SCP-3803-JP
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監視中のSCP-3803-JP

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SCP-3803-JPと類似する個体の凡例

アイテム番号: SCP-3803-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-3803-JPの飼育区画には、対象の異常性抑制の観点から動作を点でのみ描画する動点監視カメラと詳細な収容区画内の移動状況を把握する為の体重感知装置が採用されています。飼育方法は通常の個体に対して行う方法と同様です。

SCP-3803-JPの収容は必要最低限の人員のみで行われ人間への暴露を最小限に留めます。これに伴い、実験には1名のDクラス職員を採用し、特定条件下での観察を目的とした実験が継続中です

現在、SCP-3803-JPへの暴露実験は保留されています。詳細な情報を閲覧する場合は主任研究員である端部博士の許可を得た上で行ってください。

説明: SCP-3803-JPは異常性を有する雌のジャイアントパンダ(学名:Ailuropoda melanoleuca)です。SCP-3803-JPはおよそ14歳の肉体年齢を維持しており一切老化の兆候が見られません(対象への耐久実験に関してはSCP-3803-JPの保有する特性上保留されています)。SCP-3803-JPの出生やその他の詳細に関しては対象を飼育・展示していた動物園にも記録が存在していない為、未だ判明していません。

SCP-3803-JPは対象を視認した人間(以下、SCP-3803-JP‐1)に対して広範囲かつ重度の認識災害を発生させます。SCP-3803-JP-1がSCP-3803-JPを視認した場合、SCP-3803-JP-1は対象を「今人気のアイドルである」と認識します。これに伴い、SCP-3803-JP-1はSCP-3803-JPの発する鳴き声や挙動に対して声援や掛け声といった反応を示し、またSCP-3803-JPに関連した商品の購入などを積極的に行う様になります。この影響は時間経過とともに段階的に変化し、状態の悪化を招きます。

SCP-3803-JPの異常性は映像や画像越しでも軽度ながらに発現し、半暴露状態に移行した人間はSCP-3803-JPを肉眼で視認する事を目的に移動または活動を始めます。現在、この広範囲な認識災害の影響により財団は各メディアに対しての記憶処理作戦および情報改竄作戦を継続しています。

以下は段階別にまとめたSCP-3803-JP-1の反応記録です。

第一段階 認識の変化 SCP-3803-JP-1がSCP-3803-JPを視認した段階でSCP-3803-JPがアイドルであると認識し始める。この際、SCP-3803-JP-1はSCP-3803-JPがジャイアントパンダである事を正確に理解しており、その上で前述した異常性が発現する。この事からSCP-3803-JPの異常性は対象の形態や存在性の誤認ではない事が判明している
第二段階 自己投影および心酔 第二段階に到達したSCP-3803-JP-1はSCP-3803-JPに対して金銭の授与(主にSCP-3803-JPに関連する商品の購入やSCP-3803-JPを飼育している施設への寄付など)を率先して行うようになる。この際、SCP-3803-JP-1はSCP-3803-JPの存在やSCP-3803-JPへの奉仕活動自体を自身の生存指針として設定し、SCP-3803-JPに対しての自己投影的な思考や理念を保有するようになる。なお、この時点でのSCP-3803-JP-1は自身の社会的地位を放棄し資産や財産などを全てSCP-3803-JPに譲渡した上で、SCP-3803-JPを観察する時間を多く確保しようと画策する
第三段階 派閥 第三段階に到達したSCP-3803-JP-1は各人でSCP-3803-JPに対する自己解釈やSCP-3803-JPへの独自の考察などを展開し始め、それに伴い複数の勢力へと分裂する。これにより各派閥で論争が発生し、結果言論の弾圧や統一を目的とした抗争へと発展する。この時、一部のSCP-3803-JP-1には著しい知能指数の低下が見られる

発見経緯: SCP-3803-JPは██県██市内で起きた複数人規模の暴行事件を切っ掛けに発見されました。当時、██市内にある市営動物園█████園が「人気のジャイアントパンダ」の取材という名目で各メディアに紹介されていました。その撮影の最中、多数の来園客同士による暴行事件が発生しました。これに伴い事件の全貌が全国規模で報道され、これを察知した財団は現地にエージェントを派遣することで調査を開始しました。結果、当時の目撃者や事件関係者へ行ったインタビューからSCP-3803-JPの詳細が判明し、後の調査により該当の動物園は運営資金獲得の為にSCP-3803-JPの異常性を理解した上で放任していた事も明らかとなりました。

事態発覚後、財団は周辺地域や関係者および各メディアに対して大規模記憶処理作戦を実施し、それに伴いカバーストーリー「中国への返還」を適用しました。その後オブジェクトの収容が完了しました。

追記: 以下は第三段階に到達しかつ競合するSCP-3803-JP-1を配置しなかったDクラス職員に対して行ったインタビュー記録です。

以下は過去に存在した主なSCP-3803-JP-1の傾向をまとめた一覧です。なお、これらの条件に当てはまるSCP-3803-JP-1は第三段階に到達した各派閥の中で常に強い発言権を持ち、中心的な立ち位置にいた人物に多く見られます。現状、大多数のSCP-3803-JP-1にこれらの条件はあまり当てはまりません。

SCP-3803-JP-1の傾向のまとめ
・過去および現在進行中で鬱病などの精神疾患を発症している。
・過去および現在進行中でネグレクトやDVなどの虐待を経験している。
・過去および現在進行中で勤めていた企業から不当な解雇処分を受けている。
・過去および現在進行中でパワーハラスメントを理由に企業訴訟を起こした経験がある。

現在一部のSCP-3803-JP-1には一定の共通点が存在している事が判明しており、かつSCP-3803-JP-1の総数増加に伴いSCP-3803-JPの異常性の拡大が発生したと予想されています。これにより、SCP-3803-JPの異常性の範囲にはSCP-3803-JP-1の増減が関係していると推測され、現行の収容プロトコルの継続が決定しています。なお、SCP-3803-JPの異常性の消失に関する確認実験の実施については議論が継続されており、更なる影響拡大の懸念から保留されています。

以下は端部博士の提言です。

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