監督評議会命令
以下のファイルはレベル5/3930-JP-Jに分類、制限されています。
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SCP-3930-JP-Jを使用した体感のイメージ。
ファイル管理者の警告: 絶対に他の職員に情報を漏らすな。いいな? ──O5-01
特別収容プロトコル: SCP-3930-JP-Jは表向きには存在しないこととし、監督評議会が独占します。SCP-3930-JP-Jの非実在を維持することが、SCP-3930-JP-Jの収容プロトコルとなります。
説明: SCP-3930-JP-Jは財団睡眠研究倶楽部初代メンバーらにより1970年にサイト-01に設置された、静的な布団一式です。
SCP-3930-JP-Jの掛け布団には「XO-クラス:全世界爆睡羽毛」、敷布団には「スクラントン現実とは思えない超低反発素材TM」などの高級素材がふんだんに使用されています。また、SCP-3930-JP-Jは非常に大きいサイズであるため最大10名の成人が同時にSCP-3930-JP-Jを使用することが可能です。
SCP-3930-JP-Jを用いて睡眠を取った場合、使用者は起床時に昨日溜まった疲労が完全に消失していることに気付きます。また、いつまでも寝ていられそうなほどに心地よい睡眠であるにもかかわらず、SCP-3930-JP-Jを用いた睡眠は使用者の任意の長さとなります。ただし、これらの異常効果は日を跨ぐ形の睡眠を取らない限り発生しません。この条件を満たさないSCP-3930-JP-Jを用いた睡眠はただの気持ちいい睡眠となるため、使用者は予定時刻に起床することをやめます。
要約すると:
- SCP-3930-JP-Jは表向きには存在しません。
- 表向きには存在しないため、監督評議会がSCP-3930-JP-Jを独占的に利用することが可能となっています。
- SCP-3930-JP-Jは同時に10名の成人を内包することができ、特定条件下で完璧な睡眠を使用者らに提供します。
- 特定条件を満たさないとき、SCP-3930-JP-Jはただの良質なやたら大きい布団一式です。
最も記述すべきこととして、SCP-3930-JP-Jに内包される人物が多いほどに使用者らの睡眠の質が向上することが挙げられます。ただし夏場は使用者らが密集することで蒸し暑くなるため、「スクラントン現実とは思えない超ひんやりウォーターベッドTM」の使用が必須となります。これを使用しない場合の夏場の睡眠は[データ削除済]。
補遺3930-JP-J.1: 日毎の使用者決定までの流れの一例
以下は2019/04/01に行われたSCP-3930-JP-J使用者決定投票の結果です。
概要:
本日のSCP-3930-JP-Jの使用者を決定する。自身の疲労具合を鑑みて、SCP-3930-JP-Jの使用が必要と考えるものは「要」に投票されたし。
監督評議会投票結果:
要 |
不要 |
未投票 |
O5-01 |
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O5-13 |
O5-02 |
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O5-03 |
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O5-04 |
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O5-05 |
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O5-06 |
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O5-07 |
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O5-08 |
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O5-09 |
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O5-10 |
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O5-11 |
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O5-12 |
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O5-11 |
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O5-12 |
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O5-11 |
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O5-12 |
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O5-11 |
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O5-12 |
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O5-12 |
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O5-11 |
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O5-12 |
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O5-11 |
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O5-12 |
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O5-11 |
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O5-11 |
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O5-12 |
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O5-12 |
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O5-11 |
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O5-12 |
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O5-11 |
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O5-12 |
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この投票において、O5-11とO5-12が悪質な連続投票を行ったために投票システムに致命的なエラーが発生する結果となりました。これを事由に両者は1ヶ月間のSCP-3930-JP-Jの利用権を剥奪されました。これの後、投票システムが使用できないために会議による使用者の決定が試みられました。
以下は使用者決定会議の映像記録です。
[ログ開始]
O5-01: (笑いを堪えながら) では……君たち2人は今日から……ヒヒッ……い、1ヶ月間のSCP-3930-JP-Jの使用を禁……フフッ……禁止する。
O5-11: アアアアァァァァアアアアア!!!!!
O5-12は机の下にうずくまりながら呪詛めいた何かを呟いている。
O5-06: ワン、笑いを堪えてください。嬉しい気持ちはわかりますが。
O5-01: (咳き込み) あー、すまない。
O5-02: 早く決めましょう。もう寝たいので。
O5-01: ではこれより本日のSCP-3930-JP-Jの──
O5-13: すみません。少しよろしいでしょうか。
O5-01: 何だ、邪魔をしないで欲しい。
O5-13: 私は今日から監督評議会に務めることになって、この会議の重要性というか、この布団について色々わからなくて……
O5-01: そうだったな。
O5-13: どうしてSCP-3930-JP-Jの報告書はここまで厳重に管理されているのでしょう。
O5-01: あー、それは……
沈黙。
O5-08: ……O5が仲良く同じ布団に入ってスヤスヤ眠ってるのがばれたら恥ずかしいだろう?
O5-13: ああ、なるほど。……ん?
O5-02: ワン、早く。
O5-01: それでは、本日SCP-3930-JP-Jを使用したいというものは挙手して欲しい。
O5-04: (手を挙げながら) では私が先に虚空へと行こう。
O5-13: 虚空?
O5-05: 私も虚空へと行こう。
O5-10: 私も虚空へと行かねばならない。
O5-02: 私も。
O5-07: 私も。
O5-03: 私もだ。
O5-01: もちろん私も虚空へと続こう。
O5-13: えー……では私も虚空へと行きます。
メンバーらがO5-13を睨む。
O5-13: な、なんでしょう。
O5-04: あーなんだね新入りくん。重要なので繰り返すが新入りくん。君は今日から監督評議会に務め始めた訳だが、もう虚空へと行かないといけないほどに疲れているというのか?
O5-13は何かを察したような顔をする。
O5-13: ……ええ。ならなおのこと私は虚空へと行かなければなりません。監督評議会の一員として、経験すべきことは経験しなければならないから!
O5-04: 黙れ!虚空へと行くのは私だ!私はもう疲れてるんだ!早くぬくぬくさせてくれよ頼むよ。
O5-05: 私もだ!早く虚空へと行かせてくれ!あの優しく我々を包み込む純白の虚空へと、早く!
この後、約23分間にわたってO5-13と他メンバーの言い争いが続く。
O5-13: わかりました。これ以上は時間の無駄です。私はそこら辺で適当に寒さに震え寝てりゃあいいんでしょう?
拍手の音。
O5-01: 素晴らしい。その通りだ!君の代わりに我々がしっかりと虚空へと行こう。その英断を称えて、O5-13にもう一度拍手を!
拍手の音。
O5-13: しかし、既に24時を過ぎていますが。
O5-13を除く全メンバーが腕時計へと目を落とす。すぐさま会議室に絶叫が響き渡る。
O5-13: それでは皆さん、おやすみなさい。
[ログ終了]
翌日に行われた会議にO5-11、O5-12、O5-13を除くメンバーが寝坊により出席しませんでした。 監督評議会議員が会議に寝坊で出席しなかったという事実は存在しません。 報告書の悪質な改竄を行ったため、O5-01は1ヶ月間のSCP-3930-JP-Jの利用権を剥奪されました。