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図 1.1: SCP-4059-1で発見された廃屋
特別収容プロトコル: 臨時サイト-144がニュージャージー州環境保護局New Jersey Department of Environmental Protection(NJDEP)魚類・野生動物課の支局に偽装してSCP-4059-1周辺に建設されています。SCP-4059-1近辺に立ち入ろうとする民間人は、当該エリアがCrotalus horridus (シンリンガラガラヘビ) の保護生息地であることを理由に立ち退かせます。
現在、1匹のSCP-4059-2が臨時サイト-144の標準C型収容セルに収容されています。この個体にはSCP-4059-1からの淡水を提供、毎月交換し、3ヵ月ごとに生きたブタ1匹を給餌してください。更なるSCP-4059-2の個体が発見された場合は、機動部隊ニュー-5 ("キャビン・フィーバー") が収容のために派遣されます。SCP-4059-2を目撃、または攻撃された人物にはクラス-A記憶処理を施し解放してください。
SCP-4059-3は臨時サイト-144のSafeクラス保管庫に保管されます。いかなる状況であっても、手順4059-ケモシュが実行されないようにしてください。
説明: SCP-4059はアメリカ合衆国ニュージャージー州パインバレンズ国立保護区を中心とする一連のアノマリーの総称です。
SCP-4059-1は半径30mの円形をした淡水の貯水池であり、ニュージャージー州リーズポイントの町の西部にある、半径330mの円形をした広場の中心に存在します。貯水池のすぐ周りには、過去150年以内に建設されたと推定される、6軒の放棄された個室小屋が存在します。財団の考古学者により、広場の最西端に沿って大量の墓が発見されています。この墓地には推定72人の乳児の種々雑多な遺体が埋葬されているのが発見され、多くは重度の身体的奇形を示しています。2名の適合する対象が手順4059-ケモシュを実行しようとしない限り、貯水池及び構成建造物群は非異常です。
SCP-4059-2は、非異常のヤギからの多数の逸脱を示す二足歩行性のヤギ型生物です。特筆すべきこととして、SCP-4059-2は平均身長約2mであり、肩甲骨から突出する機能的な翼手目型の翼、先端に鉤爪を備えたヒト型の前肢、突出した切歯、胸部の退化したヒト型の乳腺、細く無毛でフォーク形の尾を有します。多くの非異常なヤギと同様、個体には頭頂から突出する2本の大きなケラチン質の角、及び顎底部から垂れ下がる小さく顎髭のある肉垂があります。
SCP-4059-2は卓越した捕食者であり、獲物を追跡し、喉に噛み付いて無力化します。また、獲物を追跡する際には短時間に90km/h以上の速度で行動できることが報告されています。SCP-4059-2は通常ヒトとの接触を避けますが、閉じ込められたり刺激された場合には攻撃的になることがあり、ヒトを追跡し殺害することが知られています。見たところランダムな間隔で、SCP-4059-2はSCP-4059-1へと水を飲みに帰ります。
SCP-4059-3はポーランド系移民であるヤペテ・バルトシェヴィチ(Japhet Bartosiewicz)の個人日誌です。この日誌にはSCP-4059-1の設立とその居住者としての日々の生活に関する詳細、及び手順4059-ケモシュの適切な実行に関する指示が記されています。
補遺 4059-1: 手順4059-ケモシュ
手順4059-ケモシュは、SCP-4059-3にて確認された詳細記録を用いて開発されました。
手順4059-ケモシュは2名の異性の間で、3つの主なステージに渡り実行される。以下、対象Aは生物学的男性の被験者を示し、対象Bは生物学的女性の被験者を示すものとする。
ステージ1
