アイテム番号: SCP-3915-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: ████中学校の関係者にはカバーストーリー「老朽化」が流布されSCP-3915-JPへの侵入を防止します。卒業生への記憶処理、並びに継続的な情報操作によりSCP-3915-JPが利用されなくなった時期が直近の事象であるとの印象が与えられています。この試みにより、SCP-3915-JPが解体されず放置されている事に対する指摘により生じた記憶処理対応件数は非対応想定時の12%に抑えられています。
SCP-3915-JP-Bは標準人型実体収容セルに収容されており、壁面には隙間なく業務用スポンジが敷き詰められています。
説明: SCP-3915-JPは1962年に建設された████中学校の旧体育館です。████中学校では旧体育館の老朽化を理由に2013年に新しい体育館が建設され、SCP-3915-JPは2014年から一部の部活動を除き利用が禁止されていました。閉鎖直前、体育館を利用していた部員生徒からは度々練習中に起こる不明な耳鳴り、床に弾んだボールが予期しない方向へ飛んでいくなどの異常が報告されていました。
SCP-3915-JPは2014/01/041に予兆なく破壊耐性を発現しました。館内に通じる扉や窓は総じて閉め切られた状態で固定され、窓は内部の確認が困難なすりガラス状へと変化しています。現在、空調用に設置された換気口がSCP-3915-JPの内部へと侵入可能な経路として利用されており、それ以外の侵入経路は確立されていません。
SCP-3915-JP-AはSCP-3915-JPの内部空間です。SCP-3915-JP-Aはその内装、面積共に██県立総合体育館が再現されています。床面にはバスケットボールコート用の線が敷かれ、会場内に存在する天井吊り上げ式ゴールリング4つの全てが降ろされています。SCP-3915-JP-Aへと侵入した人物は常に館内全体に響き渡る"複数のバスケットボールのドリブル音"と形容される幻聴を耳にします。館内には正常な重力が働いているにも関わらず、以下の物品が無重力圏に存在するかのように浮遊しています。
- バスケットボール 40球
- 赤色のバスケットボール用ユニフォーム 15着
- ボール収納ラック 2個
- 使用済みのパーティー用クラッカー 14個
- ███オードブル盛り合わせセット 4セット
また、キャスター付きボールカゴが不動のまま内部空間の中心点に鎮座しています。当オブジェクトのみ、他の物品と衝突した場合にも移動する様子を見せません。
浮遊中のバスケットボールが館内に設置された4つのゴールリングのいずれかを上部から通り抜けた時、ドリブル音の幻聴を掻き消すほどの声援や拍手喝采が幻聴として鳴り響き、内部の人間はSCP-3915-JP-A全体が揺れるような感覚へと陥ります。
SCP-3915-JP-Aは外部へと通じる扉は存在しておらず、壁面が本来扉がある場所にまで広がっています。一方、██県立総合体育館には存在しない引分け式の扉が西側の中央に出現しています。これは異常発生以前の旧体育館と用具室を隔てる扉とデザインが酷似しており、学校側が保管していた用具室の鍵で解錠する事に成功しています。当該扉は固定されておらず、容易に開放する事が可能です。空間内部は照明が付いておらず、外部から照らす試みの結果は内部に突入した際に急速に減光し、入り口付近を照らすのみでした。
超音波センサーによる空間内マッピングでは、空間内部は本来の旧体育館内と同様の構造を有している事が明らかとなっています。空間内には10名の人型実体の存在が確認され、観測上はバスケットボールの試合を繰り返していますが、SCP-3915-JP-A内で浮遊中のバスケットボールがゴールリングを通り抜けた際には手を叩きながら壁面に向かい、頭部を一定のリズムで打ち付ける様子が見られます。この振動は数値上は扉を隔ててSCP-3915-JP-Aへと伝播しているものの、内部の人物はドリブル音の幻聴によりそれを意識する事ができませんでした。
補遺: SCP-3915-JP-A初期探査時、用具室の鍵を用いて扉の開錠を行ったエージェント・谷村が内部に侵入した直後、両方の扉が同時に閉扉され他の扉と同様に固定されました。以降、解錠後にも関わらず扉の開閉は不可能となりました。
換気口を通して持ち込み可能な器具内で実行可能な救出活動が行われたものの、全ての試みで成果は見られませんでした。実行された救出活動の詳細は SCP-3915-JP-救出活動ログ を参照してください。
エージェント・谷村の救出活動は無期限に延期されました。
補遺2: 初期探索から3年が経過した2017年、SCP-3915-JPの扉の前で気絶した児童(以下、SCP-3915-JP-Bと記載)が発見されました。発見当初のSCP-3915-JP-Bは意識混濁状態にあり、身体には以下の異常が見られました。
- 極度の栄養失調
- 身体部位毎に偏って発達した筋肉
- 主に上半身に目立つ打撲痕
- 声帯全域に見られる炎症反応
- 頭部からの出血
SCP-3915-JP-Aの内部では用具室の扉が開放されており、内部から14mに及ぶ流血の跡が残されていました。血痕はSCP-3915-JPの扉を跨いで確認されるものの、扉は依然として固定されており、開扉は不可能でした。
SCP-3915-JP-BのDNAはエージェント・谷村の物と完全に一致します。
SCP-3915-JP-Bは活動可能時間の大半を筋力トレーニングに費やし、対話の試み、衣服の着用といった事象に一切の関心を示しません。収容セル内に食事が提供された場合も筋力トレーニングを継続しますが、90分〜270分が経過した後、壁面に頭部を30回ほど打ち付けた後、食事の前で「ありがとうございます」と叫びながら摂食を開始します。
現在までに、SCP-3915-JP-BからSCP-3915-JP、並びにSCP-3915-JP-Aに関する情報は得られていません。









