SCP-3991-JP
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makuwa

等身大の人形友人と写る生前のSCP-3991-JP

アイテム番号: SCP-3991-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-3991-JPは腐敗を防ぐため、サイト-8123内の標準正温度遺体冷凍チャンバーに保管されています。対話などのために標準正温度遺体冷凍チャンバー外にSCP-3991-JPを搬出する際は必ず-20℃以下を保つようにしてください。SCP-3991-JPの精神衛生を保つため、担当官の大内研究員は1日18時間以上の対話が義務付けられています。

SCP-3991-JP-αを発見した際は標準正温度遺体冷凍チャンバーに併設された低脅威度物品保管ロッカー内に保管してください。

説明: SCP-3991-JPは20██/██/██に自殺した真桑友梨佳氏の死体です。SCP-3991-JPは自宅内で麻縄を使って首を吊った状態で発見されました。自宅内からは生前の真桑友梨佳氏が作成した遺書1が発見されており、死因は自殺と断定されています。発見時点で死体の腐敗が著しく進行していたため、現在SCP-3991-JPは冷凍保存されています。

SCP-3991-JPは生物学的に死亡2しているにもかかわらず、音声によるコミュニケーションを取ることができます。これはSCP-3991-JPの肉体が冷凍状態にあっても同様に可能です。このSCP-3991-JPの異常性は真桑氏の死亡後に発生したと推定されています。

SCP-3991-JPの音声は音波として発生しているため、機械による録音が可能3です。また、ウェクスラー=ネルソン式汎用知能検査によると平均的な成人女性を大きく上回る思考能力を有しています。

以下はSCP-3991-JPに対するインタビューの映像記録です。


映像記録 SCP-3991-JP-1
日付: 2024年8月5日
記録担当者: 大内研究員

目的: SCP-3991-JPの異常性の確認と、異常性解明の可能性を鑑みて死因に関連する不審点についての質問を行う。

[中略]

大内研究員: では、あなたが自殺に至った理由について教えて頂けないでしょうか。

              

大内研究員: いえ、決して興味本位で聞いている訳ではありません。話せば気持ちも落ち着くと思いますし、真桑さんに心残りがあれば場合によっては協力出来る事があるかもしれません。

                

大内研究員: いえいえ、どういたしまして。では、お聞かせ願えますか。

                       

大内研究員: 遺書にも書かれていた通り、恋人との仲を引き裂かれ、やむを得ず心中を選んだわけですね。お辛かったでしょう。

                     

大内研究員: 遺書を勝手に読んだ事に関しては申し訳ありません。亡くなられた後の整理をする必要がありましたので。

             

大内研究員: ご理解ありがとうございます。その恋人のお名前は██市にお住まいの高田信二さんという方で合っていますか?

             

大内研究員: 高田さんはあなたと心中したとの話ですが、彼はご存命のようです。

             

大内研究員: いえ、自殺未遂ではないですね。彼は何もしていない可能性が高いです。病院に行った形跡もありませんし。

 

大内研究員: 真桑さんのお気持ちはわかりますが、落ち着いてください。

              

大内研究員: これから高田さんにその辺りの話も含めて質問する事になっています。一旦落ち着きましょう。

               

総括: SCP-3991-JPの異常性の性質に変化は見られなかったが、精神状態が不安定となっており、特に高田氏の話題を出して以降は支離滅裂な返答も見られた。信頼関係を保つため、特に否定的な発言を行う際には細心の注意を払う必要がある。死因に関する不審点は解消されなかったため、引き続き調査を進めていく。


映像記録 SCP-3991-JP-2
日付: 2024年8月6日
記録担当者: Agt.八坂

目的: 生前のSCP-3991-JPと恋人関係にあったとされる高田信二氏がSCP-3991-JPの遺書と異なる行動を取った理由についてインタビューを行う。

Agt.八坂: お忙しい中、時間割いていただきありがとうございます。

高田氏: どういたしまして。この後バイトあるんで早めにお願いしますね。で、なんの用ですかお姉さん。

Agt.八坂: 早速ですが、真桑友梨佳さんとの関係についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

高田氏: 真桑……?誰ですか?

