クレジット
タイトル: SCP-3974 - Such Sweet Sorrow
著者: xFox
作成年: 2017
SCP-3974-Aの感染末期におけるエージェント███████。
アイテム番号: SCP-3974
実体クラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3974実体群は人型実体収容セルに収容し、セル内の相対湿度が50%未満の状態を維持してください。-1,-2,-4実体が収容される各セルの室温を17℃に維持してください。SCP-3974実体群を収容するセルへの除染処理が1日に1度行われます。直接的・間接的にかかわらず、先述の実体群と遣り取りする職員はレベルA防護服の着用が義務付けられます。
SCP-3974-3が収容されるセルの室温は15℃に維持してください。当該実体にはペースト状の食料が供給され、定期的な休眠期間においてはその心拍数がモニターされます。万が一、当該実体が自傷行為を試みた場合には鎮静剤が投与され、精神状態が安定するまで定期的カウンセリングが執り行われる手筈となります。
いずれかのSCP-3974担当職員がSCP-3974-Aの感染症状を呈した場合、担当職員全員の隔離および検査が行われます。SCP-3974-Aに感染した職員は損失したものとして扱われ、遺体は焼却処分されて当該職員に使用された区域の除染処理が行われます。
協力関係の促進と健全な精神状態維持のため、SCP-3974実体群を扱う職員は収容以前に使用されていた姓名で当該実体群を呼称することが許可されます。該当しない職員は実体個別の指定名称で呼称しなければなりません。
インシデント3974-3Cを受け、SCP-3974実体群が奪取される可能性を抑えるために追加の警備体制が講じられています。
説明: SCP-3974は4人のヒトの子供です。(SCP-3974-1~-4に指定) 初期収容における不適切な輸送環境を理由に、-1実体およびに-3実体は外見が欠損した状態にあります。その異常な状態を除いて、他の実体には外見的に特筆すべき点はありません。
SCP-3974実体群の身体は未知のプロセスによってチョコレート菓子に置換されています。各実体が内蔵する各器官はいずれもヒトと一致しており、想定される機能を有しています。骨格は圧縮された砂糖の結晶から構成されており、ヒトの硬骨と相似する密度を呈します。実体群の栄養所要は同年齢の子供と同量であり、未知の代謝プロセスにより吸収された栄養素はチョコレートに変換されます。
SCP-3974実体群は未知のウイルス性病原体の保菌者キャリアーです。(以後、SCP-3974-Aと呼称) SCP-3974実体群との物理的接触または体液の飛散により感染します。SCP-3974-Aへの感染者の体組織は、栄養学的および構造的にチョコレートと約80%の相同性を示す物質に置換されていきます。発熱・皮膚病変・昏倒を初期症状とし、下痢・運動機能の低下・嘔吐が後に発症します。感染の進行により、感染者の全身はチョコレートに置換され、臓器不全により死亡します。SCP-3974実体群と同様に、感染者も感染源となりえます。SCP-3974-Aにより生成されたチョコレートの摂食は感染を必ず引き起こします。
当該の病原体は、赤血球または骨細胞を除くあらゆる型の細胞に感染します。SCP-3974-Aが体組織をチョコレートに置換する正確なプロセスは不明ですが、著しく複雑かつ複数の段階を踏まえて進行することが明らかとされています。溶菌の後にウィルス性粒子とチョコレート様物質が放出されます。また、感染者の腸内フローラを利用したチョコレート様物質の発酵が促進されます。これによりチョコレート味の原因となるフレーバー前駆体が生成されます。当該の感染症に関する治療法および抗ウイルス薬の研究が進行中です。
SCP-3974実体群は17℃以上の温度環境下で容易く融解します。融解を理由とした外貌醜状変形からの回復は確認されておらず、これは不可逆的と現時点で考えられています。軽度の創傷や擦過傷など、融解を起因としない損傷からの回復は確認されています。
SCP-3974全実体は、19██年██月██日、████州██████に位置する█████・ギャリソン所有の不動産より回収されました。対象は当該地区で製菓会社を経営していました。19██年██月██日、会社の創立周年のイベントとして、ギャリソンはロアルド・ダール著『チャーリーとチョコレート工場』を元とした催しを企画しました。自社製造の菓子へチケットを封入して、8歳から12歳までを対象としてランダムに子供を抽選しました。選ばれた子供たちにはギャリソンの工場を見学することが許され、見学の最中に子供たちは現在の状態に変化しました。
