SCP-3830

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アイテム番号: SCP-3830

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-3830はサイト-64の標準的なSafeクラス保管ロッカーに収容されます。全てのSCP-3830-2個体は、非致死的異常物品の影響を受けた被験者のみを対象とする特殊Dクラス居住ブロックに収容されます。

Dクラスではない財団職員がSCP-3830-2個体に変化した場合、雇用の継続が認められます。影響者が水棲の異常存在に配属されている場合、速やかに配置換えされます(補遺3830-Bを参照)。

説明: SCP-3830は赤と青の色合いをした鉤針編みの編みぐるみであり、ほぼ確実にベタ(Betta splendens)と推定される魚の形状をしています。

SCP-3830の異常効果は人間が1m以内に入ると発現します。半径1mの領域に入ると、影響者のメラトニン生成率は大幅に増大します。これは影響者が任意の睡眠段階に入るまで持続します。

この睡眠段階(以下SCP-3830-1とする)に入った影響者は、自分が1匹のベタになり、ベタのみが生息する川の中にいる夢を経験します。SCP-3830-1の場面は常に何らかの湿地です。影響者を覚醒させるために如何なる試みが行われようと、影響者は後述する戦闘に敗北するまでこの睡眠段階に留まります。

SCP-3830-1において、影響者と同じ水域にいる全てのベタは複雑な知性を見せ、英語を発話/理解する能力があります。これらのベタは激しい敵意の兆候を示し、一般的に他個体との低俗な会話やその後の肉体的戦闘に従事します。

ベタの肉体的戦闘は通常、ボクシングリングを模したと思われる、コンブと貝殻だけで構成された小さな囲いの1つで行われます。これらの囲いの中での戦闘は他のベタたちから観戦されます。観戦客のベタはしばしば複数の身体部位に“SFFFC”という文字が表記されています。

ベタが影響者との戦闘に“勝利”1すると、影響者は疲労感を全く伴わずに即座に覚醒します。

睡眠中、影響者は水棲生物に特有の呼吸器官やエラを発達させ始めます(これ以降、影響者をSCP-3830-2とする)。この発達は約2時間で完了します。SCP-3830-2の本来の呼吸器系は、新たに発達した水棲呼吸器官と共に残る点に留意してください。

SCP-3830-2に生じたエラには“SFFFC”の文字が複数回、油性マーカーのそれと一致する様式で、縁に沿って記されています。これらのマーキングを除去する試みは全て失敗に終わっています。

補遺3830-A: 以下はD-3830-5とカール・デイリー研究員のインタビュー記録です。

[記録開始]

デイリー研究員: こんにちは、D-3830-5。

D-3830-5: おう。

デイリー研究員: あなたは最近、SCP-3830に曝露していますね?

D-3830-5: [エラを指差す] あぁ、そうだ。ひでぇ目に遭わされた。

デイリー研究員: 夢の中での出来事を思い出せますか?

D-3830-5: まぁな。まず最初に自分にヒレがあるのに気付いた。ヒレだぜ、おい。それと、身体が周りにいる魚たちと同じ色なのにも気付いた。魚は沢山いたな。見た目は綺麗だが性格はクソだった。みんな川の中みてぇな場所にいて、奴らはお互いにケンカを売ったり買ったり — ああ、あと暴言もだ。相手を侮辱しまくってた。そこら中にあるリングの中でプロレスラーみてぇに取っ組み合ってたんだ。正直に言うが、観戦してる分には楽しかったぜ。実際のプロレスみてぇなヤラセじゃねぇんだ。少なくとも見た感じはそうだった。

デイリー研究員: 続けてください。

D-3830-5: んで、1匹の魚が俺にケンカを吹っかけてきやがった。俺は魚ごときにボコボコにされる気は無かった、冗談じゃねぇ。だからそのバカ野郎をぶっ飛ばしてやろうとした。

デイリー研究員: 戦いが始まって、どうなりました?

D-3830-5: [ためらいながら] 魚からボコボコにされたよ — RKOを食らわされた。

デイリー研究員: 決着がついてから何が起きたかは覚えていますか?

D-3830-5: あぁ。目の前が暗くなり始めた時も、あのクソ魚が何だかんだ言う声がまだ聞こえてた。

デイリー研究員: 何と言っていましたか?

D-3830-5: ええと — 「魚に眠らされるのがお似合いだ、テメェはどう見ても魚と一緒に寝られるほどタフじゃねぇよ」だったかな。

デイリー研究員: お時間をいただきありがとうございました。

補遺3830-B: 最近、SCP-3830-2個体群は、川や水族館を訪れて“魚と一緒に寝られるぐらいタフ”であることを証明したいという激しい欲求を報告しています。このため、SCP-3830-2個体を水環境や水関連のオブジェクトに近付けることは認められません。

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