SCP-3919
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SCP-3919-A。

アイテム番号: SCP-3919

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-3919はATENクラスのミーム災害に指定されています。SCP-3919-Aのフルネームとそれが記録されている全ての文書へのアクセスは、常に1名のレベル1職員のみに制限されています。如何なる状況でも、SCP-3919の個人的経歴に関連する用語で何らかのアイテム・オブジェクト・場所・概念に言及することは認められません。

各SCP-3919-B実例にはそれぞれ大きさの異なる立入禁止ゾーンが必要となります。この際、公共空間に存在するSCP-3919-Bには適切なカバーストーリーを用意しなければいけません。制御された実験環境を除いて、SCP-3919-B実例との相互作用は遠隔から実施すべきであり、不測の事態が起きた場合にSCP-3919-Bの影響範囲内から職員を回収するための適切なメカニズムの準備が求められます。

SCP-3919-Aへの言及を公的記録から除去し、SCP-3919-Aの知識を持つ民間人に記憶処理を施す財団の取り組みが、チェコ共和国内および国際的学術環境下において行われています。2009年現在、公的記録における既知のSCP-3919-Aへの言及は全て編集され、元の文書は財団によって保管されています。SCP-3919-Aの作品は別人名義で再帰属されており、かつてSCP-3919-Aの知識を持っていた記憶処理済みの人物██名は監視下に置かれています。

説明: SCP-3919は、1905年から1973年まで存命だったチェコ人の近代建築家、ヤン・████████(SCP-3919-A)に関連するミーム的-意味論的な異常現象です。SCP-3919-Aは生前には如何なる異常性質も示しませんでしたが、彼の死後、彼にちなんで名付けられたオブジェクトや、複数名によって“彼の物”と理解されたアイテムがSCP-3919-B実例に変換されるという異常性が顕在化しました。SCP-3919-B実例は近隣の人間に視覚的・聴覚的な幻覚を誘発します。詳細は各実例ごとに異なるものの、幻覚は一貫してSCP-3919-Aの人生における印象的な場面を反映しています。これらの幻覚は本来有害なものではありませんが、連続的にループし、最大強度で現実世界の知覚を妨げるために、影響者が効果範囲から自力で脱出することは著しく困難になります。

SCP-3919は1993年、プラハ・カレル大学が建築学部の大講堂を“ヤン・████████講堂”と改名した結果、その教室がSCP-3919-B実例に変わるまで観察されていませんでした。この実例は数多くの人物に影響を及ぼし、財団の調査対象となりましたが、当初は独立した異常空間だと想定されました。SCP-3919-B活性化条件に関する不確実性も相まって、1993年から1998年に現行の収容プロトコルが実装されるまでに、更なるSCP-3919-B実例が多数作成されました。

SCP-3919の意味論的な構成要素は共通の理解に基づきます。SCP-3919が活性化して、ある物体がSCP-3919-B実例に変換される最も単純な条件は、SCP-3919-Aの名を取って対象物を公式に命名し、その事実を記録することです。この特性は監視と制御が比較的容易です。しかしながら、SCP-3919-Aに言及しているという理解が少なくとも2人の人物間で承認されている状況下での非形式的参照行為は、SCP-3919の有意に危険な活性化を引き起こします(例.SCP-3919-B-4)。この特性は建造物に限らず、他の物体・生物・行動にも適用されることが確証されています。抽象概念を用いた実験はCK-クラス現実再構築シナリオの危険性があるため禁止されています。

ある人物がSCP-3919の異常特性を活性化させるには、SCP-3919-Aのアイデンティティに関する一般知識が必要です(フルネーム・国籍・職業・20世紀の人物であることを理解していれば十分)。また、2人の人物がお互いに協力している場合、SCP-3919の適用範囲には既知の限界が無いため、公共圏におけるSCP-3919-Aを対象とする情報セキュリティ対策が重要視されています。SCP-3919-Aの作品は他のチェコ人建築家が手掛けたものとされ、それに応じて学術文献も改竄されました。

SCP-3919-Aと個人的接触があった人物への記憶処理は、以前は標準的な慣習でしたが、2014年以降は必要とされていません。

補遺3919-1: 選択されたSCP-3919-B実例と、転写・翻訳された関連事象

SCP-3919-B-1

アイテム: 旧プラハ・カレル大学建築学部の建造物内、ヤン・████████講堂

背景: 上記参照。

幻覚の日付: 1916年頃

説明: SCP-3919-A、母のエヴァ・████████(PoI-39191)、父のルドルフ・████████(PoI-39192)が、ブルノにあるSCP-3919-Aの子供時代の家の居間にいる。PoI-39192はオーストリアのラントシュトゥルム1隊長の軍服を着ている。同じく軍服を着た4人目の人物が箱形カメラを構えて待っている。


