SCP-4076
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SCP-4076

アイテム番号: SCP-4076

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-4076は標準的なSafeクラス収容ユニットに保管され、レベル2以上のクリアランスを有する最低2名の研究員から実験目的の承認を得ない限り、再生されません。

説明: SCP-4076はラベルに黒の油性ペンで“Play me! (私を再生して!)”と記された製造元・起源不詳のVHSテープです。特筆すべき事に、2歳以下の子供はしばしばSCP-4076への本能的な恐怖心を感じ、通常SCP-4076の近くから離れようと試みます。また、子供はSCP-4076の内容の視聴を意図的に避けようとする傾向も示します。

SCP-4076は複数の異常な特性を示します。最も危険な第一の異常性は、SCP-4076に収録されている情報に曝露した生物が例外なく、微量の硫黄粉末のみを残して唐突に消失することです。この現象が発生する経緯は不明です — 映像記録は観察者の消失直前~直後の短期間のみ機能を停止するようであり、人間による直接的な監視は二次観察者の消失を招きます。SCP-4076の第二の異常性は記録不能性です。SCP-4076の内容を記録する試みは、現在まで全て記録装置全体が消失する結果に終わっています。

SCP-4076の第三の異常性は、SCP-4076のケースを開放しようと試みる人間/機械が消失することです。現在のところ、消失現象を伴なわずにSCP-4076の内容を把握する既知の手段はありません。SCP-4076に対して行われた実験の情報は“補遺-4076-2:実験”を、SCP-4076の回収に関する情報は“補遺-4076-1:回収”を参照してください。

補遺-4076-1: 回収: SCP-4076は████年██月、匿名の情報提供者が████████警察署に電話をかけ、███・フェルミという名前で隠遁生活を送る芸術家との接点を持つ地元住民数名の不審な失踪を報告した後に回収されました。████████警察署に潜入していたSCP財団エージェントがこの失踪事件に着目し、以降の捜査を財団が引き継ぎました。

███・フェルミのアパートを家探しした財団エージェントは注目すべき部屋を2ヶ所発見しました。最初の部屋は保管室であり、ピンクに染色されたRosa multiflora(一般にノイバラと呼ばれる花)らしき物の真空包装サンプル、数点の携帯式テープレコーダー、高さ約12インチの銀の十字架、チャイニーズ・フィンガー・トラップが詰まった箱、滑らかな球体(実験の結果、赤い石英で小さな斑点模様を付けた活性ウランで構成されているらしいと判明)、“通行止め”と記された道路標識などの概ね雑多な物品で溢れていました。第二の部屋には小型ブラウン管テレビ、VHSビデオデッキ(内部からSCP-4076を発見)、一見すると異常性の無い多数のVHSテープ(SCP-4076-1から-18と指定)がありました。他のテープとその内容の完全版リストは“補遺-4076-3”で閲覧可能です。

