クレジット
タイトル: SCP-3897-JP - 図鑑
著者: Yamano_Nakano_Kemono
作成年: 2025
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SCP-3897-JP-3に掲載された黒曜石(Obsidian)の写真(p.45)。異常性は除去済み。
アイテム番号: SCP-3897-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3897-JPは標準物品収容ロッカーに収容されます。SCP-3897-JPの影響を受けた対象に対しては、少なくとも24時間の絶食および尿と便の排泄が指示され、胃の内容物が空になっていることを確認したのちにクラスA以上の記憶処理が実施されます。
説明: SCP-3897-JPは全8巻の学習用カラー図鑑です。各巻はそれぞれSCP-3897-JP-1〜-8として識別されます。2025/04/02時点でSCP-3897-JP-7およびSCP-3897-JP-8は未収容状態です。
SCP-3897-JPの各巻はいずれも外形寸法は表紙を含めて約19×27×2cmで、ほぼB5版の規格と同一です。
奥付箇所が破損しており確認ができないSCP-3897-JP-3を除いたSCP-3897-JPの各巻は、いずれも奥付には ██████社により昭和40(1965)年に発行されたと記載されています。昭和40(1965)年時点で ██████社に該当する出版社が存在した記録は存在しません。また、同時点でSCP-3897-JPに該当する図書が出版されたことを示す記録も存在しません。要注意団体の関与については2025/04/02時点で不明です。
SCP-3897-JPのうち最初に財団に収容されたSCP-3897-JP-3には、表紙裏および本文紙の天地に「███小学校」と記載された黒のゴム印、およびその上から「除籍」と記載された赤のゴム印がそれぞれ押捺されています。███小学校はSCP-3897-JP-3が発見された███県███町に存在していますが、同校の過去の記録にはSCP-3897-JP-3およびその他のSCP-3897-JPを収蔵あるいは廃棄した記録は存在しません。
付記: SCP-3897-JP-3の発見の経緯
2003/08/19に███県███町警察に「███町の████川河川敷で石を拾って噛み砕いている男がいる」との通報が入り、同警察に潜入していた財団職員が現場に向かったところ、████川河川敷で██████ ██████氏(当時43歳)を発見、法執行機関に偽装した財団施設においてインタビューを行いました。
インタビューによると、██████氏は「小学校の時以来」石を食べており、その日も「たまたま腹が減ったから」という理由で河原に降りて「食べごろの石を」探していたとのことでした。普通は石は食用ではない点を指摘すると██████氏は不審げに首を傾げ「そんなことは考えたこともない」と話しました。
インタビュー終了後、██████氏にはクラスA記憶処理が実施されました。その直後、██████氏は左上腹部に激しい疝痛を訴え、搬送された病院で胃の幽門付近に約500gの岩石が停留していることが確認されました。
警察による家宅捜索に偽装した機動部隊ほ-14("背取り")による██████氏自宅の調査の結果、家屋内からSCP-3897-JP-3が発見され、財団によって収容されました。警察および第一通報者に対してはカバーストーリー”石売りの品定め”が適用されました。
SCP-3897-JPの各巻は、基本的に一般的な小学校の児童向けの学習用図鑑と類似した内容を保持しています。全体の構成、個別の項目の配列および解説の内容については科学的な厳密さまたは網羅性1 よりは学習のための有効性と読者に対する親しみやすさに重点が置かれています。カラー写真を全体に多用することにより読者に説明の対象物を強く印象付けられるような教育的配慮がみられます。
SCP-3897-JPの異常性は、説明されている対象のほぼ全てに対してその可食性、食味の良悪または適切な調理法についての記述がみられる点です。記述は、一般に食用とみなされない鉱物や草木類、あるいは有毒な菌類、植物または有毒動物にも及んでいます。
付記: SCP-3897-JPの記述の例
以下の引用から異常性は除去されています。タマゴテングタケ2 直径ちょっけい5~10センチメートルくらい。カサの部分ぶぶんは白しろかうすい緑色みどりいろ。根元ねもとにタマゴ型がたのふくろがある。しょうゆをつけて焼やいて食たべるとおいしい。(SCP-3897-JP-2, p.73)