████・████を除き、抽選された子供全員が財団により確保され、SCP-3974実体に指定されました。ギャリソンと████・████の両名は現時点まで発見されておらず、要注意人物と認められています。工場に異常な設備は存在しませんでした。当該のイベントに参加した子供たちの親および保護者には適切な記憶処理が施され、ガス漏れを原因として工場見学中に意識喪失に陥ったものと信じ込ませました。また、工場は安全が担保されながらも、小規模な爆発に巻き込まれて子供たちとギャリソンが死亡したと報道されました。証拠は必要に応じて捏造され、実体群の代わりとして適当な死体が提供されました。
補遺3974-1a: 初期発見の直後、SCP-3974-3が他の実体よりも高速で融解することが見受けられました。当該実体は移送中に融解し始め、結果として重度の醜状を残すとともに明瞭な発話が不可能となりました。実体は断続的な不快感を訴えており、痛痒を伴ってはいません。19██年██月██日、SCP-3974-3は複数回に渡って自身の頭部を便座に叩きつけることで自己終了を試み、その結果として醜状が悪化しています。
重傷を負う前にSCP-3974-3の沈静化に成功しており、打撲傷の治療がなされた後に臨床的鬱病の診断が下されました。
補遺3974-2a: 収容以前の姓名でSCP-3974実体群を呼称することは██████上級研究員により廃止されました。これは、当該の実体群から得られる情報がこれ以上ないことに依拠します。
補遺3974-3a:
以下の文書のアクセスはクリアランスレベル4/3974以上の職員にのみ制限されます。
アイテム番号: SCP-3974-B
実体クラス: Euclid Keter
特別収容プロトコル: SCP-3974-Bはフィルター内蔵の換気システムを備えた人型実体収容セルに収容し、必要に応じて気密的封じ込め措置が取られます。
レベルA防護服を着用した職員で構成されるチームにより、当該の収容セルは1日に1回除染処理された後に食料と飲料水が供給されます。この処置の間、職員への協力拒否または敵意を当該実体が示した場合には鎮静剤の投与が許可されます。当該実体は生物災害性実体と同等の予防措置を以て処置されます。
当該実体は収容を担当する職員への敵意を示すことが既知とされています。作業に当たる職員はSCP-3974-Aの感染症状の有無が監視され、感染が確認された場合には適切な処置が取られます。
SCP-3974-Bは死亡していますが、当該実体より得られた情報から対象の意識は未知の場所に残置していることが示唆されています。SCP-3974-Bの供述の真偽確認・回復の支援・その後収容を意図した資源の配分がなされています。
説明: SCP-3974-Bはコーカソイド系男性であり、以前は████・████12歳として知られていました。一方で、当該実体は自身を█████・ギャリソンと認識しています。当該実体の肉体は年齢相応の非異常なヒトと同等ですが、その言動は非典型的であり、少なくとも30代の人間相当の思考能力を呈します。
SCP-3974-BはSCP-3974-Aの無症候性保菌者キャリアーでありながら、病原体による病的影響を受けません。SCP-3974-B実体およびその体液への物理的接触による感染が生じます。当該実体が病原体の影響を受けない理由は不明です。
異常な消耗品を生み出すのに必要とされる技術を身に着けていることを当該実体は主張しており、当該の消耗品は人体に有害と推測されています。この特性は観測されておらず、現時点で真偽不明です。
SCP-3974-Bは19██年██月██日、█████・ギャリソンの所有する菓子製造工場より確保されました。当該実体は、ギャリソンが最後に随伴した子供たちの1人であると工場の監視を担当したエージェントにより認識されて確保に至りました。当該実体は敵意を以て反応し、エージェント2名が感染させられたことでその異常性が確認されました。
インタビュー対象: SCP-3974-B
インタビュアー: ██████博士
<ログ開始>
SCP-3974-B: いつまで私をここに閉じ込めておくつもりですか?
