SCP-3775

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SCP-3775

アイテム番号: SCP-3775

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 誰もSCP-3775に入ることがあってはいけません。

説明: SCP-3775はバージニア州テイズウェル付近の山頂に位置する大型の家(4室の寝室、4室のバスルーム)です。地上2階建てで、設備の整った地下室、2階の前後にバルコニー、車2台分のガレージ、裏庭に地面を掘って造ったプールがあります。

1976年6月13日、SCP-3775でのハウスパーティー中に複数の犯罪、負傷、死亡が発生しました。毎年この出来事と同日の21時14分から2時45分の間、SCP-3775内の照明が点灯し、内部から大音量のロックミュージックが発生します。更なる異常活動は、この間に誰かが家に入らない限り発生しません。これは一度のみ試みられました。

補遺1: 探査

SCP-3775の異常活動は1977年に初めて観察されました。カメラを搭載した遠隔操作車両が内部に送られましたが、その存在は更なる活動を引き起こしませんでした。結果として、この探査で警察の調査では明らかとならなかった情報が一つだけ判明しました: 居間の音響システム(大音量の音楽の発生源)は"失神交響楽"ブランドのものでした。質問時、家の所有者らは購入時の状況を思い出すことができませんでした。

1978年の活性化中、D-2751が調査のため内部に送られました。彼はボディカメラと、聴覚を保護し司令部との連絡を可能とするノイズキャンセリングヘッドセットを装備していました。D-2751の危険時に回収を容易にするため、警備員のマービンとオルテガがそれぞれ家の前後に配置されました。

<記録開始>

D-2751: えらくパーティーがやられてるみたいだな。

司令部: 聴覚保護具は適切に機能していますか?

D-2751: [大声で] 何て?

司令部: 聴覚保護具は適切に機能していますか?

D-2751はため息をつく。

D-2751: [通常の音量で] ああ。

司令部: 家に入ってください。

D-2751: 行く。

D-2751は扉を開く。消音効果を除くと、音楽はキッスの楽曲『ロックンロール・オールナイト』とわかる。この曲は探査の以降でループし続ける。

家は大部分が1976年のまま放置されている。ゴミ、破片、衣類が床中に散乱している。

D-2751: うん、間違いなくえらいパーティーだ。具体的にどこ行ってほしいとかあるか、それとも……?

司令部: 居間から始めて構いません。

D-2751は廊下へと進む。居間とダイニングルームの入口は左側にある。右側には、廊下の途中に上りと下りの2つの階段、複数の扉があり、突き当りには外へ続く扉がある。別の分岐は裏口へと通じている。

D-2751は左に曲がり、居間に入る。室内装飾は酷く汚れ、ガラスのコーヒーテーブルは粉々になっている。音楽が大きすぎて司令部はD-2751の声がほとんど聞こえない。

司令部: 音楽を切ってもらえますか?

D-2751は音響システム、2つの大きなスピーカーが左右に配置されたマルチトラックステレオに近付く。彼がステレオの電源ボタンを押すと音楽が止まる。

D-2751: なあ、今の聞こえ-

ステレオが突然オンに戻り、前よりも大きな音を流す。D-2751は驚く。

司令部: 何が聞こえたと?

D-2751: 声が聞こえた気がする。下の階、たぶん。だから、俺に-

D-2751は慎重に音量つまみを回すが、音楽にはっきりわかる影響はない。

D-2751: あー、プラグを抜けば効果あると思うか?

司令部: 恐らくないでしょう。この家は電気も通っていないはずです。

D-2751は天井のシャンデリアを見上げる。ピンクのブラジャーがそこからぶら下がっている。

D-2751: はん。

司令部: 声の発生源を見つけられるか確かめてみてください。

D-2751: あー、わかった。

D-2751は廊下に向かって歩くが、立ち止まり、脇に逸れてキッチンに入る。調理台の上ではピザの空箱の山が腐っており、倒れたゴミ箱は食べかすであふれている。シンクは割れた皿とグラスで埋まっている。昆虫やその他の害獣は存在しない。

司令部: 何をしているのですか?

D-2751は調理台のナイフ立てから大きなナイフを取り出す。

D-2751: 用心してるだけだ。

武装した彼は、素早くダイニングルームを通って廊下へと戻る。ダイニングルームのテーブルにはビール・ポン・ゲームが用意され、足元ではアンティークの磁器がパリパリと音を立てる。

ダイニングルームを出ると、彼は階段を降り、別の廊下に出る。廊下は左側では折れ返り、右側では2つの扉で突き当たっている。声はその扉の一つの裏から聞こえるが、その言葉ははっきりとは判読不能である。

D-2751は深呼吸して素早く扉を開ける。部屋中の照明は切れているが、大型ブラウン管の前面投影テレビの光によりほのかに照らされている。テレビは大音量で映画1を流しており、明らかにこれが声の発生源である。これを見てD-2751は安堵する。彼が扉の横にある照明のスイッチを入れると、壁に沿って様々な快適な家具とスピーカーがあることが明らかになる。ポップコーン、パンくず、プラスチックの包みが床に散らばっている。

