SCP-3811-JP
評価: +11+x
blank.png
%E5%A2%93%E7%9F%B3%E6%94%B9%E5%A4%89%E5%BE%8C.jpg

破壊前のSCP-3811-JP実例(一部編集済)

アイテム番号: SCP-3811-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 現在7基のSCP-3811-JPが研究の為に保管されています。これ以上研究用のオブジェクトサンプルは不要とされている点とSCP-3811-JPの存在する土地の確保にかかるコストの観点から、今後は財団の保有敷地以外で発生したSCP-3811-JPは速やかに破壊し、関係人物への記憶処理の後に適切なカバーストーリーを流布してください。SCP-3811-JPの捜索並びに通常の墓所の区別には専用の探知犬を用いてください。探知犬の訓練は研究チームによって行われています。

説明: SCP-3811-JPは出自不明の墓所です。SCP-3811-JPに埋葬されている人物はおらず、骨壺が存在する場合もその中身は空である事が確認されています。これまでに発見された███基のSCP-3811-JP全てには戒名が彫られていますが、その人物について知る人物は後述のSCP-3811-JP-1以外に存在しません。SCP-3811-JPの多くは非異常の墓所と並んで墓地に現れる場合が多く目視確認での判別は困難です。同じ墓地に存在する墓所と比較した場合、SCP-3811-JPはアキヴァ放射量が不安定に低いという識別手段がありますが、他に一部の動物1はSCP-3811-JPを威嚇、警戒するといった様子が見られるため、現在SCP-3811-JPの研究は動物を利用した判別法を基に進められています。

SCP-3811-JP-1はSCP-3811-JPに埋葬された人物を知ると主張する人物です。多くの事例でSCP-3811-JP-1は対応するSCP-3811-JPに対して一人ですが、稀に複数名2現れる場合もあります。多くの場合SCP-3811-JP-1は、SCP-3811-JPに埋葬されている人物を他の人間が知らない点に困惑し親族や地方公共団体、あるいは霊園や寺などに問い合わせを行うため発見することは容易です。SCP-3811-JP-1はSCP-3811-JPには親や兄弟と言った近縁の人物が埋葬されていたと主張をする場合もありますが、記録や戸籍上それらの人物の存在は確認されていません。SCP-3811-JPによるSCP-3811-JP-1への記憶影響は、直接的な記憶処理を行う以外にSCP-3811-JPを平均して8割程度損壊することによっても失わせることができます。この損壊を行った場合、通常の墓所と比較して急速にアキヴァ放射が消失することも確認されていますが、この原因は不明となっています。

補遺3811-JP-1: 収容経緯

SCP-3811-JPは██県███市の██寺の住職から、供養していない人物についての問い合わせが来るという相談が警察に寄せられたことに関心を持った潜入エージェントによって発見されました。██寺の住職はこの点で極めて問い合わせ人物に強く詰問されており、被害届けを提出することを考慮していました。住職が警察を装い接触したエージェントに対し提出した録音した問い合わせ内容を財団が精査したところ、虚偽の可能性が限りなく低いという結果が出されたため、本オブジェクトはSCP-3811-JPと指定される運びとなりました。初期収容として当住職にはカバーストーリー「悪質ないたずら」が適用され、詰問していたSCP-3811-JP-1の記憶がSCP-3811-JPの損壊3によって失われた後は、記憶処理が行われました。

当初はSCP-3811-JPの判別にはアキヴァ放射の測定が用いられていました。これは、墓地全体がその性質上ごく微弱なアキヴァ放射が行われている事と、SCP-3811-JPは周囲の非異常の墓所と比較した場合アキヴァ放射が不安定に減少している点からになります。しかしながら、そもそも微弱な墓所のアキヴァ放射の更に微小な差を、複数の墓地の長期監視で用いる事は技術及びコスト的な観点から問題4があり、発見経緯のパターンに類する形でSCP-3811-JP-1を発見することでしかSCP-3811-JPを確保できない状態でした。

%E7%8A%AC%E6%94%B9%E5%A4%89%E5%BE%8C.jpg

訓練中の探知犬リキ号

現在の動物を利用した識別法の発見は、8基目のSCP-3811-JPの収容中に"複数の野良犬がSCP-3811-JPと思しき墓所を激しく威嚇している"という偶発的な事案の報告によるものです。この報告後に財団の飼育している実験動物を1~7基目のSCP-3811-JPと接触させた場合も同様の反応が確認されたため、この反応はSCP-3811-JPの特性と結論付けられました。また、9基目以降のSCP-3811-JPの捜索時にもアキヴァ放射の変化と実験動物の威嚇反応が対応していたため、現在の識別法として採用されるに至りました。

現在研究チームはSCP-3811-JP探知専用に訓練が完了した探知犬を3匹保有しており、次いで5匹が訓練中となっています。

事案記録3811-JP-1: 20██年██月██日、███霊園においてパトロールに当たっていたエージェントらに同行していた探知犬3匹が、突如虚空に向けて威嚇をするという異常行動を起こしました。その後、探知犬はエージェントらの手綱を振り切り霊園内を走り回り、何かを激しく追い立てるような素振りを行いました。エージェントはほどなくして探知犬の手綱を取り戻しましたが、探知犬はしばらく興奮状態であり落ち着くまでは時間を要しました。