██████博士: SCP-3974-B、あなたについて述べてください。
SCP-3974-B: 今あるままですが?よろしい。時間はあります。この檻は神聖な場所なのですから。
██████博士: SCP-3974-B、命令に従いなさい。あなたについて述べなさい。
SCP-3974-B: █████・ギャリソンとして、あなた方が待ち伏せていたあの工場のオーナーとしてかつては名が知れていたものです。その名で呼んでいただいても構いませんが、今や私はそれ以上の存在です。私は伝令使なのです。
██████博士: 前回のインタビューでも伝えたように、あなたはSCP-3974-Bに指定されており、今後もそう呼ばれます。自身を伝令使であると述べた意味を説明しなさい。
SCP-3974-B: チョコレートの神々からの伝令使。吉報が届けられることをお望みですか?
██████博士: それは後のインタビューに回しましょう。なぜ体が████・████のものと同一であるか、その理由を説明しなさい。
SCP-3974-B: おぉ、████。私にとってあの子は理想的な宿り先でした。特別に彼を選んだのです、他の子らではなくあの子を。転移のチョコレートを与えて私の意識を肉体に注いだのです。若返りとは胸躍る気分、そう言わざるを得ませんね。
██████博士: 転移のチョコレートとは?
SCP-3974-B: チョコレートの御国の秘儀です。精力的な研鑽と献身により、その秘密を私は明かすことができました。定命たる者がそれを口にすれば作り手の霊的実存が注がれるのです。
██████博士: では、████は?
SCP-3974-B: この躯に彼の意識は残っていません。
██████博士: であるなら、死んだのですか?
SCP-3974-B: そう狭窄な考えでいてはなりません。しかし、それも仕様のないことかもしれませんね。私は彼を解き放ちました、殉教者として。叡智と繁栄の新時代を導くための価値ある犠牲でした。それを成す以前、私は死の間際にありました。あなた方のような医師には癒すことができなかった。ですので科学というものの現れへ私は背を向けたのです。私の父も、更にその父も癒すことのできなかった科学に。私は死の運命を変える決意をしたのです。私の救済はチョコレートにありました。しかし、時間がまだまだ必要でした。チョコレートの神々からの託宣を読み解き、私たち皆を救済するためには時間が必要でした。なのでこの肉体に私の意識を移しました。
██████博士: 他の子供たちは?体がチョコレートに変えられている、その元凶はあなたですか?
SCP-3974-B: あぁ、子らよ。そうだ、私の屋宇から連れ出したのでしょう?あまり賢明な行いではありませんでしたね。状態がまだ安定していなかった、そうでしょう?子らを迎えるべく私は戻りましたが、待っていたのはあなたのお仲間でした。子らを安定させるのに苦戦している、そうとしか思えません。教えてください。溶け崩れていくのにどう対処なさっていますか?止め方が分かっていないなんて言わないでくださいよ。処置を任せてくだされば子らに救いを齎すこともできます。やはり、グランド・デザインの次の段階に子らが必要なのです。
██████博士: 要求は拒否します。質問に答えなさい。
SCP-3974-B: なんと冷酷か。よろしい。啓蒙しましょう。ええ、子らの今の在り様は私に責任があります。私が子らを実験用のネズミとして扱った、そのようにあなたの目には写っているかもしれません。しかし、子らは受難に対する報いをチョコレートの神々より授かることでしょう。私のように、より素晴らしいものになることを望んでいます。まだ子らは解ってはいませんが、チョコレートの神々の到来に身を捧げているのです。
██████博士: どのようにして?
SCP-3974-B: 召喚の典礼に必要なのです。壮麗たる光景となりますよ、博士。しかし子らは未だ準備が整っていません。あなた方が丁寧に面倒を見てくれると信じていますよ。
██████博士: それについては後のインタビューに回します。では、あなたの持つ病原体について説明しなさい。何を知っていますか?
