アイテム番号: SCP-3878-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3878-JP担当チームにより飛翔イベントの詳細な条件および抑制方法を調査中です。
説明: SCP-3878-JPは地球より400光年離れた地点に位置する非実体の球体です。周極星でないにも拘らずSCP-3878-JPは北半球にて年中観測することが可能であり、地球の公転と連動して運動していると考えられています。
SCP-3878-JPはハルトマン霊体撮影機を用いることでのみ観測することができます。そのため、SCP-3878-JPは霊素及び類似物質により構成されていると考えられています。 SCP-3878-JPの起源は現在判明していません。 詳細は補遺を参照してください。
撮影機を使用しSCP-3878-JPの存在を認識した人間(以下、対象)は何者かに見られている感覚を報告します。この影響は記憶処理によって除去することが可能です。
追記: 以下は、SCP-3878-JPとの関連が指摘された映像記録です。
映像記録-3878-3
対象: 小川 洋氏。1ヶ月前に非異常性の事故で死亡し、霊的実体となっている。
概要: 対象の居住していた住居にて対象とその家族(小川 御幸氏、小川 明氏)が接触した際の記録。
[ログ開始]
御幸氏、明氏はソファーに座りテレビを見ている。
洋氏: ただいま。
御幸氏、明氏は洋氏を認識していない。
洋氏: はは……やっぱ見えてないのか……
洋氏が御幸氏、明氏の隣に座る。
明氏: ママー、ごはんまだー?
御幸氏: そうね。ご飯にしましょうか。
御幸氏が立ち上がり、食器を取りに行く。
御幸氏がテーブルに皿を3枚並べる。
御幸氏: ああ……間違えたわ。
明氏: 何でしまうの?パパのぶんは?
5秒間の沈黙。
御幸氏: 明、パパはね……
明氏: ねーねーパパはどこなの
御幸氏: あのね、パパはね……
御幸氏の頬を涙が伝う。
明氏: 何でママ泣いてるの?
御幸氏が明氏を抱きしめる。
御幸氏: ごめんね……ごめんね……
洋氏が御幸氏と明氏を抱きしめようと試みるが、その手は御幸氏と明氏に触れることができていない。
洋氏: 御幸、明、すまない……お前らを置いていってしまって……
3秒間の沈黙。
御幸氏: ……そうね。そうよね。分かったわ、あなた。
洋氏: ……すまない、御幸。
御幸氏: 私は……前に進まないと
洋氏: 御幸……いらない心配だったみたいだな……
洋氏の身体が発光し始める。
洋氏: はは……お別れみたいだ。
明氏: ママ大丈夫?
御幸氏: ええ、もう大丈夫。ご飯にしましょ。
洋氏: ああ、お前のママはもう大丈夫だよ。
洋氏の身体が粒子となり崩壊を始める。
洋氏: もうちょっと……一緒に居たかったな……
洋氏: 御幸、お前なら大丈夫だよ。
洋氏: 明、大きくなれよ。
洋氏: 俺は……一足先に行くからさ。
洋氏: お前らのこと……見守っとくからさ……
明氏: ママ、パパは……?
3秒間の沈黙。
御幸氏: パパはね……
身体の発光がより強くなる。
洋氏: じゃあ、またな……
不明な外力により洋氏の身体が固定される。
洋氏: は?
御幸氏: お星様になって見守ってくれてるわ。
洋氏が秒速██kmで上昇する。
洋氏の悲鳴。
[ログ終了]
飛翔イベント中の対象
調査の結果、洋氏はSCP-3878-JPに向けて加速しながら移動している事が判明しました(以下、以上のイベントを飛翔イベントと表記)。飛翔イベントは主に北半球にて1日およそ5件程発生しており正確な発生条件は現在調査中です。
飛翔イベント中の対象は時々手を動かす、頭を動かすなどの行動を示すため、知性は残っていると推測されます。しかしながら、SCP-3878-JPに向けての移動は対象の制御下にないように見受けられます。SCP-3878-JPに到達した対象はSCP-3878-JPの構成要素となります。対象のSCP-3878-JPからの脱却の試みは不明な外力により全て失敗しています。
飛翔イベント後、生前の対象との関係が良好だった人間は対象が見守ってくれているという感覚を抱きますが、これがSCP-3878-JPの異常性に関連するものであるかは現在調査中です。
SCP-3878-JPはおよそ8億体の霊的実体によって構成されていると推測されています。現在観測された全ての実体は地球を凝視する以外の一切の行動を見せていません。









