SCP-3933-JP(民間人により撮影)
アイテム番号: SCP-3933-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-3933-JPに関連する情報は財団ウェブクローラによって捜索された後に削除されます。SCP-3933-JPの出現地点においては関係者に対する記憶処理を行い、SCP-3933-JPが残した物品の回収を行います。
説明: SCP-3933-JPは後述の異常性を有した人型実体です。体長は180cmほどであり、多数の男性的特徴を有しています。SCP-3933-JPは自身を「俺」と呼称しています。これは一人称だけではなく、氏名を尋ねられた場合も同様です。そのため、SCP-3933-JPの正確な氏名や名称は明らかになっていません。
SCP-3933-JPは身体的・精神的に消耗している人物(対象と表記)の近傍に出現します。出現後のSCP-3933-JPは対象に対して「SCP-3933-JP自身が足りていない」旨の主張を行った後に、何らかの手段をとることによって対象の治療やカウンセリングを試みます。この際、身体的に消耗している対象は多くの場合においてSCP-3933-JPによって治療されますが、精神的に消耗している対象の大半はSCP-3933-JPの存在を拒絶するため、結果としてカウンセリングは失敗に終わる傾向にあります。
対象の状態が改善された、もしくはSCP-3933-JPによる治療やカウンセリングが失敗した場合、SCP-3933-JPは即座に消失します。消失後のSCP-3933-JPの行方は明らかになっておらず、追跡の試みも全て失敗に終わっています。
補遺3933-JP.1: 出現記録
以下は、映像記録などの存在が確認されたSCP-3933-JP出現事例の一部抜粋です。記録の全容についてはこちらを参照してください。
出現記録3933-JP.1
出現日時: 2009/07/06 AM1:55
出現場所: サイト-81-113内食堂
対象: エージェント・坂巻
付記: 対象は連日の勤務によって極度の疲労状態にあり、サイト内の食堂で単独で食事を摂っていました。
<記録開始>
SCP-3933-JP: よお!
対象: えっと……誰ですか?
SCP-3933-JP: 俺だよ。お前に俺が足りてねえのは百も承知だからな。
対象: 待ってください。本当に誰なんですか?
SCP-3933-JP: だから俺だっての。お前のその食事、本当に十分なものだと思ってるのか? 最近連勤やばいだろ?
対象: あ、ああ。すいません。このサイトに転属して間もなくて。本当に誰なのか分からず──
SCP-3933-JP: [遮る] とにかく、その食事はだめだ。この17連勤での消耗を甘く見ちゃいけない。このままだと本当に死ぬぜ、お前。
対象: ……ええ。疲れすぎてあまり食が進まなくて。なんとかして食べなきゃだめなのは分かってるんですが……。
SCP-3933-JP: この食事に足りてないものを教えてやろう。カロリーに、ミネラル。そして俺だ。
対象: ……はい? えっと、それはどういう?
SCP-3933-JP: おい、自分で分かってないのか。いいか? ここ最近、お前の身体からは徐々に俺が失われていってる。
[対象は密かに通報装置のスイッチを押す]
SCP-3933-JP: つまりな、まずはまとまった量の俺を摂らないといけない。いくらなんでも、そこは分かるだろ?
対象: ……ええ、はい。
SCP-3933-JP: よし、そこでこいつだ。
[SCP-3933-JPはポケットから市販の紙パックジュースに似た物体を取り出し、テーブルの上に置く。物体の表面には「一日分の俺」と書かれたラベルが取り付けられている]
SCP-3933-JP: こいつを飲めば、一日分の俺を摂取できる。
対象: ……原材料の欄に「俺」と書かれていますが、これは一体?
SCP-3933-JP: 俺だよ。今までは直接俺を飲ませてたんだが、どうしても嫌がるやつが多くてな。仕方なくこの形にしたんだ。ほら、飲めよ。
[SCP-3933-JPは紙パックにストローを刺し、対象に差し出す]
対象: えっと [沈黙]
SCP-3933-JP: さっさと飲めって。安心しろ、俺以外の不純物は一切入ってねえから。
[対象はストローに口をつけ、紙パックの内容物を微量に口に含んだ]
SCP-3933-JP: おい、飲み込めって。そもそもの話、それだけじゃ全然足りてねえよ。
対象: ……これは野菜ジュースですか?
