SCP-3785-JP
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出現直後のSCP-3785-JP(2009年撮影)

アイテム番号: SCP-3785-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3785-JPおよびSCP-3785-JP-τはサイト-81-121の環境再現棟C棟109室と110室で収容されています。SCP-3785-JPの生命活動を維持するため、収容室内にはSCP-3785-JP出現地点の植生および水質環境を再現し維持する必要があります。高い現実性の発生から安全を確保するため、収容室には1台のスクラントン=イーモン現実溝を設置します。

SCP-3785-JPの出現地所は財団資産により買い取られ、私有地として夏季の一般人の立ち入りを禁止しています。SCP-3785-JPの発生時期には付近の民家に駐在する一般人に扮したエージェントらにより観測が行われます。担当の機動部隊は出現したSCP-3785-JPを捕獲し、サイト-81-121へと移送します。SCP-3785-JPを目撃した一般人には記憶処理を実施します。SCP-3785-JPの影響による"現実酔い"を発症した一般人は財団保有施設の病院で治療したのち、カバーストーリー「熱中症」を流布し記憶処理を施したうえで解放します。SCP-3785-JPを撮影したメディアが拡散された場合、カバーストーリー「偽造画像/偽造動画」を流布し、必要であれば該当メディアを削除します。

SCP-3785-JP-τの発生が確認された場合、発生地点周辺の生物学的有機体放出範囲の植物をすべて焼却します。発生翌年の夏季はSCP-3785-JP-τの発生地点を監視し、新たな個体が発生しないか確認します。

説明: SCP-3785-JPは流動的挙動を示す白色の不定形生物です。骨格を持たず筋繊維の機能を示す伸縮性の有機体で構成されており、遺伝子解析からナミウズムシ1Dugesia japonica)に近い生物であることが判明しています。目などの感覚器や生殖器は見出されていません。身体上部に枝分かれした2本の紐状器官を有するため、遠方から観察した人物がSCP-3785-JPを白色の人影に誤認した例が報告されています。現在まで発見されているSCP-3785-JP個体の体長は引き伸ばした状態で最大3.2 mに到達しています。事実的関連性から、SCP-3785-JPはインターネットで拡散されている都市伝説「くねくね」で描写される怪異の特徴を有していると推定されています。

発生直後のSCP-3785-JPは高い現実性濃度(正確に46 Hm)を有しており、周囲に高濃度ヒュームフィールドを形成します。この結果、周囲の高い現実性により空間が歪むため、遠方からSCP-3785-JPを明確に視認するのは困難になります。SCP-3785-JPは高い現実性を有しているにもかかわらず、周辺環境への干渉や現実改変を行った事例がありません。SCP-3785-JPへと接近した人物は高濃度ヒュームフィールドの影響により"現実酔い"を起こし、一時的に以下のような症状を呈します。これらの症状はSCP-3785-JPから離れることで寛解します。

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 眩暈
  • 血圧変動
  • 頻脈
  • 妄想
  • 記憶混乱
  • SCP-3785-JPへの感覚的認識の歪み

SCP-3785-JPは不定期にDR壊変2を伴って分裂増殖をします。DR壊変によって失われるSCP-3785-JPの現実性は正確に2 Hmであり、x回分裂後の娘個体の有するヒューム値yは初期個体の有するヒューム値を46として一般式3で表され、最終的に分裂したすべての娘個体のヒューム値は1 Hmになります。ヒューム値が1になった個体はそれ以上分裂しません。娘個体の寿命は現時点では不明です ─ SCP-3785-JP出現地点の環境を再現した収容環境において、寿命により死亡したと認定されたSCP-3785-JP個体は存在しておらず、水質などの環境変化の発生や物理的破壊でのみ死亡しています。

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SCP-3785-JPの分裂増殖とDR壊変の関連性の図解

SCP-3785-JP-τは2017年に出現した、既知のSCP-3785-JPとは異なる性質を持つ個体の特殊名称です。通常のSCP-3785-JPと異なり内部現実性濃度は2 Hmであり、DM壊変を伴う分裂増殖を行います。詳細は補遺3785-JP.2および補遺3785-JP.3を参照してください。

