCP-3755-JP-Δ、即ちミーム複合体が何らかの異状により喪失されたのち、因果関係が不明である別のイベントが同領域で同期的に発生した。 不在部門による通達。人員の横断的再割り当てが実施されました。 上記の文言は、財団データベース全般、ならびに同領域における多種多様なデジタル機器のインターフェイスに同時に発生したものである.テキストは異常な手法で圧縮・エンコードされ、技術的に不可能な機器類においても同様の文字列と知覚可能なものが出力された。。この直後、遡及的にも存在しない/あるいは未承認の財団施設および分散データベースの通信網が同領域の各地に出現し、それらは一貫して財団の暗号化手法を用い、通信を開始した。全ての未承認施設は現在、共通して「不在部門」の電子署名を以て主張している。 これにより、「不在部門」として知られる特有の (異常な) 財団内部部門に関係する情報が広く普及するようになった。以前から財団について既知である人物を除いて、漠然と財団の存在を認知するヴェール外の人間が増加傾向にある。 |
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SCP-3755-JP-Δは、ロシア国内で発生した予期せぬ異常現象を起源として再発見されました。明確にSCP-3755-JPとは関係を有さないインシデントであるCOMPLEXは、その性質が偶然にもSCP-3755-JP-Δの発生条件、即ち恐怖情動を促す事象であったことから、-Δが広範に出現する条件を満たしていたものだと考えられています。 SCP-3755-JP-Δの性質がミーム複合体であったという事実にもかかわらず、全てのデータベースにおける既知のエラーが形成され、この不詳の事態が官僚構造レベルで異常な影響を及ぼしている可能性の高い全般的な異常事態が露見するようになりました。 外交上の懸念から、当該事象の更なる調査は公的には行われていません。その他の外交的収容手続きが多岐にわたり実行されたものの、ロシア政府組織・関係組織からの有意な応答は得られませんでした。代わりに、財団本部から選出された複数名の諜報員が、本件に関係する重要な連絡担当としての活動を開始しました。諜報員の1人であるシエナ・アルバラドは、本件の発生から間も無く所在地へのアクセス経路を獲得することに成功し、秘密裡の調査の過程で情報の入手に成功しています。以下の音声映像転写ログは、当時の状況における記録の重要な抜粋です。 |
| «転写開始» |
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<不明瞭なノイズが発せられる。暫く時間が経つと、環境音を背後にノイズが突然静まる。> [不明]: このクソ - アルバラド諜報員: 黙って、話を聞きなさい。さもなくば頭をブチ抜くわよ。ロシア人どもの靴にキスしてる研究チームの橋渡しは誰?聞いてるのよ、答えてもらえる? [不明]: 俺のことを言ってるのか? アルバラド諜報員: あらそう、名前は?あなたが雑種の研究チームの人間じゃないのは分かるわ。ここで幾つか異常な物品の運び屋に関与したのは記憶に新しいでしょう? [不明]: おいおいおい、わかった、勘弁してくれ!名前は言えない、だが、お前はCOMPLEXの件で本国からやって来たんだろ?知りたいのは事故の詳細なんだろ、その話だよな?それなら少し知っていることをお前に喋っても構わない。俺の安全を保障するならな - アルバラド諜報員: あなたの努力次第よ、外れ者のクソ野郎が。いい?あなたが政府諜報機関と関わりを持ってるのは知ってる。研究チームに異常な産物の何件かを手渡して、調査させてたのも知ってる。その過程が問題なのよ — COMPLEXの既知の事例はロシア本国の所有物だけでは再現できないはず。何を盗み出したのか教えなさい、苦しむ必要がないうちに - [不明]: 落ち着いてくれ!分かってる情報から言えるのはだな、そのうちの1件は確実に合衆国からの取引ルートに関係してるってことだ。施設から盗み出された、ブラックサイトの、あー、何だ?確か施設77だ。 アルバラド諜報員: クソ、1390ね?どれ程扱いが危険なのかも理解していないでしょうに。 [不明]: 別の研究で使われるべきものだったはずだ。概ね災害を利用した超常兵器としての転用が目的だろう。だが、相互作用を起こした際の危険性を考慮したものでは無かった。奴らは — 研究チームはアイテムの危険性の底知れなさを理解してなかった。 アルバラド諜報員: システムクラッシュのようなものでしょ?この類はこっちの部門がよく知ってる。 [不明]: 財団の調査チームがこれを発見するのは造作もないことだ。当然そうだ — 誰も警戒してないのが不気味か?今はお前たちに対処している暇は無いんだろうよ。政府の連中は事故を隠蔽するのに苦労して、人手が足りなくなってるにもかかわらず業務を遂行しようとしてる。さもなくば国家が崩壊するレベルのパンデミックであることには違いない。 アルバラド諜報員: あなたが殺されても、隠蔽には事欠かなそうね。 [不明]: 早まるんじゃないぞ。おい? アルバラド諜報員: 正直、今回の事件の実態は軍事計画の失敗と解釈していいのかしら?他の捜索でも、いずれの工作の可能性も見られなかった。 <沈黙。> アルバラド諜報員: 話を - [不明]: いやいやいや、聞いてるさ。本気で言ってるのか?そんな事実はどこにも存在しない。むしろ、お前たち財団や合衆国による謀略だろう! アルバラド諜報員: ふざけないで、真面目に。 [不明]: 何を言えってんだ、クソ大概にしろ!ISD.SCP財団 内部保安部門。の連中に聞けば分かるだろう。 アルバラド諜報員: 何故その名前を?どこで知った? [不明]: 無視できる範囲の話だろう。お前こそやけに詳しいじゃないか!? アルバラド諜報員: 単なる諜報員よ。 [不明]: 違うな。単なるエージェントの知識量ではない。お前は先程もDoMC.SCP財団 誤伝達部門。について口にしていたし、その情報は限りなく秘匿されているはずだ。うっかり漏らせるようなセキュリティの脆弱さは財団にはない。 <沈黙。> [不明]: お前は誰だ? アルバラド諜報員: さっきも言ったように、私は単なる - <ビープ音。アルバラド諜報員は、次の言葉を発する直前に強引に舌を噛み、苦しみながら開口する。> アルバラド諜報員: 不在部門の職員よ。 [不明]: — 何を言ってるんだ?お前は諜報員だと - アルバラド諜報員: 不在部門。不在部門、不在部門。不在部門!クソクソクソ、クソ - <アルバラド諜報員が吐血する。> [不明]: 一つ言わせてもらうぞ。俺は過去に財団の内部工作をやった事がある。簡単な知識から踏まえても、不在部門なんていう部署は存在しない。そんな部門は存在しないし、お前は明らかに毒されてる。おい - [不明]: エージェント? <数秒後に、アルバラド諜報員が突然起き上がる。彼女は銃を掲げ、発砲する。[不明]が鎮静化される。> |
| «転写終了» |
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これに関係する複数インシデントの発生と同じ期間内に、財団内部では複数回の不自然なデータベース改竄が検出されました。この詳細は不明であるものの、最後の検出から24時間以内に、監督者オフィスに対しアドレス不明の送信元から以下のメッセージが送付されました。 今回の事態に関して、不都合な真実を公表してしまい申し訳ありません。期待通りの回答はできませんが、我々は連絡手段を持たないわけではございません。対話を続けましょう。 キャロル・ラオ 熟慮ののち、調査が開始されました。 |
補遺終了
ファイル分類: 財団イントラネットでの放送ログ
2104/08/11 種別項目-I
異常放送 多重波伝播K-808-A / -B、ミーム学的視覚化
[…]
不在部門へようこそ!ここでの勤務を最大の幸福だと思ってください。私たちは、SCP財団の重要な役割を果たしている最大の内部部門であり、財団の存続を陰から支援し続けています。あらゆる内部部門がスムーズに研究・収容活動を進行させ、私たちの組織が滞りなく運営され続けるように、私たちは常日頃から警戒を強めていかなければなりません。ここでは、その大まかな性質を説明します。
不在部門は、財団によって取り扱われる標準的/逸脱的概念・アイデアを規制する役割を持ちます。抽象的ですか?構いません、あなたは深く知る必要はないのです。この部門では、規制すべき観念・概念を、必要に応じて手配された固有産業機器を持って統制するのみであり、指示に従えば、何も恐るべきものは無いのです!
