SCP-4173

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監督評議会命令
以下のファイルは敵対的な異常実体を描写しており、
レベル2/4173機密情報です。
無許可のアクセスは禁止されています。
4173
アイテム番号: 4173
レベル2
収容クラス:
euclid
副次クラス:
none
撹乱クラス:
dark
リスククラス:
caution

header.png

SCP-4173。


特別収容プロトコル: SCP-4173を収容する建造物へのアクセスは禁止されています。サイト-94の現在の研究担当者の許可を得た職員のみがSCP-4173に接触します。SCP-4173の影響を受けた人物らは分析のためにサイト-94の医務室へと再拘留される必要があります。

hole.png

SCP-4173。

説明: SCP-4173はアメリカ合衆国ジョージア州ザイオン山付近の放棄された家屋の地下の小部屋に存在する小さな点検窓です。放棄された家屋は、それの位置するハドレー峰から取り俗に“ハドレーヶ丘の家”として知られていました。家屋へのアクセスは建造物へと続く道路を押し流した1993年の豪雨以降著しく制限されており、家屋へとアクセスしたい場合、人々は家屋後方の峰の急勾配(“ハドレー丘陵”)を登攀しなければなりません。

SCP-4173が一定時間解放された場合1、付近の人物らは窓奥の壁の中から聴こえる声を聴きます。この声は対象人物が誰であるのか、および何故長い時間を掛けてやってきたのかについて尋ね、それから見ることに苦労しているような声で対象の手を見てよいか質問します。対象が手を窓に通すと、対象は常に急なジャーキング運動2を経験し、手の移動に際し、対象は鋭利な金属製器具のようなもので手首から手を切り落とされたことに気付きます。

その後声は対象に感謝を述べ、切り落とされた手首に関して心配しないよう納得させ、元に戻るだろうことを伝えます。程なくして対象が睡眠を取っているとき、腐敗し年老いた手が対象の身体の外部あるいは内部のどこかに出現します。この手は対象と遺伝的な類似点を共有していません。この手の切り落とされた手首への接近度は、SCP-4173内の声と接触した際に対象がどれ程慇懃であったかに直接関連していると思われます。この現象を経験した対象らは、しばしば不安な感情と手を観察した際のパラノイアを報告します。

身体のどこに出現したかに関係せず手が完全に機能することに対し、腐敗を経験し骨となるまで手は腐敗を継続します3。影響を受けた対象らがこの時点を過ぎた手に時折の温かさ、湿り気、長引く感覚を除く一切の感覚を感じないと報告するにもかかわらず、この手は機能し続けます。

声と会話した後にSCP-4173へと手を入れることを拒否した対象らは、立ち去ろうと試みた場合にSCP-4173へと暴力的に引き寄せられます。これがどのように発生しているのかは不明ですが、これは常に致命的です。対象は窓に最も近い身体の一部を引かれ、窓と身体の大きさに明らかな差異があるにもかかわらず押し通されます。これはほとんどのケースにおいて、押し通されるにつれ身体の急速な粉砕、破裂、溢流という結果となります。

SCP-4173との全ての接触の後、窓はひとりでに閉まります。

補遺4173.1: SCP-4173に関連する地域伝承

地域の伝説によると、この家屋にはかつて無名の老齢の女性が居住していました。この伝説は道路が90年代初頭に押し流された際、この女性が食料のために町へと向かうことがもはやできず、確認することができる家族がいなかったことに言及しています。彼女の必死さと飢えにより、彼女は自身の四肢を生存するために消費しました。

自身の両手を消費していたため、彼女は食べるための昆虫あるいは害虫を探している際に誤って落下した小部屋から動くことができず、その場で死亡しました。家屋に遭遇したことのある地元住民らは、壁を擦る音と地面の下から彼らに話しかける女性の声を聴いたと説明しました。

相応しくも、当アノマリー周辺の都市伝説は“オールドハドレー”として言及されています。

補遺4173.2: 実験ログ

注記: 以下の実験はサイト-94のターナー・バーンズ博士の許可の下、D-94-332を用いて行われた。

D-94-332: 下のここはクソみてえに暗いぞ ─ 俺は何を見ることになってんだ?

アンドリュー博士: 東側の壁に向かってくれ。その辺の天井は低くなってるから、頭に気をつけろ。そこについたら見えるはずだ。

D-94-332: 東?

アンドリュー博士: 左に曲がってくれ。

D-94-332: おお、了解した。() なあ、ここはクソみてえに怖いぞ、お前知ってたのか?

アンドリュー博士: 約束しよう、たった今はその部屋にお前を痛めつけるものは何もない。

D-94-332: たった今?

アンドリュー博士: とにかく歩き続けてくれ。そこの地下ですることが終わったら、私たちはお前を引き上げる。

D-94-332: わかったよ。() あー、ファック。

アンドリュー博士: 頭に注意しろ。

D-94-332: わかってる、わかってるから、クソッ。イライラしてるだけだっつの。

(沈黙)

D-94-332: よし、ここが壁だな。俺はここで何を見ることになってんだ?

アンドリュー博士: そこに小さい窓がある、多分お前の左5フィート先に。見えるか?

D-94-332: ちょっと待ってくれ……() おう、見えるぜ。閉まってるな。

アンドリュー博士: それを開けてくれ。

D-94-332: 中に何がいるんだ?

アンドリュー博士: 何も、とにかく開けてくれ。

D-94-332: 出鱈目言いやがる、俺らのどっちも知ってんだろ。(溜め息) よし、ちょっと待ってろ。

(扉が開かれている音)

D-94-332: よし、開いたぞ。次は何だ?

