SCP-3985-JP
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SCP-3985-JP-11(財団施設にて撮影)

特別収容プロトコル: 研究チームによる調査が終了するまでの間、SCP-3985-JPのクラス分類は保留されます。新たなSCP-3985-JPが発見された場合、欺瞞部門による協力の下、現地での隠蔽活動を行われます。

説明: SCP-3985-JPは、外見上黒色を呈する直方体状構造物です。現在までに、地球上の南極を除く5大陸から計17個が発見されています1。大きさは実例ごとに固有かつ固定的であり、平均すると高さ2m、幅1m、厚さ15cm程度を示します。また発見時の実例は、いずれも地面に半ば埋没あるいは突き刺さるように存在していました。

SCP-3985-JPおよび周囲10-15cmの地面は、破壊耐性を示します。この異常性により、SCP-3985-JPの移動およびサンプルの取得は成功していません。一方、非破壊検査の結果は、その組成が鉄やニッケルなど非異常性の金属によって構成されていることを示します。結晶構造および予想される相状態から、SCP-3985-JPは人工物である可能性が強く示唆されます。しかしながら、SCP-3985-JPの起源、用途、製造方法は未特定です。

SCP-3985-JPの表面には、微細なドットが刻まれています。このドットは何らかの情報記録の目的を有すると考えられており、複数の復号パターンを混合して記述されていると推測されています。一部は解読に成功しているものの、内容は何らかの数式や既知の言語に含まれる単語の羅列であり、その意味は未解明です。

歴史的記録によると、SCP-3985-JPはヒト(Homo sapiens)に対する精神影響性を有していたとされています。これは現在のSCP-3985-JPには確認されていない性質です。そのため、この精神影響性の強度・効果・暴露条件などの条件は解明されていません。現在、異常性を喪失した可能性を考慮したうえで研究チームによる調査が行われています。


補遺3985-JP.1: 発見

SCP-3985-JPは、1930年に全米確保収容イニシアチブ2によって発見されました。同組織により作成された当時の記録によると、確保の時点で、SCP-3985-JPに破壊耐性以外の異常性は確認されていませんでした。最初期のSCP-3985-JPは、単純な"絶対に壊れない起源不明の構造物"として確保・収容されています。過去に精神影響性を有していた可能性が提示されたのは、確保から2年が経過した1932年です。

1932年以降に全米確保収容イニシアチブが作成・収集した資料・情報については補遺3985-JP.2を参照してください。


補遺3985-JP.2: 資料情報

1932年、全米確保収容イニシアチブによるSCP-3985-JPの起源調査の折、複数の歴史的記録からSCP-3985-JPの精神影響性を示唆する記述が発見されました。以降、同組織による類似記述の捜索が開始したとされています。

以下は、過去のSCP-3985-JPの精神影響性の実例について、全米確保収容イニシアチブが調査・作成した報告資料の一部抜粋です。これら資料は全米確保収容イニシアチブから引き継がれたものであり、情報の一部は同組織によって検閲されている可能性があることに留意してください。また、これらの情報・資料の全容の閲覧には専用クリアランス(4/3985-JPクリアランス)が必要になります。

資料情報 3985-JP #001


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レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年4月15日 - 1519年5月2日)は、フィレンツェ共和国のルネサンス期を代表する芸術家である。レオナルド・ダ・ヴィンチは芸術家や博学者として多くの分野に顕著な業績と手稿を残したとされている人物としても知られている。代表作には「最後の晩餐」や「ウィトルウィウス的人体図」がある。

回収された手記によれば、レオナルド・ダ・ヴィンチは幼少期にSCP-3985-JPに指定されるアノマリーと接触したとされる。該当するアノマリーとの接触後より、レオナルド・ダ・ヴィンチは奇行に走ることが多くなったという。例として、「捕まえたトカゲに羽根をつけ、ドラゴンに見立てて飼育していた」というものが挙げられる。これ以外にも様々な奇行が確認されており、それらはアノマリーとの接触によって精神影響に暴露されたためであると考えられている。

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資料情報 3985-JP #017


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ガリレオ・ガリレイ(ユリウス暦1564年2月15日 - グレゴリオ暦1642年1月8日)は、イタリアの自然哲学者、天文学者、数学者である。近代科学的な手法を樹立するのに多大な貢献をしたことから「近代科学の父」と呼ばれている。代表的な業績として、天体観測への望遠鏡の導入や地動説への言及、自由落下や速度などに関する開拓的研究などが挙げられる。

ガリレオ・ガリレイは大学在籍中にSCP-3985-JPに指定されるアノマリーと接触したとされている。その後のガリレオ・ガリレイの思考や人間性はSCP-3985-JPの影響を受けた可能性も指摘されているが、立証には至っていない。

ガリレオ・ガリレイは地動説を唱えたことによって、カトリック教会より有罪判決を受けている。当時、地動説を唱えるものは異端とされる風潮もガリレオ・ガリレイが有罪判決を受けたことに起因するものとされている。結果、ガリレオ・ガリレイは地動説を放棄することとなったが、その後の科学的検証により地動説の正確性が証明されている。

これらの行動は当時は奇行としてみなされていたという。ガリレオ・ガリレイが奇行とみなされていた行動に走っていた理由にはSCP-3985-JPとの接触があるとされているが、その根拠は未だ存在していない。

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資料情報 3985-JP #038


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トーマス・アルバ・エジソン(1847年2月11日 - 1931年10月18日)は、アメリカ合衆国の発明家、起業家である。傑出した発明家として知られ、生涯におよそ1,300もの発明と技術革新を行った人物としても知られている。代表的な功績として蓄音機や白熱電球の発明などがある。また、トーマス・アルバ・エジソンは様々な異名を持っており、「発明王」と呼ばれることもある。