[生前の真桑氏の写真を見せる]

高田氏: あ、この子真桑って名前だったんですね。

Agt.八坂: 名前すら知らないんですか?真桑さんとは恋愛関係にあったとお聞きしましたが。

高田氏: [大きなため息を吐く]誤解です。お姉さんがあの子に何を吹き込まれたのかは知りませんが。

Agt.八坂: ですがこの子の遺書には

高田氏: 遺書?遺書って、この子亡くなったんですか?

Agt.八坂: そうです。真桑さんは██月██日に自殺されています。遺書によると自殺はあなたと関係があるそうなのですが、詳しく教えて貰えないでしょうか。

[10秒間の沈黙]

高田氏: あの、彼女とはもう関わり合いになりたくないんです。別の人に当たってもらえますか。

Agt.八坂: 遺書にはあなたと心中するとまで書かれているんですよ。その態度は流石に無責任だと思いませんか。

高田氏: し、心中ですか?俺と真桑さんはただのコンビニの店員と客の関係ですよ。

Agt.八坂: いいですか、常識的に考えてみてください。単なる客が店員と心中する訳ないですよね?

高田氏: それを言いたいのは俺の方なんですよ。

[10秒間の沈黙]

Agt.八坂: どうもお互いの認識に差があるようですね。あなたと真桑さんとの関係について教えて貰っても良いでしょうか。

高田氏: 関係って言ってもほんと何もないんですよ。数か月前にバイト先のコンビニで真桑さんが来たんですが、棚の下の取りにくい所にぬいぐるみ落としてたので、俺が頑張って取ってあげたんですよね。俺から関わったのは本当にそれだけです。

Agt.八坂: 本当にそれだけなんですか?他に心当たりなどはありませんか?

高田氏: それだけなんですよ。最初の内は気付かなかったんですが、あの子ずっとぬいぐるみと会話してたんですよね。都合の悪い話は聞かないし、自分の世界で完結してるって言うか。元々病んでたんじゃないかなと。

Agt.八坂: 後から気付いたという事は、お客さんとしては良く来ていたという事でしょうか。

高田氏: そうですね、滅茶苦茶来てました。見た目は可愛かったので、最初の内だけは普通に嬉しかったんですけどね。

Agt.八坂: 最初の内だけとは?

高田氏: 俺がレジに入る度に20回、30回と買っては並びを繰り返すんですよ。しかも人形に話しかけながら。お姉さんも俺の立場だったら嫌じゃないですか?

Agt.八坂: まあ、それはそうですね。その後どうなったんですか?

高田氏: 店長が出禁にしてくれました。出禁の後にも何度か来てたらしいんですけど、最後は店長を殴り倒して警察呼ばれてましたね。

総括: 高田氏との対話内容の真偽確認を行った。コンビニ店長や警察などの関係者に確認を取った所、高田氏の発言は正しい明確に誤りな事が判明した。


映像記録 SCP-3991-JP-3
日付: 2024年8月7日
記録担当者: 大内研究員

目的: SCP-3991-JPに対し高田氏との意見の相違点を伝え、真偽を明らかにする。

大内研究員: 高田さんとコンタクト取れました。彼は心中どころか、そもそも真桑さんと付き合った事も無いと主張しています。

         

大内研究員: あの、あまり大きな声を出さないでもらえると助かります。真桑さんの立場からすれば高田さんの事を許せないと言う気持ちは良く分かりますが、もう少し落ち着いてください。

            

大内研究員: 私ですか?[5秒間の沈黙]私はもちろん高田さんよりも真桑さんの事を信じていますよ。当たり前じゃないですか。

                 

大内研究員: あくまでも真桑さんの潔白を証明するため教えて頂きたいのですが、恋愛関係にあった事を証明するような出来事はありますか?

