アイテム番号: SCP-3823-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-3823-JPは密閉容器に入れ、低危険度物品収容ロッカーに収容します。担当職員は1日おきにロッカー内を検査し、書類等が出現していた際は取り出して低危険度物品収容ロッカーに収容します。
説明: SCP-3823-JPは20██/██/██に自殺した真桑友梨佳氏の死体です。死亡場所は氏の居住していた学生用アパートであり、死因は練炭の燃焼による一酸化炭素中毒です。異常性は真桑友梨佳氏の死後発現したものと推測されており、死体に腐敗の兆候は確認されていません。
SCP-3823-JPの周囲には不定期にSCP-3823-JP-Aが現れます。SCP-3823-JP-Aは実在の保険会社の死亡保険金請求書、もしくはそれに準ずる死亡保険の保険金を請求する過程で必要な書類であり、既に必要箇所への記述が完了した状態で出現します。報告書執筆時点でSCP-3823-JP-Aは32件出現しており、その全てが真桑友梨佳氏が実際には契約していない保険会社の所定書類です。各書類は出現した順にSCP-3823-JP-A-1~32にナンバリングされています。
SCP-3823-JP-Aの持つ異常性として、この書類を用いて該当の保険会社に保険金請求を行った際必ず支払いが行われます。保険会社が真桑友梨佳氏の死後設立されている、死因が自殺の為保険金の支払い条件を満たしていない等明らかに矛盾の含まれる内容にもかかわらず保険金が支払われることから、SCP-3823-JP-Aの異常性は特定の対象への認識災害もしくは局所的な官僚災害を齎すものであると判明しています。
ほとんどのSCP-3823-JP-Aには短いメッセージの記述された非異常の付箋が添付されています。メッセージの内容は主に氏の両親に向けたものです。以下に例を示します。
管理番号 | 内容 | メッセージの内容 |
---|---|---|
3823-JP-A-2 | ██生命の死亡保険金請求書 | 「お父さん、お母さん、先に死んじゃって、本当にごめん」 |
3823-JP-A-3 | 葬祭費支給申請書兼決定書 | 「これは私の最後の親孝行、これじゃ足りないかもだけど…」 |
3823-JP-A-4 | ██ライフの死亡保険金請求書 | 「学費とかたくさん払ってくれたのに、無駄にしちゃってごめん。これは頑張って用意したお返し」 |
3823-JP-A-5 | ████生命の死亡保険金請求書 | 「退職後はヨーロッパ旅行に行きたいって言ってたでしょ。これ、使って」 |
SCP-3823-JP-Aには2例だけ、付箋以外の物品が添付されています。1つは3823-JP-A-8であり、真桑氏の家族写真が添付されています。もう1つは3823-JP-A-19であり、酷く損傷した状態で真桑氏の所属していたサークルの集合写真が添付されています。
当アノマリー発見時点で、真桑氏の両親はSCP-3823-JP-A-11を使用し、800万円を受領していました。受領した800万円は、全額が真桑友梨佳氏の死亡時に発生した火事に対するアパート会社への損害賠償及び隣室の住人への損害賠償に使われました。SCP-3823-JP-Aの異常性が発見される可能性が極めて低いことから、両親や担当会社員等関係者の記憶処理のみが行われました。