<転写開始>

PoI-39192: (笑い) いや、母さんの面倒は見なくてもいいさ、ヤン。お前が気付く間も無いうちに帰ってくる。

PoI-39191: (目に涙を浮かべている) ルディ —

PoI-39192: シーッ、よしよし。 (囁き声) この子の前ではダメだ。 (SCP-3919-Aに) ほら、お前に渡したい物がある。よく手入れして、使う時は父さんを思い出してくれよ。

彼はSCP-3919-Aに金の懐中時計を渡す。

男: 閣下、時間はあまり取れません。

PoI-39192: ああ、ああ、分かったとも。皆、来なさい。

家族3人はソファに座り、4人目の男が写真を撮影する。

<転写終了>

SCP-3919-B-2

アイテム: プラハ、スミーホフ地区、Lesnická通り1012番地の家

背景: 1934年にSCP-3919-Aによって設計され、1994年に建造物遺産リストを作成するための市議会提案で“ヤン・████████・ハウス”と命名された。

幻覚の日付: 1936年3月

説明: プラハにあるソ連大使館での歓迎会。SCP-3919-Aは未特定のソ連の役人と議論しており、正面にPoI-39192の写真を留めた書類の束を抱えている。


<転写開始>

SCP-3919-A: 君がこの男が誰なのか知らないのは分かっている。だからこそ旅行を申請している。

役人: 近頃この手の要求を沢山受けていますが、承認できません。あなたは何処で彼を探すつもりですか? 戦時中に軍がどれだけ遠くまで移動したか分かっていますか? 遥々ウラジオストクまで捜索しなければならないかもしれませんよ。いいですか、向こうはここの何倍も広いんです。目的地も無く旅行などできません。

SCP-3919-A: モスクワ大学の人々とは知り合いだ。

役人: 彼らから招待状を受け取りましたか?

SCP-3919-A: 彼らは私を知っている。モスクワに行ったら、ホテルの電報を見せることができる。

役人: この要請は承認できません。同志、私はあなたのためを思って言うのですよ。モスクワにこの男性を知る者が誰一人いないのは請け合います。お金と時間を山ほど無駄遣いして、最後には失望するだけです。

SCP-3919-A: しかし、もしもの —

役人: 彼が何処にいるか知りたいと仰る? 教えてあげましょう。シベリアにある無銘の墓の中です。一千基もある墓のうちの一つに、一千人の他の反動主義者たちと共に —

SCP-3919-A: 貴様、よくも

SCP-3919-Aはテーブルの上に書類を投げ出し、役人に向かって一歩踏み出す。

役人: (脇に向かって) ここからつまみ出せ!

<転写終了>

SCP-3919-B-3

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SCP-3919-Aの住居だった時期のSCP-3919-B-3。

アイテム: プラハ7区、Dělnická通り12番地、アパート11号

背景: 1950~1952年のSCP-3919-Aの家。SCP-3919に対する財団の調査中、何処かの時点で“ヤン・████████の”住居として言及されたと思われるが、具体的な詳細は明らかになっていない。

幻覚の日付: 1937年1月

説明: ロンドンのウェストミンスター区にあったレストラン(現在は存在しない)。8名の人物が存在しており、その大半はイギリスの美術・建築コミュニティの構成員と特定されている。SCP-3919-Aはテーブルの中心の椅子に座っている。彼の隣には、著名なドイツの現代建築家であり、1920年代後半に市立バウハウス・デッサウ校でSCP-3919-Aの教師を務めていたヴァルター・グローピウスが着席している。


<転写開始>

出席者たちからの背景音。

グローピウス: 少々お待ちを、紳士諸君。もし君たちが彼にまだ会っていないなら、プラハから訪れた昔の教え子を紹介したい。ヤンは素晴らしいプロジェクトを完了したばかりでね、後ほど何枚か写真を見せてくれると思う — そうだよ、マックス、君が昨日見たあれだ — しかしひとまずは、こういう騒がしい時期に訪ねて来てくれた友人に乾杯しよう。ヤンに乾杯!

