SCP-3989-JP
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SCP-3989-JPと同型の玩具
異常性発現時は必ず腕や足が伸ばされた状態となる

アイテム番号: SCP-3989-JP

オブジェクトクラス: Safe Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-3989-JPはサイト-81██内の標準収容セル内に格納されています。SCP-3989-JPが格納されている収容セル内に1日3回人間用に調理された食事を放置し、1日1回室内の清掃を行い、幼児用パンツ(以後SCP-3989-JP-1と表記)を新品なものに交換してください。1 SCP-3989-JPはサイト-81██内の低脅威度物品ロッカー内で保管されています。

説明: SCP-3989-JPは異常性を有するプラスチック製の玩具です。SCP-3989-JPは1日のうち1時間前後、地上10~80cmを浮遊し、規則的な動作を行います。また、SCP-3989-JPは反ミーム的性質を有しており、SCP-3989-JPに関する情報は一部または全ての認知が阻害2される事があります。これらの影響はSCP-3989-JPが浮遊状態にある場合顕著に表れ、記憶補強剤の服用により部分的に和らげることが可能です。

上記の性質に加え、SCP-3989-JPには以下の異常現象が確認されていますが、これらは上記異常性による副次的な現象なのか、個別に発生している異常現象なのかについては不明です。

・SCP-3989-JPの収容セル内に食料品を置いた場合、浮遊後に消滅する。
・収容セル内の床や壁などは外見上の変化が無いにもかかわらず摩擦係数が変動する。この影響は収容セル内の清掃により解消される。

発見経緯: SCP-3989-JPは20██/07/11に、埼玉県川口市内のアパートの室内で発見されました。当該の部屋は川口市在住の日本人女性の高取詩織氏が単身世帯で入居しており、帰宅時にSCP-3989-JPを発見した高取氏が警察に通報した事で財団に捕捉されました。また、高取氏の通報内容はSCP-3989-JPに加えてSCP-3989-JP-1が浮遊しているというものでしたが、警察到着段階でSCP-3989-JP及びSCP-3989-JP-1は地面に落下していました。SCP-3989-JP及びSCP-3989-JP-1は同収容セル内に保管されていますが、現時点で財団の管理下において浮遊が確認出来ているのはSCP-3989-JPのみです。以上を踏まえ、高取氏への聞き取り調査が行われました。


会話ログ3989-JP-α

本インタビューは、SCP-3989-JPが発見されたアパートの室内に居住している高取氏に対して行われたものです。

竹下研究員: 先日高取さんが警察に通報した内容について伺ってもよろしいでしょうか。

高取氏: 通報した時に言った事が全てなんだけど。私の話、疑ってんの?

竹下研究員: いえ、疑っている訳ではありませんよ。正確な記録を残すためにご協力お願いします。

[高取氏はため息を吐いた]

高取氏: で、どこから話せって?

竹下研究員: 高取さんが発見した浮いていた玩具を見た前後の出来事について教えて頂ければと。

高取氏: あの時の事思い出すのなんか大変なのよね。何度も説明したくないからしっかり記録しといてね。あの日は2泊3日で旅行に行ってたんだけど、家に帰ってきたら何か気配がしてね。一人暮らしのはずなのにおかしいなと思って奥の部屋を明いたら玩具が浮いてたの。これでいい?

竹下研究員: どのように浮いていたか教えて頂けますか。

[高取氏は地面から80cmくらいの位置で手を前後させている]

高取氏: 大体こんな感じ。

竹下研究員: それ以外の物も浮いていたとお聞きしましたが。

高取氏: あー、そうだ、子供用のパンツ。あれも玩具と同じように浮いててね。それ見て幽霊だ!って通報したんだけど警察が到着した時には全部地面に落ちてたのよ。警察には疑われてもう困っちゃって。

竹下研究員: それは確かに疑ってしまいそうですね。

高取氏: あんたも疑ってんの?警察には鼻で笑われたけど私はね、確かに見たんだから!

竹下研究員: 落ち着いてください。私も事実だと確信しています。事実を確認させて頂きたいだけです。

高取氏: そう?ならいいけど。私の話は終わり。

竹下研究員: すいません、お手数おかけしますが、もう何点か質問をさせてください。

[高取氏は大きくため息を吐いた]

高取氏: で、何?

竹下研究員: その、幼児用のパンツに見覚えはありませんか?

高取氏: 無いって。知ってるわけないでしょ。

竹下研究員: では、高取さんのお宅を拝見させて頂いて衣類を一通り確認したのですが、

高取氏: ちょっと待って。

竹下研究員: 何でしょうか。

高取氏: 私がどの服持ってるとかは確認する必要あったの?確かに一通り調べますとは言われたけどさ。

竹下研究員: 申し訳ありません。捜査に必要な情報でして。一つ質問ですが、高取さんは単身世帯で合っていますよね?

高取氏: そうだけど、何か?

竹下研究員: 幼児用のパンツが数点見つかりました。

高取氏: は?ある訳ないでしょ。別の家と勘違いしてない?