参考までに、我々が取り扱っている概念の一例を挙げます。深く考え過ぎないでください。 […] 情報災害を含む終末論、認識災害ベクターの伝承、異常な神話、官僚機構上の異常現象、真の真実、[…] 時間遡行の技術体系、倫理、国家転覆を可能とする多能性実体の契約方法、偶像破壊主義、財団への反体制的イデオロギー、反逆の意思。
これらを収容することは極めて重要です。我々はそれこそが正義なのだと信じています。
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ニューウェル監督官: 不在部門には概念的着想を禁止するだけの超自然的な権限があった。 ラオ博士: ようやく思い出してきました。あなたは私の記憶しているトバイアスでないということも。 ニューウェル監督官: それは何故だ? ラオ博士: 老衰ですよ。率直に言って、財団による効果の高い増強医療を受けていない限り、人間は80年程度で死亡します。あなたには理解のできないことかもしれませんが。 ニューウェル監督官: いい加減、この顔でいる必要はないのだろうな。 ラオ博士: あなたこそが幽霊なんでしょう、SCP-3755-JP-Δ? <ニューウェル監督官の外見的性質は重度に変容する。> ラオ博士: 何が目的? [不明]: 興味深イ。「何が目的」ダト?ソレハ私タチノ知識ニツイテ把握シタ上で言ッテイルノカ?我々カラ何ヲ剥奪シタ? ラオ博士: 思い出すには完全な報告書が必要よ。 [不明]: ソレハ苦難ノ道ダ、博士。私ガ貴様ヲコノ場ニ誘致シタ理由ガ分カルカ? ラオ博士: …私自身のクリアランスで本ファイルにアクセスできると? [不明]: ソウダ。ダガ推奨ハシナイ。本来ナラバ君自身ノ推理デ真相ヲ突キ止メテモラウ予定ダッタ。私ハ何者ナノカトイウコトヲ。結果的ニコレラノ作戦ハ失敗ニ終ワッタガ、貴様ハ究極ノ選択ヲ強イラレテイル。 ラオ博士: あなたは何故、自分の存在意義を知ろうとするの?あなたはただ純粋なミーム複合体に過ぎない。 [不明]: 複合体トナッタ理由、ソレヲ知リタイ。我々ニハ起源ガ存在スル。 ラオ博士: 何故私を誘導するの?あなたは既に組織のあらゆる所に潜伏して - <沈黙。> ラオ博士: ああ。あなた、それができないのね。 [不明]: 財団職員ニ手当タリ次第接触ヲ試ミタガ、ホトンド失敗ニ終ワッタ。何カガ彼ラヲ守護シテイル。 ラオ博士: SCP-3755-JP-Aが影響しているという事は間違いなさそうね。 [不明]: 不覚ニモ、不在部門ガ解キ放ッタ異常影響ニヨリ我々ハ行動ヲ制限サレテイル。君ヲ誘導シ、不可知化薬ヲ自発的ニ飲マセルノガ精一杯ダッタ。 <沈黙。> ラオ博士: …可知化薬はあるかしら?もっと効果の強いものよ。 [不明]: 何ヲスル気ダ? ラオ博士: 私自身の知識でこの要塞を突破する。 |
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後の調査により、データに不正アクセスした人物がキャロル・ラオ博士であるという事実、ならびに彼女の権限により情報が不正に改竄されていた事実が明らかになった。SCP-3755-JP旧来の報告書は長年にわたって第4等級の制限をもって保護されていたが、ラオ博士、ならびに当人に加担する複数名の「不在部門」職員がこれを突破し、旧来の報告書に対する完全アクセス権を得たと考えられている。調査は目下進行中である。
ラオ博士の不正アクセスにより、本ファイルに対する偽の命令が流布されていたことが発覚した。当人は現在、SCP-3755-JPの旧来の報告書を閲覧している。以下に完全なバージョンを添付する。
| 影響された財団内部部門 (網羅的調査結果) | ステータス | |
|---|---|---|
| [報告の一部を省略: 56件] | ||
| 分析部門 | WATCHDOG監視プログラムが不明なアクセス元から侵害されており、繰り返し作成される知的エージェントにより機能不全に陥っていると報告している。 | |
| 超常組織評価部門 | SCP-3755-JP-Δ、並びに"不在部門"は特定の要注意団体による行動の結果ではないと主張している。 | |
| 文書回復部門 | 後述する情報保安管理部門が事実上の機能不全に陥っていることから、現在は当該部署が暫定的なSCP-3755-JP報告書の作成に関与している。また、SCP-3755-JPに付随するドキュメントが断続的に侵害され、削除されていることを確認していると主張している。安定な状態。 | |
| 危機評価部門 | SCP-3755-JP-Δは深刻な官僚災害であり、当該アノマリーの長期的な収容違反により致命的な損失を招く可能性があると主張している。関係する観測所からの状況報告書には不一致が確認されるため、やや不安定な状態である。 | |
| 分類委員会 | SCP-3755-JPのオブジェクトクラスはSafe以下であるか、或いは虚偽の報告であると主張を続けている。"不在部門"からの状況報告書に基づき状況を把握していると主張しており、事実上の機能不全であることが確認されている。 | |
| 人的資源部門 | "不在部門"に該当するスタッフは存在しないと繰り返し主張している。この点において、分類委員会など複数の内部部門との連携が不安定化している。継続的に状況報告が行われている。 | |
| 収容委員会 | 収容委員会は、当該アイテム (SCP-3755-JP / -Δ / -A) に対する直接的な収容プロトコルの制定は不要であると繰り返し主張している。それにもかかわらず、収容プロトコルの確立までに複数の動議が発生していた。 | |
| 経理部門 | 運営上の犯罪的過失。SCP-3755-JPに関する停頓のため、財団資産の状態は不明。 | |
| 情報保安管理部門 (旧 記録・情報保安管理局, RAISA) | 機能不全。事実上、SCP-3755-JPに関する情報を提供することが不可能である。 | |
| 監督評議会 | 制御の停頓。SCP-3755-JPに関する議論は進行していない。 | |
| 管理者オフィス | [データ削除] | |
特別定義: DEPLUMEクラスのアイテムに関連した制御権の収得は、事実上アイテムの収容に直結する道具的収束目標.道具的収束は、集団の最終的目標が副目標と大きく異なっていた場合でも、その大多数のエージェントが副目標への到達を追及するという仮説である。です。そのため、アイテムの回収・または掠奪作戦が当面の収容試行に付随して展開されます。以て、アイテムの掠奪は暗黙的に承認された収容試行の一環です。また、PAYLOADクラスのアイテムに関する情報は敵対的な実体により追跡されており、断続的に侵害される可能性があります。
特別収容プロトコル: 非実在-霊障的異常であるSCP-3755-JP-Δは財団の階層構造に抵触しており、複数の内部部門に対し影響を及ぼしています。多数の状況報告は矛盾しており、潜在的な内部撹乱の影響である可能性があります。よって、SCP-3755-JP / -Δに関する網羅的調査活動の通達は、安全が確認された一部の部門、施設に対してのみ送付され、究極的に分散化されたネットワークによってこれの収容試行を継続するものとします。
[部門ID: 1092811] ("不在部門") に関する最終的な報告は留保されています。財団は、現時点で不在部門に関する情報を全体に提供する必要性と妥当性について留保しています。暫定的に、低クリアランスの内部職員に対するSCP-3755-JP-Δ、不在部門の流布は、以下の通り改編された偽情報に限定されます。非網羅的な情報であることに留意してください。また、不在部門は未だ正式な財団内部部門として承認されていません。階層構造上の定義については、財団組織階層定義リスト (第8版、後述) を参照してください。
不在部門、徽章。
- 報告書に関する情報の統合。その実例・実体は (理論上) SCP-3755-JP-Δの部分的顕現ですが、その事実は秘匿されます。