探知犬が突如暴走した原因を探るべく各種機器による調査が行われましたが、各機器のうち反応があったのはハルトマン霊体撮影機のみでした。しかしながらその反応も探知犬の暴走で踏み荒らされた影響からか、犬の足跡のような痕跡が僅かに映るだけとなっていました。これらの影響がSCP-3811-JPの前触れの可能性も危惧されていましたが、この事案以降███霊園においてはSCP-3811-JPは発生しておらず、因果関係は不明となっています。

映像記録3811-JP-1: SCP-3811-JP-1へのインタビュー記録

対象: 水原けいこ氏(SCP-3811-JP-1)

インタビュアー: エージェント・多田

付記: 水原氏に対応したSCP-3811-JPの存在する霊園は既にSCP-3811-JPの発生事例が3回あったため、財団は初期段階で水原氏を確保するに至りました。多田は霊園の管理親会社の社員として対応しています。

<撮影開始>

水原氏: [大きく取り乱した様子で]話を聞いてください。あそこは私の父の墓なんです。

多田: はいはい、落ち着いて。とりあえず座ってお茶でもどうぞ。

[多田が水原氏を事務所の席に座るように促し、暖かいお茶を差し出す]

多田: ね、落ち着きましたか。それじゃあ話を伺いますから。

水原氏: [お茶を口に含み、それから一呼吸を置いてから]はい、ありがとうございます。

多田: それで、なんでしたっけ。██の██の墓所、あそこは無人のはずなんですけれども。

水原氏: [多田の言葉を遮るように]そんなはずはありません。あそこにはお父さん5が眠っているはずなんです。

多田: そうは言いましても、こちらとしては書類上どなたもいないとしかご返答できないのでして。

水原氏: あなたもそう言うんですか。お母さんもお父さんなんて知らないなんて言うし、何がなんだかもうさっぱりで。

多田: なるほど、お母様は何と言われていたのですか。

水原氏: あんなに仲が良くて、お葬式に人もいっぱい来て、お母さんも私もワンワン泣いて、毎年毎年命日にはお墓参りに欠かさず来ていたのに。[水原氏の嗚咽]突然、さっき連絡したらお母さんが"何言ってるの、昔からうちはあんたと私の二人家族でしょ"って言うんだもの。おかしいんですよ。[嗚咽]お母さん、今でもお父さんの好物だった卵焼きを毎朝焼いてるのに。[嗚咽]お線香だって、毎朝毎晩上げてたはずなのに、どうして、どうして知らないなんて言うのか分からなくて。

[水原氏が嗚咽によりうつむき、話すのを止める]

<撮影終了>

終了報告書: インタビュー終了後にSCP-3811-JPの破壊と撤去は滞りなく行われました。その後、水原氏は他のケースと同様にSCP-3811-JPの記憶を喪失しました。その後も水原氏やその周りの人物から異常な発言等は確認されていません。

映像記録3811-JP-2: SCP-3811-JP-1の親族へのインタビュー記録

対象: 水原みずき氏6

インタビュアー: エージェント・市川

付記: 水原けいこ氏の発言の裏付けを取るべく、市川は警官として水原みずき氏に接触しました。

<撮影開始>

[無関係の会話を省略]

市川: 先ほどお話した通りですが、けいこさんはどうやら父親が埋葬されていたと言われておりまして。

水原みずき氏: [困ったような表情で]まさかあの子が……。[数秒の間]うちの人が行方不明になったのはあの子がまだ幼過ぎる頃で、顔も覚えているはずもないのですが。

市川: なるほど、それはおかしいですね。

水原みずき氏: まさかこの歳になって父親が恋しくなったなんて、そんなことにしては悪戯が過ぎると思います。[溜息]お巡りさんにも迷惑をかけてしまったようで。

市川: ちなみに、その義弘さんの持ち物とかは残されてはいませんか。例えば、[ややホコリを被った戸棚の上を見ながら]そこのジッポライターなんかは義弘さんの物だったり。

水原みずき氏: [一瞬の思案ののち]ああ、これですか。だいぶ昔にウチに来た誰かが忘れていったんですよ。

水原みずき氏: [ジッポライターを手に取って確認し]もう中身も空っぽだし、タバコを吸う人もうちの人くらいだったはずだから、捨てちゃおうかな。

[水原みずき氏が危険物入れと思われる箱にジッポライターを捨てる]

市川: なんか余計なことを言ってしまったようで、申し訳ございません。

水原みずき氏: いえいえ、いつか捨てるものだったのが今になっただけですよ。お巡りさんのおかげでとっととそのタイミングが来てくれたって事です。

市川: なら良いのですが。

水原みずき氏: そういえば灰皿の忘れ物とかもあったかしら、何かのタイミングだと思って、この際だから大掃除をして捨ててしまおうかな。

市川: なるほどなるほど、それでは私はこの辺で署に戻らせて頂きますね。

水原みずき氏: あらあら、お時間を取らせてすみませんでした。

市川: こちらこそお手間をかけてしまい申し訳ありません。また何かありましたらよろしくお願いします。

<撮影終了>

終了報告書: 水原けいこ氏の発言の裏付けになる証言は得られませんでした。また、その後数度のインタビューを行いましたが、水原義弘氏に繋がる物的証拠は全く残っていない事が改めて確認されました。そのため、SCP-3811-JP-1の証言が正である可能性を模索する為のこれ以上のインタビューは、無意味と判断されました。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。