SCP-4079
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マリー=ソフィー・ジェルマン

アイテム番号: SCP-4079

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 数学および哲学分野の全ての雑誌は、SCP-4079実例を発見するための自動化された証明検査ソフトウェアによってスクリーニングされます。検査は特に、長期間にわたって未解決である予想や論争の起こりうる結果、および既存の確かな結果と反する主張を行った記事に焦点を当てて行います。発見されたSCP-4079実例はすべて検閲され、該当の論文は撤回されます。

SCP-4079の論理展開を詳述した文書は保管サイト-1313の貴重品保管庫に収納されています。潜在的なミーム災害アイテムへの偶発的な曝露を減らすため、文書は逆ポーランド記法を用いた記号論理の使用によって難読化されており、また一切の説明や解説を付していません。Fae-クラス暗示エージェントの不可欠な構成要素として、文書のコピーを財団のミーム部門が所有しています。

ソフィー・ジェルマンによるフェルマーの最終定理の最初の証明は公の記録から隠蔽され、後に彼女自身が公開した無害なバージョンへと差し替えられました。そのため、これについて追加の措置は必要ありません。証明およびジェルマンによるSCP-4079の発見に関する文書の原本は、それぞれ保管サイト-33の異なる貴重品保管庫に収納されています。これには、彼女がこの時期に著名な人物に宛てて書いた手紙も含まれています。

説明: SCP-4079は、1804年にフランスの数学者マリー=ソフィー・ジェルマンがフェルマーの最終定理の証明を考案する過程で発見した、モーダス・アダクタス (modus adductus) と呼ばれる証明方法あるいは三段論法を指します。モーダス・アダクタスはモーダス・ポネンス1やモーダス・トレンス2と同様に、ある言明が以前に受け入れられた他の主張からの帰結であることを示す一連のステップで構成されます。SCP-4079の異常な効果は、モーダス・アダクタスの使用によって他から帰結されたとみなされた言明が、関連する論理的ステップを理解できる人物であれば誰でも、実際の言明間の関連性とは無関係に真であると受け入れられるという事実にあります。



補遺4079-1: 史学的な補足

知られている最初のSCP-4079実例は、1804年にジェルマンが数学者仲間であるカール・フリードリヒ・ガウスに宛ててフェルマーの最終定理の証明を詳述した手紙の中に発見されました。ガウスは、ジェルマンの証明に誤りは見られなかったが、中間の段階において2年前に彼自身が証明した結果と矛盾しているようだと返答6で述べています。その後に続く往復書簡7は、ジェルマンの証明とガウスの研究のいずれかの間違いを見つけるための共同作業で構成されていましたが、結論は得られませんでした。最終的に、ジェルマンは証明の中から問題のある箇所を切り出すことに成功し、SCP-4079の性質を推測しました。このことは、後にジェルマンが行った、ジョゼフ=ルイ・ラグランジュやアドリアン=マリ・ルジャンドルなど数人の著名な数学者に、意図的に間違った証明 (通常は無意味である言明) をさまざまな偽名で送るという実験によって裏付けられました。受け取った返信のいくつかは彼女の研究に誤りがある可能性を指摘しましたが、SCP-4079による推論を誤りであると指摘したものは無く、代わりに誤った仮定を引用したり、予想外の結果を説明するための潜在的な新理論に言及したりしていました。

ジェルマンの原稿には、SCP-4079とそれが人間の推論に及ぼす影響についての広範な研究が、数学と人間の知識における真理についての哲学的なメモとともに記されています。これらの原稿の中で、SCP-4079が効果を発揮するには、付随する論理展開を理解することが必要であると明示的に述べられています。ジェルマンの研究はミーム学の初期研究の基礎的な部分であり、特にSCP-4079は最初に認識されて研究された異常ミームとして財団の記録に登録されています。



SCP-4079に関するジェルマンの覚え書きの大部分は出版されておらず、彼女によるフェルマーの最終定理の証明は撤回され、1809年にガウスに宛てた手紙の中で弱いバージョンに差し替えられました。前述の実験的な手紙の他に、ジェルマンによるSCP-4079実例の使用は1件だけ知られており、彼女はフランス軍によるブラウンシュヴァイク9の占領に関して、ナポレオン・ボナパルトに読まれることを意図して書いた手紙の中でそれを使用しました。口語で書かれているがSCP-4079の構造に則っているこの手紙の中で、ジェルマンは科学や芸術の徒を保護することの重要性を説き、ナポレオンに対し侵略において不必要な殺害を避けるよう懇願しました。ナポレオンの数学への興味10はSCP-4079の影響を受けやすくなるのに十分であったと考えられますが、その手紙を彼が実際に読んだかどうかは不明です。都市占領に関するナポレオンの政策がこの時期に変更され、フランス軍兵士の一分隊が占領中にガウスの安否を確認する任務を負っていたことが知られており、これらのことがナポレオンが実際に手紙を受け取ったことを示唆しているということは事実です。しかしながら、分隊長であったペルネティ将軍がソフィー・ジェルマンの家族の友人として知られているという事実は、その示唆への妥当な疑惑を与えています。

補遺4079-2: アレクサンドリア協定から得られた関連情報

異常に関連する史学的な資料を共有するために財団と世界オカルト連合 (GOC) の間で締結された協定であるアレクサンドリア協定に署名後、第三帝国への支持と忠誠を高める試みとしてSCP-4079の形式を含んでいると考えられる、1941年から1943年までの日付を持ついくつかのパンフレットとプロパガンダ用ポスターが解析のために財団に届けられました。ポスターはナチ党への忠誠が知られているドイツの数学者オスヴァルド・タイヒミュラーに由来するものと判明しています。

ジェルマンの予測通り、このプロパガンダの成功率は非常に低いものでした。しかしながらこの発見は、公の場におけるSCP-4079のようなプロパガンダ要因の他の実例を探す財団とGOCの速やかな共同調査を促しました。これまでに、次のような証拠が発見されています。

  • アメリカ中央情報局によって機密解除された内部メモ (1961年~1967年) には、幼少期に論理、集合論、その他の数学の抽象的分野の基礎を導入するために、小学校の数学カリキュラムを完全に見直す「New Math」計画への支援が詳述されています。これらの文書には、SCP-4079と推定される不特定の「プロパガンダ的構成」を実装する計画について言及しています。これらの計画はNew Math計画の失敗後に放棄されたようです。
  • ソビエト連邦GRU “P”部局のいくつかの文書において、より大規模なプロジェクトの一部分として、SCP-4079のような構成を利用する提案がなされていました。それらのほとんどは、望む目的に適したよりよいミームエージェントが (その当時) 発見されたために却下されました。
  • 自動統計解析によって、SCP-4079に関連していると通知された異常が中国の数学カリキュラムから検知されています。しかしながら、SCP-4079を使用したという実際の証拠は発見されませんでした。

SCP-4079の収容手順は、文民政府によるさらなるSCP-4079使用の試みを発見・抑制することを考慮して、改訂作業が行われています。

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