クレジット
タイトル: SCP-3863-JP - 良いアイデアは [特定に繋がりうる情報により省略] を産む
著者: walksoldi
作成年: 2024
http://scp-jp-sandbox3.wikidot.com/draft:3324351-288-1854
財団記録・情報保安管理局 (RAISA) より通達
以下のファイルは、誤伝達部門がアレックス・ソーリー現実性リエゾンを介した非現実部門とのやり取りを経て作成したものです。オブジェクトの性質上、SCP-3863-JPの特定に繋がりうる情報は省略されています。
アイテム番号: SCP-3863-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-3863-JPおよび全SCP-3863-JP-A個体の収容は現状不可能です。そのため、現行の収容プロトコルでは、非現実部門1によるSCP-3863-JP創案者の早期発見と特定を重視しています。
SCP-3863-JP-A個体が現実化の兆候を見せた場合、非現実部門によって該当個体の顕現予測地点 (すなわちSCP-3863-JP創案者) が特定され、その地点を管轄する支部の現実性リエゾン2を介して現実上の職員に通知されます。その後、対象となるSCP-3863-JP創案者の居場所に最も近いサイトから機動部隊が派遣され、現場に到着するまでの間に非現実部門がSCP-3863-JP-A個体の現実化の遅延を試みます。現場に到着次第、対象となるSCP-3863-JP創案者にクラスB記憶処理剤を投与し、SCP-3863-JPに関するイラストが残されていた場合は全て破壊もしくは削除してください。現実化の抑止が完了次第、該当する非現実上のSCP-3863-JP-A個体はサイト-03に収容されます。
上記に加え、SCP-3863-JP創案者による不特定多数へのSCP-3863-JPの拡散を防止する策として、財団ウェブクローラーΔ-68 ("アイデア潰し") がインターネットを監視し、SCP-3863-JPの特徴と適合する画像が無いか捜索します。該当する画像が検出された場合は自動で削除が実施されます。必要であれば、SCP-3863-JP創案者に対してインターネットへのアクセス制限が施行されます。
機動部隊による対処が間に合わず、SCP-3863-JP-A個体が現実上に顕現した場合、速やかに当該個体を完全に破壊した上で、SCP-3863-JP-A個体を目撃した人物全員にクラスB記憶処理剤を投与し、適切なカバーストーリーを流布してください。現場に存在する死体は全て回収し、最寄りのサイトへ輸送して処分します。隊員がSCP-3863-JPを認識することを回避するため、SCP-3863-JPに関するイラストやSCP-3863-JP-A個体の抹消を担当する機動部隊には、視認した物体を不明瞭化する専用のゴーグルが支給されます。
SCP-3863-JP-Aの想定外の現実化を防止するため、SCP-3863-JPの詳細は現実性リエゾンを除いた非現実部門の職員のみが把握するものとし、同様にSCP-3863-JPに関する研究は非現実部門が担当するものとます。現実上の職員に対しては、誤伝達部門の協力のもとで情報を選別して開示します。非現実部門に所属していない職員がSCP-3863-JPの特定を試みることは禁止とします。
説明: SCP-3863-JPは昆虫の一種である [SCP-3863-JPの特定に繋がりうる情報により省略] をモチーフとした特定のキャラクターデザインです。SCP-3863-JPは2021年に初めて創案が確認され、2026年現在までに更に 94 417 421回創案されましたが、財団の取り組みによりいずれも現実上には残存しておらず、現状では1つのアイデアとして人類の叡智圏ノウアスフィア5上に存在しています。
SCP-3863-JP-AはSCP-3863-JPとの関連性を有する非現実実体6群です。SCP-3863-JP-A個体の総数は不明であり、これまでに非現実部門が収容した個体はいずれも同様の性質を有しています。
現実上の人物がSCP-3863-JPそのもの、もしくはそれに近似するキャラクターデザイン7を創案した場合、その人物の前頭前野付近でSCP-3863-JP-A個体の現実化8が開始されます。このプロセスは当該人物からSCP-3863-JPに関連する記憶を消去することで抑止が可能です。プロセスの進行速度から、何らかの干渉を受けなかった場合は創案から約3時間後に現実化が完了すると推測されていましたが、後述の実験によりこの推測の真実性が示されています。 (インシデントログ3863-JP-2を参照)
実験3863-JP: 創案から現実化までに約3時間の猶予があると推測されたことを受け、SCP-3863-JP-Aの性質を把握するため、以下の手順で実験が執り行われました。
- 非現実部門から現実性リエゾンにSCP-3863-JPの詳細な情報が開示され、それを基にしたイラストを用紙に描写させる。その後、現実性リエゾンにはクラスB記憶処理剤を投与する。
