アイテム番号: SCP-3770-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3770-JPは低危険度物品周辺コンテナにて保管されます。コンテナ周辺には常に2人以上の警備員を配置してください。SCP-3770-JP-Aが出現した場合、警備員により捕獲されます。SCP-3770-JPを用いた実験にはクリアランスレベル2以上の職員1人の許可が必要です。
SCP-3770-JP(画像左側)
説明: SCP-3770-JPは全長7mほどのマダケ(Phyllostachys bambusoides)です。SCP-3770-JPは他のマダケとの外見的特徴の相違は存在しませんが、力学的破壊/温度変化/化学物質に対する強い耐性が存在することが検査により判明しています。
ヒト(Homo sapiens)により何らかの願望を書かれた紙をSCP-3770-JPに接触させることで、SCP-3770-JPは異常現象を発生させます(以下、紙を接触させたヒトを対象と表記)。接触から1~7日後、対象の周囲に複数の人型実体(以下、SCP-3770-JP-A)が出現します。SCP-3770-JP-Aは現在確認されている全ての場合でヒト及び監視カメラ等の死角から出現しており、出現は極短時間のうちに行われていると推測されています。出現したSCP-3770-JP-Aは紙に書かれていた対象の願いを叶えることを目的として行動します。
SCP-3770-JP-Aは身長40~60cmほどの人型実体です。常に黒い布を着衣しており、正確な外見的特徴は不明です。SCP-3770-JP-Aは基本的にヒトから視認されること及び接触されることを避けます。SCP-3770-JP-Aは対象の周辺だけではなく、不定期にSCP-3770-JPの周辺にも出現します。その際のSCP-3770-JP-Aは通常と異なり、SCP-3770-JPへの到達を目的としているように見受けられます。SCP-3770-JP-Aは以下の条件のいずれかを満たすことで消失します。
- SCP-3770-JP-Aが対象の願いは叶えられたと認識する。
- SCP-3770-JP-Aが自身の行動が制限されていると認識する。
- SCP-3770-JP-A及び着衣している布にヒトが接触する。
- 一定以上の損傷を受ける。
SCP-3770-JPは不定期に電波を発信しています。また、発信源不明の電波の受信も行っています。現在、当電波の解析が行われています。解析は完了しました。詳しくは補遺-2を参照してください。
発見経緯: SCP-3770-JPは「静岡県██市の七夕のイベントに行くと願いが叶う」「願いを叶えてくれる黒い小人がいる」との噂を不信に思った財団により、静岡県██市のイベントに用いられているところを確保されました。以下は収容当初に行われた、イベントの主催者でありSCP-3770-JPの管理者であった高橋誠に対するインタビューです。
<ログ開始>
[重要度の低い部分を省略]
竹内博士: では、あの竹はどこで入手されたのですか?
高橋氏: あれはイベントを始めるときに短冊を下げる竹がなかったので、友人の山から採ってきたものです。
竹内博士: なるほど、採取の際に何かおかしな点などはありましたか?
高橋氏: おかしな点、例えばどういう点ですかね?
竹内博士: 誰かの声がしたとか、異常な生物が周辺にいたなど、些細なことでも結構です。
高橋氏: そういうのはなかったですね。真っ昼間に取ったし、竹林も割と開けていたもんで、見落としたとかはないと思います。
竹内博士: ありがとうございます。では、イベント中に何かおかしな点はありましたかね?
高橋氏: イベント中……ではないんですが、1つおかしな点がありました。あの竹を盗もうとする連中がいたんです。夜中、倉庫を見にいったら沢山の人が入り口をガチャガチャしていたのですが、奴らは猫ぐらいの大きさで、こっちを見るなりどこかに逃げてしましました。
竹内博士: なるほど。こちら側の調査と概ね一致しますね。他には何かあります?
高橋氏: えっと、これはおかしな点というほどのものではないのですが、僕はイベント開始前にあの竹に、イベントが成功しますようにって紙をぶら下げておいたんです。そうしたら、予想よりも多くの人が来たんですよ。本当に、あの竹のお陰ですよ。
<ログ終了>
その後の調査により、イベント当日にSCP-3770-JP-Aと見られる複数の実体が会場周辺にイベントを宣伝するポスターを散布していたことが判明していました。
補遺-1: 以下はSCP-3770-JPに対する実験記録の抜粋です。
対象: D-37701
実験方法: 対象に「リンゴが欲しい」と紙に書かせ、紙をSCP-3770-JPに接触させる。
結果: 2日後、対象がサイト内の廊下を歩行している際、窓よりリンゴ(Malus domestica)が投げ込まれた。当該リンゴは近隣の八百屋から盗難されたものであると判明した。
対象: D-37701
実験方法: 対象に「エビが食べたい1」と紙に書かせ、紙をSCP-3770-JPに接触させる。
結果: 3日後、対象の食事にバナメイエビ(Litopenaeus vannamei)が混入していた。バナメイエビは近隣の魚屋から盗難されたものであり、調理段階で混入されたものと見られている。調理場のカメラにはバナメイエビを持ったSCP-3770-JP-Aが記録されていた。
対象: D-37701
実験方法: 対象に「殺してくれ」と紙に書かせ、紙をSCP-3770-JPに接触させる。対象は隔離室にて管理され、隔離室外には警備員を配置する。
結果: 7日後、SCP-3770-JP-Aがサイト内に侵入し、隠密行動を行いながら、隔離室前に到着する。SCP-3770-JP-Aの1体が手榴弾2を投擲し、扉を破壊する。その後、対象を殺害しようとするも、対象の「死にたくない」という発言を聞き、消失。願いの達成によるものと見られる。
対象: D-37701
実験方法: 対象に「織田信長に会いたい」と紙に書かせ、紙をSCP-3770-JPに接触させる。
結果: 7日後、対象の元に日本語で以下の内容が書かれたメモが出現した。
願いを叶えるのは無理そうです。本当に申し訳ないです。ですが、そのほかの願いなら大体叶えられますので、どうか、姫様には手を出さないでください。
補遺-2: SCP-3770-JPの発信電波及び不明な電波は中古日本語を用いて会話を行っていることが判明しました。また、不明な電波の発信源は月面であることが判明しました。
以下は、会話の現代語訳です。
<ログ開始>
SCP-3770-JP: まったく、なんで私がこんな目に!
不明な電波: 姫様、落ち着いてください。我々は今も姫様を助ける為に最善を尽くしております。姫様の居ない月は非常に寂しく、死んでしまいそうです。
SCP-3770-JP: 私も早く帰りたいですわ。はあ……地球に来ればお爺さんお婆さんに育てられるのではないのですか?話が違いましてよ。
不明な電波: ええ、前とは大きく状況が違っているようですね。
SCP-3770-JP: とりあえず、前みたいに船で攻め込んで私を助けなさいよ。
不明な電波: 我々もそうしたいのは山々ですが、現在姫様が捕らわれている場所には以前よりも強い警備体制になっており、さらに技術力も高いようでして、姫様を連れて逃げ出すのは非常に困難かと。
SCP-3770-JP: はあ……じゃあ、私達はこれからも提示される要求を呑まないといけないってこと?
不明な電波: はい。もう少しの辛抱でございます。我々も姫様の好物の餅をついて待っております……まったく、人間とは卑怯なものたちです。姫様を人質にとり、要求を突きつけるなど。
<ログ終了>









