
サイト-██中庭のSCP-4062。
アイテム番号: SCP-4062
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-4062は大型の犬用ベッド、餌皿、水受け皿、犬用玩具を備えた標準的なイヌ科収容舎に収容されます。SCP-4062には毎日600gのドライドッグフードを与え、担当調教師によって散歩させます。
管理されていない状況下では、水蒸気爆発を防ぐため、SCP-4062を水没させるべきではありません。
説明: SCP-4062は体高64cm、体重48kgの雄のウクライニアン・シェパード犬です。無視できる程度の老化を別とすれば1'2、SCP-4062は身体が濡れない限り異常性質を示しません。濡れると、SCP-4062は毛皮が完全に乾燥するまで絶え間なく震え続けます。部分的に液体に覆われている時、SCP-4062は周囲の液体の量に合わせて指数関数的に増大する頻度で急速に振動します。
完全に水没している時、SCP-4062は標準気圧下の水を沸騰させるのに十分な速度で振動します。この状態のSCP-4062は酸素や食料を必要とせず、高温・高圧環境への異常な耐性を示します。現時点で耐性の限界は判明していません。全ての液体が沸騰して身体が乾燥すると、SCP-4062は震えるのを止めて非異常性の行動を再開します。SCP-4062が周囲の液体を沸騰させられない場合、または水蒸気が凝縮・再循環してSCP-4062の水没状態を維持する場合、SCP-4062は無期限に振動し続けます3。
補遺1: SCP-4062は1983/08/29、ソビエト海軍に属する潜水艦の乗組員数名が[編集済]に感染した後、財団エージェントが705型攻撃潜水艦(計画名“Лира/リーラ”)の一艘であるK-406を捕獲した際に取得されました。海上への強制的浮上と[編集済]捜索にあたって、他の705型と同じく鉛冷却高速原子炉であると予測されていた同艦の動力炉が、如何なる既知の設計とも合致しない点が注目されました。分解した結果、動力炉の内部にはSCP-4062が収容され、タービンを回す蒸気の生成に使用されていたことが発覚しました。[編集済]の痕跡は発見されませんでした。
徹底的な尋問の後、唯一の技術者であるアンドレイ・アレクサンドロフ(以下、要注意人物4062-13)を除いて、K-406の乗務員は自艦の異常な動力供給源について知らなかったと判断されました。財団に対して、乗務員仲間とソビエト大使からは海軍の原子力技術者であると説明があったにも拘らず、PoI-4062-13は“犬技術者”を自称し、1975年にモスクワ工科物理研究所(МИФИ/MEPhI)の犬物理工学プログラムを卒業したと主張しています(インタビューログ4062-13-2参照)。PoI-4062-13の主張は現在も立証されていません。
K-406乗務員は記憶処理を受けて1983/12/17にソビエトへ送還されましたが、PoI-4062-13は財団の拘留下に留められています。K-406はサイト-██造船所に保管されています。
PoI-4062-13が提供した資料は、SCP-4062を利用する動力炉と制御システムの製造に有用であると証明されています。K-406から回収された動力炉を始めとするこれらのシステムは、構造的には異常ではなく、単純にSCP-4062の異常性を活用するだけのものです。SCP-4062(PoI-4062-13はごく普通の犬であると主張)の別個体を作り出す試みは、SCP-4062のクローンや子孫が全く異常な特徴を示さないために成功していません。ソビエト/ロシア政府に潜入しているエージェントは“犬式水沸騰炉”や犬工学プログラムに関する追加情報を入手できていません。
補遺2: インタビューログ4062-13-2
回答者: PoI-4062-13
質問者: デメンティエフ博士
序: 以下の予備インタビューは1983/09/30、SCP-4062の起源と、PoI-4062-13との接点を断定する試みとして実施された4。
<記録開始、00h-8m-17sまで省略>
PoI-4062-13: МИФИ犬物理工学プログラムの卒業生です。何故それが海軍の犬技術者として珍しいのか理解できません。
デメンティエフ博士: あなたの国の政府からの情報によればですね、アレクサンドロフさん、あなたは原子力技術者であり、モスクワ工科物理研究所の原子力物理工学プログラムを卒業してらっしゃるはずです。
PoI-4062-13: あなたの仰るその“ゲンシイ力”とやらの事は何も知りません。
デメンティエフ博士: Ядерная。原子力です。あなたはЛира原子力攻撃潜水艦のK-406で働いていた。
PoI-4062-13: いったい何を言っているんですか。私の潜水艦、K-968はовчарка級です5。外殻貫通時の爆発を防ぐために補強された犬式水沸騰炉から動力を得る仕組みです。非常に標準的な技術でしょう?
デメンティエフ博士: いえ。
PoI-4062-13: 犬炉を知らないのですか? アメリカとの緊張状態は全て犬技術が発端です。犬炉、犬爆弾、犬ミサイル。
デメンティエフ博士: 犬爆弾? ミサイル?
PoI-4062-13: はい。今では両国ともにそういう兵器を大量に保持しています。地政学的な状況はかなり込み入っています。
デメンティエフ博士: その… その話はまた後にしましょう。犬が湯を沸かす仕組みをもう一度説明して頂けますか?
[PoI-4062-13は溜息を吐き、与えられたノートを掴む。]
PoI-4062-13: こんなのは物理の基礎ですよ。図で説明しましょう。
<記録終了>