アイテム番号: SCP-3765-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: 正常社会内におけるSCP-3765-JPの全数を捕捉することは極めて困難であるため、カバーストーリーとして、知らぬ間に痣や切り傷ができる現象・体験について一般に非異常のものであるとする説を流布してください。記憶処理の対象は通院記録のある事例のみに限定されます。
説明: SCP-3765-JPは、時間的に逆行する外傷です。最初期のSCP-3765-JPは、対象の身体に完治直前の外傷として出現します。SCP-3765-JPは正常な回復の過程を逆行する形で進行し、その負傷の原因となりうる事象 (以下、傷害イベント)が発生すると同時に消滅します。SCP-3765-JPの発生確率は周囲のアノマリーオブジェクトの数と概ね比例関係にあることが経験的に知られており、大部分はサイト内で発生しますが、正常社会内でも少数のSCP-3765-JPの発生が確認されています。
図1. 正常な治癒過程とSCP-3765-JPの治癒過程の概略図。正常な治癒過程と比較して、SCP-3765-JPは、外傷が発生する時点tEを境として、時間反転した経過を辿る。治癒にかかる時間Tは正常な治癒過程と等しい。
以下はSCP-3765-JPの事例の抜粋です。
発生記録014
報告者: 岩坂研究員
外傷: 右膝の痣
状況: 原因に覚えのない痣が右膝に発生し、日数の経過と共に痣の色が濃くなった。サイトでの機材運搬中の事故で該当箇所を打ちつけた結果、痣が消失した。
発生記録037
報告者: 篠原博士
外傷: 左人差し指の刺し傷
状況: サイト内の居室にてシャツのボタンを縫い付けている際にSCP-3765-JPが発生。突然の出血に動転して縫い針の操作を誤り、針で指を刺したことで傷が消失した。
発生記録042
報告者: エージェント・駒形
外傷: 左肩の裂傷
状況: オブジェクトの回収任務中に攻撃を受け、傷が消滅した。本来の攻撃の軌道には胴体があり、致命傷になるはずだったが、SCP-3765-JPによる傷の痛みで直前に体勢を変えたため、結果として軽傷となった模様。
発生記録048
報告者: 五十嵐研究員
外傷: 右腕の切り傷、右肩の打撲
状況: 右腕に切り傷のSCP-3765-JPが発生し、その4日後、切り傷が傷害イベントで消える前に打撲のSCP-3765-JPが発生した。切り傷、打撲はそれぞれ別の傷害イベントにより消失した。
発生記録の蓄積により、SCP-3765-JPが身体に存在している場合、他の外傷も概ね100%の確率でSCP-3765-JPとなることが判明しました。
補遺-1: 発生記録053より、致命的な外傷であっても、SCP-3765-JPが発生することが確認されました。
発生記録053
報告者: 田沼博士
影響者: D-37601
外傷: 右脚の切断
状況: SCP-████-JPの実験中に、D-37601の右脚の膝から下が消失した。想定外の事態であったため実験を中止しようとしたが、SCP-████-JPからD-37601を隔離する前に、SCP-████-JPが斧状の前腕を用いてD-37601を攻撃した。前腕がD-37601の右脚にあたる部分を通過した瞬間に、消失していた右脚が再出現した。隔離した後に、D-37601が死亡した。死体の右脚は切断された状態だった。
図2. 死亡に至る外傷においてSCP-3765-JPが発生した場合の概略図。外傷発生から死亡までの時間のみが反転し、死亡後の状態は正常な過程によるものと等しい。
図1・図2の法則性から、SCP-3765-JPが原因で死亡し、かつ致命傷以外にも対象の身体にSCP-3765-JPが存在していた場合、図3のような過程を辿ると推察されています。以下では最初に現れる傷をSCP-3765-JP-11、次に現れる傷をSCP-3765-JP-22と呼称します。
- SCP-3765-JP-1が発生します。出現時のSCP-3765-JP-1の状態は、通常の傷の時間経過における死亡直前の状態に等しいです。
- SCP-3765-JP-1の傷害イベントが発生する前に、SCP-3765-JP-2が発生します3。SCP-3765-JP-2の出現時の状態は、SCP-3765-JP-1と同様に、死亡直前の状態に等しいです。
- SCP-3765-JP-1、SCP-3765-JP-2の傷害イベントが順に発生します。傷は通常のSCP-3765-JPと同様に消失し、対象は無傷の状態になります。
- 正常な外傷の場合に死亡している筈の時間となった瞬間に、傷が再現された状態で対象は死亡します。
図3. SCP-3765-JPが複数発生した後に死亡した場合、それぞれの傷について、その外傷発生から死亡までの時間が反転する4。
補遺-2: 2009年9月15日に、SCP-3765-JPの性質調査のための実験が行われ、本実験の最中に収容違反が発生しました。以下はこの事案における特筆すべきSCP-3765-JP発生事例です。本事例から、SCP-3765-JPの傷害イベントは決定論的なものであり、ノヴィコフの首尾一貫の原則5を必ず満たすことが判明しました。
実験記録3765-4 - 日付2009/09/15
対象: D-5801 (SCP-3765-JPによるものと見られる骨折を負っている)
目的: 外傷発生の原因 (以下、傷害イベント) の妨害を行った場合のSCP-3765-JPの振る舞いを調査する
実施方法: 傷害イベントが予想される時刻に、四肢を固定した上で収容房に隔離する。
結果: SCP-████-JPの収容違反が発生し、その余波により収容房が破壊された。落下した天井部のD-5801への直撃が傷害イベントとなり、SCP-3765-JPによる外傷が消失した。



