SCP-384
評価: +7+x

アイテム番号: SCP-384

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-384が現在出現している家屋はサイト19の外部に位置しており、これを収容ユニット077として指定します。この施設には財団の標準的記録デバイスを配備し、施設がサイト19の一部であると悟られないように活動しなければなりません。その破壊試験が行われる場合を除き、SCP-384が収容ユニット077への唯一の出入口となるようにしてください。収容ユニット077へ新たな出入口を構築する際は、監督の地位にあるレベル4研究員の承認が必要です。

試験が行われる際、SCP-384は常時、閉回路テレビジョンを介して監視されます。なんらかの理由で遠隔監視が失敗した場合、その旨がすべてのSCP-384担当者に通知され、研究を監督するレベル4研究員の許可を得た職員のみが収容ユニット077に進入できます。遠隔監視が失敗した際に内部に進入する職員は、常にSCP-384から目を離さないでください。これらの手順に対する違反があった場合、収容ユニット077および当該施設に通じるサイト19の通路は完全に閉鎖され、研究監督であるレベル4研究員の指示があるまで閉鎖を継続します。問題を起こした職員は厳重に譴責されます。

実験中は許可された職員のみがSCP-384-1との会話を行うことができます。会話は1分ごとに間隔を置いて行われなければなりません。インタビュアーは1分が経過したらいったん会話を中止し、少なくとも30秒待ってから会話を再開してください。

20██年3月22日より、SCP-384の実験を行うすべての研究者は少なくとも2名の武装した警備員を伴うこととします。収容ユニット077に進入する職員は進入前に標準的な危険物検査の対象となります。

説明: SCP-384は現在、収容ユニット077に存在する唯一の出入口です。SCP-384はその建造物に存在するあらゆるドアにその形状を変化させることができ、そのドアの特性も模倣します。この変化はSCP-384が破壊されたときにも発生します。マーシャル・カーター&ダーク株式会社のオークションへの襲撃で回収された際、SCP-384は同様の方法で収容されており、隔離されたその建造物にはたった一つの出入口しか存在していませんでした。

SCP-384の効果が発動されるためには2つの条件が必要です。SCP-384は、カメラやその他の電子機器を含むいかなる監視もされていない状態で、人間の手で開けられ、また人間の手で閉じられなければなりません。この条件が満たされると、SCP-384の下から室内に液体のタールが溢れ出し、毎秒約6.5リットルの勢いで室内を満たし始めます。このタールは床から3センチメートルの高さまでしか達しませんが、壁と天井はタールが粘着して覆われます。タールの流出は床と壁、天井が覆われるまで止まりません。タールの発生源と流入方法はいずれも不明です。その特異な粘着力を除いては、タールはなんの異常な特性も持っておらず、部屋から取り出されると通常のタールとまったく同じ性質を示します(そのためSCP指定はされていません)。

タールが部屋を覆う間、その部屋の中にいる人間は問題なく外に出ることができます。しかし完全に部屋が覆われると、室内のすべての開いているドアは閉じられ、自動的に施錠されます。ドアはピッキングツールを使っても開錠することはできませんが、破壊することは可能です。

効果の第2段階は第1段階の終了後ただちに発生します。部屋から逃げなかった被験者は、SCP-384-1として指定される女児の声が聞こえたと報告してきます。これはSCP-384を通った室内でのみ聞こえるものです。部屋のすぐ外に設置された記録装置でもこの音声を捉えることはできません。

SCP-384-1は礼儀正しく協力的であると報告されています。その声は自分は███████ ████という名前で、196█年に家族と離れ離れになってしまったと主張します。現在の居場所について尋ねると、SCP-384-1は質問者の声以外は何も見えないし聞こえないと答えます。SCP-384-1はSCP-384やその性質について理解しているようにはまったく見えません。インタビュー記録の抜粋は以下のとおりです。

インタビュー記録384-22, 00:14:12

F████博士: きみの周りの状況について説明してくれるかな。

SCP-384-1: 真っ暗なんです、先生。目の前も見えないくらい。先生の方は大丈夫ですか?

F████博士: 私の周りは特に問題ないよ、心配してくれてありがとう。きみのいる場所について何か教えてくれないかな。

SCP-384-1: すみません、先生。どうやってここに来たのか、本当に何もわからないんです。わかるのは、ここが暗くて、私はおなかが空いてて、家に帰りたいってことだけ。もっと何か教えられたらいいんだけど。

この時、室内のタールやSCP-384に対する実験が行われていた。この実験にはタールを高温に加熱することや室内を真空状態にすること、SCP-384の一部を破壊するものが含まれていた。

F████博士: インタビューを始めてから、何か周りの様子に変わったことはないかい?