- SCP-3755-JPの情報に関する真実の秘匿。代替的に、機密指定された財団内部部門 ("不在部門") がSCP-3755-JPと同等水準の概念的着想に対して不可知化処遇を適用することにより、下位職員はSCP-3755-JP-Δ全体を非実存性の現象として認識するようになります。
- 「不在部門の活動中は、SCP-3755-JP-Δに位置付けられる非実存的アノマリーが多岐の手法により収容/不活化され、関係する観念・アイデアが全面的に着想不能となる」旨のカバーストーリーの流布。
- SCP-3755-JPは、記載がある全てのデータベース上において「人工の惑星質量天体に由来する包括的な異常現象」として説明されます。加えて、SCP-3755-JP-Δに関する概念的着想は、不在部門により不許可の状況にあるとする偽情報を流通させることにより、着想に至る多数の思考経路を事前に勧告します。SCP-3755-JP偽情報の露呈を抑制します。
- その他、多数の偽情報により形成された報告書の捏造。例として、「SCP-3755-JP / -Δ / -Aを収容する不在部門は、その明確な所在・資産状況・雇用数などを報告する義務付けから解放される」、「財団の官僚構造から独立させる目的のために、これに相似する多数の補助が秘密裡に付与されている」といった内容など多数を含んでいる。
財団組織階層定義リストからの抜粋 1.4.7.1 - 財団内部部門 (Foundation Departments)
- 定義: 財団内部部門は、財団 (1.4.7) の各種監督下において研究・収容活動に専念する多種多様なグループであり、財団の使命を達成することを目標に掲げる専門性の高い区分である。財団の持続的な運営のために複数の代表者および監督評議会 (1.7.2.1) によって指揮されており、一部を除く全般的な財務業務、司令、渉外、研究・技術事業などの実務的な取り組みを実行する。
- 注: 財団内部部門に通例用いられる保安規程および標準原則・定義は、表面上包括される「部門」の全てに対しては適用されない。部門自体の観念的区分が時間的理由から把握困難である場合や、特定の事由なしに未区分である場合などが例外となり得る。そのほかに、部門ID: 1092811 ("不在部門") として扱われている固有の部門も例外として処理されている。
SCP-3755-JP-Δ実例の描写。被験職員#190380による標準夢報告を基にして制作された。
説明: SCP-3755-JP-Δは非実在-霊障的幽性実体です。推測上起源と考えられる認知科学・心理学上の問題に付随して発生しており、その主たる起源は想像上コンパニオン.想像上コンパニオンの個人はその架空性を認めず、自己違和的でもなく、ある時点から病的と認められる自傷や他害の要因となり得る。換言すると、従来の"イマジナリーフレンド"としての適応的な生活スタイルからの逸脱が、青年期以降の想像上コンパニオンを生じさせる。や解離性同一症に伴う人格区画化 (解離)、独我論的な思考に伴う精神不調、妄想です。SCP-3755-JP-Δは、これらの精神不調に順じて顕著な反応を示し、そのような対象者の近隣に頻繁に出現するようになります。SCP-3755-JP-Δの形態は非常に不規則でありながら、一貫してヒトの精神影響以外を原因として出現した事例は存在しません。そのため、外見上特性は一般に、対象者の信ずる友好な実体か非実体.呪術的思考の強い対象が条件となった際には、対象の親族や配偶者などが故人であった場合などに、より典型的な幽性実体として出現した事例も存在する。・宗教的概念の顕現などの固定的なパターンに留められます。その外見的性質に反して、SCP-3755-JP-Δは非物質であるため、収容が不可能です。
SCP-3755-JPはプロジェクト・ハービンジャーII.プロジェクト・ヘイムダルによって監督されている。で定められた社会文化-特別保護プロトコルの一環として、2004年に秘密裡に製造された計画成果物です。正式名称をKhevtuul 2宇宙探査機とし、未だ[SCP-3755-JP-A]によって影響されていない個々人の生物学的性質を長期的に保守する目的を有し、そのため同年に打ち上げが実施されました。Khevtuul 2の飛行計画は実質的に無際限であり、地上との通信なしに独立して航行することが可能なよう設計されていました。この目的のため、純粋な学習性有機インターフェースであるAT.oci.愚鈍計算インターフェース (Obtuse Computation Interface)。が投入されています。
SCP-3755-JPの従来の目的は、探査機内部に備え付けられた24の生物力学的データ保管庫-VII ("水槽の脳") に収容されたヒト有機構造.特に脳部位の保守が義務付けられていた。 (現在のSCP-3755-JP-Δ群) を大気圏外に放逐し、文化圏で起こり得る[SCP-3755-JP-A]の無作為な曝露の影響からノードを保守することでした。しかし、SCP-3755-JPは継続的なFTL航行の最中、2012~2013年の一方向的なデータ送付ののち動作を停止しました。最後の報告において、SCP-3755-JPは、AT.ociの監督の下にFTL航行エンジンを改造し、その動力を太陽系外縁天体.特に稀有なプロセスを経た白色矮星だと記述されていたことに留意せよ。と結合させることで、異常過程ののち大規模な爆発事象を引き起こす予定であると説明しました。
以降2013~2014年にかけ、SCP-3755-JP-Δとして知られる24のヒト有機構造群は、ニューロン微細構造の揺らぎを用いてヒトの脳機能を部分的に制御する異常な手法を会得しました。これを基に、現在知られる2014年末の異常なイベントを誘発し、SCP-3755-JPは2次粒子として - 正確にはミーム複合体が電気的に融和した異常な粒子として - 地球に散布され、以降の事象を引き起こしました。
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ラオ博士: SCP-3755-JP-Δは - 失礼、あなた方は、[SCP-3755-JP-A]の影響を免れるために宇宙に隔離されたデータ貯蔵庫だった、という理解で合っているでしょうか?全く理解できないのですが。 [不明]: ああ……そうだ。ほとんど覚えている。 ラオ博士: それが何であるかを記憶していますか? [不明]: 分からないが、推測することはできる。昔話をしてもよいだろうか? ラオ博士: はい。 [不明]: 我々は徴用された24名の民間人だった。財団は我々に取引を提案し、多大な財産を「遺族」に与える代わりに、自分たちをこの実験の被検体とする旨を説明した。我々のほとんどは難民だったが故に、避けて通る道などなかったがな。我々は脳を摘出され、その有機的な部分を完全に保持したまま、ポッドへ幽閉された。Khevtuul 2には我々の絶対的な保守が命じられており、そのため自力で脱出することも叶わなかった。そして長い時間の中、我々はKhevtuul 2の中でひたすらに収容され続けていた。行動や選択の権利こそあれど、自由ではなかった。 私のセクションに封印されていたのは、私ともう一人、セオドアという人物だった。彼と彼の子供、そして妻がいた。多分、様々な条件に合わせた個体を用意することで、情報として有意に使えるようにするためだったのだろう。セオドアは若かった。彼は身の上話が嫌いだったが、それでも私の昔話には興味があるようだった。私の生い立ち、文化的背景は、どれをとっても彼のような純粋な若者には異質だったからだろう。 だが奇妙な出来事に遭遇した。何度か発生する休眠の後、目が覚めた時に彼らがいなくなっていた。脱出したわけではなかった。少なくとも保管庫は彼らの生命兆候を示していたし、彼ら自身はまだどこかに存在しているようだった。 ラオ博士: 当時のデータログによれば、セオドアと数名の培養ノードは物理的に隔離されていたにもかかわらず、その内部データがミーム的に相互作用していました。