アイテム番号: SCP-3889
アノマリークラス: Keter
脅威レベル: ● 赤
特別収容プロトコル: SCP-3889の直接的な物理収容は現在不可能です。当文書の作成時点において、SCP-3889の一般的知識と影響はアメリカ合衆国中部の東海岸 — 即ちメリーランド州・ヴァージニア州・ノースカロライナ州 — を越えて拡散してはいないため、現在の二次収容措置は、調査によって物理収容の実現可能な仕組みが得られるまでは適切なものと見做されます。
SCP-3889の功績に関する間接的証言の収集、並びに事象3889-TEHOMによる余波の収容および無力化のため、当該地域の主要な桟橋・埠頭・造船所・港湾・マリーナ・商業漁業区域は、海岸線から5km離れた地点までの周辺海域も含めて、海上部隊シグマ-58“ボトムフィーダーズ”と財団海上資産の組み合わせによって監視されます。SCP-3889の活動の目撃証言を一連の誇張された“釣り人物語”やホラ話として扱うために、偽情報イニシアチブ3889-WHOPPERがソーシャルメディアおよびローカルニュースネットワークに継続的に流布されます。
財団エージェントは、SCP-3889による事象3889-TEHOMの発生を阻止するために必要なあらゆる手段を講じる、という継続的指令を受けています。
説明: SCP-3889はアメリカ合衆国の東部沿岸地域で誕生し、同地域を主な活動拠点としている引退した自営漁師、ヘンリー・“ハンク”・マカリスターです。閲覧可能な全ての記録でSCP-3889の誕生日は1849年11月27日となっていますが、不明な理由から、この事実は当該情報を保有している行政の警戒や関心を喚起しません。SCP-3889は自らの実年齢を知らないと主張していますが、対象の肉体的な外見は標準的な80代の白人男性のそれと一致します。
SCP-3889は、その存在を知る船乗りのサブコミュニティに属する人々からは、一貫して地元民話における異名の“釣り人ハウリンハンク”、またはそれよりも肯定的な意味合いが薄れる“灰色の釣り師”グレイ・アングラーとして言及されます。これは小規模な3889-TEHOM事象による情景の印象深さが原因であり、直接的なミーム影響の結果ではないと推定されています。
SCP-3889を捕獲する全ての試みは失敗しています。捕獲、拘留、その他何らかの妨害を意図した財団資産が接近すると、SCP-3889は一般的に「瓶にスコールは閉じ込められんよ、坊主」「阿呆の餌には阿呆魚しかかからねぇ」などの警句を述べて消失します。そしてその場に、現在SCP-3889に割り当てられている財団エージェントの1人が、消失前のSCP-3889と同じ姿勢を取った状態で出現します。この効果には距離や質量に基づく制限が無いと思われ、瞬間的に発生します。代わりに出現するエージェントは概して混乱状態ですが、それ以外の危害を受けていません。また、エージェントは出現時に何らかの釣り道具を所持しています。この道具は一般的に屈辱的もしくは下品な形式 — 浮きが鼻腔に挿入されている、エージェントのズボンを腰からずり下ろすのに十分な量の鉛錘がポケットに詰め込まれているなど — で提示されます。
1年間に平均6回、SCP-3889は3889-TEHOM事象を経験します。これは、SCP-3889が釣竿を使用し、1匹の獲物を釣り上げる目的で水域に糸を垂らす行為として定義されます。問題の水域は少なくとも汽水性でなければならず、場所はSCP-3889によって無作為に選択されているように思われます。選択された場所には河川三角州、公共の浜辺、孤立した人気の無い沿岸地域、主要な海岸線から数km離れた無人島などがあります。記録上で最短32秒から最長3時間44分55秒までの期間の後、SCP-3889の釣り糸が1回振動し、この時点でSCP-3889は獲物を巻き上げてから消失します。3889-TEHOM事象中のSCP-3889の肉体と機材の強度および耐久性にはまだ上限が観測されていません。3889-TEHOM事象と結果的に出現した実体の選択されたサンプルが以下に掲載されています。