- ステージ1は、その年の最初の満月の初夜に、SCP-4059-1の境界内にて行われねばならない。
- 対象Aは、Amanita属(テングタケ)のキノコを12本収集し、仰向けに寝た対象Bの周囲に等距離で円状に並べねばならない。
- 対象Aは、Capra属(家畜ヤギ)の動物の血液を用い、隣り合うキノコ同士を円状に繋がねばならない。
- 対象Aはその後、血液を用いて儀式的印章(互いに重なる4つの同心な正三角形からなり、各三角形の頂点と中心にはルーンが内接する)の形にキノコ同士を繋げねばならない。
- 対象Aは、被験者Bの両掌と上胸に切り傷を創り、その後自身にも同じことをせねばならない。
- 両対象は、性交渉に従事せねばならない。
- ステージ1が適切に完了した場合、対象Bは生物学的能力に関わらず妊娠する。
ステージ2
- ステージ1の直後から、対象Bは妊娠中の満月の間は断食せねばならなくなり、そうした日は夜間にのみ食事が可能となる。
- 対象Bが満月の間に摂る夕食には、Capra属の動物と、対象Aの血液の混合液を添えねばならない。また、食事の前には祈祷をせねばならない。
正しく実行された場合、対象Bは正確に265日間妊娠し、正確に264日目の18:00(米国東部標準時)に子宮頸拡張を開始し、陣痛から正確に6時間後に出産する。
ステージ3
- 対象Bが陣痛に入り始めたら、対象AはSCP-4059-1中心の貯水池の端に立ち、3時間に渡って様々な祈祷を唱えねばならない。
- 子供の出産中、対象Aは助産師として行動し、子供(以下対象Cと呼称)の分娩を補助する。
- 分娩時、対象Aは臍帯を切断し、対象Cにその血を浴びせなければならない。
- 対象Bは、対象Aの助けを借りて、SCP-4059-1中央の貯水池まで対象Cをすぐに運んで水中に落とし、対象Cが溺死できるようにせねばならない。このステップの完了は手順4059-ケモシュの終結を示し、対象Cの遺体は死亡時に激しい身体変成を受けて、SCP-4059-2の完全に成長した個体となる。早まって対象Cの身体を水から取り出そうとすると、肺水腫によってやがて死に至る。また何らかの形で手順4059-ケモシュを適切に実行できなかった場合、誕生後すぐに対象Cは深刻な重傷を負い、やがて死に至る。
補遺 4059-2: SCP-4059-3内で発見された日誌の簡易版 (ポーランド語より翻訳)
1894年4月12日
長老達は正しかったのだろう。我々は古きしきたりに背き、伝統を軽んずるべきではなかったのだろう。神々は我々を、私を笑っているに違いない。聖なる純血を愛のために犠牲としたのはどれほど愚かなことだったのだろうか? 友人らが同じことをしでかすのがどれほど愚かなことだったか? 神は伝統や、預言者イオンその人によって我々の民に授けられた祝福を前にして笑うはずなどなく、罰をお与えになるなどお考えになるはずがない。にもかかわらず、我々は敬意を欠いたのだ。
この呪われた土地は、我々が信じさせられたような豊かなものではない。土壌はほぼ役に立たない。森の粗悪な土にも、海岸の乾いた砂にも育つものは無い。我々が生き残るためにできることは狩り、釣り、付近の町との食料交易、ただそれだけだ。この苦難はおそらく我々の呪いなのだろう。
我々の罪にも関わらず、私はそのような負債は贖えると考えている。愛する者たちに見放され、この地に追放される中で、おそらく我々は罪を償い、この領地を古き血のためと宣言することでやり直すことができるだろう。仲間達に会って、我々の血統の発展について話し合わねばならない。不純なものがあったとしても、繁栄を願うかのように我々の古き種をこの地に根付かせ、やり直すことはヴァルター達を喜ばせるかもしれない。
1894年11月30日