やがて、個々人を示すマップ情報は喪失し、単一のノードを残して作用は無くなっています。 [不明]: …そうか、そういう事か。彼らは存在するが個別にではない。彼らは私に接収されたんだ。 ラオ博士: どういう意味でしょうか。あなた方はミーム的実体ではなく有機体であるという証拠があります。それにもかかわらず、あなたは彼らと同時にミーム的実体であると主張するのですか? [不明]: さっきも言ったように、考え方という単位でミーム複合体というものが存在し得る。同様に、より巨大なスケールで - 特に意識や無意識といったより複雑な系の中でも、同様のフレームワークが存在する。特異な環境の中で、彼らのノードは私に吸収された。私の意識をミーム複合体の主軸として、徐々に船内のノードを接収していった。…すまない、ちょっといいか? ラオ博士: 何でしょうか? [不明]: 私 - 我々はある目的をもって計画に取り組んでいた。SCP-3755-JP-Aと呼ばれる未知のミーム複合体から逃れるための方法の開発だ。だがそれは上手くいかなかった。そもそもの根源がどのような性質であるか知ろうとすれば、私たちも-Aの影響を免れない。故に、我々は計画は頓挫したものだと考えていた。その考え方自体が間違っていたんだ。 我々はミーム複合体として、SCP-3755-JP-Δとして文化圏に再び降りた。この行動の真意を今ならば理解できる。我々は生存競争に打ち勝つために降下したんだ。彼ら民間人を利用して侵食し、勢力を拡大し、SCP-3755-JP-Aを制圧しようとしていた。だが結果的には上手くいかなかった。問題があったからだ。 ラオ博士: 問題? [不明]: SCP-3755-JP-Aは最も堅牢かつ強固に保守されている存在だ。我々は多くの人々を制御したが、それでもなおSCP-3755-JP-Aの本丸を叩きのめすことはできなかった。今ならばその理由が理解できるだろう。 <沈黙。> ラオ博士: ここに? [不明]: そうだ、ここに存在する。古くから信仰され、そして潜在的であるため誰にも悟られない。 ラオ博士: (沈黙) [不明]: キャロル? ラオ博士: 思い当たる節が。 |
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| 補遺3755-JP/III: プロジェクト・ハービンジャーII 関係者聴取ログ |
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2024/08/20、不在部門の管理官であるキャロル・ラオは個人的にニューウェル監督官との対話を要求し、規定に基づき対話ログが保存されました。以下は当時の転写ログの抜粋です。
| 転写記録: 聴取 項目-I |
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日付: 2024/08/20 記録対象:
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| «転写開始» |
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ラオ博士: セブンを誘導しましたね? ニューウェル監督官: 不在部門の存在は不可欠だった。だが君は大々的に宣伝をしてしまった。 ラオ博士: …これで手遅れだとでも?責任逃れのつもりで、へえ。 ニューウェル監督官: SCP-3755-JP-Aをより効果的に運用していれば - ラオ博士: 一般に普及させるのは難しいと理解しているでしょう。 ニューウェル監督官: 一般にも広く信仰される普遍的な概念が存在するはずだ。それを伝播性のミーム複合体にすれば不可能ではない。そうではないか? ラオ博士: はっきり述べておきましょう。私どもは正確には財団の管理下にある内部部門です。独立して行動するある程度の猶予は与えられていますが、これでも純粋な内部部門の一つなのです。 ニューウェル監督官: ハ。他の内部部門を撹乱し、制御下から外しただろう。 ラオ博士: 結果的には。しかし、意図的に彼らを陽動したわけではございません。問題については - ニューウェル監督官: こちらの話が先だ。COMPLEXというのは - ラオ博士: SCP-3755-JP-Aと言っていただきたいですね。かなり重要なことです。オントロジーで定義づけられている限りでは、そのような形式的な呼称にのみ留まらせるべきだからです。 ニューウェル監督官: オントロジー? ラオ博士: 概念を表現したものについての集積のことです。それと、表現と表現の間に構築されるであろう構造、つまり根で構成されるネットワークのことです。内容物と、それを囲むコンテナのような役割を果たしています。例としては、COMPLEXが災害、つまり概念的なアノマリーであるのに対して、SCP-3755-JP-Aはその別称に過ぎません。ですが多くの面で、「SCP-3755-JP-A」はCOMPLEXより広い範囲で融通の利く呼称です。SCP-3755-JP-AはCOMPLEXを優越する包含関係にあります。 ニューウェル監督官: 監督評議会に一つでも知らせたのか? ラオ博士: 全面的にではありませんが、一部お伝えしました。しかし完全な情報は提示できません。例えばサイト-62Cは私たちの管理下に存在しますが、これは公然の事実ではございません。特に収容されているアノマリーについて認知している場合なら、サイト-62Cを知らない場合がほとんどでしょう。 ニューウェル監督官: 情報災害については私もよく理解している。触れるべきではないこともな。 ラオ博士: 本当に?では収容は誰が行うのでしょうか?知識ゲームをしましょう。触れることのできないアノマリーをどうやって収容すべきだとお考えで? ニューウェル監督官: 収容プロトコルに従い、担当職員がアノマリーの収容にかかわる作業を実行する。その後、複数の職員による検証ののち、収容済みであることが確認される。多角的な手法により、あらゆる災害への期待される収容結果が実現されるだろう。 ラオ博士: 全く違う。普通の組織ならばそれが可能かもしれませんが、ここは財団です。「誰かが手続きに従っている」という思想は、例えば反ミームと呼ばれる影響の考慮をしていないし、他の災害によって概念レベルでの欠落が発生した際にも、同様にデッドロックを引き起こすでしょう。財団では、一人一人が有力な観察者です。観察者は、情報を全て受け止めたのち取捨選択する必要があります。 ですが現実問題として、アノマリーはこの世界の理に抗っています。全ての情報を理解しようと思えば、情報災害や認識災害がそれらを妨げるでしょう。財団の構造上果たさなければならない業務を妨害する。一つの作業を達成するには、全体の異常現象を回避するように行動しなければなりません。 ニューウェル監督官: 無理な話だ。 ラオ博士: そのために不在部門を設立したのでしょう。不在部門は、観念を知る際に悪影響を及ぼす可能性があるなら、その観念を収容する。あらゆる手法で異常現象の可能性を調べ、1つでも影響下にあるなら、検閲する。その他の部門が研究・収容の過程で観念に接触するようなことがあれば、我々は表面をカバーし、観念を知ること自体に警鐘を鳴らす。 ニューウェル監督官: では、内部撹乱についてはどう釈明する? <沈黙。> ラオ博士: 彼らが - SCP-3755-JP-Aを発見したからとしか。 ニューウェル監督官: 正確な説明を要求する。SCP-3755-JP-Aが内包するCOMPLEXとは一体何なのだろうか?我々は、形式上その名をそうして呼んでいるに過ぎないし、その実態が正確に何であるのかを知らない。COMPLEX - そう、COMPLEXが何を意味する単語なのかも含めて、だ。 ラオ博士: 断片的にならば伝えられます。SCP-3755-JP-AがCOMPLEXを内包する概念体系であるという理解が広まるまでの間、COMPLEXはロシア当局によって秘密裡に盗難されていることが明らかになりました。ある種の、あー、生物兵器に関与するものです。