日付 | 場所 | 出現したTEHOM実体 | 結果 |
1944年3月21日 | メリーランド州 ボルチモア | TEHOM-01と指定された実体。物理的には筋骨格組織の不定形の塊に類似する。高さ約33m、基部の幅は53m。TEHOM-01は街の郊外から約4km離れた沿岸帯に出現し、沖合の財団海洋資産による砲撃で無力化された。死骸は“死亡”時に昇華して蒸気と化し、回収されなかった。 | 民間人57名が死亡し、推計145万ドルの資産被害が発生。地元住民には記憶処理が施され、破壊は軍事兵器実験の不首尾によるものとされた。 |
1967年2月8日 | 東海岸、デルマーバ半島 | TEHOM-15と指定された実体。物理的には、様々な程度に腐敗している人間の死体の塊を、表面的にタコ目(Octopoda)に似た形状に成形したものに類似する。推定身長29m、幅107m。実体は沿岸水域から出現し、内陸へ移動した。財団海洋資産に事態が通知され、実体は空爆と艦砲射撃の組み合わせで無力化された。 | 民間人に死傷者無し、重大な被害無し。TEHOM-15の死骸は検査され、昨年中に半径350km以内で死亡が宣言された人々の死体で全身が構成されていると断定された。回収された人間死体の本来の埋葬地の調査では、掘り起こした形跡の無い数千基の墓に棺だけが埋められており、死体は行方不明であると判明した。 |
1999年7月15日 | ノースカロライナ州 タール川の三角州 | 一見して異常性を持たないウバザメ(Cetorhinus maximus)、体長約7.5m。 | 不可解にもウバザメを釣り上げて消失した“謎の釣り人”について詳述する地元紙の記事を除いては、特記事項無し。当該事象は表向きは偶然、信憑性の無い証言、ウバザメの常軌を逸した行動の組み合わせによるものとされた。 |
2011年12月24日 | ノースカロライナ州 ハッテラス岬東部の無人島 | TEHOM-41と指定された実体。物理的には腐敗の進行した人間男性の死体に類似するが、その生理機能には重大な変異が見られた。最も顕著な特徴として、水面から約64mという最大身長(実体の“腰”から下は水没したままだった)と、背面および頸部から突出する数十本の長い触手状構造の存在が挙げられる。TEHOM-41は巡回中の財団海洋資産と即座に交戦に入り、腕と触手を船体に叩き付けることで交戦部隊に重大な被害をもたらした。初期交戦部隊は潰走した — 財団部隊に配備されていた兵器はTEHOM-41に視認可能な損傷を及ぼすことができなかった。ERESHKIGAL級戦術核クラスター爆弾の使用許可が要請され、SCPNF中央司令部によって承認された。TEHOM-41は無力化された。 | 財団職員107名が死亡。船舶7隻と航空機2機の破壊も併せて、推計4億ドルの戦術資産が失われた。死骸は沖合に牽引され、調査された。実体は未知の三重らせん遺伝構造を有することが判明した。解析は進行中。偽情報プロトコル3889-GREENFLASHが制定された。 |
他全ての状況において、財団職員はSCP-3889との自由な交流が可能であり、また対象は3889-TEHOM事象の余波以外で財団職員への直接的脅威を呈していません。SCP-3889へのインタビューは可能ですが、対象は自らの異常性質に関する質問を避ける傾向があります。最も特筆すべき例を以下に示します。
補遺: SCP-3889の継続的な観察の結果、2012年以降に発生した全ての3889-TEHOM事象の15km圏内にSCP-3897が出現していることが判明しました。この事実についてSCP-3889に尋ねたところ、対象は「ああ。状況は悪くなってる。今じゃもう奴sheが俺を見張ってるわけさ。」と述べました。SCP-3889はそれ以上の詳細を述べる前に消失しました。
SCP-3889とSCP-3897、SCP-3983、および全ての関連現象との接点に関する調査が現在進行中です。