我々はもう1年近くも試し続けてきたというのに、思いついた者は誰もいなかった。不純な血の子供達を産み出そうとすることが、我々の不純さの報復たる望まれしものを辱めやしないかと心配している。4日前からこの窮状に目を向け始め、この状況について思案してくれるように親類に頼んだ。今日、私は聖なる肉職工の話を覚えているかと尋ねられた。長老達が彼らについて語った方法、熟練したリハクタァク(lihakut’ak)を通じて筋肉や骨を好きなように捻じ曲げる彼らの能力が、我々にあるアイデアを齎した。仲間達はその聖なる儀式を使って呪いを解き、整形された子孫により血統を浄化できると考えているようだ。彼らに間違いはないだろう。我々はこの問題について更に議論を重ねると共に、追放を余儀なくされた際に持ち出した数点の文書についても調べねばならない。
1895年1月11日
完了した。昨夜は満月だった ─ 血の誓約を試す最初の機会だ。我々はそれぞれ一晩かけて傷口を掃除し、それだけの価値があるのか疑った。考えさせられたことがある ─ 死したものを蘇らせようとするのをわざわざ気にするべきなのか? 我々は家族を失望させ、血を裏切って血族の墓に唾棄した。こうした罪が許されるかもしれないと考えるのは傲慢とは見なされないのではないか? 新興王朝の外套を手に取る疎外者達としての、我々が持つ権利とは? とにかく、神々が我々を子供達を授けるのに相応しいと見なすかどうかはすぐにわかるだろう。
1895年2月26日
我々の祈りは応えられたようだ。神々へと選民(heritage)を供えられるだろう。不妊の子宮の病にも関わらず、儀式の初の実行後には、我々の魔女団カヴンの女全員が生命で膨れ上がった。強大な力が働いている ─ それらの力は今後何年にも渡って、血族の遺産を受け継ぐ機会を与えてくださる。
1895年10月3日
女達が子供を産むと、やるべきことがいくつもあることが判明した。若き者どもは期待されたような強力なリハクタァクの魔導師ではなく、それどころか捻じれ壊れた殻に過ぎなかった。子供達は一呼吸もせずに死んでしまったため、我々には何も残されなかった。それでも、神々との誓約を果たすため続けなければならない。呪文を修正する必要がある ─ 血族を神聖なるカルキストとして讃えるべく上昇するであろう、偉大にして恐るべき子供達を産む日まで。
転写に関する注記: 以降12年間のエントリでは手順4059-ケモシュに対して提案された変更と、新たな手順の結果の概説が詳述され、最終版である第13版の手順にまで続きます。 ─ ラヴェイ博士
1908年10月9日
貪るものは今日という日をお楽しみになられるはずだ。我々が初めて子供達を授かった時は、亡命が我々の罪の十分な贖罪であったと愚かにも考えていた。今まで我々はその傲倨に多大な犠牲を払ってきた。秘跡は成功した ─ だがそれは我々への罰だった。子供達が己の親々を知らぬ獣となって水から上がってきた時、我々の歓喜がどれほど早く恐怖へと変わったことか。獣共の身体は伸びて捻じれ、異質な特徴を成長させた。翼が背中の皮膚を引裂き、角が額を突き破った。顔はヤギのように伸び、爪は恐ろしい鉤爪へと歪曲した。初めて伸びきった時には、各々が恐ろしい金切り声を上げていた。
そして獣共は、ショックと恐怖でその場に立ち尽くした我々を見た。奴等が己の母親達を狂暴に殺害し、同じように父親達をも殺したので、私は腰を抜かせて逃げ出した。家からも、妻からも、怪物と化した子供からも逃げた。肉を引き裂く音と、叫びを上げる悪魔共から逃げていた。
転写に関する注記: これがSCP-4059-3の最後のエントリです。財団調査員は、SCP-4059-3に記された出来事以後の年に、ヤペテ・バルトシェヴィチがリーズポイントの町に居住していたという記録を発見しています。バルトシェヴィチ氏はリーズポイントのコミュニティに加わり、そこで余生を過ごしていたものと考えられています。 ─ ラヴェイ博士
ページリビジョン: 8, 最終更新: 21 Feb 2024 12:28