SCP-3974-B: それが神託です。あなた方も同じように言い表すのが私には好ましく思えます。
██████博士: 詳しく説明しなさい。
SCP-3974-B: 経験を伴わぬ理解などありえません。あなたが足る存在であるならば全てが知らされるでしょう。あなたが善い存在であるならば何も恐れることはありません。数千年前、チョコレートの神々はかの御国と私たちの領域とを隔てるベールを破り、古代の人にチョコレートの作り方をお教えくださいました。しかし、時が経つにつれ、私たちは神々から独り立ちし、私たちの領域での神々の存在は薄れていきました。かつて神々がおわしたことを忘れてしまった。多くの人々にすっかり忘れられてしまった。今、神々は再臨を望み、神託を通じてそれが叶えられるのです。チョコレートは、それ自体が神聖たる賜物なのです。どうしてカカオの学名が"神々の食べ物"であるか、お分かりですか?
██████博士: あなたは、いつ、どうやって感染したのですか?
SCP-3974-B: 感染?(哄笑) 私を侮蔑するな、博士。私は病人ではない。もう違う。私は救われたのです。祝福されているのです。チョコレートの御国に私が足を踏み入れたとき、全ての人々に広めるべくこの神託を授かったのです、チョコレートの神々の代弁者として。"病原体"、あなたはそう仰いましたが、それは生たる存在です。そしてその権柄は私に与えられているのです、真理を告げる者として。私たち種族が死すべき姿を超越し、チョコレートの御国と一つとなるための術としてそれは存在するのです。
██████博士: インタビューはここで終わりにしましょう。
SCP-3974-B: チョコレートの神々を封じ込めるなどできません。私が向こう側に足を踏み入れた時点で衝立は破られている。時間の問題に過ぎません。懺悔なさい、博士。懺悔なさい、神々は罪人に厳しいのです。贖罪のチョコレートを食み、私の神託を受け入れなさい。近く、大いなる報いが―
(██████博士が収容セル内のマイクを停止させる。)
<ログ終了>
終論: 当該実体の収容セルにセキュリティ対策を付加的に講じることが██████博士により提言されています。同様にSCP-3974-Bの精神鑑定も提案されています。
インタビュー対象: SCP-3974-B
インタビュアー: ████博士
前記: SCP-3974-Aの感染症状およびにSCP-3974実体群の病症から回復する方法に関連する情報を得るため、SCP-3974-Bに対するインタビューが████博士により要求されました。
<ログ開始>
████博士: ご機嫌よう、SCP-3974-B。くつろげてますか?
SCP-3974-B: いえ全く。
████博士: それはよかった。
SCP-3974-B: おや、あなたはとりわけ辛辣ですね。
████博士: 子供たちについて聞きたいことがあります。子供たちの状態については、あなたが元凶と言いましたね?
SCP-3974-B: ええ、チョコレートの神々がお戻りになられたら、子らは私に感謝することでしょうね。
████博士: 感謝?あなたのせいで、彼らは四方を壁に囲まれた一生を送ることになる、理解していますか?決して人肌の温もりを感じることは決して叶わないでしょう。1人が、自殺を… その一歩手前だったことが分かってますか?
SCP-3974-B: 自らに危害を与えないようにさせるのがよいでしょう。典礼に子らが必要なのです。ご存じでないかもしれませんが、後に子らは救済の―
████博士: 十分だ。哀れむべきその子の皮をあんたが纏っているという事実が堪えがたい。どうすれば元に戻せる?あの子たちを治すには?
