SCP-3997-JP
評価: +60+x
blank.png

対抗ミーム"Awakeness"の浸透を確認しました.

バイタルサインが上昇しています. 精神安定剤の服用を推奨します.

バイタルサインが上昇しています. 精神安定剤の服用を推奨します.

バイタルサインが上昇しています.

バイタルサインが許容範囲まで低下しました.

…落ち着いたようだな。無理もない。引き継ぎは今度にしようか。

…そうか。分かった。では、始めさせてもらおうか。
まずは、改めて3997-JPの報告書を見てくれ。今だと感じ方も変わるかもしれないからな。
読み終えた頃にまた声をかけるよ。じゃあな、O5-1。今のうちに呼ばれ慣れていた方が良いだろう。




ethics.png

- 倫理委員会員のみ閲覧可 -
以下のファイルはレベル5/3997-JP機密事項に指定されています。
適切な資格のない如何なるアクセスの試みも記録され、違反者は終了されます。



資格証明を行います. 太陽は何の歌を歌うか?

input: 箱庭の外で鎮魂歌を。

オーバーライドに成功しました. 要求されたファイルを提示します.



アイテム番号: SCP-3997-JP

オブジェクトクラス: Safe

脅威レベル: 白 ○

特別収容プロトコル: 現時点において、SCP-3997-JPの収容は計画されていません。SCP-3997-JPの研究はSCP-3997-JPの維持や代替案の検討、および発生要因や変化の調査に限定されています。新任の倫理委員会員、もしくはO5評議会員を財団職員から選定する場合は、手順3997-JPに従いデータベース上の処置と、対抗ミーム"Awakeness"の投与を行ってください。

説明: SCP-3997-JPは、財団職員に感染する複合的な異常ミームです。ベクターの特定は未だに達成されていませんが、感染対象となる条件は最低でも以下の2点を含むと推定されています。

  • 財団データベース上において職員として登録されていること。
  • 自身が財団職員であるという自意識を有していること。

以上のことから、財団データベース上で登録取消および、対抗ミームでの自意識の矯正により、感染者を意図的に非影響下に置くことが可能です。

SCP-3997-JPの一般的な症状として、財団の活動内における死亡事象や損害に対する心理抵抗の低下が挙げられます。これにより影響者の行動、心理には以下の傾向が見られます。

  • 異常存在の研究に人的資源を用いることに対する抵抗の軽減
  • 財団の収容活動に対する使命感の向上
  • 収容違反等に対峙した際の、自身への損害を厭わない行動

SCP-3997-JPの発生は1870年代前後であると仮定されており、2023/01/01現在にかけて緩やかに変容したと考えられています。その変容はおおよそ3段階に分類することが可能であり、1980年代に現在の第3段階へと変化したと推定されています。以下は各段階の期間と、感染者への影響の一覧です。

段階 時期 大まかな効果
第1段階 1900年代~1920年代 自身が原因となった死亡事例への言及を避ける。
第2段階 1920年代~1970年代 自身が原因となった死亡事例に対する、精神への負荷の低減。
第3段階 1970年代~現在 自身を含む死亡事例、損害に対する精神への負荷の低減。

SCP-3997-JPの影響により変容した精神、行動は、非感染者のものから大きく逸脱することはありません。そのため、個人単位でSCP-3997-JPの感染/非感染を判断することは困難です。しかし、財団全体において、収容活動に対するSCP-3997-JPの影響は大きなものであるとみなされました。そのためThaumielクラスへの分類が提唱されましたが、評議会での決議の結果により見送られました。


読み終わったか。対抗ミームを摂取した時の反応もそうだが、君もこのオブジェクトにかなり大きな影響を受けていたことが分かっただろう。アノマリーを扱うのは常に死と隣り合わせだ。自他を問わずね。世界を守るという使命を全うするには、それを乗り越える必要がある。…SCP-3997-JPは、財団の規範そのものと言えるかもしれない。
だがこのミーム、発生要因がいまだに明確になっていない。明らかに関係がある事象はあるのだが、何故ミームが発生することになったのかは不明だ。次はそれについて話していこう。まずはこの計画書を読んでくれ。画像に見覚えがあるかもしれないな。

アクイタル・プロトコル概要

lighting-g367ed8f34_640.jpg

SCP-001-JP

アクイタル・プロトコルは実験時における人員の損失によって生じる研究者の精神への負荷を軽減させる目的で行われます。検査の結果により心理抵抗度が60未満の研究者に対し、点火をしたSCP-001-JPの画像を閲覧させます。

SCP-001-JPは特異性をもつランプです。SCP-001-JPは目視した人物(以下対象者)に認識災害を引き起こします。対象者は自身が原因となった死亡事象への言及を避けようとします。副次効果として該当する死亡事象による対象者の精神への負荷が軽減されるというものがあります。しかしこれはSCP-001-JPによる特異性ではないと結論付けられています。

また当プロトコルには対象者を財団内に収容することも含まれます。

新人の時に、オリエンテーションでランプの画像を見ただろう?ただ消えないランプとして紹介されたと思うが、こういう効果があったわけだ。そしてこのランプだが、1988年4月18日にあることが分かった。