竹下研究員: いえ、それが見つかりまして。変な質問だとは思いますが、何か心当たりありませんか?

高取氏: ある訳ないでしょ、脳みそ入ってんの?私が子供の服を着るように見える?

竹下研究員: 申し訳ありません。それからお宅から成人男性用の服が多数見つかったようですが、こちらに心当たりはありますか?

高取氏: そんな事まで確認しないといけないなんてアンタも大変ね。

竹下研究員: お心遣いありがとうございます。

高取氏: 今のは嫌味。理解できなかった?

竹下研究員: [5秒間の沈黙]それで、成人男性用の服はご存知ありませんか?

高取氏: 男物の服ねえ。友達が泊まりに来た時とか、旅行の時に紛れた位はあるかもだけど。

竹下研究員: なるほど、高取さんのお宅は男性が度々 出入りする環境だった訳ですね。では、通報された日も男性と遊びに行かれていたと言う事ですか?

高取氏: いや、友達とだけど。

竹下研究員: そうでしたか。

高取氏: 今、笑ったでしょ!相手が男じゃなかったのがそんな面白いんか!

竹下研究員: 誤解です、決して笑ってませんよ。

高取氏: じゃあいい年して何してんだとか思ってんだろ!

[高取氏が激高し、対話が出来ない状態が続いたためインタビューを打ち切った」

SCP-3989-JPの解析に向けた重要な手がかりとして、高取氏の身柄の確保と発見されたアパートの保存が進められています。

補遺1: 以下はDクラス職員を利用したSCP-3989-JPの実験記録を抜粋したものです。

実験記録3989-JP-F - 日付20██/██/██

目的: 人間と接触させた際にどのような影響が出るか確認する。

実施内容: SCP-3989-JPが浮遊状態の時にD-18293、D-21003、D-39632を個別に収容セル内に投入し、変化を確認した。

結果: SCP-3989-JPはD-18293、D-21003が収容セル内に入って来た際は距離を取り、浮遊状態を解除したが、D-39632に対しては接近し、顔や手などに接触するよう動いた。さらに、SCP-3989-JPが浮遊状態でない時にD-39632が収容セル内に侵入した場合、SCP-3989-JPは高い確率で浮遊状態になっている。

分析: 収容セル内に侵入した人物に応じてSCP-3989-JPの反応に明確な差が出ている。D-18293は30代前半の男性、D-21003は50代後半の女性、D-39632は20代前半の女性だった。D-39632のパーソナリティによるものか、属性的なものが影響しているのか確認を行う。

実験記録3989-JP-H - 日付20██/██/██

目的: SCP-3989-JPを人間と接触させた際の反応の違いを確認する。

実施内容: Dクラス職員30名を個別にSCP-3989-JPの収容セル内に投入した。

結果: 10代または20代前半の女性が収容セル内に侵入した場合、SCP-3989-JPは実験3989-JP-FのD-39632に対して行った行動と同じ行動を取る可能性が高く、それ以外の対象はD-18293、D-21003と同様に距離を置く事が分かった。

分析: 10代、20代前半の若い女性の存在がSCP-3989-JPに影響を与えている事が分かった。D-39632に対して極めて強い反応を示しているため、以後D-39632を中心に実験を行う。

実験記録3989-JP-I - 日付20██/██/██

目的: 記憶補強剤によりSCP-3989-JPの反応を記録する。

実施内容: D-39632に対しクラスW記憶補強剤を投与し、SCP-3989-JPと接触させ反応を確認する。

結果: D-39632がSCP-3989-JPを撫でる、もしくは動かした時、嬉しいと表現される声がどこからか聞こえたとD-39632が報告した。また、実験中にD-39632が強い不快感や吐き気を感じていた。

分析: SCP-3989-JPの実態は未だに不明だが、遊ぶような行動を取ると何らかの好ましい反応が返って来る事が分かった。クラスW記憶処理剤服用後の不快感や吐き気は副作用によるものと考えられるが、SCP-3989-JPから離れた際にその影響が弱まった事から、認知機能に想定外の影響をもたらしている可能性が高い。

実験記録3989-JP-J - 日付20██/██/██

目的: 記憶補強剤によりSCP-3989-JPの反応を記録する。

実施内容: D-39632に対しクラスW記憶補強剤を投与し、SCP-3989-JPと接触させ好ましくない行動を取った時の反応を確認する。

結果: D-39632がSCP-3989-JPを強く動かす、もしくは叩いた場合はどこから苦しい、または嬉しいと表現されるような声が聞こえ、SCP-3989-JPは一時的に距離を取るが、再度SCP-3989-JPが近寄って来る事をD-39632が報告した。実験3989-JP-Iで優しい対応を取った場合よりも、SCP-3989-JPはD-39632へ積極的に接近するようになった。

分析: SCP-3989-JPは近寄ろうとする対象に暴力的な行動を取られたとしても、一時的に距離を置くがまた戻って来る事が分かった。SCP-3989-JPは暴力的な対応を望んでいる可能性が考えられる。