補遺-4076-2: 実験:
実験日時 実験内容 結果 結論
1990/3/15 SCP-4076は最後まで再生されるように設定された。D-5821(盲目)が室内に座ってSCP-4076の出力音声を聞くように指示された。 数時間後に室内を確認したところ、D-5821は消失していると確認された。 生物に対するSCP-4076の異常効果は映像出力だけに限定されていない。
1990/3/30 SCP-4076は最後まで再生されるように設定された。D-3821はSCP-4076の内容を視聴し、再生終了まで継続的に発声するように指示された。この実験は他数名のDクラス職員で繰り返された。 D-3821はSCP-4076の再生開始から正確に45分後、突然発声しなくなった。実験に参加した他全てのDクラス職員も同じ反応を示した。 SCP-4076の観察者は視聴開始から正確に45分後に消失する。
1990/4/11 SCP-4076は最後まで再生されるように設定された。Dクラス職員は、45分が経過した時点から1分おきに実験チャンバーに入室し、帰還して観察したものを報告するように指示された。 再生開始から1時間が経過する前に実験チャンバーに入った被験者は全員帰還しなかった。1時間経過後に入室した被験者は全員帰還し、何も再生されていなかったと報告した。 再生開始から45分後のSCP-4076を視聴した人間は即座に消失するものと仮定される。また、SCP-4076の長さは59~60分の間だと考えられる。
1990/5/2 SCP-4076は最後まで再生されるように設定された。D-7498、D-6223、D-8743はそれぞれ個別に、SCP-4076の内容を視聴し、45分経過前のランダムな時点で、観察したものを説明または描写するように依頼された。この実験における各Dクラスの違いは、D-7498が記述で、D-6223が口頭で、D-8743が絵画で説明を求められていることである。 いずれの事例でも、担当のDクラス職員は観察内容の説明または描画を始めた直後に消失した。D-6223の場合、息を吸う音の後は何も聞こえなくなった。D-7498の場合、実験後の紙には鉛筆の小さな跡が1ヶ所だけ残されており、D-7498は確認時点で既に消失していた。D-8743の場合、D-7498と類似する結果が得られた。 現在、SCP-4076の内容を視聴せずに把握する手段は判明していない。
1990/5/13 SCP-4076は最後まで再生されるように設定され、10分後に作動するアラームが室内に設置された。D-9908はテープの内容を視聴し、アラーム音が聞こえた時点で退室するように指示された。 D-9908は実験チャンバーを退室しなかった。後ほど実験チャンバーを確認したところ、D-9908の消失が確認された。 D-9908が退室不可能だったのか、退室を試みたために消失したのかは不明である。いずれにせよ、SCP-4076の視聴途中にその場を離れる試みは成功しないと判断された。
1990/5/31 █████研究員が、恐らくSCP-4076の内容を直接検査するために、スクリュードライバーを使って手作業でテープを開けようとした。 █████研究員の消失が確認された。不完全な保安映像のみが消失現象の発生を示していた。 SCP-4076を手作業で開けようと試みた人物は消失する。
2000/6/18 標準サイズのVHSテープを開放できる設計の機械(SCP-4076-A)が構築され、SCP-4076を開けるように設定された。SCP-4076-Aは1マイル離れた場所から遠隔操作で起動させられた。 SCP-4076-Aの完全な消失が確認された。電源に接続されたコードと遠隔起動装置は、SCP-4076の隣で硫黄粉末の中に埋もれていた。 機械でSCP-4076を開けることはできない。
2017/10/10 画像を基に物体や場面を識別できるコンピュータプログラム(SCP-4076-B)が、████博士と██████研究員によって作成された。SCP-4076-BはSCP-4076の内容に曝されたが、全く異常な影響を受けなかった。████博士と██████研究員はその後、観察内容をテキストファイルとして保存する機能をプログラムに追加し、再度SCP-4076に曝露させた。 2回目のSCP-4076曝露において、SCP-4076-Bが保存されていたコンピュータ、SCP-4076-Bのバックアップコピーが保存されていた全ての機器、それらのコンピュータを当時偶然見ていた全ての人物が消失した。 全体としての財団がSCP-4076の内容を把握することは未だ不可能である。
 