当時の財団では、認識災害を視覚化する技術の開発が行われていた。今普及しているスクランブルデバイスのひな型だ。1986年頃からは、試作機を用いて認識災害効果のあるオブジェクトの確認を行うという試験が行われ始めた。そのその一環として、件のランプの確認も行われたんだが、認識災害効果が失われていることが判明した。しかも、50年近くも前、君が財団に加入した時点では既にだ。その間、アクイタル・プロトコルが破綻することは無かったし、誰も効果が無くなっていることに気付かなかった。ならば、近しい効果を持った何かが影響をもたらしているはずだと考えた。結果として発見されたのが、SCP-3997-JPだ。我々は知らないうちに、いつの間にか発生したミームに汚染されていたんだ。今になって思うが、SCP-3997-JPの効果はSCP-001-JPの効果から逸脱していた。だが誰もそれを指摘できなかった。我々もSCP-3997-JPの影響を受けていたからだ。そして、SCP-3997-JPのことを知った私は、恐怖を感じるとともに…落胆した。それまでに、職員たちが自身の犠牲をいとわず、異常存在の収容に尽力する事例を何度も聞いてきた。ある職員は、SCiPに関する重要な情報を伝えるために何千回と死に続けているまたある職員は、自身の命と引き換えにKクラスシナリオを収束させたとされているKeterクラスオブジェクトの無力化を行ったDクラス職員もいる。彼らの行動がミームの影響かもしれないと考えると、私が今まで見ていた輝かしい志は何だったんだと感じてしまった。彼らのおかげで世界が存続していることに変わりはないのにな。

話が逸れてしまって申し訳ない。
財団全体が、出処不明のミームに汚染されている状況は芳しくないと考えた。だが、今の財団はSCP-001-JP、ひいてはSCP-3997-JPを前提に稼働している。現時点で何か代わりになるシステムも無く、全ての職員から影響を取り除くのは、財団の崩壊に繋がりかねないと判断された。だから、評議会内で決議を取った。これがその結果だ。

V9VG8

監督評議会概要

議題:
評議会を含む一部職員のSCP-3997-JPからの離脱と、財団全体とSCP-3997-JPの影響を監視する組織の設立。


評議会投票概要:

棄権
O5-01
O5-02
O5-03
O5-04
O5-05
O5-06
O5-07
O5-08
O5-09
O5-10
O5-11
O5-12
O5-13

結果
承認


注記:
1995/12/6、上記を目的とした組織として倫理委員会が設立されました。構成している職員は財団データベース上から所属を移籍し、対抗ミーム"Awakeness"の摂取により財団に所属していないという自意識を矯正することで、SCP-3997-JPの影響下から脱しています。倫理委員会委員長はO5評議会が兼任します。SCP-001-JPの無力化は財団内においては非公開情報とし、アクイタル・プロトコルは形式上でのみ継続されます。

これが、我々が今所属している、倫理委員会が設立された理由だ。財団にあって財団に無い組織。時世が伴ったのもあるが、最大の目的はここにある。SCP-3997-JPと財団の制御、そして、いずれ代替案がまとまった際に、SCP-3997-JPを無力化するための研究を開始した。

今までの倫理委員会の活動によって、財団の活動全体がなるべく正しい方向に向かえていると思っている。しかし、SCP-3997-JPの影響から逃れている分、倫理委員会員の精神の摩耗は財団職員と比べて大きかった。離職率も目に見えて倫理委員会員の方が高くなっている。ある意味では、財団にとってSCP-3997-JPが無くてはならないものであることを証明してしまったと言えるかもしれない。ただ、我々の世代の職員は、認識災害効果を未だ有していたSCP-001-JPを目視している。その効果は今も残っているから、ある程度負荷は軽減はされているんだろう。しかし君達は…
…今からする話は、まだ検証が終わっていない。ただの杞憂かもしれないが…伝えないわけにはいかない。

少し前、ある懲戒処分について伝えられた。サイト-62の職員2名に対するものだ。
3週間前、サイト-61に所属していた職員がこのサイトに全員移籍した。全員と言っても3名のみだがな。サイト-61は収容違反によって壊滅状態となった。彼らは皆隠れていて、被害から逃れることができた。生き残りがいて本当に良かった。だが処罰を受けた2名は、彼らにこう言葉をかけ、暴力をふるったそうだ。「何故立ち向かわずに逃げたのか」「何故財団職員らしく死ななかったのか」…周囲の声を聴く限り、彼らはこのようなことをする人物ではなかったそうだ。

SCP-3997-JPは今まで性質を変容させてきた。もしかしたらだが、今も変化し続けているのではないだろうか。この事案はその前触れなのかもしれない。結論が出るのはもう少し先になるだろう。…我々は、SCP-3997-JPに依存した現状について、何も代替するものを用意できなかった。SCP-001-JPの効果もない、SCP-3997-JPの影響も受けていない、君たちの世代が財団を管理していかなければならないことを、本当に申し訳なく思っている。

…我々はどこに向かっているのだろうか。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。