SCP-3977
rating: +8+x

アイテム番号: SCP-3977

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: ドクターペッパー・スナップル・グループの内部通信は、SCP-3977の異常性への言及の可能性から、確立済みのSIGINTシギント1の手順を用いて監視されます。SCP-3977の生産量と流通の大幅な変化を示す通信が優先されなければなりません。

研究主任の明確な承認がない限り、400,000L以上のSCP-3977を500㎡以内に存在させることは許可されません。もしドクターペッパー・グループのボトリング施設が上記の量のSCP-3977を1度の生産期間内に生産すると予測された場合、職員には生産の縮小の為に極秘裏に介入を行うことが許可されます。

SCP-3977の試験は承認された電波遮断施設で実施される必要があります。SCP-3977による放送の録画は研究対象とすることが目的である場合に限り、研究主任の承認によって視聴することが可能です。

説明: SCP-3977は水、高果糖コーンシロップ、濃縮果汁(リンゴ、パイナップル、パッションフルーツ、オレンジ)、フルーツピューレ(アプリコット、パパイヤ、グァバ)、及び多数の着色料と香料からなる特定の化学的混合物です。この混合物は現在、"ハワイアン・パンチ"ブランドのパンチドリンクとして販売されています。

SCP-3977は主に、大量生産されたフルーツパンチドリンク、"ハワイアン・パンチ"として存在しており、科学的混合による複製に成功した場合、その薬品は異常な性質を獲得します。SCP-3977が最初に異常な性質を示したのは、2010年代半ばに現在の"ハワイアン・パンチ"の調合法が採用されて以後のことであると考えられています。この異常な効力が何らかの集団やドクターペッパー・スナップル・グループ、ないしは外部からの意図的な活動の結果であると言う証拠は存在せず、またこのことが外部で認識されていることを示す如何なる形式の通信も観測されていません。

500,000L以上のSCP-3977が同一の場所に隣接して存在する場合、SCP-3977全体のほぼ中央から124MHz帯の放送信号が発信されます。この信号には、無線通信による信号の受信が可能なテレビにより、容易に受信される情報が含まれています。SCP-3977によって作成される放送は、既存の"ハワイアン・パンチ"のコマーシャルの単純な再生から、著名な映画製作スタジオによって製作されたものに匹敵するほど洗練された作品までと、存在する実体の量によって大きく変化します。

SCP-3977による放送はいずれもブランドのマスコットキャラクターである"パンチー"を顕著に目立たせており、共に登場する付属的なキャラクターである"オアフ"は通常、それよりも目立たない役割を果たします。幾つかの放送においては、映画業界内の身元確認が可能な人物と極めて類似した俳優が存在します。これらは外見の模倣であることが立証されています。

補遺 3977.1 – 放送1, 約500,000L – 650,000L

500,00Lから650,000Lの間の量のSCP-3977が存在する場合、以下の放送が発信されます。

タイトル: 美味しいハワイアン・パンチはいかが?

概要: 1962年のハワイアン・パンチの広告の正確な複製。パンチーはオアフに、彼が"美味しいハワイアン・パンチ"を欲するか尋ねます。オアフが肯定的な返事を行うと、パンチ―はオアフの顔面を殴打した後に歩き出し、それから極めて大きなハワイアン・パンチの缶に寄り掛かります。

文脈解析: 視聴者の肯定的かつユーモラスな感情をハワイアン・パンチの消費に結びつかせるという、意図的な欲求以上の有意な文脈は存在しない。

補遺 3977.2 – 放送2, 約650,000L – 800, 000L

650,000Lから800,000Lの間の量のSCP-3977が存在する場合、以下の放送が発信されます。

タイトル: ハワイ生まれの船乗りパンチーの不思議で驚きに満ちた冒険

概要: この放送は1時間15分に及ぶ物語から構成されており、"美味しいハワイアン・パンチはいかが?" と同様の様式によって描かれています。ストーリーラインは1954年の映画、"ロビンソン・クルーソー"の要約版であるように見えます。パンチ―は船の難破によって熱帯の島へと漂着します。そして新たな環境でのサバイバル術を身に着けることに時間を費やしますが、その後彼は食人族らしきものが島に来訪していると気が付きます。パンチーは食人族に捕らわれていたオアフを救出し、それから彼に対して英語とキリスト教の教義の講義を行いますが、講義はパンチ―がオアフの顔面を時折殴打するために中断されます。長期に及ぶ島でのサバイバル生活の後に、パンチ―とオアフは、彼らと同様に島に漂着した、船で発生した反乱の被害者に協力し、その後に救助されます。

