SCP-4206-JP
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アイテム番号: 4206-JP
レベル4
収容クラス:
esoteric
副次クラス:
apollyon
撹乱クラス:
ekhi
リスククラス:
critical

特別収容プロトコル(暫定,於サイト-81██): SCP-4206-JPは現在収容されていません。現在のサイト-81██におけるリソースではSCP-4206-JPの収容は不可能であると判断されています。SCP-4206-JPの影響が除去されるまで、サイト-81██に所属する全職員はサイト内に留まることが義務付けられます。外界への通信や直接的な探査はSCP-4206-JPの致死的な影響を受ける危険性が高いため禁じられています。サイト-81██の職員は、完全循環型収容サイト統括AI(DEMETER)により示される適切なリソース管理の指標に従い、生存を維持することが主要な業務となります。職員の活動エリアは居住区画・農業区画・発電区画間などに限定され、不要な区画の生命維持装置はオフラインとなります。

説明: SCP-4206-JPは、20██年3月5日に発生した、地上全域の生物圏全消失に関する一連の広域災害です。視覚および聴覚を侵す致死的なミーム特性から、その観測は非常な困難を伴うため、発生源、原因、構造、終息条件は不明です。SCP-4206-JPの影響によりあらゆる通信が途絶状態になるまでの間に行われた交信では、全世界規模でGH-クラス:”デッドグリーンハウス”シナリオおよびWK-クラス:世界終焉シナリオに類する破滅的イベントが発生したことが示唆されています。事象発生直後に地表を観測した複数のデータのほとんどは欠損しており、断片的なスペクトル、放射線量、磁場変動データのみが復旧されています。

地上への帰還は現状不可能と考えられていますが、地下施設はSCP-4206-JPの影響を受けにくく、SCP-4206-JPの発生後も数日間は、全世界に相当数の生存者がいたものと考えられています。しかし継続的な補給手段がない施設では、数日から数週間以内に破滅的結果が訪れたことが推測されます。財団の収容サイト-81██は、水循環ユニット、人工太陽光プラント、合成タンパク培養槽、地下熱エネルギー発電システム、小型牧畜施設などを備えた実験的な完全循環型サイトとして設計されていたため、SCP-4206-JPの活性化後も40名を超える職員が2年以上生存していました。しかしサイト-81██にはSCP-4206-JPを収用可能なリソースが不足していたため、サイト-81██勤務者はSCP-4206-JPの収容を保留とし、サイト内に長期駐留することが管理官により決定されました。駐留はSCP-4206-JPの影響が自然収束するか、他の財団サイトや団体が事態を収束するまで継続されます。20██年3月当時、サイト-81██と同様の完全循環型サイトは世界に8基存在していたため、それぞれの施設には現在も生存者が存在する可能性があります。

SCP-4206-JPの発生以降、無線通信の呼びかけに応答はありません。通信の試行中、稀に致死的な聴覚ミームを受信する事例が確認されたため、通信の試みは許可された実験を除き禁止されています。外界を観測するカメラは機能していますが、致死性視覚ミームと電力リソースの問題から、用途は断続的な監視に限定されています。ドローンまたはDクラス職員を用いた外界探索は、いずれも探索者のロストという結果に終わっています。リソースの節約の観点から、外界探索は無期限に禁止されています。

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第2次外界探索にて撮影(視覚ミーム除去済み)

補遺4206-JP-1, SCP-4206-JP初動タイムライン:


補遺4206-JP-2, 状況報告(T+0日) 20██/3/5:
項目 状態 備考
職員数 45名 生理機能正常、精神不安定傾向あり
エネルギー生成効率 99% 効率安定
酸素生成系 稼働中 効率安定
食料生産系 稼働中 効率安定
外部通信 不通 全周波数帯ノイズのみ検出


補遺4206-JP-3, サイト-81██ 閉鎖後タイムライン:


補遺4206-JP-4, 状況報告(T+365日) 20██/3/5:
項目 状態 備考
職員数 45名 生理機能おおむね正常、精神不安定傾向あり
エネルギー生成効率 94% 循環系内バイオマス減少中
酸素生成系 97% 光合成効率不安定
食料生産系 96% 収穫量安定、栄養価微減
外部通信 不通 全周波数帯ノイズのみ検出


補遺4206-JP-5, 農学主任記録抜粋:

分析対象: 栄養循環効率,現在 92.8%(最大減衰率0.025%/日)
再生限界: 80%以下で不可逆領域に突入
食料供給限界: 居住者45名基準で出力0.82必要
推算: 現状の劣化速度を維持した場合、900日以内に不可逆的な再生限界に到達する。
総論: 当施設の自律系は閉鎖環境における恒常平衡を前提とするが、有機物の再生損失が固定化した時点で“半永久的運用”の仮定は失われる。対処は“消費減”または“損失補填”の二択である。