                  

大内研究員: 答えていただいてありがとうございます。もう思い出したくもないと言う気持ちもよくわかります。高田さんの部屋にはよく遊びに行っていて、合鍵も貰っていたと。分かりました。あくまでも念のためお聞きしますが、それは合意の上ですか?

                   

大内研究員: ご気分を害してしまったようで申し訳ありません。もちろん私は真桑さんを信じていますが、念のための確認です。

             

大内研究員: そうですね、何故真偽に拘るのかと言うと、例えば信じているのが私だけと言うのは真桑さんも悔しくは感じませんか?

              

大内研究員: 私はあなたと直接お話をさせていただいているので真桑さんがとても信用できる優しい人柄だと把握しています。ですが、そう言った人はどうしても割を食いやすいと言いますか、誤解されて孤立しがちではありませんか?

                 

大内研究員: 申し訳ありません。ご友人は多いのですね。人形だけではないと。ですが私の気持ちを分かって頂けたようで安心しました。私はあなたのためを思って

    

大内研究員: 私に恋人はいませんが。どうして急にその話になったのでしょうか。

                    

大内研究員: 申し訳ありませんが、恋人の有無に関係なく、私がこれから毎日何時間もあなたと話をするのは難しいです。

                  

大内研究員: 大丈夫です、友人が多いのは疑ってはいませんから。問題はそこではなく

                   

大内研究員: 真柔さんの事が嫌いだとかそういう話をしている訳ではないんですよ。

               

大内研究員: 落ち着いてください。真桑さんが嫌いとは言っていません。嫌いと言う言葉を否定しています。嫌いと言う単語だけに反応しないでください。

               

大内研究員: 逆に真桑さんの事を愛しているという話でもありません。真桑さんの事を好意的に見ていたとしてもそれは難しいと言う話です。分かっていただけませんか?仕事の関係上、私が真桑さんにかかりきりになるのは難しいんです。

               

大内研究員: 真桑さんとずっとお話する事が出来ないのは他の誰かから妨害を受けているとかではないんです。話を聞いてください。

               

大内研究員: Agt.八坂の名前をどうやって知ったんですか?

               

          

総括: SCP-3991-JPとの対話を踏まえ、SCP-3991-JPとの対話時間の変更などのため特別収容プロトコルの改定を申請した。また、報告書のSCP-3991-JPを表す写真が不適切4だったため等身大の人形生前の友人と過ごす写真に変更した5

補遺1: 大内研究員の私物からSCP-3991-JPと類似する異常性を有する玩具が発見されたため、財団はこの玩具を暫定的にSCP-3991-JP-αと設定しました。SCP-3991-JP-αは██社製の市販されているぬいぐるみで、2024年8月7日まで異常性は確認されていませんでした。SCP-3991-JP-αは音波による対話が可能で、SCP-3991-JP相当の知能を有しているため、SCP-3991-JPとの関連性を調査しています。


映像記録 SCP-3991-JP-4
日付: 2024年8月8日
記録担当者: Agt.八坂

目的: SCP-3991-JP-αとSCP-3991-JPの関連性について調査する。

Agt.八坂: 初めまして。八坂と言います。

SCP-3991-JP-α: ああ、八坂か。俺が今どうなってるのか教えてくれ。声しか出せなくて体の感覚が何も無いんだよ。あとここ取調室だよな?何があったんだ?

Agt.八坂: 我々から見ると突然あなたが喋るようになったと言う認識なのですが、それで合っていますか?

SCP-3991-JP-α: 何か話してそうなんだが全然聞こえないな。俺の耳がおかしいのか?自分の声は聞こえるんだがなあ。

Agt.八坂: 合っているという事で良さそうですね。今更な話ですが、あなたの体がぬいぐるみという認識はおありですよね?[Agt.八坂は手鏡をSCP-3991-JP-αに向けた]

SCP-3991-JP-α: な、俺がぬいぐるみに?取調室にいるのは俺がアノマリーと認定されたからか?

Agt.八坂: すいません、自覚は当然ありますよね。どのように会話しているのか自身で分かったりしますか?