SCP-3933-JP: 違う。何度も言ってるだろ。俺だよ。
[保安チームが食堂に到着する。SCP-3933-JPが対象から引き離される]
SCP-3933-JP: おい! 何するんだ! 離せ! そいつにはまだ俺が足りてないんだ! そんな状態で働いたら死んじまうぞ! わかってんのか!
[救護班によって対象が担架に乗せられる]
[SCP-3933-JPが消失する]
<記録終了>
後記: SCP-3933-JPが取り出した紙パック内の液体を分析したところ、各種ビタミン価の高い野菜類を液体状にしたものであることが判明した。対象は栄養失調と診断され、通常の治療を受けた。
出現記録3933-JP.6
出現日時: 2012/08/23 AM3:20
出現場所: サイト-81-145付属職員寮
対象: 前田事務員
付記: 対象は当時交際中の人物から交際の破棄を迫られており、服毒自殺を試みている最中だった。
<記録開始>
SCP-3933-JP: よお!
対象: ひっ。
[対象は恐怖を露わにして、部屋の隅で包丁を構える]
SCP-3933-JP: おい落ち着けって! 今、あんたには足りないものがある。そうだろ?
対象: ……何言ってるの?
SCP-3933-JP: そんな怖い顔するなよ。つまるところ、俺が足りてないんだろ?
対象: は?
[SCP-3933-JPが対象に接近する]
SCP-3933-JP: なあ、俺が足りてないなら俺が協力できる。そうだろ?
対象: 違う。あなたなんか求めてない。わたしは──
SCP-3933-JP: [遮る] 違わないさ。よく考えてくれ。あんたに俺が足りてないのは明らかだ。
[SCP-3933-JPは対象への接近を続ける]
対象: 来ないで! これ以上近寄らないで!
SCP-3933-JP: なあ、俺には見りゃ分かるんだよ。あんたには俺が足りてないって。だから──
[対象は悲鳴を上げ、包丁を用いて自身の首を刺す]
SCP-3933-JP: あっ、おい! そんなことしたら俺がなくなっちまうぞ!
[SCP-3933-JPが対象の付近へ駆け寄る]
SCP-3933-JP: まずいまずいまずい、どんどん俺が減っていってる。クソ、こうなったら俺を補充するしか……。
[SCP-3933-JPはポケットから輸血用器具に類似する物体を取り出し、対象への輸血を行う]
SCP-3933-JP: 安心しろ! 今のお前は俺で満たされてるぞ! 大丈夫だからな!
[2時間後、部屋に救助チームが突入し、対象を止血する]
SCP-3933-JP: あっ、おい待て! 何するんだ!
[救助チームが血液パックを取り出し、対象への輸血を行う]
[SCP-3933-JPが救助職員に掴みかかる]
SCP-3933-JP: [血液パックを凝視する] これは俺じゃないか! なんでお前らが俺を持ってるんだ?
救助隊員: すいません、何のことかさっぱり──
SCP-3933-JP: [遮る] しかもラベルに「俺」って書かれてないじゃないか! 偽装するなんて何考えてるんだ!
救助隊員: ……だから何のことですか?
SCP-3933-JP: この偽装野郎!
[SCP-3933-JPが他の救助職員によって押さえつけられる]
SCP-3933-JP: おい、離せ! 何するんだ!
[SCP-3933-JPは抵抗するが、救助職員によって押さえ込まれる]
SCP-3933-JP: くそっ。
[SCP-3933-JPが消失する]
<記録終了>
後記: 対象の治療には成功している。止血までに流出した血液の量を考慮した場合、対象の体内に存在する血液の大部分はSCP-3933-JPから輸血されたものに置換されていると推測される。しかしながら、対象には包丁による刺傷以外の負傷は存在しておらず、現在までに不調を訴えていない。
補遺3933-JP.2: SCP-4999との接触
SCP-4999出現事例として記録された2件の事例において、SCP-3933-JPとSCP-4999の接触が確認されました。以下は、接触が確認された記録の抜粋です。記録の全容はこちらを参照してください。
接触記録3933-JP.1
接触日時: 2015/02/17 AM2:23
接触場所: 福島県いわき市██病院
対象: 倉橋茂三
備考: 対象は肺炎を患っている。また、親族らとの関係は悪く、実質的な孤立状態にあったとされている。
<記録開始>
SCP-3933-JP: よお!