補遺3785-JP.1: 発生経緯の考察と発見

SCP-3785-JPは2000年頃からネットロアとして拡散されている都市伝説「くねくね」のイメージを基に、日本国民の集合的認知による現実改変が原因で出現している「くねくね類似異常存在」のひとつと考えられています。巷説部門の調査により、特に2008年に「くねくね」の巷説が一般人へと広まったことで、SCP-3785-JP含む類似異常存在の発生頻度が上昇していることが発覚しています。SCP-3785-JPの持つ性質の多くが「くねくね」に示されている内容と一致している一方で、SCP-3785-JPが分裂により増殖する点は多くの「くねくね」巷説では描かれていないことは特筆すべきです。ナミウズムシがSCP-3785-JPの元になった生物の可能性も指摘されており、SCP-3785-JPの分裂増殖は当アノマリー特有の性質と考えられています。

初めて発見されたSCP-3785-JPは2008年8月に発見された個体です。当時、全国現実性強度観測網(Kant-NETs)により胎内市の特定の水田にて現実性濃度の上昇が確認されており、スクラントン現実錨およびスクラントン=イーモン現実溝を設置したうえでエージェントらによる監視が行われていました。2008年8月15日、監視領域内における現実性濃度の急上昇とともにSCP-3785-JPが出現し、近くで監視していた2名のエージェントが"現実酔い"の症状で搬送されました。SCP-3785-JPの出現はすぐさま近隣サイトへ報告され、機動部隊が配備されました。

発生当初のSCP-3785-JPは高濃度ヒュームフィールドによって近づくことが困難であり、確保作戦は難航しました。しかしながら、5日間掛けてSCP-3785-JPが分裂増殖しヒュームフィールドが弱化したため、機動部隊の接近が可能になり全娘個体の確保および収容に成功しました。確保された個体らへの実験により、SCP-3785-JPは水田と同様の水質および植生環境があれば栄養供給などを必要とせずに生存できることが判明し、この性質は特別収容プロトコルへと組み込まれました。

2009年以降、夏季に同様の地点にSCP-3785-JPが発生することが確認されました。当該地点は「くねくね」の巷説には関与していないことが確認されており、この事実を基に巷説部門は当該地所を"集合認知トラップ"4であると判断しています。地理的要因や空間現実性濃度の観点から当該地所にのみSCP-3785-JPが出現する原因が調査されていますが、現在まで関連性の見られる因子は見出されていません。

補遺3785-JP.2: SCP-3785-JP-τの出現

2017年8月に出現したSCP-3785-JPは以前まで捕獲されていた個体と異なるメカニズムにより分裂増殖を行いました。当該個体は出現時のヒューム値が2 Hmである点で特異的であり、未知の異常性の危険から機動部隊隊員らを保護するため、当該個体の捕獲作戦は3日間の観察ののち実行することが決定されました。観察期間中、当該個体はDM壊変による生物学的有機体の放出を行いながら分裂増殖する様子が確認されました。このため観察は打ち止めになり、発生した生物学的有機体5の回収と当該個体の確保が速やかに実施されました。当該個体および発生した生物学的有機体はSCP-3785-JPのものとは一致しない遺伝子情報6を有していることがのちの解析で判明しており、SCP-3785-JPの異常性変質の主要因である可能性が浮上しました。遺伝子解析の結果を受け、巷説部門の指示の下で当該地所の水田の水抜きと稲の伐採が行われ、更なる変異個体の出現の防止が試みられました。次年度以降、当該地所における従来のSCP-3785-JP個体の出現は確認されていません。この変異個体はSCP-3785-JP-τとして現在は分類されています。

SCP-3785-JP-τが出現した原因として、巷説部門は以下のような仮説と対抗策を提唱しました。

巷説はいつも曖昧で容易に変質し得るものです。そのため、不安定な集合認知に由来するアノマリーもまた、当然の帰結として不安定な存在となります。もちろん、そのような不安定状態はいつまでも続くわけではありません。集合認知に由来するアノマリーは、巷説の流布の過程で強固に設定が共有される、あるいはその姿を衆目に晒すことによって、さらに具体的で安定した巷説の内容を確立し、その存在をより確実なものとします。

一方、SCP-3785-JPは非常に高い現実性を有している危険性から、発見当初より迅速な捕獲が行われてきました。その結果「新潟県胎内市の分裂するくねくね」という特定のくねくねにまつわる巷説が世間で確立されることはありませんでした。つまり、財団の理念に基づく適切な収容活動の結果として、「新潟県胎内市の分裂するくねくね」は集合認知由来のアノマリーとして存在を確立しきれず、その性質に変化が生じた可能性があります。