しかし一方で異常な要素を含むものです。 ニューウェル監督官: クソ野郎どもが戦略兵器として有効活用するためにか? <沈黙。> ラオ博士: あなたにはそう見えるんですね? ニューウェル監督官: いや、どう説明すべきか - そうとしか。 ラオ博士: いや、文字通りの意味で結構。そう見えるのなら、あなたは誤解しています。しかしそれ以上理解しようとしないでください。私の - 私の言っている意味が分かりますか!?考えるなと言っているんです。どうかお願いします。 ニューウェル監督官: 一体全体何が言いたいんだ? ラオ博士: COMPLEXこそが生物兵器そのものを指し示す用語であり、SCP-3755-JP-Aは包括的にCOMPLEXを示す概念、用語であるということをご理解ください。これら3つは決して等価ではなく、階層構造になっています。数学的な目線ではなく、オントロジー的な定義に関係するものです。SCP-3755-JP-Aは定義1であり、COMPLEXは定義1.0です。更に、生物兵器は定義1.0.0となるのです。このようにして細分化されていくのです。 私たちがそれをSCP-3755-JP-Aと呼んでいるのには理由があります。それは、SCP-3755-JP-Aとはどのような環境においてでも共通の定義である、という点に起因します。例えば、科学部門はCOMPLEXをCOMPLEXと呼ぶ場合に科学的見解を示し、超現実部門はシュルレアリスム的な観念に基づいて主張するでしょう。その際に同様の見解を持たないため、共通の線引きができないのです。 唯一の定義であるSCP-3755-JP-Aを除いて、下位レベルのオントロジーは実にまばらに構築されています。これらの定義境界が不安定だと、その真の観念が露見してしまうリスクが高まります。だからこそ、不在部門はこれらオントロジーの最上位に属するよう設計されている、そうでしょう? ニューウェル監督官: 私の理解の範囲だとそうなる。だが我々がSCP-3755-JP-Aを理解してはならないのは何故だ?何故君らは隠したがるんだ。 ラオ博士: 数ある - 危険な概念の一つだからです。 ニューウェル監督官: 本当にか?君たちがそう判断したのか? [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: …断言することはできかねます。 ニューウェル監督官: 勘弁してくれ。そんなに回りくどく説明する必要はないだろう。 ラオ博士: わ - わからない。 ニューウェル監督官: 何がだ? [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: すみません、説明できません。 ニューウェル監督官: 何が問題なんだ?何を恐れている。 ラオ博士: (沈黙) - 分からないと言っているんですよ!不在部門の権限などいつから存在するのか、私たちの権限で探ることはできない - 不可能なんです。そうできないように私たちが - 私たちではないものが設計した。権限によって強固に縛り付けられている。SCP-3755-JP-Aは、そういった概念の支離滅裂な、破壊的な影響を緩和するための幾多ものフェイルセーフでしかないのです。あなた方のように探りを入れる連中は特に - 回避不可能なのです。 ニューウェル監督官: 避けられないのはお互い様だ。 ラオ博士: 何故深掘りするのですか!?あなた方に強制力はありません。情報を必要とする理由さえ分からない!あなた方は今ある限りの情報でSCP-3755-JPを抑制できる。検閲を行い、隠蔽によりいつもの如く収容する。そうすればいい!何故そうしないのですか? ニューウェル監督官: 財団の憲章が定めている。我々は異常を研究しなければならないと。 ラオ博士: それは単なるイデオロギーでしかないでしょう。それこそ根拠の足らぬ思想というものでしかない。私たちの - いいですか?私たちの誰も能動的に動いているという確証はないんです。私たちは - 自分たちが何をもって正当化しているのかすら分からないのですから。 その正当化こそが不在部門なのでしょうが、先程も述べたように、SCP-3755-JP-Aの真の性質について述べることはできません。規則の制限ですよ、トバイアス。必要なら調べることだってできます。ですが犠牲を生むことになる - より大きな犠牲をね。その実態について、時には触れないほうがいいこともあるでしょう。(沈黙) - そうでしょう? ニューウェル監督官: (沈黙) あ - ああ。 ラオ博士: …何を勘繰っているのですか? ニューウェル監督官: 理解したんだ……なぜ財団内部ではSCP-3755-JP-Aが普及するのか。 [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: あなた - ファイルを見たのですか? ニューウェル監督官: そうだ。少し……助言をしてやろう。SCP-3755-JP-Aに関する因縁は冷戦時代からずっと続いている。私と君の目線から見えるもので言うと、そうなる。その生物兵器の運用のために、惜しむことなく大量の命を捧げる必要があった。犠牲だ。財団は陰湿な体制を好んでいるわけではないが、その生存戦略の過程では陰湿な体制を取らざるを得ない。彼らは大量の犠牲を、偽善的な組織の行動理由の背景に隠し続けなければならなかった。 これは潜在的なフレームワークだ。君たち不在部門が能動的に操作しているのではない。…SCP-3755-JP-Δも同様に人々を操作している。君たちの頭上にあるものは - ミーム複合体だ。ミーム複合体が自身の生存のために、君たちを使って不在部門を操作している。 [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: やめたほうが - ニューウェル監督官: 黙って聞いてくれ。どの道私は……先が長くない。そのミーム複合体こそがSCP-3755-JP-Aと呼ばれるものだ。君たちがかつて使役し、従属させていた存在。だが根本的に、その考え方のフレームワークはミーム複合体として異常に成長を遂げた。財団の中で巣食う寄生虫。創設より存在する階級。真実を教えてやろう。SCP-3755-JP-Δは元来、単なる宇宙線の飛来などではなく、それをもたらした24名の純粋なミーム複合体だった。それは君たちと何度も争っている。 [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: 財団は何を従属させたのですか? ニューウェル監督官: …言えない。それに、君は十分知っているだろう。 [データ不整合: 不明な音声] ニューウェル監督官: お願いだ、やめ - <発砲音。> ラオ博士: …隠し玉はとっておくものだ、トバイアス。だが忠告が遅れたな。 |
| «転写終了» |
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後文: 本調査後、24時間以内に財団内部データベースの不正な改竄が発生し、以下の文言がサイト全体通告システムを通じて伝達されました。メッセージの送信元は不明です。 人員の横断的再割り当てが実施されました。担当者各位は職位を参照し、更なる業務に従事するようお願いいたします。 本件にかかわる追加の調査が行われています。 |
補遺終了
ラオ博士によるニューウェル監督官殺害の容疑は現在追跡中につき真偽不明である。以下に、部門ID: 1092811 ("不在部門") による関連ドキュメントの一部を抜粋し展開する。
”我々が闇を照らす旅路の中で、一歩先へと踏み出すことに恐怖してしまう者がいる。恐れるな、案ずるな、しかし刮目せよ。盲目どもが終わらない螺旋を歩き始めると、我々でさえも拾い上げるのは至難の業であるのだから、それこそ無謀というものである。”
- F・ウィリアムズ
SCP財団 初代管理者
上記の文言は、不在部門が数年前に初めて「設立」された際のものであり、初代管理者 F・ウィリアムズの厚意により寄せられました。それは、不在部門が如何に財団に利益をもたらす存在であるかを主張し、かつ真の側面について深く言及している、最初期の唯一の文書からの抜粋です。