文脈解析: これは伝統的であると見做せる筋書きと、パンチーとオアフの双方による内容に満ちた会話を含む、放送1よりも複雑な物語への発展を示しています。パンチーの攻撃性を掘り下げて分析したところ、これは主に周囲の環境に起因するフラストレーション、並びに孤立した不安定な場所でのサバイバルに起因する持続的なストレスによるものでした。

補遺 3977.3 – 放送3, 約800,000 – 875,000L

800,000Lから875,000Lの間の量のSCP-3977が存在する場合、以下の放送が発信されます。

タイトル: パンチー、最後の誘惑

概要: 作品は、1980年代後半に現れた撮影技術と同様の手法が用いられている、ライブアクション2映画であるように見えます。登場人物であるパンチーとオアフはアニメーションによって描かれますが、その他の役は人間の俳優によって演じられます。パンチーはイエス・キリストの生涯の描写において中心的な役を演じ、一方でオアフはその弟子のイスカリオテのユダを演じます。1988年の映画"最後の誘惑"の作風と同様に、パンチーの演じるイエスは不本意ながら救世主になってしまった人物として、神と人類に対する彼の役割について深く葛藤します。オアフは信頼できる助言者としてパンチーに仕えていますが、それにも関わらずパンチーは自身の身柄をエルサレムの支配者であるローマに進んで引き渡すように彼を説得します。

パンチーは鞭打ちを受け、ゴルゴダの丘まで行進させられた後に磔にされますが、そこへ天使が訪れ、彼に対して、彼は実際には救世主ではなく、普通の人生を送っても良いと伝えます。作品は延長された45分間のモンタージュに移行します。モンタージュにおいてパンチーはエルサレムの様々な住人たちに対してハワイアン・パンチに類似した飲料を勧め、彼らもそれを承諾しますが、パンチーが行うのは彼らの顔面への殴打のみです。オアフはパンチーを訪ねるために戻り、パンチーに彼が騙されており、実際には救世主である、ということを伝えます。オアフは自身の顔面を殴打するようにパンチーに悲しげに頼み、パンチーは不本意ながらもそうします。オアフを殴打するや否や、パンチーは自身が十字架の上に戻っており、出血して死んでいることに気が付きます。放送はパンチーが意気揚々と天国を見ながら "ハワイアン・パンチを欲する者よ" と叫ぶ場面で終了します。

文脈解析: 物語は更に1段階複雑になり、ロビンソン・クルーソーの比較的単純な作話技術を上回る、"最後の誘惑"の極めて物議を醸すような哲学的底流が取り入れられています。皮肉なことに、作品中のオアフは一際キリスト教的な人物として仕えているにも関わらず、パンチーの暴力性は大部分が外部的要因に対する単純な感情的行動ではなく、むしろ不可避的な人格的欠点として描写されています。

補遺 3977.4 – 放送4, 約875,000L – 1,000,000L

875,000Lから1,000,000Lの間の量のSCP-3977が存在する場合、以下の放送が発信されます。

タイトル: 最後の残り火、アロハ・オエ

概要: これまでのものより遥かに洗練されたアニメーション技法によって描かれた、パンチーとオアフが主演を務めるライブアクション作品です。パンチーは車椅子姿の末期のハワイの女王、リリウオカラニの人生の最期を演じています。リリウオカラニはホノルルの自宅に軟禁され、かつての王国が外国勢力によって支配されているのを見ざるを得ない状況にあります。オアフは彼女に仕える無名の、王家の最後の家臣を演じています。作品中に登場する人物はこれらの2名のみです。

放送は主にリリウオカラニによる、アメリカ当局に対する武力抵抗を率いることと、ハワイの人々への新しい秩序を与えることへの熱望に関する説明と、それに対するオアフの、そのような闘争がもたらす無益な様々な変化と、彼女の民に確実にもたらすであろう苦難についての説明から構成されています。物語はほぼ完全にこれら2人の登場人物間の会話から構成されており、老化と衰弱、帝国主義、敗北してさえ民衆を率いらなければならない君主の義務というテーマに言及しつつ、クライマックスではリリウオカラニによって、ハワイ島の併合に対する抵抗の際に殺されずに、生き延びてしまった無念が詳細に語られます。映像は「水のように跡を残さないよりは、彼らに赤い染みをつける方が良い」と言う彼女の最後の台詞によって締められます。

文脈解析: これは如何なる既知の知的財産をもベースとしていない最初の放送です。作品の構造はこれまでの放送のような伝統的な形式ではありませんが、会話は葛藤、上昇展開、クライマックス、結末、の形式に正確に従っています。これまで直接的に表現されていたパンチーの暴力性は、今や直接的な行動と外部の軍隊という圧政者への抵抗へと昇華されています。オアフは今回もパンチーの存在に対して対比となる存在を演じます。