SCP-3974-B: おや、博士、病気でもないものはあなた方に癒すなんてできませんよ。
████博士: いいか、あんたは―
██████博士: もう十分です。このインタビューは終わりにします。
SCP-3974-B: 博士、どうか気を落ち着けて。ストレスを和らげたいのであれば、チョコレートが気持ちにとても良い影響があることを知って―
(██████博士が収容セル内のマイクを停止させる。)
<ログ終了>
終論: ████博士が顕著に興奮状態にあったため、インタビューは終了されました。
████博士は、SCP-3974の研究に不適切と判断されて別のプロジェクトに異動されました。
コメント追記:
たしかに動揺はしましたが、私を責めることができますか?あれらは子供なんです。現時点で異常性を持ち、扱うのに危険が伴うのは理解していますが、収容以前も今も子供なんです。子供たちは怯えているし、その人生は決して以前と同じにはなりえないでしょう。採血、防護服を着た研究者、人間として扱われることありません。私にも-1と同じ年頃の娘がいます。この間も誕生日を迎えました。どんな様子だったか、分かるでしょう。プレゼントをもらって、友達がやってきて、ケーキを食べる。その間ずっと、私の頭の中に浮かんでいたのはSCP-3974のことでした。-1、-2、-3、そして-4。あの子たちには二度とありはしないんです。あのキチガイが原因で。
他に何と言えばよいのか。お子さんも同じような目にあったらと想像してください。どう思いますか?名前で呼ぶことができればほんの少しでも慰めになりましたが、こんなのあんまりじゃないですか。私が訓練されたのはウイルスの研究のためであって、子供を物のように扱うためじゃない。
別のプロジェクトに異動するだろうことはわかっています。その方がよいでしょう。私にはこんなことを子供たちに続けられません。自分にやれることがないと思うと眠れもしません。あの実体たちにまともな保護を与えると約束してください、ただそれだけでいい。子供向けの本でも、ビデオゲームでも何でも、あげてしまって問題はないでしょう?絶対に、これ以上に子供があのキチガイに餌食にならないように、約束してください。
-████博士
インタビュー対象: SCP-3974-B
インタビュアー: ██████博士
前記: 19██年██月██日現在、SCP-3974-Bの健康状態は悪化しており、その原因は不明です。チョコレートと外見的に同様の物質を当該実体が定期的に嘔吐するのが観察されました。当該実体が医学的施術を要するのか、病相を装っているのかを判断するためにインタビューが行われました。
<ログ開始>
SCP-3974-B: 喜ばしい日々です。遂に歓喜に満ち満ちた日々が到来したのですよ、博士。
██████博士: 気分はいかがですか、SCP-3974-B?
SCP-3974-B: 素晴らしい。いや、それ以上ですよ、本当に。
██████博士: 肉体的には健康状態が悪化しているように見えます。
SCP-3974-B: 啓示です。チョコレートの御国から神々の啓示を授かりました。夢の中で神々は素晴らしい光景を見せて下さいました。主たる方々は私をお見捨てにならなかった。
██████博士: 具合が良くない、私たちはそう考えています。この判断に同意していただけますか?
SCP-3974-B: いや、博士、あなた方の判断はでたらめです。チョコレートの真理がそこにあるのみです。私は偉大な光景を目の当たりにしました。清算の時は目の前です。私は山の天辺に立っていました、4つの贄を伴って。子らは大層美しいものでした。そして、そこにおわしたのです!上天は千々に引き裂かれ、奔流たるチョコレートが4つに注がれたのです!素晴らしい!チョコレートの神々は瑰麗で至美で、そして激昂してもいるのです。怯える羊のようによじ登る人々の皆に聞こえるよう、山の麓に向かって私は叫びました。懺悔せよ、罪人たちよ!懺悔なさい!贖罪のチョコレートを口になさい、さすれば汝の魂は救われるであろう!大洪水により崇高なる破壊が齎されました。哀れな痴れ者たちよ。何故に耳を傾けなかったのか?チョコレートの神々に遵奉する他ありません。畢竟、神より授けられた死せる運命はこの地上を説伏したもうた。私たちは皆、チョコレートの御国で調和し一つの存在に溶け込まれたのです。間も無く私は解き放たれますよ、博士。この神聖な計画の中で、私は私の役割を全うしなければなりません。
██████博士: 脱走してやると、そう脅していますか?
SCP-3974-B: 今にわかります。いいですか、博士、十分な時間あなた方を容赦してきました。しかし、この死せる次元でお話しするのはこれで最後かもしれないと私はそう思っています。(実体が嘔吐する様子が観察される) あなたはチョコレートの神々の使者に背き、重大な罪を犯しました。すぐに懺悔なさい、罪人よ。さもなくば、惨たらしい審判が下されるでしょう。
██████博士: それは脅しか、それとも、自身が早くも賞味期限切れexpire earlyになりそうだと考えていますか?
