クレジット
タイトル: SCP-3807 - 本物のワル
翻訳責任者: walksoldi
翻訳年: 2026
著作権者: AbsentmindedNihilist
原題: SCP-3807 - A Real Bad Hombre
作成年: 2018
初訳時参照リビジョン: 13
元記事リンク: SCP-3807
アイテム番号: SCP-3807
オブジェクトクラス: Keter - Uncontained
特別収容プロトコル: SCP-3807およびSCP-3807-1個体が観測者に及ぼす効果の関係上、裁判外での目撃者に対する記憶処理は不要です。SCP-3807の出廷時に居合わせた人物については、拘束した上で記憶処理を実施してください。ただし、SCP-3807の依頼者は、記憶処理を受けたとしてもSCP-3807に関する記憶を完全に保持します。依頼者が自身の経験について非財団関係者に話そうとすると、その依頼者の咽喉にサソリが出現することになるため、目撃者への記憶処理が必要となる場合に備えて、財団エージェントが各依頼者を監視する必要があります。
写真や動画はいずれもウェブクローラーを介して削除されなければなりません。同様のプロトコルは、法廷でのSCP-3807の外見に関するニュース記事の発見および削除にも活用されます。SCP-3807が取る手法は目撃者の精神衛生に悪影響を及ぼす可能性があるため、財団の雇用下にある精神科医は、治療を希望する全ての依頼者に当直で対応する必要があります。現在、[編集済] への観光客を減少させるための草の根メディアキャンペーンが進められています。
説明: SCP-3807は、不明なイヌ科動物の頭部1と、エジプト人男性の身体に、先端が二股のケラチン質の棘に分かれた尾を持つ人型実体です。SCP-3807は自身と同様に湾曲した鼻口部と二股の尾を持つイヌ科動物を複数飼育しています。これらの動物はSCP-3807-1に指定されています。その明らかな視覚的異常にも拘らず、SCP-3807の外見の特異性については観測者から言及されません — 代わりに、観測者はSCP-3807の頭部と類似する動物の正確な種を特定することにのみ集中します。この認識効果はSCP-3807を視認してから正確に30分間持続し、この期間が過ぎて以降は、当該観測者はSCP-3807について質問されても何ら異常を記憶していません。SCP-3807-1個体もまたこの認識効果を有しています。SCP-3807は英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、アラビア語、コプト語、ベジャ語、ノビーン語2に堪能です。
SCP-3807は現在、観光都市として人気のあるエジプトの [編集済] に居住しています。SCP-3807を退去させる試みや、収容下に置く試みは全て失敗しています。SCP-3807の捕獲任務中は、銃器が故障し、適切なプロトコルを巡って議論が起こり、任務の参加者は指示を正確に遵守する能力が著しく低下します。加えて、SCP-3807の追跡もしくは発見に用いられる車両のガソリンは全て、同等量のワタリバッタの死体に置換されます。一方で、SCP-3807は財団との連絡に素直に応じ、正常性を維持する取り組みを円滑に進める意思を示しており、財団による記憶処理の取り組みへの協力要請に対して、上述した認識効果を発揮しています。また最近では、自らの経験について話そうとした依頼者に生じる箝口効果についても、該当者が財団職員である場合に限り解除されています。
エジプト市民でない人物が [編集済] の境界線を越えた場合、SCP-3807-1の一個体が名刺を携えて接近し、対象の移動先を問わず追跡し続けます。この名刺は、[編集済] への来訪を歓迎し、"セト・ハサニ、被告側弁護士、部分退職" による無料の法律サービスを提供するものです。SCP-3807-1個体は追跡対象の近辺から排除することができません。対象が名刺を受け取ると、SCP-3807-1個体は何らかの形式で対象を脅かす人物に対して攻撃的になり、執拗に危害を加える人物に対しては殺傷にまで至る場合もあります。
名刺を受け取った人物がのちに逮捕された、もしくは国外追放の危機に瀕した場合、SCP-3807が出現してその弁護士を務めます。法廷において、SCP-3807は多岐にわたる異常な手段によって案件を解決します。
出廷記録:
日付: 16/10/13
被告: ヴァイオレット・レジナルド
手段: 検察当局側が収集した証拠は例外なく、法廷に提出された瞬間に溶岩に変化した。
日付: 16/12/3
被告: クリスティーナ・パークス
手段: 審理が行われる予定であった法廷へ向かおうとした人物は、代わりに砂漠の無人地域へと導かれた。
日付: 17/2/24
被告: ダニエル・レイエス
手段: 裁判中に参照された全ての法的資料で、割礼を受けていない人物を拘束することは違法であるとの記載があった。しかしながら、裁判の参加者はいずれもそのような法律の存在を記憶していなかった。
日付: 17/3/15
被告: マシュー・ウォルフ
手段: 被告の映った監視カメラ映像が全て改竄され、被告がオカピに置き換えられていた。
日付: 17/4/7
被告: アンドリュー・カステラーノ
手段: 検察官が被告に質問するたびに、その検察官の顔、首、前腕、もしくは内腿に大きな膿疱が出現した。
法廷記録の抜粋:
前書: SCP-3807は最終弁論を行い、被告 ジェイソン・フローレスの自動車窃盗の容疑は "無罪" であると主張した。
<ログ開始>
SCP-3807: 陪審員の紳士淑女の皆さん! 本日皆さんがここで執り行うことは裁判でありました! 公平かつ公正な手続きの場にて、私の哀れで不運な被告は、気付けば皆さんと対峙することになりました。人間として、そして死を免れない定めにある者として、被告と同輩である皆さんとです。
[SCP-3807が腕時計を確認する。]
SCP-3807: (小声で) クソが、遅れやがってよ。(陪審員に向かって) それでも! 私は心の奥底で乱れを感じます。不均衡を感じるのです。
フローレス: (SCP-3807に囁いて) 何をしてるんです?
SCP-3807: (フローレスに向かって静かに) 時間稼ぎだよ。ここまで長く掛かるとは思わなかった、大事を取って1時間早く群れを召喚したというのに! (陪審員に向かって) ええ、確かにそうでしょう! この法廷は正義の場を称しています! それでも、その核心には暴力が、腐敗が、恐怖が潜んでいます。それは皆さんが踏みつけにしている者たちの、そして皆さんが貪り食っている労働の成果という果実を育てた者たちの恐怖です! 名もなき顔の群れが —
[ドアが勢い良く開き、ロバの群れが法廷に押し寄せ始める。人々がパニックに陥ってヒステリーを起こし、侵入を阻止しようと試みるが、それによってロバが攻撃的になる。陪審員長がブリーフケースを一頭の鼻に叩きつけ、すぐさま他のロバの群れに踏みつけられる。]
SCP-3807: 待たせすぎだ。鈍間どもが。せめて一瞬くらいは私に見せ場を用意できなかったのか? (フローレスに向かって) さあ来い小僧、さっさと帰るぞ。
<ログ終了>
後書: 法廷からロバが一掃されると、証拠が全て消費されていたことが判明したため、裁判は最終的に棄却され、被告は罪に問われなかった。