トーマス・アルバ・エジソンは幼少期にSCP-3985-JPに指定されるアノマリーと接触したとされている。そのときに暴露した精神影響によって知能系統の著しい発達が引き起こされたと考えられている。しかしながら、この仮説を裏付ける根拠はなく、あくまで考察の域を出ていない。

トーマス・アルバ・エジソンは様々な奇行に走ったことでも知られている。一例として、交流電流の危険性を宣伝するために遊園地のゾウをはじめとした複数の動物を電流を処刑したというものが挙げられる。これらの奇行はSCP-3985-JPの精神影響に暴露したことによる知能系統の発達により、思考体系が変化してしまったためであると考えられている。

しかしながら、この考えも上述の仮説と同様に根拠の存在しないものである。現在、これらの仮説や考えに対する調査が進められている。

[…]

後年に実施された財団による再検証調査は、上記抜粋の内容が事実であることを裏付けています。

これら情報を踏まえ、SCP-3985-JPに対して"現在は精神影響性を有していない、あるいは無視できるほど影響が弱い"、"過去、被影響者の奇行を誘発する何らかの精神影響性を有していた"ことが推測されています。

過去SCP-3985-JPが有していた精神影響性は、当時のヒトに対して正常な状態を害するものであった可能性が懸念されています。一方で、精神影響を受けたとされる人物らは、多くの場合人類文明の発展(技術や文化の発展)に関与しているということは、特筆すべき点です。

2023/1/9追記: 歴史的記録に関する追加調査の結果、SCP-3985-JPが有史以前の原始時代から存在していること、当時の人類全体がSCP-3985-JPの影響を受けていた可能性のあることが判明しました。研究チームは、SCP-3985-JPが有していたとされる精神影響と人類文明の発展の間に、何らかの関連性がある可能性を検証しています。


補遺3985-JP.3: 検証記録

補遺3985-JP.2において判明した情報を受け、SCP-3985-JPに対する超常科学を用いた精密検査が実施されました。その結果、SCP-3985-JPによる微弱なEVE3放射が確認されました。

SCP-3985-JPが発するEVE放射は、特定の周期で強度を変動させています。Dクラス職員を用いた曝露実験の結果、当該のEVE放射パターン(SCP-3985-JP-Aに指定)はヒトの大脳皮質に共鳴的に作用し、特定の脳部位の活性化を誘発することが確認されました。一連のプロセスは、曝露者の意識下では"好奇心"の増大として認知されます。この影響は不可逆であると考えられており、記憶処理などの超常技術を用いた場合においても、影響を除去することには成功していません。

また、世界各地におけるEVE放射パターンの観測データを精査したところ、ほぼ全球上でSCP-3985-JP-Aの存在が確認されました。SCP-3985-JP-Aは地球全土にて観測されており、微弱かつ定常的に放射されていたため、従来の観測手法では背景ノイズとして無視されていたものと推測されています。

このような非常に広域に及ぶ放射能力の実在は、SCP-3985-JPが古代〜近代の記録通り、強力な精神影響性を有していたことを示唆します。にも関わらず、記録当時の状態と異なり、現在のSCP-3985-JP-Aの作用力は微弱です。この現状について、研究チームは以下の仮説を提唱しています。

仮説 3985-JP


[…]

過去の記録におけるSCP-3985-JPの描写、および現代に入ってからのEVE測定の結果は、SCP-3985-JPが過去のある時点で、当時の世界人口のほぼ全数を影響下に置いていた可能性を示唆している。

一方、近代以降に記録されたSCP-3985-JPの被影響者数の推移は、時代を経るごとに減少傾向にある。この減少傾向は、18世紀以降に顕著な人口爆発を経ても継続されている。仮に影響範囲内の一定割合のヒトが影響を受けるとした場合、人口増加に伴う影響範囲内のヒトの増加に伴い、被影響者数も増加するはずである。ここに、ギャップが存在している。

考えうるパターンは2つ存在する。

  • パターン-A: SCP-3985-JPの精神影響性が、影響範囲内の人口増加を上回るペースで減衰している。
  • パターン-B: SCP-3985-JPの精神影響性は、減衰していない。対象であるヒトの被影響性の方が減衰している。(影響を受け難くなっている。)

両パターンを検討するための追加調査を実施した結果、以下の事実が判明している。

  • 事実-1: SCP-3985-JPの精神影響性の源と考えられるEVE放射(SCP-3985-JP-A)は、観測開始以降一切減衰することなく一定である。その間、報告される被影響者数は減少を続けている。
  • 事実-2: D-クラス職員を脳活動モニターすることでSCP-3985-JP-Aの長期曝露実験を実施したところ、次の結果が得られた: 放射を受け(僅かにでも)活性化した脳部位は、曝露を継続すると次第に活性化を示さなくなる。

これら事実は、先に記載したパターン-Bを支持すると考えられる。従って、次の仮説が組み立てられた。

SCP-3985-JPの精神影響性は減衰していない。むしろ長期間に渡る種全体への暴露により、その効果対象である人類に変化が生じた。すなわち、物理的刺激に慣れることと同様に、人類は精神影響性への耐性を獲得していた。

これは「SCP-3985-JPのもたらす知的刺激は、科学と文明の発展と共に、もはや人類の好奇心を刺激するには至らなくなってしまった」と言い換えることができる。もっと言ってしまえば(同じヒト、真実の究明に従事する研究者として残念だが)、「好奇心は死んだ」のだ。

この仮説が立証されれば、SCP-3985-JPの収容リスクは大幅に下方修正されると考えられるだろう。

[…]

この仮説に対する調査は継続中です。










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