SCP-3974-B: 両方です。しかし、"早くに斃れ"expire earlyようとしているのは私ではありません。何年も前、治ることはないと、あなた方のような者に告げられた時、死ぬ準備ができていませんでした。にもかかわらず、今の私は死に瀕してもいません。ささやかな秘密を打ち明けますよ、博士。あの子に与えた転移のチョコレートをご存じでしょう?まだあります。信奉者たちもいます。時が来れば、最も献身的な侍者がその口に― (実体が激しく咳き込み、大量のチョコレートを嘔吐する)。口にするでしょう。私はそして生まれ変わります。この檻から解放されるのです、聖書のペテロのように。(哄笑) ですが、それは私の好みとは幾分か違いますがね。チャーリーとチョコレート工場の方が私の好みです。
██████博士: 実体が不安定に見えます、医療チームに通知。沈静剤を用意してください。
SCP-3974-B: お別れです、博士。しかし、子らのために戻ってきます。今のところは、チョコレートの御国の大使をあなた方に残します。生ける神託リビングメッセージの化身です。神々は私が斃れると仰いました。神々が私を癒すことはできませんでした。チョコレートが私の人生であったことを、チョコレートがある限り私が生き続けることを神々へお伝えしました。私は神託の運び手キャリアーなのです。チョコレートの神々の激怒から人々皆を救うのが私の使命なのです。皆に救済のチョコレートを与え、私の霊的実存で守護するのです。私は生ける神託であり、これはチョコレートの神々による激憤の嗜味でもあるのです。
(SCP-3974-Bが床面に倒れて激しく痙攣する。)
██████博士: 医療チームを呼べ!
(尋常でない量のチョコレートと血を吐くSCP-3974-Bが監視カメラの映像に捉えられる。)
██████博士: クソ!医療チーム、来い!
(SCP-3974-Bの腹部が破裂して [データ削除] の実体が出現する。当該実体はSCP-3974-Bの腹腔内に収まるサイズよりもはるかに大きい。)
██████博士: セキュリティ!
SCP-3974-B: 聖なる、聖なる、聖なるかな、チョコレートの御国に住まう [聞き取り不能] よ (当該実体が終了し、残骸が溶解してチョコレートに変換された上で先述の実体に吸収されるのが観察される。)
<ログ終了>
SCP-3974-Bを起源とする実体はチョコレートで構成されており、既知の地球上の生物と類似していません。加えて、SCP-3974-Aの感染を伝播させる能力を持ち、職員に対する敵意を示しました。当該実体の外観は長さ約8mの主構造体とそこから伸展する触手からなる非対称な塊であり、無顎かつ漏斗状の摂食口を1つ有しています。観測により当該実体は肉食性であることが示唆されており、摂食対象をSCP-3974-Aに感染させて事前消化した後に吸収すると考えられています。視覚系の感覚器官は見受けられず、光のない環境への適応が示唆されています。当該実体に損傷を与えようと試みると高音の金切り声を発し、近傍にいる人間は強烈な痛みを受けました。
3974-2へのインタビュー直後、収容セル内壁が破られて収容違反が発生しました。銃器を使用して無力化する試みに当該実体は抵抗し、██████博士を含む現場職員██名を終了させました。防音保護具を装備した警備チームによる絶え間ない火炎放射で当該実体の無力化は成功しました。
当該実体の残骸は損傷が激しく外観も崩壊していたため、追加の調査は不可能とされました。また、死後数分で完全に溶解しました。その後に当該実体は焼却処分され、サイト一帯がSCP-3974-Aの除染措置を受けました。
監視カメラの映像や職員からの報告から、当該実体はSCP-3974実体-1から-4を収容する区画への侵入を試みていたと推測されていますがこの確証は得られていません。
補遺3974-4a: SCP-3974に連関する追加の異常事象の詳細について、適切なクリアランスレベルを持つ職員はSCP-3409文書の参照が可能です。