補遺-4076-3: SCP-4076と共に発見されたテープのリスト:
ID 外見 ラベル (もしあれば) 内容
SCP-4076-1 製造元不詳の一般的なVHSテープ。 無し 白黒のスノーノイズが4時間分収録されている(パターンはまだ特定されていない)。
SCP-4076-2 色褪せたVHSテープ。日光曝露で退色しているように思われ、年代測定では数百年前に製造されたという結果が出ている。 擦り切れのために判読不可能 再生不可能
SCP-4076-3 映画“ゴーストバスターズ”の一般的なレンタル用VHSテープ。 “ゴーストバスターズ” 映画はごく普通の“ゴーストバスターズ”として進行するが、マシュマロマンが画面に現れた直後に、身元不明の女性が浴槽の中で泣いている映像に切り替わる。この第二の動画はループせずに約35分間続く。
SCP-4076-4 標準的な録画用の小売VHSテープ。 “元気を出すためのやつ” 視聴者投稿のホームビデオを紹介するテレビ番組“アメリカズ・ファニエスト・ホームビデオズ”由来のビデオクリップを30分間にまとめた動画。収録されたホームビデオは全て、何かに挑戦している最中に転倒する人々をテーマとしている。
SCP-4076-5 標準的な録画用の小売VHSテープ。 ラベルは剥がされている。 拘束された身元不明の女性が部屋に運ばれ、服を脱がされ、身体を切り開かれ、赤いマントを着用した人間らしき存在の集団によって貪り食われる様子を映した3時間の動画。
SCP-4076-6 黄色い水玉模様のVHSテープ。 ラベルには笑顔の単純な絵が描かれている。 大半が身元不明の人物たち1がカメラを見つめ、1人あたり15.4分間笑い続けている様子をクローズアップ撮影した2時間34分の動画。映っている人物らにまだパターンは確認されていない。
SCP-4076-7 叩き壊された後、粘着テープで適当に貼り合わせられたVHSテープ。 “失敗” このメッセージはラベルだけでなくテープ全体に走り書きされている。 再生不可能
SCP-4076-8 オレンジ色のVHSテープ。 “チュートリアル” 成人男性が公園のベンチに座り、ルービックキューブを解こうとしている様子を映した30分間の動画。
SCP-4076-9 映画“バック・トゥ・ザ・フューチャー”の一般的な小売VHSテープ。 “バック・トゥ・ザ・フューチャー'フューチャー'に黒のマーカーペンで打ち消し線が引かれている。 映画全体が完結から開始時点まで逆再生で進行する点を除いて、完璧なVHS版の“バック・トゥ・ザ・フューチャー”。
SCP-4076- 10 木製のケースに収められたVHSテープ。 “わたシをなかにイれテょ” 典型的な家族の感謝祭の夕食を映した20分間の記録。夜間、ハンディカメラで窓越しに撮影されているように思われる。
SCP-4076-11 青い水玉模様のVHSテープ。 ラベルには悲しげな顔の単純な絵が描かれている。 SCP-4076-6の内容の正確なレプリカ。映っている人物たち、再生時間、更にはビジュアルノイズやVHSテープ本体の摩耗に至るまで同一である。唯一の例外として、このテープでは全ての人物が泣いている。
SCP-4076-12 液体密封処理が施され、大部分が水で満たされたVHSテープ。 空白 再生不可能
SCP-4076-13 SCP-4076と物理的に同一のVHSテープ。 “私を再生して!” SCP-4076と同一の筆跡。 地下室らしき場所で数日かけて腐敗する人間の死体の、ループするタイムラプス動画。テープは上書きされているらしく、動画全体を通して、画面中央以外のあらゆる箇所に“違う、全部違う”という文言が表示されている。
SCP-4076-14 銀色のVHSテープ。 “あなたにだけ” 2部に分割された40分間の動画。最初の10秒間はSCP-4076が回収されたアパートの監視カメラ映像であり、財団エージェントの入場数秒前から始まって、入場数秒後に終了する。残りの39分50秒の画面は暗いままである。アパートを捜索したものの、如何なる種類のカメラも発見されなかった。
SCP-4076-15 標準的な録画用の小売VHSテープ。 “RIP ウィニー 1975-1983” イエローストーン国立公園の山の頂上にある無銘の墓石と、風になびくアメリカ国旗を映した30分間の動画。現場を調査した財団エージェントは、同一の無銘墓石と日光曝露で退色した国旗を発見した。墓を掘り返したエージェントは一般的なゴールデン・レトリーバーの骨格を発見した。
SCP-4076-16 標準的な録画用の小売VHSテープ。セメントで満たされている。 黒のマーカーペンで: “二度とやらない” マーカーの下に赤いペンで: “もうちょっとだったのに” 再生不可能
SCP-4076-17 金色の線で装飾された白いVHSテープ。 "説教" 会衆の前で演説する牧師を映した60分間の動画。音声は無い。動画が進行するにつれて、牧師の言動は熱烈さを増し始める。動画終了時の彼は激しく揺れる演説台の上に立ち、絶叫しているように見える。
SCP-4076-18 標準的な録画用の小売VHSテープ。 “お誕生日おめでとう” 4人分の皿と銀食器、並びに白い砂糖衣のかかったケーキ1個が並んでいる簡素な木製のテーブルを映した10分間の動画。1枚の皿の下に罫線用紙が敷かれており、その一部は“ごめんなさいでも私はもうこんな風には生きられません”と読める。このメッセージの残りは切り取られている。
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