アンドリュー博士: その中に何か見えないか?

D-94-332: あー- () -いや。真っ暗だな。幾つかクモの巣があるくらいだ。汚ねえ。() なんでこんなちっこい窓がここにあるんだ?ペット用の窓とか何かか?ここに入るには……分っかんねえな、あまりに小さすぎる。

アンドリュー博士: 了解した。しっかり掴んでくれ、それと何か聴こえたら知らせてくれ。私たちはお前をそこに長居させるつもりはない。

D-94-332: 了解だ。

34分間が経過する。無関係な会話は除去済。

D-94-332: うお、クソが!

アンドリュー博士: 何が起きた?

D-94-332: 窓の奥で何か動きやがった。畜生。俺は絶対見たぞ。畜生め。ありゃあ一体何だったんだ?

アンドリュー博士: その壁の中の実体こそお前がそこに降りた理由だ、私たちは──

D-94-332: このクソ野郎、お前は降りてもここに何もいねえって言っただろ。

アンドリュー博士: お前を傷つけるようなものは何もいない、そう言った。私の指示に従えば、お前は元気でいられる。何か聴こえないのか?

D-94-322: 何も聴こえ ─ 待て。() ハロー?誰かが話してる。誰かいるのか?

未特定の声: あら良かった。あなたが私のことを見つけられなかったんじゃないかと思ってたわ。どうしてなかなか来なかったのかしら?

D-94-332: いや、俺は──

アンドリュー博士: そいつに道路が無くなっていて、他の道を見つけなければならなかったと伝えてくれ。

D-94-332: あー、道路が無くなってて、他の道を見つけなきゃならなかったんだ。

未特定の声: あらなるほど、雨が押し流しちゃったのね。ここに閉じ込められて、もう他の人に会えないんじゃないかなって私心配してたのよ。() 私が見える?

D-94-332: 俺は ─ あー、いや、アンドリュー博士、そん中に誰が──

未特定の声: もう少し近くまでおいで、お互いのことが良く見えないじゃない。

アンドリュー博士: それがいい、お前は近づけるだろう。窓にだけは触らないよう。

引き摺るような音。

D-94-332: ハロー?

未特定の声: あら、そこにいるのね。() ごめんなさいね、前のようには私見えないの。ここはとても暗いから、それにひどく長い時間が経っちゃって。手を伸ばしてあなたの手を感じさせて、それであなたが本当にそこにいるのかわかるわ。

D-94-332: 何?いや、ふざけんなよ?絶対ダメだ。手なんかそこに絶対入れねえぞ。

未特定の声: こらこら、失礼言うのはダメよ。私はね、あなたがそこにいることを感じたいの。とても長い時間が経ってるのよ。触るだけでいいから。

D-94-332: うるせえぞビッチ、俺は壁の不気味なケツ穴ん中に絶対手なんぞ入れてやらねえからな。

アンドリュー博士: わかった、見てくれ、お前はやらないといけないことがある。私たちはこれを拒否した人物の保護ができてないんだ ─ お前が壁の中に手を入れない限りは、安全を保障できない。

D-94-332: ふざけてんのか?冗談言ってんだろ?考えさせてくれ ─ 俺がそこにクソを入れないで、んで俺は死ぬってか?

アンドリュー博士: 私たちにもよくわからない。だが、もしそこから外に出たいのなら、お前は壁の中に手を入れる必要があるだろうな。

D-94-332: 出鱈目だな。() クソめ、出鱈目だこりゃあ。() わかった。

引き摺る音。

D-94-332: よし、手を突っ込んだぞ。何すりゃいい?

未特定の声: あら、今ならあなたのことが見えるわ。確かにそこにいるのね。来てくれてありがとうね。誰かが来てから久しくて、お土産まで持ってきてくれたのね。愛しい人、あなたとても優しいわ。私に優しすぎるわね。

D-94-332: 土産?何だと?

未特定の声: とても暗くて孤独で、そんな長い時間のせいでとてもお腹が空いてしまったの。ありがとう愛しい人。あなたから頂きますね ─ あなたのお土産。あなたは失礼なダメ人間、あなたにそれは相応しくない。あなたはそれをあまりにも長い時間持っていて、あなたにそれは相応しくない。それはもう私のもの。私の食欲のためのもの。ありがとうね。

D-94-332: な──

厚く湿った裂けるような音に続き、D-94-332が壁に向けて引っ張られている音。

D-94-332: うああ、あああ、ああ畜生、うう── (気絶)

未特定の声: 心配いらないわ、恩知らずなクソ野郎。心配ないのよ。あなたのことを一杯に満たしてあげる。私のを持つといいわ。あなたにあげる。愛しい子。良い子。満たしてあげる。

窓の閉まる音。

この会話が終了してから程なくして、回収部隊が小部屋に進入しショックで気絶していたD-94-332を移送しました。D-94-332はサイト-94の医務室に移送され鎮静化されました。

サイト-94での観察から2日後、D-94-332が頭部の右側面から大きく膿んだ腫瘍が出現していることが認められました。これの出現に際し、対象はパニック状態となり、頭部の腫瘍が対象の脳を過度に圧迫し始めました。対象はサイト内の外傷ケアセンターへと運び込まれましたが、途中で死亡しました。

検死の間、対象の頭部の腫瘍が実際に腐敗し老いた手であり対象の脳と骨の間に出現しており、骨を破壊し脳へと著しい圧力を掛けていたことが判明しました。この手は死後数時間、脳を掴み引っ掻き続けていました。

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