補遺2: SCP-3989-JPの収容セル内に実験として新品の幼児用パンツを置いた所、SCP-3989-JP-1として浮遊状態になった事が確認されたため、定期的に新品の幼児用パンツを交換するよう特別収容プロトコルの変更を行いました。SCP-3989-JP-1自体に異常性がある訳ではなく、SCP-3989-JPが持つ異常性の副次的な影響で浮遊している可能性が高いと考えられています。

補遺3: 高取氏が入居していたアパートの買収が完了し、SCP-3989-JPに関連する情報の保護のための手続きが完了しました。高取氏は現在財団フロント企業が経営する高級特別養護老人ホームに入居しています。

補遺4: SCP-3989-JPが実験中に消滅しました。以下はSCP-3989-JP消失時に収容セル内でSCP-3989-JPと接触していたD-39632に対し聞き取り調査を行ったものです。


会話ログ3989-JP-β

竹下研究員: SCP-3989-JPが消失した際の出来事について質問をしていきます。まず、当日収容セル内に入った所から説明して下さい。

D-39632: 部屋に入った段階ではいつも通りだったかな。私が入るとこうふわっと玩具が浮いて、私の所に近寄ってきたの。

竹下研究員: SCP-3989-JPが浮いたと。それは地面からどの程度の高さでしたか?

D-39632: こんなもんかな?

[D-39632は地面から80cm程度の位置に手をかざした]

竹下研究員: あなたが見た物はSCP-3989-JPだけですか?SCP-3989-JP-1つまり幼児用のパンツはありませんでしたか?

D-39632: あーいや、そうそう、思い出した。あの日は子供用のパンツも浮いてたね。玩具と同じように浮いてたよ。

竹下研究員: SCP-3989-JP-1の方はどの程度の高さに浮いていましたか?

D-39632: だから同じだって。

竹下研究員: と言う事は80cmくらいですね。双方の見た目について教えて頂けますか?

D-39632: 玩具の方は上半身の一部が見えなくなってたと思う。パンツはゴムが限界まで引き延ばされてた感じかな。

竹下研究員: なるほど、いつも通りですね。では、次にSCP-3989-JPが近寄ってきた後の出来事を教えて頂けますか?

D-39632: えーと、なんかこう、頭にもやがかかったみたいで上手く説明できないんだけど。

竹下研究員: 異常性の影響ですね。では、このパンツを履いたぬいぐるみとペンをSCP-3989-JPなどに見立てて説明して頂けますか?

D-39632: それなら出来そう。ちょっと待ってね、えーと、

[D-39632はパンツを履かせたぬいぐるみを立たせてから少しパンツをずらし、肛門付近にペンを突き刺して前後に動かした]

D-39632: パンツと玩具の位置関係はこんな感じかな。こうやって強めに動かしてあげて、たまに叩いたりすると凄く嬉しそうな声が聞こえてくるのね。これを10分くらい続けてたかな。

竹下研究員: その後はどうなりましたか?

D-39632: 急に玩具が私を避けるように距離を取って、地面に落ちてしばらく動かなくなったかな。その後はパンツも地面に落ちてたと思う。

竹下研究員: しばらくと言う事はその後にまた動き出した訳ですか?

D-39632: そうそう、玩具だけが浮いて動き始めたんだよ。その時に少し玩具の角度が変わってさあ。

竹下研究員: どのような状態でしたか?

D-39632: 説明したいんだけどちょっとこのぬいぐるみが邪魔で。

[D-39632はペンをぬいぐるみの臀部から引き抜こうとしているが、ぬいぐるみの内部に引っかかっている]

竹下研究員: ぬいぐるみに刺さった状態で説明して頂いて大丈夫ですよ。

[D-39632は臀部にペンの刺さったぬいぐるみを四つん這いにし、お尻を突き上げる体勢に変えた]

D-39632: こんな感じだね。この時に玩具が体を振っててさ、動かして欲しそうにしてたから、近寄ろうと思ったんだけど、いやー、その時に足が滑って転んじゃって。

竹下研究員: 転んだんですか。

D-39632: いや、あれは仕方ないって。あそこの床異様に滑りやすくなってたからさ。ちゃんと掃除してよね。で、転んで顔を上げた時には何も無かったの。

竹下研究員: 転んだ時に違和感などはありませんでしたか?例えば固い物を破壊してしまったような感覚など。

D-39632: そう言う感覚は全く無かったよ。ただ、何かを強く押し込むような感覚と、今までと全く違う苦しそうな声が聞こえた気がする。

竹下研究員: そうですか。分かりました。

補遺5: SCP-3989-JP消失から5ヶ月後、SCP-3989-JPの収容セル内を点検した所SCP-3989-JPが発見されました。再調査の結果、SCP-3989-JPは全ての異常性を喪失しており、オブジェクトクラスはNeutralizedに再定義されました。SCP-3989-JPが異常性を喪失した原因については現在も調査中です。

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