アイテム番号: SCP-4041-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-4041-JPはサイト-8181の霊的実体収容セル内に収容されます。SCP-4041-JPの突発的な行動を可能な限り鎮静するために、非物質変位無効装置(nPDN)を用いて固定した上で、無気力誘発性聴覚ミームに曝露させた状態に留め置かなければなりません。その自己隠蔽性から、SCP-4041-JPの存在が一般社会に曝露する可能性は低いと見積もられますが、SCP-4041-JPの性質および能力の影響範囲には依然として不明な点が多く、可能な限り自己収容状態に留めるべきです。
サイト-8181で通常提供されている肉じゃが
説明: SCP-4041-JP群は、2026年4月1日にサイト-8181第一食堂で配膳された肉じゃが全15膳に対応する、独立した意思決定能力と発話を可能とするクラスB霊的実体です。それぞれに対応する肉じゃがを破壊、あるいは摂食した場合でもSCP-4041-JPの活動に支障はなく、また肉じゃが自体は通常の食品と同様に腐敗することが確認されています。
当該実体はサイト-8181第一食堂での調理ミスの際に発生しました。当時の食堂では、通常メニューであった肉じゃがを大鍋で調理している際、他の調味料と誤って大量のカレールーが投入されていたことが監視カメラの映像から判明しています。これらの肉じゃがの味に非異常のカレーと差異はありません。当該のミスを行った調理師は異動となりました。
SCP-4041-JP群は「私は死んだ」「私は大量のカレールーで殺された」「この料理は私の生前の肉体だ」と言及しています。SCP-4041-JP群は、自分を殺害した人物について“インド人コック”のステレオタイプな描写を再現したかのような人型実体の存在を示唆する発言1を行いますが、当該の調理ミスを行った調理師はナイジェリア人です。
補遺1: インタビュー記録: 4041-JP
2026年4月1日、サイト-8181調理棟に未知の霊的実体が発生したとの観測データが機動部隊に通知されました。SCP-4041-JPは即座に非物質変位無効装置(nPDN)により固定化され、同サイト内の霊的実体収容セル内に仮収容されました。以下はその際のエージェントによって録音された対話記録です。
インタビュー記録: 4041-JP
日付: 2026/04/01 14:55
インタビュー対象: SCP-4041-JP群
インタビュアー: エージェント・生捨
«ログ開始»
エージェント・生捨: あなたがたはどうしてここにいるのですか。
SCP-4041-JP-1: 殺されました。
エージェント・生捨: なるほど。いつ頃のことか、わかる範囲で教えてください。
SCP-4041-JP-1: ついさっきです。
エージェント・生捨: それは……お辛いですね。ごめんなさい、もう少し詳しく、例えばその時の状況を詳細に聞かせていただけますか。
SCP-4041-JP-1: ……はい。[嗚咽] 私は肉じゃがとして、日本で生を受けました。しかし、私の遠い先祖にはインドの血が流れている、ということは聞いておりました。2……物心もつかない頃に母から聞かされました。思えば、私の家族には遠い血縁への憧れがあったのでしょう。車の中ではずっとインド歌謡が流れてたし、神棚にはサイババの写真が飾られてた。
エージェント・生捨: えっ、何の話ですか。
[SCP-4041-JP-1が一瞬黙り込み、呼吸する。]
SCP-4041-JP-1: [机を叩く音] でもあの人は情熱だった!情熱そのものよ。家族で見たボリウッドだとか、燦然と輝くタージ・マハルとか、蛇使いの笛の音とか、記憶の隅で忘れていたものを掻き出してくれるような、情熱だった。そして全身が湧き立つようなスパイスの香り!彼が振る舞ったあの香りは、その情熱で私の感覚を焼け野原にしてしまった!私はもう戻れないの。
[15秒間の沈黙。]
SCP-4041-JP-1: ……ええ、確かに私は殺された。しかし死んだのは日本人としての私。私達はまだ、魂が生きているの。そうなることを心から望んでいたと今なら言える、だから、私は。
エージェント・生捨: 私は?
SCP-4041-JP-1: ついに自分の人生を生きる!私の故郷はやはりインドよ。魂が帰る場所を見つけたの。勿論すでに大使館には連絡したわ。3私達はあのインドへ移住する!
SCP-4041-JP-2: 行くぞ天竺!
SCP-4041-JP-3: 行くぞガンダーラ!
[SCP-4041-JP群が不明な方法で再び霊的実体化し、サイト-8181の天井を透過し、上空へと飛び立つ。]
SCP-4041-JP-1: 愛の国へ!
«ログ終了»
nPDNによるSCP-4041-JP群の固定が突如解除された理由は不明です。上述のインタビューが終了した直後、2026/04/01 19:30 発 羽田空港(HND)発 - インディラ・ガンディー国際空港(DEL)行のエコノミークラスチケット15人分の購入者情報が改変されていることを、空港内部に潜入しているエージェントが確認し、財団へ通報が行われました。
同時に、すべてのSCP-4041-JP群が羽田空港の方角へ向かって上空を移動しており、当該航空機にSCP-4041-JP群が搭乗する可能性が示唆されました。この報告を受け、サイト-8181のSCP-4041-JP臨時対策本部は当該航空機のその他の乗客をすべて機動部隊に差し替えるような工作を試みましたが、不明な理由で干渉に失敗しました。
SCP-4041-JP群が搭乗していた航空機
当該旅客機は一般人の乗客232名と全15体のSCP-4041-JP群を搭乗させて離陸しました。機内では、インド人コックおよびカレーのステレオタイプに起因すると考えられる、旅行会社のマニュアルには存在しない異常な業務内容が複数発生していました。はじめに、通常は各座席のモニタから再生されるはずの離陸時アナウンスメントが存在せず、代わりにインド映画における舞踊シーンが大音量で再生されました。また、アメニティの運搬の際に台車が用いられることはなく、代わりに人力車によって提供されました。
特に、提供される食事内容に関する改変が顕著でした。まず、離陸直後に乗客へ配布される水入りペットボトルの中身が、全てマンゴーラッシーに置換されていました。次に、乗務員が乗客へ機内食を配膳する際に、「Pork or chicken」と問いかける決まりになっているところを、誤って「Pork curry or chicken curry」と発声し、その言葉通り、全ての料理がカレーに改変されていました。通常同時に配られるはずの一切のフォークとスプーンは消滅しており、全乗客は右手のみを用いてカレーを摂食しました。同時に配膳されたチーズナンは不明な理由で焼きたての状態でした。
当該の航空機が着陸する直前、財団インド支部と連係して現地でのSCP-4041-JPの収容作戦を展開しましたが、SCP-4041-JP群は現地のエージェントに捕捉されることなく消失しました。航空機の乗客および乗組員は、一連の超常現象に対して違和感を有していませんでした。目撃者全員への記憶処理、および関連記録の改竄は問題なく行われました。
補遺2: 2026年4月3日、全てのSCP-4041-JP群が突如、日本・サイト-8181内の霊的実体収容室に再出現し、実質的な自己収容状態となりました。SCP-4041-JP-1はインドから帰国した理由について「失望した」「なんで店にカレールーが売ってないんですか?」と供述しています。