グラフを再確認した。モリブデンの残存量は予想を下回り、回復曲線は閾値に接近している。固定窒素の推移も同様。現行の消費/循環率では、最良の運用でも1年以内の破滅という数字が出る。これが最悪値を引いた場合の管理誤差であることを祈る。システムは「平均」を前提に設計されている。だが平均は、個と同一ではない。平均は、悪夢と楽観を均してしまう。私は夜を徹して数式と格闘した。自分が正しいと信じて行動するか、楽観して死を待つか、選択が必要だ。


補遺4206-JP-6, 外界探索ログ(T+399日) 20██/3/21:


補遺4206-JP-7, DEMETER 技術通信ログ 20██/3/27 抜粋:


補遺4206-JP-8, カフェテリア防犯カメラ 音声ログ抜粋 20██/7/9:


補遺4206-JP-9, 通信記録 20██/8/29:

送信者: サイト-81██管理官 █████

宛先: J・モロイ博士

件名: 循環システム制御人員最適化案の承認と注意事項

本文:

循環システム制御人員最適化案の資料および巡回記録を確認しました。循環システムの維持に必要な操作工程を再編し、より少人数でも日常的な運用が可能となるよう構造を再調整する案について、原則的に導入を許可します。現状、全職員の行動負荷を平準化し、長期的な疲弊を回避することは重要です。循環系統の自律化を進めることは、結果として我々の生活空間の安定性を高めるものであり、あなたの提案は多くの職員の賛同が得られています。

ただし、最近のあなたの単独作業の比率の高さについては、記録官からいくつか懸念も上がっています。システム改変の速度が早すぎる場合、中長期的な監査項目の整合性や、他職員との共有手順に齟齬が生じかねません。

ついては、下記項目の再調整を条件として許可します。

  • 変更内容については逐一共有される形でログを残すこと
  • 数値改変は段階的に行い、即効的な出力変更を避けること
  • 必要に応じ、上長への短報を提出すること

我々は閉鎖環境にあり、慎重な判断が何よりも重要です。あなたの専門性を信頼していますが、性急な拡張や一括改変は避け、必ず段階的に、共有可能な形で進めてください。


補遺4206-JP-10, 統括AI DEMETER 自動追記 20██/11/23:

情報: 栄養循環効率が低下しています。循環効率の改善を検討してください。


補遺4206-JP-11, 通信記録 20██/12/2:


補遺4206-JP-12. 統括AI DEMETER 自動追記 20██/1/23:

警告: 栄養循環効率が再生限界に接近しています。循環効率の改善を実施してください。


補遺4206-JP-13. 通信記録 20██/2/11:

送信者: サイト-81██管理官 █████

宛先: モロイ博士

件名: 循環システム制御人員最適化完了の報告と謝辞

本文:

循環システム制御工程の再構成および人員最適化作業が、本日をもって全工程完了したことを確認しました。
設計資料、AIログ、各機能ブロックのテスト結果のいずれも安定性を示しており、あなたの主導による作業は、今後の長期的な運用に大いに寄与するものと判断します。

本来であれば通常業務の延長とみなすべき性質の作業ではありますが、閉鎖環境下での改変は決して容易ではなく、あなたの継続的な努力と冷静な判断に改めて謝意を示します。

つきましては、ささやかながら、本日19時より居住区共有スペースにて「最適化完了パーティ」を実施します。
特別なものではありませんが、栄養バランスメニューの中から比較的嗜好性の高い品目を少数ながら追加し、他の職員にも共有の場を設ける予定です。

これは単なる慰労の場であると同時に、今回の作業がサイトの持続性に確保の目途を与えたという事実を職員全体で確認する機会にもなるでしょう。

多忙とは存じますが、できる限りご参加いただければ幸いです。


補遺4206-JP-14, 循環システム改善成功記念パーティにて 20██/2/18:

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スピーチする██博士


補遺4206-JP-15, 統括AI DEMETER 自動追記 20██/2/19:

警告: 酸素供給レベルが危険値まで低下しています。現在生命維持装置が正常に稼働しているエリアは第5貨物室のみです。全職員は第5貨物室へ避難してください。サイト管理官は直ちに修理班を編成して復旧に当たってください。第5貨物室以外における活動限界は最短で48時間です。


警告: 第5貨物室以外における活動限界は最短で24時間です。


警告: 第5貨物室以外における活動限界は最短で12時間です。


警告: 第5貨物室以外における活動限界は最短で6時間です。


警告: 第5貨物室の酸素供給レベルが低下しています。サイト内における活動限界は最短で2時間です。


警告: 活動限界時刻です。


情報: 食料生産エリア、畜産エリアの酸素供給が開始されました。


情報: サイト内全域で酸素供給が開始されました。生命維持装置は正常に作動しています。


補遺4206-JP-16, 統括AI DEMETER 自動追記 20██/2/20:

