ルーラント・サーフェリーによるSCP-3758-Aの絵画
アイテム番号: SCP-3758
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 一定量のSCP-3758-Aの軟組織サンプルをサイト-59で有機物保存収容ロッカーに保管し、必要に応じて補充します。SCP-3758-A細胞からの個体形成は指定の孵化場でのみ実施されます。
SCP-3758-Aの個体数は、少なくとも3ヶ所の個別の指定孵化場において常に維持・監視されます。現在、サイト-19で30羽、サイト-70で17羽、サイト-10で4羽のSCP-3758-A個体が飼育されています。エオネア・イベントを収容するため、指定孵化場は厚さ3mの鉛で裏打ちされ、恒久的な施錠メカニズムが配備されます。
如何なる状況でも、職員が無許可でSCP-3758-A個体と意思疎通する試みは認められません。
エオネア・イベントが発生した場合、影響された孵化場はその場に財団職員がいるか否かに依らず密閉されます。孵化場が破られた場合は、機動部隊ニュー-7 “下される鉄槌”が動員され、2羽の新しいSCP-3758-A個体が誕生するまでSCP-3758-Bの一時的収容措置を確立します。エオネア・イベント中は、クローン形成を促進するための超常的手段の利用 — SCP-████の運用を含む — がO5評議会に承認されています。
SCP-3758-Aのクローニング手段が無い状況下でエオネア・イベントが発生した場合、非常事態ジャムゲウダ-9が直ちに制定されます。
確立されたSCP-3758-A絶滅説の支援策が制定され、SCP-3758-Aのクローン作成に向けた非財団組織の科学的努力は破壊工作その他の手段で妨害されます。
説明: SCP-3758-Aは一般社会においてドードー(Raphus cucullatus)として知られる鳥の一種です。モーリシャス島の固有種であったこの鳥類の生息数は、ヨーロッパ商船や侵襲的な動物種の干渉によって急速に減少しました。SCP-3758-Aは1662年に絶滅したとされていますが、事案-76728-チャーリーにおいて3羽の標本が回収されました(回収ログ参照)。
SCP-3758-Aの異常性質は、全世界的な生息数が1羽まで減少すると表面化します。最後から2羽目のSCP-3758-Aの死亡時、最後の個体はその身体構造に一連の急速かつ激甚的な変容(以下“エオネア・イベント”と呼称)を受けてSCP-3758-Bになります。
SCP-3758-Bは、白亜紀後期に生息していた嘴を有する恐竜、ギガントラプトル(Gigantoraptor erlianensis)との表面的類似性を有する二足歩行生物です。体長は約5m、体重は1,600kgです。
SCP-3758-Bは皮膚から毎時12,000レントゲン相当の電離放射線を放出しているため、正確な測定を行うのは非実際的であると証明されています。
エオネア・イベント後、SCP-3758-Bは他の生きている生物を探して接近しようと試みます。その存在自体が致死的であるにも拘らず、SCP-3758-Bは他の飛行能力を持たない大型鳥類のそれを上回る敵意を示しません。
回収ログ: 1998/2/15、財団エージェントはモーリシャス島でサーキック・カルト信者の異常な活動と思われる事案に対応しました。調査は“フアリエットの覚醒”の名で知られる小規模な独立組織の存在を明らかにしました — 同組織は3羽の生きたSCP-3758-A標本を保存するために異常な手段を用いていました。標本群の凡その年齢は現在まで不明のままです。
財団エージェントは強制的に標本群を押収しようと試み、標本2羽の事故死と、記録上における最初のエオネア・イベント(事案-76728-チャーリー)を引き起こしました。この結果、一次収容が確立されるまでに軍人・民間人併せて約███名が死亡しました。
日付: 2004/5/12
質問者: アイザイア・ヘンダーソン博士
回答者: PoI-3758-27
<記録開始>
ヘンダーソン博士: 記録のためにお名前を述べてください。
PoI-3758-27: ジャック・サディ、フアリエットの覚醒の元指導者だ。
ヘンダーソン博士: この“フアリエット”Hualietとはいったい何者なのですか? サーキシズムとの接点はどのようなものですか — そもそも接点があるとしての話ですが。
PoI-3758-27: 青銅器時代の恐ろしい悪魔か何かだよ。名前にも多分意味があるんだろうが、その言語はもう廃れているし、古代モーリシャス島民どもは石に書き残すってことをしなかったからな — いつだって葉っぱや土だ。サーキシズムに関して言えば、俺たちはかなり前に崇高なるカルキスト・イオンを見限った — フアリエットの帰還を防ぐために、ドードーを生かし続けるために奴の魔法を借りていただけさ。
ヘンダーソン博士: では何故あなた方は信仰を放棄—
PoI-3758-27: 奴はクソ野郎だからだ。
[ 巨大な暗色の悪性腫瘍が、PoI-3758-27の頭皮に瞬間的に生成される。 ]
PoI-3758-27: …その上かなりの癇癪持ちだ。
<記録終了>
SCP-3758-A文字におけるウーア・イン四世王のカルトゥーシュ、SCP-3758-A-14による図解