D-2751: 誤報だ、お前ら。ただの映画だ。

映画: ……イヤーブックの中じゃみんなおバカに見えたよ。しかも去年。

D-2751: これは観たことがなさそうだな。

司令部: もうそこにいますから、地下の探索を続けてください。

D-2751: 了解、ボス。

映画室を出て、D-2751が廊下の別の扉を開けると、ほこりをかぶった玩具とボードゲームで埋まったクローゼットが現れる。

D-2751は反対方向に向かって角を曲がると、更に扉を見つける。最初の、左側の扉は開いている。その先にはエアホッケー、テーブル・フットボール、ビリヤードのテーブルのある大きなゲームルームがある。

D-2751: [柔らかく口笛を吹く] 誰かさんが住-ん-で-た-と。

彼は部屋を歩き回り、壁に飾り付けられた古典的な映画のポスターを調べる。

D-2751: なぁ、俺は学校でこんなパーティーにゃ行ったことなかった。俺の友達は誰一人こんなのやれるほど裕福じゃなかった。大学行ったら行きたいと思ってたんだがまあ…… そういうことだ。

彼は何の気なしに8番ボールを拾い上げ、数回空中に投げる。

D-2751: おかしいよな、このデカい家でマジでムカついてんのは、映画の中みたいなイカレたパーティーには何一つ行ったことねぇってことだ。でもお前らが解放してくれりゃ好きなだけパーティーができるだろ?

司令部: 探索を続けてください。

D-2751: はいはい。

彼は8番ボールを元の場所に戻して廊下に出る。他の2つの扉は閉まっており、これらの部屋2は電気が切れているように見える。

D-2751: 無理やり入った方がいいか?

司令部: 今は結構です。上階に戻ってください。

D-2751: 了解。

D-2751は廊下を戻る。通り抜ける際にホームシアターを一目見ると、照明が再び消えていることに気付く。また、ブラウン管の青と緑が故障しており、暗赤色で不明瞭な映像が残されている。

階段を上ると、D-2751は廊下の室内扉を調査する。一つは現在空の車2台分のガレージに、もう一つは大きな保管室に繋がっている。彼はどちらにも入らない。

上階の寝室の一つの扉が音楽を通して聞こえるほど勢いよく閉まる。照明がちらつく。

司令部: 何があったのか見てみてください。

D-2751: あー、本気か?

司令部: はい。

ナイフを握りしめたまま、D-2751は階段を上る。

D-2756: なあ、なんかこの場所知ってる気がするんだが。

2階では、廊下が階段を囲い、家の中心を通っている。そこから5つの扉が開いており、2つの分岐先は前後のバルコニーへのスライドガラス扉に繋がっている。D-2756が階段の頂上に達すると、扉の一つが自発的にスライドして開き、強風が入ってくる。

D-2756は裏のバルコニーに慎重に足を踏み入れる。バルコニーは家と同じ長さがあり、水泳プールを見下ろしている。彼は手すりの前に立ち、排水されたプールを見下ろす。

D-2776: [静かに] なあ、きっとここからプールに飛び込める。

司令部: そんなことはしないでください!

D-2776: 何をするって?

司令部: バルコニーを飛び降りることです!

D-2776: 何でまたそんなことするって?

司令部: あなたがつい先ほどそのことを話していました。

D-2776: はぁ? 言ってねえよ!

司令部: いえ、あなたは…… あー、気にしないでください。寝室を確認しに行ってください。

D-2776は屋内に入りバルコニーの扉を閉じる。彼は廊下を進み、突き当りの寝室の扉に向かう。

1分近く歩いても、D-2776は約5フィートしか進んでいない。彼は大きなバスルームの側で立ち止まる。

D-2776: 何なんだ?

司令部: 何らかの空間の歪みにいる可能性があります。ですがまだ道の途中ですので、進み続けてください。

D-2776は再び廊下を見て、階段へと戻る。彼は階段へ2歩進み、予想される通りの時間でたどり着き、安堵のため息をつく。それから廊下を通り抜けようとする。

途中、彼は他の3つの寝室を通り過ぎる。各部屋は乱雑で、側のランプは倒れ、シーツは捩れて横に放り出され、衣服が床に散乱している。

14分間歩き続けた後、D-2976は閉じられた扉にたどり着く。彼の足取りは目に見えて不安定になる。

司令部: 2976、大丈夫ですか?

D-2976: あぁ、俺-

彼は軽くげっぷする。

D-2976: あー、失礼。なんか、あー、ほろ酔ってる感じだ。

司令部: 進むことはできますか?

D-2976: プフー、あぁ。もうドアについた。

司令部: 開けてみてください。

D-2976: えっと、なあ、まずはノックしてみるべきだと思わないか? [しゃっくり]

司令部: どうぞ。

D-2976は扉をノックするが、認識できる反応はない。彼はドアノブを回そうとするが、扉は施錠されている。

司令部: 扉から音がするか聞いてみてください。

D-2976はヘッドセットを首にかけ、耳を扉に押し当てる。

D-2976: おい…… 何だこれ? おい!

