あなたは保管セルを離れ、後ろでドアがスライドして閉じる。ロックされた時の『カチッ』という音が、最後に響く。しっかりとした金属のドアに遮られて見えなくなっても、SCP-3939の幻が背中に焼き付いているのを感じる。
ゆっくりとオフィスに戻り、出来るだけ周囲の環境を取り入れるようにする。3939の言葉が真実なら、これらはどれも現実ではない。しゃがんで床に触れる。何から何まで本物のように感じるが、それは相対的なレベルにすぎない。例え頭の中にはっきりとしたイメージが浮かんだとしても、床が実際に何で作られているのかよくわからないことに気付く。
サリーがあなたのオフィスの外で待っている。彼女の顔の感情を表すのは難しい。罪悪感?心配?不安?それが何であれ、ポジティブなものではない。
「何といえばいいかわかる?」彼女はあなたに尋ねる。彼女の声は抑揚がなく、強制されているようだ。「最後の下書きを書き上げる準備は出来ていいる?」
締め切りが迫っている。準備は出来ている。
「ああ。」とあなたは言う。「もちろん。」
デスクに座ってファイルを開き、入力を開始する。