これ以上異常性が変質しないようにするために、本来のSCP-3785-JPの性質を物語の形に落とし込んでひとつの新たなくねくね二次創作として世間に流布し、固定的なイメージを定着させることが有効手段として挙げられます。しかし、都市伝説上の「くねくね」は「きさらぎ駅」などと言った他のネットロア同様に創作のネタとして非常に扱いやすいため、既に多種多様で面白い「くねくね」の創作物が出回っています。物語の主人公として見てみれば、それらを掻き分けて人気になれるほどSCP-3785-JPは面白い存在であるとは言えません。

私たち巷説部門は現在、他部門の協力を経て「新潟県胎内市に出現するくねくね」の二次創作作品をカバーストーリーとして作成しています。拡散が上手くいくことを願う他ありません。

上述されたカバーストーリーの流布が実行されましたが、一般社会へ広く拡散されず、計画は失敗に終わりました。

補遺3785-JP.3: SCP-3785-JP-τのさらなる変質と環境的拡散

SCP-3785-JP-τから得られた生物学的有機体は細菌の芽胞あるいは卵生生物の卵に匹敵する物質であり、発生した翌年の夏季にSCP-3785-JP-τ個体に変化することが確認されました。この生物学的有機体は加熱では無力化できず、物理的破壊・高濃度塩化ナトリウム溶液への浸潤・酸性溶液への浸潤・焼却によって無力化できることが判明しました。これらの事実が確認されたことにより、SCP-3785-JP-τが本来の出現地所とは異なる場所へと拡散されてしまう懸念が浮上しました。

前述の懸念は実例として確認され、2019年7月に当該地所周辺の水田でのSCP-3785-JP-τ個体の発生、加えてアメリカ合衆国ミシガン州のトウモロコシ畑での発生が確認されました。ミシガン州で発見された個体は輸出米に混入する形で移動し、その後不明確なルートを経て当該地点で出現したと考えられています。胎内市の水田で発見された個体らは速やかに捕獲されましたが、ミシガン州のトウモロコシ畑に出現した個体は一般人の発見および通報により財団に認知されたため確保に時間が掛かり、生物学的有機体の放出を許す結果となりました7。これらのSCP-3785-JP-τ個体から発生した生物学的有機体はトウモロコシの種子と酷似した見た目をしており、SCP-3785-JP-τが環境適応で自身の性質を更に変化させた可能性が考えられました。このような変化について、巷説部門は以下のような見解を出しています。

集合認知によるアノマリーの発生について多くの場合で、現実改変が発生メカニズムに関与しています。SCP-3785-JPも例に漏れず、特定箇所の現実性濃度が高まったあと、高い現実性を持つ個体が出現していました。ですが、SCP-3785-JP-τは出現した時点で2 Hmと、今までよりは小さい現実性濃度しか持っていません。また、増殖方法も単純な分裂に留まらず、植物の種子と紛らわしい見た目の卵ともいえる物質を介した方法を取っています。これらの事実は、多種多様なくねくねのイメージが世間に増加したことに伴い、SCP-3785-JPが既に集合的認知の影響から脱却しSCP-3785-JP-τとなり、独自の生存戦略を確立しようとしている可能性を示しています。

ある種の生物としてみれば、2 Hmの母体も卵も捕食者に現実酔いを起こす毒となり、くねくね動いていれば案山子のごとく天敵になりうる鳥類などを寄せ付けません。紛らわしい卵を作ってしまえば、子の拡散は人が助けてしまいます。ワカメやイタドリのように世界中に定着してしまわないよう、速やかに拡散を食い止めなければいけません。

2020年現在、SCP-3785-JP-τの生物学的有機体とそれに酷似する植物の種子を見分ける方法は内部現実性濃度測定以外に確立されていません。作物などに混入したSCP-3785-JP-τの生物学的有機体を発見する作業は現実的ではなく、SCP-3785-JP-τ発生地点の作物や植物を焼却することで次年度の発生を抑制するプロトコルが実施されています。

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アメリカ合衆国ミシガン州のトウモロコシ畑に出現したSCP-3785-JP-τ


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