彼は再びノブを回そうとし、扉を激しく叩く。

D-2976: [叫ぶ] おい! 何してる?

D-2976はドアノブをガタガタと鳴らすが、やはり回らない。彼は再び扉に耳を当てる。

司令部: どうしたのですか?

D-2976は司令部の声が聞こえていないようである。彼は屈んで鍵穴を覗き込む。

[映像と音声は続く13分間雑音で不明瞭になる。司令部は当時、異常を報告していなかった。]

D-1976は叫び声を上げて後ろに倒れる。彼はナイフを落とし、四つん這いになって廊下に戻る。

D-1976: 違う違う違う違うあれは俺じゃない俺はやってないそうじゃない-

壁を支えにして、D-1976は苦労して立ち上がる。彼は階段付近のバスルームへとよろめき、トイレの前で膝をつく。彼が必死でふたを開けると、既に新鮮な嘔吐物で溢れかけた便槽が明らかになる。D-1976はバスタブへとよろめき、代わりにそちらへと嘔吐する。

D-1976はトイレの向かい側の壁にもたれて座る。彼は吐き気がして呻き、呼吸を取り戻す。

家の裏で警備員オルテガは、飛び込み台から粘度の高い物質がしたたり落ちていると報告する。彼は調査しない。

司令部: D-1976、聞こえますか?

D-1976はヘッドセットを思い出したように見え、それを付け直す。

D-1976: あぁ?

司令部: どうしたのですか?

D-1976: [かなり不明瞭に] 何が起きやがったか知ってんだろ。手品か何かか?

司令部: 何の話をしているのかわかりません。扉の裏で何を-

D-1976: クソが。

D-1976はヘッドセットを引き剥がし、シャワーへと投げ捨てる。このため、残りのヘッドセットの音声は全てこもった音声からなる。

ゆっくりと、D-1976はふらつきながら立ち上がる。彼はよろめきながらバスルームを出て階段に向かう。3歩目で足を踏み外し、残りの段を落ちる。

D-1976は気絶したか無意識状態で1分近く階段の下に横たわっている。この間、音楽は絶えず大きくなり、照明は黄色がかっていく。

オルテガは飛び込み台からのしたたりの速度が増加していると報告する。

煙のようなもやが家に充満する。記録が飛び飛びになり、コーラスを何度も繰り返す。

認識不能な十代の若者がボディカメラの視界へと歩いて入ってくる。若者は裏庭のガラスの目前に立っているが、家の外からは見えない。若者は無関心にD-1976を見下ろす。数秒後、赤いプラスチックのカップを持ち上げ、中身を彼に注ぐ。

D-1976は目を覚ます。若者はボディカメラの視界から出ていき、二度と姿を見せることはない。

D-1976は立ち上がる。彼はよろめいて玄関扉まで向かいそれを開けようとするが、固く閉じているようである。彼はそれを叩き、助けを求めて叫び始める。マービン警備員は対象の回収許可を求めるが、司令部により拒否される。

オルテガは裏口が砕けるのを目撃する。D-1976は音を聞いてそちらに向かう。屋内の煙は視界を著しく妨げるほど濃くなっているが、砕けた扉からは一切漏れ出ない。

D-1976は家を出てプールデッキに沿ってよろめき、目元を拭いて大きな音を立て咳き込む。意図的ではない様子で、彼は飛び込み台の上につまずく。彼は台の先端で止まり、見下ろす。

家の放棄後に排水された水泳プールは、飛び込み台の下は12フィートの深さがある。今は数インチのよどんだ雨水だけが溜まり、台から滴る物質により赤く染まっている。プール底の照明で不自然に明るく見える。

D-1976はオルテガ警備員を見上げる。彼の顔は何かがおかしい。彼の声はもはや不明瞭でなく、その距離と音楽の圧倒的な音量にも拘らず、はっきりと聞こえる。

D-1976: 素晴らしいパーティーじゃないかい?

D-1976の膝が崩れる。倒れた際に後頭部を飛び込み台にぶつけ、12フィート下の血のような水に顔を下にして着地する。

家の全ての活動が唐突に停止する。

<記録終了>

補遺2: 事後分析

水泳プールの血液はD-1976のものと同じ血液型をしていました。

D-1976は警備員の回収時に死亡していました。死因は溺死と判明しました。血中アルコール濃度は0%でした。

D-1976の記録には、Dクラス職員としての雇用前、彼は1976年のSCP-3775でのハウスパーティー中に犯した犯罪により終身刑を宣告されたと記載されています。したがってそのオブジェクトで彼をテストすることは相互汚染プロトコルに違反しています。何故これが許可されたのか、何故SCP-3775担当職員がこの関係に気付かなかったのかは不明です。

同様に、何故D-1976が自分の家に気付かなかったのかは不明です。

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