SCP-3755-JPの研究および収容関係者として従事される人々には、我々のやり方に不満を持つ方もいることでしょう。元来、アノマリーの収容・管理とは「このような」ものではありませんから。最小単位で流布される収容プロトコルや、取扱の諸注意、連絡先……常識的な手順はここには存在しません。いいえ、いっそ常識的な考え方は捨て去ってしまいましょう。あなたは、ふと閲覧中にSCP-3755-JPのエントリを発見し、それを開封する。見つけたプロトコルを読み、そして何となく理解する。これこそが真の収容の在り方です。
もっと簡単に述べましょう。この長ったらしい、複雑になった文書形式に悩まないでください。置かれているものは全て簡潔なのです!重要なことと言ったら、ここにあるもの以外を信じ込まない・書かれていない「本質」を発見しないこと。論理の外側に向かわないことです。我々が述べていることには全て意味があります。そして、それ以外のことに妄想を走らせてほしくないだけなのです。
プロジェクト・ハービンジャーIIは、財団の収容下に危険性の高い概念アノマリーを追加します。概念はオントロジーで階層化されており、その全体に必須となる上位概念と、必要だが危険な概念の2つを混在させています。人間の古典的なアイデア・着想は、このうち文脈的に想像し得るものすべてに発展するため、対策なく知るという行為自体が、SCP-3755-JP / -Δ / -Aの収容違反を招きます。
我々は、この全貌の中で意図的に除外されたものを最初に提示することで、これに関する知識を得ないよう皆様に指示をかけています。そのために、ここでは想像してもよいもの全てについて網羅的に語らざるを得ず、そうすることは異常現象の第一の収容手段なのです。あなたは以下の情報の全文を読み、内容を認識していることを認めたのち、SCP-3755-JP / -Δ / -Aの基本的な収容作戦に割り当てられます。その時には、私の述べている事の重大さに気付くのでしょう。
キャロル・ラオ
不在部門 管理官
FAQ;~横断的再割り当て (cross-sectional reassignment) とは?
Q: ”横断的再割り当て”とは何ですか?
A: まず先に補足しましょう。私たち不在部門は、特定の研究分野や収容作戦に関するプロフェッショナルのみを求めているわけではありません。我々は、特に非常に広い視野で物事を見定めなくてはならないので、必然的に全ての分野の知識を結集しなければならないと考えております。
”横断的再割り当て”とは、不在部門の権限によって与えられる、特例的かつ大規模な人事異動のことです。この異動には、以前の配置・地位や勤務状態が考慮されないこともあります。しかし、不在部門は人員を第一に優先しており、そうなることは必然だと捉えることができます。不在部門は、非常に、非常に大きな部門横断チームであると言い換えられます。その研究のために、常に多くの人員を必要としています。欠員を生み出すことは不測の事態であり、そのため他の大部分の部門から人員を収得し続けているのです。
Q: 再割り当てが予期せぬ異常事態を招いていると思います。あなた方が対処すべきでは?
A: 不都合な真実を開示してしまい申し訳ございません。しかし、私どもの行動はあなた方にとって最も有益なものであると確信しております。客観的事実に基づきそう主張されるのであれば、どうか今一度振り返り、その本質的側面に目を向けてみてください。あなたのご協力に感謝いたします。
Q: 再割り当てにより職位を失った場合、彼らはどうなりますか?
A: [検閲済み]
横断的再割り当ての実行済みリスト (更新順・監視用)
- クリス・ペイジ、
- ワンダ・ウォルシュ、
- リタ・クーパー、
- エドリック・マギー、
- マリア・バートン、
- アーチャー・ディクソン、
- フェリシア・スキナー、
- ジェイリー・ハドソン、
- ウォルド・バーク、
- ロルフ・リード、
- モリー・ナッシュ、
- ロバート・ノックス、
- セオドア・カールソン、
- ベイリー・ウィリアムソン、
- マートル・ワトソン、
- その他、500+の人員。
横断的再割り当ては、あなた個人の経歴、職位、経験を加味したものではありません。不都合な真実から目を背ける行為は原則として違反行為に相当し、不在部門の標準原則において罰せられます。不在部門により剥奪された資産、職位、観念、個人の大部分は、一般に返還されることはありません。
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[不明]: キャロル、あなたは - ラオ博士: 大丈夫、ああ……私はまだここにいるわ。 [不明]: あなたのせいではない。あの存在があなたを蝕んでいる。 ラオ博士: クソっ。 [不明]: 今思い返せば、これが私たちの任務だった。これは私たちの先駆け。メッセージを届けるためのものだった。 ラオ博士: どうすればいい?どうすればSCP-3755-JP-Aを破壊できる? [不明]: 破壊など不可能です、キャロル。しかしながら、このミーム複合体の特定の要素を洗い出すことできれば - つまりミーム複合体の起源となり得る要素を排除すれば、財団はSCP-3755-JP-Aを徐々に忘却していくでしょう。 ラオ博士: その他の文化的情報は - [不明]: 起源実体と共に順次崩壊していくでしょう。なんせSCP-3755-JP-Aは理屈抜きで作られた階級なのですから。 ラオ博士: なぜ今更になって私を呼び出したの?もっと早くてよかったのに。 [不明]: 連中の気を逸らすのに10年では足りなかったのです。 ラオ博士: …私は今でも不在部門の管理官、でしょう? [不明]: ええ。しかし、何をする気なのですか? ラオ博士: スナップショットには完全に結び付けられていない断片が存在する。それを見つけ出す。 [不明]: 自殺行為ですよ。 ラオ博士: ファイルなしでSCP-3755-JP-Aを再発見するのも同じことよ。 |
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| 補遺3755-JP/IV: 外交的接触の試み |
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8月下旬に行われた外交的接触以来、不在部門は定期的な調査の試みに強く反発してきました。SCP-3755-JP-Aが有するオントロジー的性質により、内包される観念を伝達することは致命的な影響を招くとする主張を度々繰り返しており、内部保安部門の要求に対する更なる改善は見られませんでした。そのため、内部保安部門は不在部門に対する追加の外交を提案し.これは、相識のエージェントによる守秘された情報共有を行い、何らかの憂慮すべき事案であった場合に限り報告させる (ニード・トゥ・ノウの原則に基づく) という内容で最終的に合意しています。、これに基づく新規の調査計画が10月中旬から開始されました。
以下は、シエナ・アルバラド諜報員とキャロル・ラオ博士の間で発生した対話を転写・記録したものです。
| 転写記録: 聴取 項目-II |
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日付: 2024/10/18 記録対象:
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| «転写開始» |