出席者たちがグラスを上げて乾杯する。

SCP-3919-A: とても温かいおもてなしを、皆さんどうもありがとう。 (グローピウスに、ドイツ語で) 私の英語にはまだまだ努力が要るようです。あなたからの招待は本当に嬉しかった。

グローピウス: (ドイツ語) 嬉しいのはこちらだよ。招待を永遠に引き延ばしたって良いと思っているんだ、ヤン。知っての通り、ヨーロッパの状況は芳しくない。勿論、ドイツにいた頃の私2のほうが嫌な目を見たものだが、君もきっとまだ不安だろう。もしこの国に来ないならば、アメリカにある私たちのサークルで数多くの仕事が —

SCP-3919-A: (ドイツ語) 申し出には感謝します、ヴァルター、ですがカロリーナが妊娠しているので、私たちには単純に旅が不可能なんです。きっと丸く収まりますよ。あなたのイギリスとアメリカの友人たちが我が国を見守ってくれるだろうと信じます。 (笑い)

グローピウス: (ドイツ語) 多分な、ヤン。もし情勢が悪化したら、まぁ断じて無いことだろうが、ここに友人がいることを忘れるなよ。

<転写終了>

SCP-3919-B-4

アイテム: サイト-77の地下2階

背景: 1996~1998年までSCP-3919関連文書の保管施設だった。不適切な事前説明を受けた職員らによって“████████図書館”と言及されたため、1998年にSCP-3919-B実例に変換された。

幻覚の日付: 1955/03/123

説明: プラハ・カレル大学にあるSCP-3919-Aのオフィス。SCP-3919-Aは机の後ろに座っており、ロングコートを着た2名の男性が反対側に立っている。


<転写開始>

SCP-3919-A: アレックスと最後に会話したのは、そうだな、1週間ほど前だった、そして — そして — 研究、そう、あいつの研究について話したんだ。それで全部 —

エージェント: 彼は翌週の計画について語りましたか? あなたには再び話し合う予定がありましたか?

SCP-3919-A: ああ、いや、時間を決めて待ち合わせてはいないんだ、ただカフェで見かけたから —

エージェント: 彼は国家について何か発言しましたか? 彼の亡命計画に関する何かを?

SCP-3919-A: いや、そんな事は —

エージェント: 全く何も? では、同志、お互いにこの時点で明確にしておきますが、あなたは息子が全く反国家的な発言をせず、善良かつ忠実な市民であり、それにも拘らず今は亡命していると証言するのですか?

SCP-3919-A: その — つまりだな、私は — なんだ、あの — 思い出せないんだよ — あいつが正確には何と言ったか覚えていないんだ。

エージェント: ご自分の息子との最後の会話を思い出せないのですか?

SCP-3919-A: 分からない。私は近頃とても忙しくて — これ以上は力になれない。

エージェント: 分かりました。再び会う時までに思い出すようお勧めします、同志████████。ごきげんよう。

SCP-3919-A: 頼む、同志ノヴォトニー書記に一筆書いてくれ、私が自分で書いても良い — 彼が私の保証人になってくれる、産業省で一緒に働いていたんだ —

エージェント: あなたのために訊ねてみますが、あなたと同志書記には共通する所がありましてね。あなたも想像できるでしょうが、彼は極めて多忙な人物ですし、残念ながら出会った全ての人物を思い出したりはしないんです。

<転写終了>

SCP-3919-B-5

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SCP-3919-B-5。

アイテム: 上級研究員 M・バラージョヴァー博士

背景: バラージョヴァー博士は1999/12/01にSCP-3919-B実例に変換され、半径15mの幻覚領域を投影し始めた。これは、SCP-3919の文書記録を編纂していた自動化システムの欠陥により、多数の文書においてSCP-3919の主任研究員(当時はバラージョヴァー博士)に言及する文字列が“ヤン・████████”に置き換えられたためと判明した。バラージョヴァー博士は収容下においても財団に雇用され続けている。彼女はビデオリンクを介した他者との接触を許可されており、長期的な隔離の影響を緩和するために定期的なカウンセリングを受けている。

幻覚の日付: 1967/12/184

説明: プラハにある産業省の地下室、1956年のSCP-3919-Aの職場。SCP-3919-Aは机に座って書類仕事をしている。


<転写開始>

ドアが開き、カレル大学に勤めていた時期のSCP-3919-Aの同僚、E・クロイツァー教授と特定された男性が入室する。

SCP-3919-A: はい、何か御用ですか?