- 他の職員から確認できないよう実験室に上記イラストを安置した上で、被験者となるDクラス職員を入室させる。
- Dクラスにイラストを視認させることでSCP-3863-JPのデザインを認識させ、SCP-3863-JP-A個体の現実化を誘発させる。SCP-3863-JP-A個体の顕現に備え、専用のゴーグルを装着した機動部隊が実験室の付近に待機する。それに加えて、SCP-3863-JP-A個体の正確な外見を観測するため、被験者として自ら志願した職員3名も付近に配置する。
- SCP-3863-JP-A個体の顕現後、待機していた機動部隊が該当個体を完全に破壊する。その後、実験に使用したイラストを焼却処分し、SCP-3863-JPもしくはSCP-3863-JP-Aを直接認識した職員 (意図しなかった者も含む) にクラスB記憶処理剤を投与する。
この実験により、SCP-3863-JP-Aについて新たに以下の事実が判明しています。
- SCP-3863-JP-A個体の現実化が進行している最中であっても、SCP-3863-JP創案者以外の人物がSCP-3863-JPを想見した場合には別のSCP-3863-JP-A個体の現実化が開始されます。
- SCP-3863-JP-A個体の現実化が完了に近付くにつれて、SCP-3863-JP創案者は脳神経疾患を患い始めます。現実化が完了した時点でSCP-3863-JP創案者は死亡します。
- 現実化が完了したSCP-3863-JP-A個体は、SCP-3863-JP創案者の大脳・頭蓋骨・額付近の皮膚を順に裂くようにして外界に出ます。
- SCP-3863-JP-A個体の体長は目測で40 cm前後で、外見はSCP-3863-JPを彷彿とさせるものであり、実質的にSCP-3863-JPに関するアイデアの伝播源となります。すなわち、SCP-3863-JP-A個体を目撃することはSCP-3863-JPを想見する結果となり、新たなSCP-3863-JP-A個体の現実化を引き起こします。
インシデント記録3863-JP-1: 2026/10/12のPM 13:22:21、SCP-3863-JP-A個体の現実化が相次いで開始されました。PM 13:25:56までに127回の現実化の開始が確認されたことを受け、非現実部門が現実性リエゾンを介してこの異変を通達し、各所に機動部隊が派遣されるとともに、詳細な調査が実施されました。
調査の結果、原因は2026/10/12のPM 13:15:11にSNS上にアップロードされた1枚のイラストにあると判明しました。当該イラストにはSCP-3863-JPとは全く関係のないキャラクターが描写されており、それゆえに当初はSCP-3863-JP-A個体の現実化が生じていませんでした。しかしながら、アップロードから数分後に、別ユーザーから「左下の空白が [SCP-3863-JPの特定に繋がりうる情報により省略] に見えた」という旨のコメントが寄せられたことで、それに共感したユーザーらが次々とSCP-3863-JPを想見したものと思われます。
財団は直ちにカバーストーリーを適用した上で当該イラストを削除しました。その後の取り組みにより、SCP-3863-JP-A個体を一度も顕現させる事なく、調査を担当した職員を含む計408名へのBクラス記憶処理剤の投与が完遂されました。このインシデントを受け、間接的にSCP-3863-JPの特定に繋がりうる画像も検出可能となるようシステムの改良が進められています。
インシデント記録3863-JP-2: 2026/11/24、累計で418回目のSCP-3863-JP-A個体の現実化が開始されました。直ちに非現実部門による顕現予測地点の特定作業が進められましたが、この時の現実化プロセスの進行速度はこれまでの事例と比較して極めて速く、約7分後には現実化が完了すると推定されました。顕現予測地点が日本の福岡県██市における住宅と特定され、機動部隊が派遣されたものの、この間に当該住宅で更に3体の現実化が開始されました。この現実化プロセスの進行速度も同等に速く、機動部隊が現場に到着した頃には既に4体のSCP-3863-JP-A個体が顕現していました。
幸いにも当該住宅の窓は閉め切られており、いずれの個体も屋内に留まっていたため、機動部隊により全個体が破壊されました。その後、SCP-3863-JPに関するイラストも全て抹消され、最初にSCP-3863-JP-A個体の現実化を引き起こした新島にいじま ██氏およびその家族3名の死体が回収されました。
SCP-3863-JP-A個体の現実化が急激に速まった要因として、SCP-3863-JP-Aがインシデント3863-JP-1において未遂ながらも複数回の現実化プロセスを経験したことにより、現実化の要領を掴んだためではないかと推測されています。次にSCP-3863-JPが創案された場合、本事案と同じく機動部隊による対処が間に合わない可能性が高いと考えられます。
SCP-3863-JPおよびSCP-3863-JP-Aの収容手段の確立は最優先事項と見なされています。