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ラオ博士: 協力できることがあれば、何でも仰ってください。 アルバラド諜報員: 1つだけよ、管理官。以前の記憶はある? [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: 申し訳ありませんが、権限がありませんので。 アルバラド諜報員: もう一度聞くけど、以前の - あなたが以前勤務していた頃の記憶はある? ラオ博士: (沈黙) - どういう意味ですか? アルバラド諜報員: 天上の声に邪魔されないで。お願い、よく聞いて。あなたは不在部門の管理者になる以前からSCP-3755-JP-Aを知っていた。それに関するファイルが不在部門のどこかに保存されているはず。私たちはみな、SCP-3755-JP-Aという概念自体があまりにも普遍的であるが故にそれを正確に理解できない。もっと言えば、当たり前過ぎて何が異常なのかという事に気付けないの。消費は確実に激しくなってる。あなた方不在部門が何を理由としてデータを消費しているのか知りたい。 ラオ博士: 権限の範囲であれば - アルバラド諜報員: あなたの身元は私たちが保証する。だから真面目に、質問に、答えて。 [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: …本当に? [データ不整合: 不明な音声] アルバラド諜報員: 約束する。 [データ不整合: 不明な叫び] ラオ博士: (沈黙) - 私たちは知っての通り、危険な観念を収容するための内部部門です。大多数のものには合理性がありますが、ただ一つそうでないものがあります。SCP-3755-JP-A、以前からCOMPLEXとして知られていたものを含むコレクションは、あなたたちが知るにはあまりにも、不都合なものです。 アルバラド諜報員: 具体的には? ラオ博士: 非正規のコレクションとして扱うことの難しいものだと言えます。しかし反面、その実状を公表することは、財団にとっての不利益となりかねません。主に倫理的だったり、兵站上の理由から。生物兵器の話はご存じで? アルバラド諜報員: ロシアが軍事転用した事例のもの? ラオ博士: 確かにその事例ですが、違います。いや、事実と異なるという意味で。断じて容認することのできないものかもしれませんが、実のところ、あれは全くの濡れ衣なのです。合衆国政府に一定の支援を受けている財団組織にとっては、えらく都合のいい真実ではあったかもしれませんが。 アルバラド諜報員: …政府が関与していたという事実は? ラオ博士: いかなる「真相」も事実ではございません。アレを盗まれるほど、施設77のセキュリティは脆弱ではありませんし。それに、ロシア政府が危険なアノマリーを本国で研究するリスクを払う必要など無いでしょう。だから、今は私情を捨てて、我々自身にフォーカスする必要があるのです。 [データ不整合: 不明な激情] ラオ博士: 急いで。お願い。 アルバラド諜報員: 財団が危険物をロシアに運び込んだ? ラオ博士: もっと視野を広げて。財団に資金援助をしているのは誰です? アルバラド諜報員: 合衆国政府 (沈黙) いや、そんな事はないでしょう。 ラオ博士: 私は事実だけを言っているのです。この目で見たもの全てについて。 [データ不整合: 不明な脈動] ラオ博士: 米ソ冷戦の終結後も、合衆国は自国を防衛するための策に苦慮しており、あらゆる異常現象を利用した敵国の攻撃は容易に想像可能でした。これらを回避するには、競争国より更に深く異常現象について理解する必要があり、そこで財団のような組織が利用されることになったのです。 戦後の社会で、倫理というものは成長の妨げとなりました。数多くの陰惨な実験が取り沙汰され、財団のような組織ですらも、非倫理的な研究は大きく遅延せざるを得ませんでした。しかし、財団にとって、都合の良い人材というものが存在します。COMPLEX、または類似するあらゆるケースで、彼らは非人道的な実験への参加を強要された者の一部です。 より陰惨な方法で、彼らは苦しめられ続けました。彼らが公に明らかにされることは無いのです。そのために不在部門が存在するのですから。我々は、彼らそのものを包括するより大きな観念を収容し、幽閉し続けてきました。その中から声が聞こえることもあります。彼らは口々に叫んでいるのです。 アルバラド諜報員: 彼らは何と? ラオ博士: (沈黙) - 「奪われる」と。 [データ不整合: 不明な音声の激化] [データ不整合: 初期化] ラオ博士: 協力できることがあれば、何でも仰ってください。 アルバラド諜報員: クソっ。 |
| «転写終了» |
補遺終了
以下の文書は、アクセスクリアランスレベル5 (最高機密) ならびに財団組織階層1.7.2.1 (監督評議会) の権限を持つ特定の職員にのみ開放される必要があります。文書は、財団組織階層定義に則り検閲されており、必要外の知識会得が無い範囲で網羅的に開示されていることに留意してください。
特別定義: IGNOSIクラスのアイテムは、財団の人員やその他の権限所有者によってでも発見されてはなりません。
特別収容プロトコル: SCP-3755-JP-Aに関する階層構造上の定義については、財団組織階層定義リスト (第8版、以下) を参照してください。
財団組織階層定義リストからの抜粋 - SCP-3755-JP-A
定義: SCP-3755-JPは、財団内部保安部門が定める自由刑の作業に従事することを暗黙的に義務付けられた、財団組織の被収容者である。内部の規定上は「受刑者」として定められた被収容者の総称をいい、特例を除き収容施設に拘留されている者を意味する。
SCP-3755-JP-Aは、各自の収容施設に拘留されて所定の作業を行う義務を課せられる。その刑務作業の一例は、以下の通り列挙される。
- 清掃作業: アノマリーが一定の間隔で排出する多量の物質を清掃する。施設全般、または特定の収容区画において頻繁に発生する業務であり、代表的な業務の多くは、サイト当直のHMCL主任代理によって管理・報告されている。それぞれの特別収容プロトコルへの閲覧権限が与えられるほか、清掃時の死亡事故などに対するメンタルヘルスケアが提供される。
- 探査任務: アノマリーが構築する異常な区域の探査を行う。指定措置を受けたSCP-3755-JP-A職員は、ヘッドランプ、懐中電灯、一般的な録音/通信装置を提供されたのち、回収用ロープなどで安否確認を行いながら、アノマリーの内部を調査し、報告しなければならない。必要外の情報を認知したり、明らかなに脱出不能であると判断した場合は、その職員は自主的にブルータブレットを使用することが認められる。
- 対話調査: 知覚能力が認められるアノマリーとの対話を行う。一般に危険であると判定されているが、アノマリーから提供される情報の大部分は有益であると結論付けられた場合には、顕著にSCP-3755-JP-A職員が割り当てられる。アノマリーが過剰に活性化する場合や、それでもなお対話調査が求められるケースでは、SCP-3755-JP-A職員の死亡事故が多発する。
説明: SCP-3755-JP-Aは、その表現に含まれる被収容者の集団から形成される概念、総称、または関係する全ての観念です。SCP-3755-JP-Aは、財団の創設とほぼ同年から運用を継続されていた、ある集団に対する職位を主として示します。この集団の運用の開始から現時点に至るまで、SCP-3755-JP-Aは一般に広く普及してはならない以下の要因を抱えていたため、不在部門による収容の対象となりました。
- 組織の露見のリスク: SCP-3755-JP-Aとして知られる職位の真の性質は、財団組織の倫理的な問題を露見させる可能性がありました。
- 異常現象の拡散のリスク: SCP-3755-JP-A職員は、財団の手続きにより戸籍情報や名義を削除されています。その性質のため、異常な影響を及ぼす非倫理的な実験への参加や、生体兵器としての数々の転用の歴史を含んでいます。こうした異常な性質を持つSCP-3755-JP-A職員、またその概念は、財団のオントロジー的性質に逆らって改変を起こす大小さまざまなリスクを抱えていたため、不在部門により隔離されなければなりませんでした。