黒曜石こくようせき 黒くろいガラスのようにピカピカしている。硬かたいものでけずるようにすると表面ひょうめんがうすくはがれる。生なまでもかるく火ひであぶってもおいしい。とがっているところには気きをつけよう。(SCP-3897-JP-3, p.45)
フグ3 大おおきさ50センチメートルぐらい。秋あきから冬ふゆにかけてよくとれる。肉にくはとてもおいしい。内臓ないぞうでは特とくに肝臓かんぞう、オスの精せいそう、メスの卵らんそうがおいしい。(SCP-3897-JP-5, p.29)
SCP-3897-JPの内容に一定時間以上暴露したものは、SCP-3897-JPの記述通りに対象物を摂取することができます。SCP-3897-JPの影響下にある場合、明らかに摂食、消化および吸収が不可能な岩石、石油等であっても通常の食物と同様に処理が可能です。同様に、通常の人間の半数致死量(LD50)を明らかに超過する量の有毒物質を含むものを摂取した場合であっても、中毒症状を起こすことなく消化および吸収が可能になります。
SCP-3897-JPの影響はクラスA以上の記憶処理によって除外することが可能です。ただし、SCP-3897-JPに関する記憶を喪失した時点で体内に未消化の物体が存在していた場合、その物体は通常通りの特性をもったものとして人体に影響するため、摂取した物体によっては危険が生じる可能性があります。記憶処理に先立って、可能ならば24時間以上の断食を行い、胃の内容物が完全に空になっていることを確認したのちに、尿および便の排泄をすませておくことが要請されます。
2025/04/02追記: SCP-3897-JPの全体の構成がSCP-3897-JP-1の収容によって確認されました。
| 呼称 | 表題 | 内容の概略 | 収容(収容日時) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| SCP-3897-JP-1 | 1 おはな | 被子植物(Angiospermae)全般。一部のコケ類(Hepatophyta)、シダ類(Pteridophyta)、および裸子植物(Gymnospermae)を含む。 | 収容済 (2025/04/02) | 巻末に全巻の構成について記述。 |
| SCP-3897-JP-2 | 2 きのこ | 子嚢菌門(Ascomycota)および担子菌門(Basidiomycota)のキノコ。一部の変形菌類(Myxogastrea)を含む。 | 収容済 (2010/09/01) | - |
| SCP-3897-JP-3 | 3 やまやかわのいし | 火成岩、堆積岩および変成岩。石油および石炭を含む化石、宝石、貴石、および貴金属を含む。 | 収容済(2003/08/20) | SCP-3897-JPのうち最初に収容された個体。奥付箇所に破損あり。 |
| SCP-3897-JP-4 | 4 むし | 節足動物門六脚類亜門(Hexapoda)、クモ類(Araneae)などの一部の鋏角類亜門(Chelicerata)およびムカデ類(Chilopoda)などの一部の多足類亜門(Myriapoda)。三葉虫綱(Trilobita)などの絶滅種を含む。 | 収容済 (2004/03/20) | - |
| SCP-3897-JP-5 | 5 おさかな | 硬骨魚類(Osteichthyes)、軟骨魚類(Chondrichthyes)および無顎類(Agnatha)。一部の尾索動物亜門ホヤ綱(Ascidiacea)、棘皮動物門ウニ綱(Echinoidea)およびナマコ綱(Holothuroidea)、一部の軟体動物門腹足綱(Gastropoda)、頭足綱(Cephalopoda)および二枚貝綱(Bivalvia)、および一部の哺乳綱クジラ目(Cetacea)を含む。 | 収容済 (2008/03/11) | - |
| SCP-3897-JP-6 | 6 どうぶつ | クジラ目および霊長目ヒト科ヒト(Homo sapiens)を除く哺乳綱(Mammalia)全般、および一部の両生綱(Amphibia)、爬虫綱(Reptilia)および鳥綱(Aves)。 | 収容済 (2006/02/11) | - |
| SCP-3897-JP-7 | 7 せかいのにんげん | - | 未収容 | - |
| SCP-3897-JP-8 | 8 ちきゅうとうちゅう | - | 未収容 | - |
2025/4/02現在、SCP-3897-JP-7および-8の捜索には機動部隊ほ-14("背取り")が割り当てられています。