クロイツァー: こんにちは、ヤン。しばらくぶりだね。

SCP-3919-A: どなた — エヴシェン、まさか、お前か? 見分けが付かなかった。

クロイツァー: ああ、そりゃ、髭をね — とにかく。先月ウィーンにいた時、店である物を見かけたんだ、何だったと思う? ほら、ご覧よ。

彼は“機能主義: 図版で辿るオーストリア・ドイツ・チェコ史”と題された写真入りの本5を取り出し、SCP-3919-Aが設計したLesnická通りの家(SCP-3919-B-2)が掲載されているページを開く。

クロイツァー: それで思い出したんだよ、今日じゃなかったかい? 誕生日おめでとう。君への贈り物だ。

彼はSCP-3919-Aに本を渡す。SCP-3919-Aはまだ沈黙している。

クロイツァー: 邪魔したことはすまない。例の一件の後で、大変だろうとは思うけれど —

SCP-3919-A: 10年だぞ、エヴシェン。手紙の一通、電話の一本もよこさず10年も私をここに放置して、今さら顔を出そうと決めたのか?

クロイツァー: 50年代がどんな時期だったか分かるだろう、ヤン、僕らは皆 —

SCP-3919-Aが立ち上がり、微笑む。

SCP-3919-A: 会えて嬉しいよ、友よ。

彼は腕を広げ、2人は抱きしめ合う。

<転写終了>

SCP-3919-B-6

アイテム: サイト-77の収容室#6でハム&チーズ・サンドイッチを食べる行為。

背景: SCP-3919が物理的オブジェクト以外にも適用されるかを確かめるため、財団の調査の一環で作成された。プロトコルは、2名の研究員がこの特定行動を“ヤン・████████する”と呼ぶという理解に達するように設計された。現在、この行為を実行する全ての人物はSCP-3919の効果を体験する。

幻覚の日付: 1973年12月

説明: プラハ、ブロヴカ病院の一室。ベッド4脚付きの病室で、痩せ衰えたSCP-3919-Aが病院ベッドに寝ている。看護師が1名、ベッドの横でカルテを読んでいる。


<転写開始>

SCP-3919-A: カーラ、そこにいるのか?

SCP-3919-A: 喉が痛むんだ、カーラ。カーラ!

看護師: シーッ、████████さん。お水をどうぞ。

SCP-3919-A: 君は誰だ?

看護師: 今日の当番の看護師です、████████さん。

SCP-3919-Aは数分間、無言で紙コップから水をすすっている。

SCP-3919-A: …砕け散っているように感じる。残っているのは全て煉瓦と石だ。ただ煉瓦と石だけだ。

SCP-3919-A: 私は何処に行ってしまったんだ? 私には何が残っている?

SCP-3919-Aは目に見えて苦悩している。

SCP-3919-A: これはずっと君の仕業だったのか? 相応しい。あの時私は怖かった — 違う、臆病者だった。

SCP-3919-A: 許してくれ — 私は — 許してくれ —

SCP-3919-A: 私には君の名を思い出せない。

<転写終了>

SCP-3919-B-7

アイテム: “ヤン・████████”というラベルが貼られた耐火煉瓦。

背景: 実験のための標準化されたオブジェクトの導入。

幻覚の日付: 1942年6月

説明: プラハにあるSCP-3919-Aの家、夜間。SCP-3919-Aは2階の寝室で窓辺に立ち、カーテンの隙間から通りを覗いている。彼の妻、カロリーナ・████████(PoI-39193)が彼の後ろでベッドに寝ている。身元不明の男性が玄関ドアの前に立ち、繰り返し叩いている。


<転写開始>

男: ヤン! ヤン、居るか?

SCP-3919-Aは男を見ているが、反応しない。

PoI-39193: うーん。今何時?

SCP-3919-Aは答えない。

PoI-39193: ヤン、あれは誰?

くぐもったドイツ語の叫びと銃声が遠くから聞こえる。

SCP-3919-A: 知らないな。

男: ヤン、後生だ、ドアを開けてくれ!

PoI-39193: 知ってるはずじゃない。あなたの名前を叫んでるわよ?

SCP-3919-A: 言っただろう、カーラ、私にはあれが誰か分からない。ベッドに戻りなさい。

<転写終了>

SCP-3919-B-8

アイテム: “ヤン・████████”というラベルが貼られた耐火煉瓦。

背景: SCP-3919-B-7と同様。

説明: 関連事象は発生せず、代わりに10m以内に接近した全ての人物に聴覚・視覚の喪失を引き起こす。SCP-3919の継続的な実験でも同様の結果が得られている。

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