情報: 栄養循環効率の回復を確認しました。


補遺4206-JP-17, 統括AI DEMETER 自動追記 20██/2/29:

情報: 職制変更が申請されました。申請は緊急事態条項に基づき承認されました。


補遺4206-JP-18, サイト管理官 J・モロイ 私的記録 20██/7/3:

循環農槽の栄養塩バランスが、ようやく安定域に入った。これまで施してきた調整が、どうにか望んだ方向に働いているらしい。水耕区画の回収効率は徐々に上向き、当初見込んでいた不足分を補える目処が立ちつつある。これでシステム全体の食糧循環率は、少なくとも“破綻ではない側”の縁に戻ったと言えるだろう。

酸素供給系統の異常については、原因は「センサー系統の過負荷による濃度調整の遅延」ということで処理した。ログは整い、外形上の矛盾は残していない。設備の老朽化、冗長性の不足、データの微妙な揺らぎ、理由はいくらでも付けられる。

食料循環率は改善した。酸素供給系統も、表向きは問題なく収束した。久しく感じなかった種類の“安堵”が、胸の内側をゆっくりと沈めていく。もちろん、これで盤石というわけではない。設備は老朽化し続け、補修資材は減る一方だ。それでも、あと少しだけ息をつける時間を得た。明日になれば、また別の問題が頭をもたげてくるだろう。だが今は、安堵というものがまだ自分の内に残っていたことを確認しただけで、十分だ。


補遺4206-JP-██, 音声ログ 抜粋 20██/12/16:

人物1: これが管理コンソールだ。触っちゃだめだ、見るだけ。

人物2: ねえ、これなんで光ってるの?

人物1: それはエネルギーパネルだ。発電区画から送られてきた電気が、ここに流れていることを示している。

人物2: でんきって、どこからくるの?

人物1: 発電室だ。熱と水を使ってタービンを回して、それが電気に変わって、全部の部屋に届けられる。その動きが正常であることが、ここに表示されている。

人物2: ふーん。じゃあ異常があったらどうなるの?

人物1: モニターが赤く光る。そしたら、僕が直しに行く。

人物2: 直せなかったら?

人物1: 直すさ。僕はなんでもできるんだ。それに、君にも少しずつ覚えてもらうつもりだ。モニターの意味だけじゃなく、その先で何がどう動いているのか、知っておくといい。操作や修理は、いまは僕がやっているけど、君が大きくなったら、少し手伝ってくれると助かる。君が大きくなるほど、説明できることも増える。

人物2: わかった。今日のおしごと、いっしょに見ててもいい?

人物1: もちろんだ。今日はこのあと、食料生産区の土壌調査…畑の土が元気かどうかと、水がちゃんときれいになってるかを見に行くんだ。

人物2: じゃあね、あしたは、でんきのところも見たい。

人物1: いいよ。危ないところには近づけないけれど、見て覚えるのはいいことだ。これからは、僕の仕事も楽になるな。

人物2: ねぇ、ジョージ。どうしてここには、わたしたちしかいないの?

人物1: ……みんな遠くへ行ったんだ。大きな仕事をするために。

人物2: おしごと?

人物1: ああ。とても大事な仕事だ。そしてみんながいないあいだ、この場所を守るのが、わたしたちの役目だ。いつか、みんなが帰ってきたときのためにね。

人物2: いつ、かえる?

人物1: ……難しい問題だね。外の状況がよくなったら戻ってくるかもしれない。それがいつかは、僕にもわからない。でも、そのときに施設が壊れていたら誰も帰れない。だから今は、二人でちゃんと守っておく必要がある。

人物2: わたしたちがまもるの?

人物1: ああ。みんなが帰ってくるまでね。君が大人になるころには、きっとみんなも帰ってくるさ。そのころには、外の状況も良くなっているだろう。空気もきれいになって、大地には草木が芽生えて…。

人物2: だいちってなに?

人物1: ……大地というのは、外に広がっていた場所のことだ。土や、草や、石があって、空があって、虫や動物がいて、風が通っていた。ここは大地の下に作られた部屋なんだよ。

人物2: 行ってみたいな。

人物1: ああ。そうだな。昔は外に出ることができたけれど、でも今は出れないんだ。

人物2: どうして?

人物1: 危ないからだ。今、外はとても危険で、息をすることも、立っているすらできない。だから、しばらくはここにいた方が安全なんだ。

人物2: ジョージは、だいちをしってるの?

人物1: ああ。君が生まれるより前の話だけどね。大地は、体育館よりずっと広くて、壁も天井もなく、どこまでも広がっている。走っても走っても、端っこがないんだ。

人物2: いいなぁ。わたしも走りたい、だいち。

人物1: ……行けるさ、いつかね。



補遺4206-JP-██9, DEMETER 技術通信ログ 20██/3/3 抜粋:



補遺4206-JP-██3, サイト管理官補佐 ミシェル・キャンベル 私的記録 20██/11/13:


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