対象: ……誰だ。
SCP-3933-JP: 俺だよ、俺。必要なんだろ俺が!
対象: お前なんか知らない。
SCP-3933-JP: いいか? あんたに足りてないのは俺なんだよ。分かるか?
対象: ……どうでもいい。出て行ってくれ。
[SCP-4999が出現する]
SCP-3933-JP: おい、あんたは誰だ。俺を邪魔しようってんなら──
[SCP-4999は煙草を咥えて着火し、対象の手を取る]
対象: あんたは──
[SCP-4999が微笑む。対象が涙を流す]
対象: ……ありがとう。
SCP-3933-JP: ……は? おいおい、おい。
[SCP-3933-JPがSCP-4999を凝視する]
SCP-3933-JP: どうして、どうして俺が足りてってるんだ? こいつは、俺じゃないのに。
[対象は目を瞑る]
SCP-3933-JP: なあ、あんたは俺なのか? そうなんだろ? でなけりゃ、この爺さんが俺で満ちてく説明がつかない。
[SCP-4999は首を振る]
SCP-3933-JP: [沈黙] こういう時に俺が役に立てないのは、俺が必要じゃないからなのか? なあ、頼むから答えてくれよ。
[数分後、SCP-3933-JPが消失する]
[対象が死亡し、SCP-4999が消失する]
<記録終了>
後記: 上記事例にてSCP-4999が出現した理由は「対象が孤独を感じていたこと」と「SCP-3933-JPが人間ではないこと」であると考えられている。
接触記録3933-JP.2
接触日時: 2020/07/15 AM4:32
接触場所: 埼玉県深谷市██病院
対象: 大野タエ子
付記: 対象は肺炎を患っており、周囲の親族とは既に死別している。また、7年前に遭った事故によって視力を喪失している。
<記録開始>
SCP-3933-JP: よお。
対象: ……ケイちゃん1?
SCP-3933-JP: そうじゃなくて。あんたに必要な俺だよ、俺。
対象: ……誰?
SCP-3933-JP: だから、俺だって言ってるだろ!
[SCP-4999が出現する。SCP-4999は煙草を咥えて着火し、対象の手を取る]
SCP-3933-JP: またあんたか。やっぱり必要なのはあんたなのか? 俺は本当はいらないんだろ?
対象: ねえ、誰なの?
[SCP-4999はSCP-3933-JPを凝視する]
対象: ケイちゃんじゃないの?
SCP-3933-JP: お、おい。全然俺が足りてねえよこの人。あんたなら俺を補充できるだろ? だって前もやってたし、その時と同じ感じで──
[SCP-4999は首を横に振る]
SCP-3933-JP: じゃあ、どうすればいいんだよ。あんたでも無理なら、一体。
[SCP-4999はSCP-3933-JPを指さす]
SCP-3933-JP: だから、俺じゃこういう人は助けられねえんだよ。いつもそうなんだ。肝心な時に限って俺は役に立たないんだ。俺が必要なはずなのに、俺じゃどうにもならないんだよ。
[SCP-4999は病室のテーブルの上に置かれた家族写真を指さす]
SCP-3933-JP: ……無理だ。俺は俺だ。俺でしかない。
[SCP-4999はSCP-3933-JPの手を取り、その手に対象の手を握らせる]
対象: 誰なの?
SCP-3933-JP: [沈黙]
[SCP-4999は煙草を取り出し、SCP-3933-JPに咥えさせて着火する]
対象: ケイちゃん?
[SCP-3933-JPは口から煙を吐き出す]
SCP-3933-JP: 俺だよ、母さん。
[SCP-4999は消失する]
<記録終了>
備考: 対象は1時間程度SCP-3933-JPと会話した後に死亡した。SCP-3933-JPは対象の瞼を閉じさせて消失した。
補遺3933-JP.3: 追加情報
SCP-4999との接触事案以降、SCP-3933-JPの発話内容の変化が確認されています。変化後の内容は「対象に寄り添っているような」と形容可能なものであり、これによってSCP-3933-JPが対象から拒絶される件数は大きく減少しています。