SCP-384-1: いいえ、何も。先生が声をかけてくれたのがたった一つの変化です。お願いします、また来てください、ここは本当に暗くって。

F████博士: これでインタビューは終わりだ、どうもありがとう。

SCP-384-1のような状況に置かれた場合、普通の少年少女ならば相当の苦痛を感じるだろうという事実にも関わらず、インタビューした心理学者はその様子を「きわめてよく適応している」と表現しています。F████博士はSCP-384-1は異様なまでに豊富な語彙と成熟した態度を持っていると述べ、あくまで彼の推測に基づく仮説に過ぎないとしながらも、財団によるインタビューを欺こうとしているのではないかと示唆しました。

1人の人間がSCP-384-1との会話を1分44秒以上続けると、SCP-384-1はSCP-384のところに行ってそれを開けるように求めてきます。その指示ではSCP-384を「ドア」や「出口」などとは呼ばず、「その光」と呼びます。また、SCP-384-1は被験者とSCP-384との相対的な距離を、その足音や呼吸音で測ることができるようで、ドアから離れようとする被験者はSCP-384-1には低い音に聞こえるようです。

対象がSCP-384の目の前に立つと、彼あるいは彼女は「もっと前へ」行くように指示されます。このとき、多くの被験者はSCP-384-1の声音が切実なものになったと報告しています。SCP-384は通常、破損させるか破壊しなければ開けることはできませんが、この時点で被験者がSCP-384を開けようとすると、[データ削除済み]の突然の爆発に晒されます。SCP-384で観察される現象に類似する事例は記録にありませんが、ロサンゼルスのラ・ブレア・タールフィールドに行ったことのある職員はその場所との相似を指摘しています。F████博士は失われるのがDクラスの人命だけだとしても、この現象に関わる試験はあまりに危険であるとしています。SCP-384-1はこの爆発の後に混乱を示し、光が消えてしまった理由を繰り返し尋ねてきます。この爆発が発生した後のインタビューでは、彼女に苦痛の兆候が見られると報告されています。

第2段階の開始後12分が経つと、SCP-384-1は話すのを止め、タールは部屋から排出されます。

補遺-384A: マーシャル・カーター&ダーク株式会社について質問されたとき、SCP-384-1は答えようとしませんでした。これはSCP-384-1の行動で観察された唯一の非協力的な態度です。その精神科医がさらに質問すると、SCP-348-1はマーシャル・カーター&ダーク株式会社の「特別な嗜好」がある顧客とだけそのことについて話すことが許されていると明かしました。SCP-384-1はさらなる説明を拒否しました。SCP-384が確保された際に共に捕らえられたP████ C████はそうした顧客の一人でした。心理学者のインタビュアーは彼に反社会的でサディスティックな傾向が見られると指摘しています。マーシャル・カーター&ダーク社の以前の活動を鑑みて、F████博士は「特別な嗜好」を持つ顧客とはすべてC████氏のような精神状態の者であると推測しています。F████博士は部下の研究者にこの線からの調査はしないように指示しています。

事件ログ-384-1: 20██年3月22日、C██████助手はSCP-384-1にインタビューを行いました。彼は部屋の中にいる唯一の人間でした。インタビューが始まって2分後、C██████助手は自分の拳銃を抜き、部屋の中の記録装置を破壊しました。インタビューの内容におけるSCP-384-1とC██████助手の発言のいずれにも、彼が収容違反に手を貸した原因となりうる部分は発見されませんでした。収容ユニット077の内部にあるスピーカーを使い、現地のセキュリティはC██████助手に武装を解くよう指示しましたが、スピーカーが破壊されるだけに終わりました。30分後、C██████助手がSCP-███の収容を破って盗み出したという事件報告が届けられました。SCP-███の能力から推測すると、C██████助手はSCP-384を開錠して開くためにSCP-███を使ったのではないかと考えられています。C██████助手が室内のすべての監視装置を破壊した15秒後、収容ユニット077のSCP-384から大量のタールが流出してきました。タールの圧力によってSCP-384のヒンジが破壊された時点で、タールの流出は止まりました。インタビュアーはSCP-384-1の行動に変わりがないことを報告しました。SCP-███の回収は成功して再収容され、SCP-384も再び収容状態に戻りました。C██████助手の遺体は発見されていません。SCP-384-1がなんらかのテレパスやミーム効果を持っていないか徹底的な調査が行われましたが、なんの結果も得られませんでした。SCP-384-1にもっとも頻繁にインタビューしていたC██████助手が自分の自由意思以外の理由で行為に及んだという証拠は見つかっていません。F████博士のSCP-384をEuclidに再分類するという提案は却下されました。

彼はここ何年かで最高の助手だったんだぞ、こんなたわけた[罵倒語のため削除]。 -F████博士

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