補遺 3977.5 – 放送.5, 約1,000,000L – 1,150,000L

1.000,000Lから1,150,000Lの間の量のSCP-3977が存在する場合、以下の放送が発生します。

タイトル: 神の領域

概要: この放送においてパンチーとオアフは生身の存在として描かれており、彼らは以前の動画におけるものと類似した様式の、歪んだ容貌の人間であるように見えます。"神の領域"は大まかに3幕に分かれています。

第1幕は麻薬カルテルの下級兵士として、街のスラムと敵対組織を支配するための作戦に従事するパンチー(役名は識別不能)によって続けられる、ダカールでの暴力的な犯罪生活から構成されます。パンチーの好む敵対者の殺害方法は、素手で彼らを殴殺することであり、その練習によって彼は通りにおける恐怖と尊敬の的となっていますが、それによって彼は密かに損傷を受けてもいます。彼は毎晩、全員がオアフによって演じられる、妻と3人の子供によって構成される家族の元へ帰宅します。彼は妻であるオアフと殆どコミュニケーションを行わず、結果として彼女の抑鬱と3人の子供たちへのネグレクトを悪化させています。一家の構成員は全員が、パンチーによる永続的な夜ごとの恐怖と戦わなければなりません。第1幕は街の悪徳警察署長の殺害を終えたパンチーがその直後に、地元の麻薬密売人を殺害する仕事を与えられたことに気が付く場面で終わります。

第2幕は上述の物語よりも遥かに抽象的です。強大かつ暴力的な政治家を殺害したパンチーは、その重大さに向き合うのではなく、井戸に身を投げて溺死しようとします。しかしながら溺死することなく、パンチーは井戸の中に深く沈んでいき、実体のない手たちがあらゆる方向から彼を掴むにつれて、水は赤く変化します。パンチーは喘ぎつつ井戸の水によって赤く染められながら沈み続け、白い大理石の井戸底まで落下します。パンチーは、自身をパンチーの世界の神であると述べる、オアフの演じる巨大な人物によって名前を呼ばれます。パンチーは自身が地獄に送られる前に裁きを受けるのか尋ねますが、それに対してオアフは罪と言う考えへの嘲笑によって応えます。オアフはパンチーに、パンチーは「完璧な状態」へと送り返されているところであると伝えます。パンチーは井戸の中から引き揚げられます。第2幕は彼のカルテルのボスのベッドルームのクローゼットの中へと突然移動させられたパンチーが、そこから飛び出し、5分間と言う長大なシークエンスによって男性を絞殺することによって締めくくられます。

第3幕は全て、今やダカールの裏社会の事実上の支配者となったパンチーの、不品行的行動によって構成されます。パンチーは連なる運河と排水溝の周囲に、識別不能な赤い流体を豪奢な住居群へと運び込むと共に運び出す役割も果たす、宮殿のような奇妙な建造物を建造しています。パンチーは若者(全てオアフによって演じられる)のグループ、1ダースに命令を下せる立場にあり、彼らに段々と過激になっていく不品行かつ屈辱的な命令を与えます。最終的にそれは暴力的な乱痴気騒ぎへと発展しますが、その間にパンチーはこれまでの人生において彼が殴殺してきた大勢の人々のフラッシュバックに襲われます。パンチーが未知の薬物を摂取すると、彼は自身が神、オアフの銃殺隊によって処刑されるのを目撃するという、精巧な幻覚を見始めます。またこの幻覚は、パンチーによって忘れられた彼の家族が、路上で飢えて惨めな生活を送っているところを見せます。幻覚を中止させようと、パンチーは痛みが他のあらゆるものを追い払うと自身に向かって叫びながら、自身の右手の指を1本ずつフィレナイフによって入念に切断します。彼が親指を切断すると、神、オアフが拍手をしながら彼の元に再び現れます。パンチーの手の指は神、オアフによって再生させられ、最後にカメラは、家から流れ出して川下へと流れ込み、蛇行しながら大都市へと流れる、赤い液体の流れを映します。

文脈解析: この放送では発達した独自の作話が継続され、またパンチーとオアフの役の差異が示されます。暴力性が特徴であるパンチーは今や、直接的かつ単純な存在ですが、一方でオアフは見る限りでは、複数の役割を担っています。以前の物語と異なり、この放送は直接的、或いは間接的な手法においても、視聴者にハワイアン・パンチの購入と消費を促すものとして解釈することは非常に困難です。

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