SCP-3991-JP-α: あー、そうだ、見た目がこれじゃ俺が誰なのかも分からないよな。研究員の大内だよ、ほら、八坂と同じSCP-3991-JP担当の大内!俺に何があったか教えてくれ!

Agt.八坂: どうなっているかは自分でもわからないんですね。会話が出来るようになる前の記憶などはありますか?

SCP-3991-JP-α: 取調室にいるんなら会話が成立してるはずだけど、やっぱ声が聞こえないと伝わってるか不安になるな。本当に大丈夫なのか?

Agt.八坂: なるほど、記憶もないと。では、自我を持つに至った理由などに心当たりはありますか?

SCP-3991-JP-α: いや待て、こいつの口の動き俺の話と噛み合ってないぞ?全然違う話してないか?

Agt.八坂: そこははっきりしてるんですね。真桑さんを悪人から守りたい、ですか。それは誰からですか?

SCP-3991-JP-α: まさか俺の存在は認識されてなくて、俺の体を介して別の誰かと会話してるのか?

                  

Agt.八坂: え、私?悪人と言うのは私の事ですか?あなたとは初対面ですよね。理由を教えていただけませんか?

SCP-3991-JP-α: 何だ今の声は。

Agt.八坂: もしかしてそれはこの施設で働いている研究員の大内の話ですか?

SCP-3991-JP-α: 八坂!あれが聞こえないのか!

Agt.八坂: そもそもあなたと彼は会った事もないはずですよね。

        

Agt.八坂: 彼にすり寄るなと言われましても、仕事仲間なので食堂に一緒に行く事くらい普通ですよ。それより、あなたはどうやってそれを知ったんですか?昨日以前の記憶は無いんですよね?

SCP-3991-JP-α: おい、逃げろ!ああクソっ、せめて体が動けば!

     

Agt.八坂: どうしてそんなに怒るんですか?では、もし仮に私が彼を好きだと答えたらどうしますか?

SCP-3991-JP-α: やめろ。

[Agt.八坂は突如全身を30秒間硬直させ、床に倒れた後、片頬だけ引きつったような笑みを浮かべて起き上がった。]

SCP-3991-JP-α: その顔で近寄るな。

[Agt.八坂はSCP-3991-JP-αに顔を寄せ、SCP-3991-JP-αを抱きしめた]

            

                

       

総括: SCP-3991-JPとSCP-3991-JP-αの間には明確な関連性が認められた。SCP-3991-JP-αの希望により、SCP-3991-JPが保管されている標準正温度遺体冷凍チャンバーに併設された低脅威度物品保管ロッカー内に保管する事とする。

また、インタビュー中にAgt.八坂が不審な行動を取っていたため、Agt.八坂の精密検査を行った。その結果、Agt.八坂は精神面に問題を抱えていた事が判明したため、本人の希望も踏まえてSCP-3991-JP担当官から解任される事となった。以後SCP-3991-JP担当官は大内研究員が専任する。



映像記録 SCP-3991-JP-5
日付: 2024年8月15日
記録担当者: 大内研究員

目的: 高田氏の会話内容に虚偽が含まれていた点に関して、その卑劣さを糾弾し高田氏の反省を促す。

     

     

       

   

     

[10秒間の沈黙]

      

       



     

      

    

     

      

[高田氏は号泣し、額が赤黒く変色するまでテーブルに強く頭を打ち付けている]

 

 

総括: 高田氏はSCP-3991-JPとの恋愛関係を否定するなどの暴言を吐き、心中から逃げた事に対し、深い反省の意を示している。

補遺2: 2024/08/16、高田氏が自宅で首を吊った状態で発見されました。自宅から発見された遺書にはSCP-3991-JPに対する謝罪の言葉が書かれており、死亡状況や検視結果などから自殺と断定されました。また、SCP-3991-JP-α新規発生の可能性を鑑み、高田氏の自宅から私物6を押収して3ヶ月間保管し、対話を試みましたが、SCP-3991-JP-αに類する異常存在ではない事が確認できたため、押収した私物は焼却処分7されました。

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