3939-アルファ: カルロス、「朝一番」じゃなくて「今」って言ったんだ。
少しの間返信がない。あなたの要求はメールチェーンの最後で宙ぶらりんになっている。そして、あなたが要求したことは恐らくかなり不当であることに気付く。
オフィスに着き、中に入って机に向かう。あなたが再び画面を見るまでに、彼は返事をする。
3939-ガンマ: 私たちが話している「今」とはどのくらいですか?五分位ですか?
3939-アルファ: 1時間ある。
3939-ガンマ: 出来る限りはやります。
記事を書くのに一日もかかるわけではなく、あなたは自分自身に夢中になり、ぼんやりと机の上の不毛なディスプレイに目をやる。モニターの電源がオフになっている。キーボードはただそこに置かれていて、少し埃っぽい。あなたの電話は誰かが掛けてくるのを待っている。そして、クラスB記憶処理剤の缶がある。
このオフィスに以前所属していたのは、記憶処理薬の製法に取り組んでいた科学者の一人だ。これは新しいクラスBの製法の実験品かもしれない。または旧式のものかもしれない。どちらにしても、口と鼻を覆うゴムのようなプラスチックのマスクが付いた、小さな消臭缶のようなものだということしか知られていない。誰かの顔につけて噴射し、呼吸させると記憶が消える。
1週間を忘れてしまいたくなる。とてもまずい考えだ。