更なる研究によって、SCP-3758-Aの舌は発話に適切な厚みを有していることが判明しています。これは稀に(オウムと同じように)ヒトの言葉の模倣にも使用されますが、SCP-3758-Aが話す主要言語は“ナル・ル・ク”Nal-ru-k'と呼ばれるSCP-3758-A特有のものです。
2004/5/12のインタビューで言及された“古代モーリシャス島民”とは、実際には“ナル・ル・クーン”Nal-ru-khuun — 世界の他区画から完全な孤立を維持していた、カースト制度に基づくSCP-3758-Aの知的文明であったことが伺われます。
同文明の貴族階級は、現在まで未特定の手段を通じて現実改変能力 — “バ・スル・シィ”ba-thre-s'-iまたは“神薬”と言及される — を行使していました。財団の収容下に現存する個体群はこの能力を使用できません。当該技術は既に断絶したものと推定されています。
全てのSCP-3758-A個体は種族史の残存記憶と共に誕生します。このため、PoI-3758-27とライル・ナイスミス博士の協力を通して行われたナル・ル・ク語の翻訳は、財団がSCP-3758-Aの文化を理解する手掛かりとなっています。
日付: 2013/9/27
質問者: ライル・ナイスミス博士
回答者: SCP-3758-A-14
<記録開始>
ナイスミス博士: こんにちは、SCP-3758-A-14。
[ SCP-3758-A-14は羽繕いをする。 ]
[ ナイスミス博士はナル・ル・ク語で続ける。 ]
ナイスミス博士: <こんにちは。>
SCP-3758-A-14: <上位者の舌を用いるとは何事であるか! 跪け、奴隷よ!>
ナイスミス博士: <私はあなたよりも背が高い。>
[ SCP-3758-A-14は座り込み、服従の意思表示をする。 ]
SCP-3758-A-14: <私がさらなる証拠を目にするまで、貴様の優越性は完全には認められ — >
ナイスミス博士: <それでも私はあなたより背が高い。>
SCP-3758-A-14: <分かった、分かったとも。私に何を求めている?>
ナイスミス博士: <情報を。>
SCP-3758-A-14: <私の名はポル・ン・カPol-n'-kaであり、水受け皿に排便しており、貴様を憎悪している。>
ナイスミス博士: <具体的に知りたいのは—>
SCP-3758-A-14: <三つも情報をくれてやったのだ、これでも十分すぎる。私の嘴を洗え!>
ナイスミス博士: <私はあなたよりも重い。>
SCP-3758-A-14: <…すまなかった。>
ナイスミス博士: <フアリエットとは何者ですか?>
SCP-3758-A-14: <フア・リ・エトHua-li-et'! 虚言の説教師、いと丸々しきウーア・インUhr-Yin陛下の恥ずべき息子。奴の舌から出る言葉は全て冒涜だった。“下位のカーストにも敬意を持って接するべきだ!” “拷問は必要ない!” “暴風雨から逃れるために天蓋や建築物を作るべきだ!” “神薬に頼ることはできない、いつか使い果たしてしまう!” “異国人に口を利いてはならないという禁忌は取り払われるべきだ!” このような不敬を聞いて、爪の長さごとにはらわたに不快を覚えぬ者がいようものか?!>
ナイスミス博士: <あなたは私に口を利いています。私は異国人です。>
SCP-3758-A-14: <そうだ、しかし我々は双方ともに貴様のほうが私より重いことを知っている、凛々しき者よ。>
ナイスミス博士: <…確かに。ウーア・インはフア・リ・エトに対して何かしましたか?>
SCP-3758-A-14: <彼は大祭司たちに命じて、禁断の神薬を奴の魂に永遠に貼り付け、毒光の野コ・ル・ベ・ニクKho-r'-be-nik'の果てしなき苦痛の中へと消し去った。ナル・ル・クーンの民が存続する限り、奴が戻ることは決して無いだろう。>
<記録終了>
From: ライル・ナイスミス [pcs.noitadnuof|htimsianl#pcs.noitadnuof|htimsianl]
To: 倫理委員会
Subject: SCP-3758-B
SCP-3758-A-14から提供された新たな情報に鑑み、SCP-3758-Bとの交渉を確立するために、鉛張りの掩蔽壕で制御下のエオネア・イベントを誘発すべきであると提言致します。私がこの件をO5に具申することになった場合には、援助を求めます。
- ナイスミス博士
要請を却下する。古代の殉教者を永遠の地獄に幽閉し続けるか、歩くチェルノブイリを解き放つかという二者択一を考えると、残念だが私たちには前者を取るだけの余裕しかない。
- ロレンジ博士、財団倫理委員会
[冗長な点を編集済]
SCP-3758-B: <ここは美しい場所だ。どれほど懐かしく思ったことか。>
SCP-3758-B: <建造物! あの愚か者たちも最後には私の忠告を聞き届けたのだ。>
SCP-3758-B: <私を解放したのは誰だ? 礼を言うことができればいいのだが!>
SCP-3758-B: <あなたか?>
SCP-3758-B: <恐れないでほしい。コ・ル・ベ・ニクは私の身体を変えたが、私の心には傷一つ無い。>
SCP-3758-B: <何故あなたは死にかけている?>
SCP-3758-B: <もしもし? 私の声が聞こえているか?>
SCP-3758-B: <…可哀想に。>
SCP-3758-B: <ここは安全ではない。他の者たちに警告しなければ。>
[冗長な点を編集済]