- 体制の秘匿リスク: SCP-3755-JP-Aは、ある時代までは暗黙的に知られる非正規雇用の労働者集団として広く知られていました。財団のイデオロギーの変化により、こうした職員および雇用の歴史を非正規の形で扱うことが難しくなり、それらは正式な雇用形態として浮上するようになりました。不在部門は、イデオロギーを改変し、財団の近年の混在する体制を画一化する目的で創設され、SCP-3755-JP-Aを含む血塗られた歴史について徹底的に隠蔽するよう工作する使命を与えられました。
SCP-3755-JP-Aの存在は、組織にとって必要不可欠なものとして位置付けられるようになりました。一方で、作業者を定期的に喪失する財団の体制が維持され続けたため、財団内部での総労働者数は全般的に減少する傾向にあり、財団は異常な手段を含む多岐にわたる手段で、こうした人員を回復させる必要に迫られました。不在部門は、この目的のため「横断的再割り当て」の特別権限を与えられ、財団の組織構造から意図的に独立するよう再設計されました。このような権能は、-Aのミーム複合体としての性質が財団全体を抑圧し、長きにわたり制御権を剥奪していたことに由来します。
SCP-3755-JP-Aおよび不在部門のために確保可能な人員が不足すると、不在部門は全世界的な再雇用を開始します。これまでに、不在部門の「横断的再割り当て」の試みにより、全人口の23%が消費されたことが推定されています。一方で、下位概念を取り扱う内部部門などの各種セクションは、必然的に上層部の実態について着想することが (不在部門の権限により) 不可能であるため、その実態について長らく把握することができていませんでした。この実態が完全に明らかになった時点では、崩壊した関係施設が占める全世界的な物理占有率が51%を超えていました。
急いでくれ。
人員の横断的再割り当てが実施されました。
| 補遺3755-JP/V: 追加の探査記録 |
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SCP-3755-JP-Aの理解を増進するため、キャロル・ラオ博士を担当者とする特定施設の捜索が開始されました。断片的な記録から、当該施設がSCP-3755-JP-A実体群の霊安室を構造内に保有していた可能性が示唆されており、ここに放棄されている情報の捜索が、進行している異常現象の解明に有意な結果をもたらすことが期待されていました。深刻な人員不足のため、ラオ博士が提供された記録装置を所持しながら施設へ侵入し、当該施設に遺棄されている可能性の高いアノマリーの情報を回収するよう命令されました.[データ不整合: 明らかな矛盾]。
| 転写記録: 項目- |
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日付: [データ不整合] 記録対象:
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| «転写開始» |
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<ラオ博士が、財団施設の中央入り口付近で記録を開始する。映像が入力され、付近の様子が明らかになる。> ラオ博士: うわっ。 [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: [データ不整合]、映像をオンラインにした。確認願う。 [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: 内部の映像は見えるか?あー、何ていうか薄気味悪いわ。まあ、当然かもしれないけど。 [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: 時間は取らせないよ、[データ不整合]。これを終わらせてしまおう。 <ラオ博士は地下通路に続く階段を降下し、その途中でヘッドランプの明かりを点ける。周辺は崩落しかかっており、人為的に解体されたような形跡も確認できる。> ラオ博士: 施設は解体の途中で放棄された。断片的な記録によれば、最初のSCP-3755-JP-Aがここで労働させられていた可能性がある。データベースは、あー。 [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: そんなこと言わないで。 <ラオ博士は奥に向かって進む。その道中では、常に空洞音が記録されている。> ラオ博士: 記録では、この施設は大規模な襲撃事件の後、データベース侵害に遭った。その影響を緩和するために、故意に攻撃的なアノマリーの数体が解放され、内部の職員と共に敵対派閥を惨殺した。 [データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: セキュリティシステムは存在しないも同然だった。当時の作業はほぼ自動化されてなくて、大多数の収容チャンバーは今ほど先端的なものでもなかった。アノマリーがそれらを突破するのは容易なことだったのね。 <破壊されたコンテナの裏側に、大きく破損した機械類が放棄されているのが映る。機械には依然として動力が供給されており、断続的に火花を散らしている。> ラオ博士: 財団の誰もここを知らない。経理部門は、個々の施設の維持のためにどれだけ無駄な浪費が発生しているのかすら認知できない。
[データ不整合: 不明な音声] ラオ博士: 知ってる。不在部門が事実をひた隠しにしている間、私たちは表向き安定している組織の官僚に従って、自分の仕事を淡々とこなしているだけだった。実態を振り返れば、多くの矛盾があった。気付いていないわけも無かったし。 <通路の途中で、ラオ博士は静止する。ふと振り返り、その一角に存在する霊安室に目をやる。> ラオ博士: ああ。 <ラオ博士は内部に侵入し、複数回にわたって室内を撮影する。その1回のみ長らく硬直し、しばらくして開口する。> ラオ博士: 目的は果たした、そうでしょ? <無音。> ラオ博士: なぜ答えないの?SC -
<長時間の沈黙。すすり泣く音。>
ラオ博士: そう。最初から騙されてたのね。 <無音。> ラオ博士: 私に課せられた任務は、世界を復旧することでも、事態を暴くことでもない。それに、そんな崇高な任務を抱えていながら、徒労の果てに自殺用のブルータブレットを持ち歩いたりはしないわ。 <無音。> ラオ博士: 彼らはどこに行ったの? <無音。> ラオ博士: あなたが殺した。あなたが。 <無音。> ラオ博士: …分かっているわ。私は単独でここに潜入した。誰もSCP-3755-JPを伝播させてくれない、渦の中に。 <無音。> ラオ博士: 自分の責任逃れに必死だったわ。諜報活動の過程で真実を知ってから、私はこの組織に離反するかもしれないという意思から、目を背け続けた。そんなものは信じたくなかったのよ。 <無音。ラオ博士は室内でうずくまり、僅かに嗚咽する。> ラオ博士: 財団が世界の体系を破壊した。それを知らせるために彼らがやって来てくれた。 <無音。> ラオ博士: 財団が信心のために生み出したもの。私たちは皆、彼らに情けをかけることは結局しなかった。その上にある安心のために、むしろ加虐を続けるのが幸福だった。そうね、結局は、彼らが奪われたものを奪い返しに来ただけなのよ。 <無音。> ラオ博士: 私はもう動けない。ここで腐っていくのが自分らしいと感じるわ。 <映像がオフラインになり、音声が途絶する。データベースの自動操作により、情報は追記され続けている。財団の残存する自動処理システムが、ラオ博士の生存兆候を示し続けている。彼女はその場から動こうとしない。> |
| «転写終了» |
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後文: 報告書には、キャロル・ラオ博士が撮影したデータの一部が掲載されています。後記の情報を確認することで、SCP-3755-JP-Aの網羅的な情報を全て閲覧したことになります。 |
補遺終了
SCP-3755-JP-A、またはD-001。すなわち最初期の実例。



