問題のアノマリー。
アイテム番号: 4212-JP
収容クラス: Safe
オブジェクトクラス: Fixed
特別収容プロトコル: Fixed (固定的)級異常存在の標準収容プロトコルに則り、アノマリーは決して移動されず現地で収容されます。それが存在する路上の20m前後の区画は現在のところ 占用工事を名目に工事現場に偽装し封鎖されています。
アノマリーは明確な危険性を有しませんが、極めて限定的な動的振る舞いを見せます。監視・記録のために現地に監視カメラが設置されました。記録上で生じたいかなる分岐反射も未詳資料/目録編纂セクションへ報告されます。
説明: 2006年4月に兵庫県加古川市の道路管理者が路上に二面鏡型カーブミラーを設置して以降、その反射鏡片側に異常が生じたことから、未詳怪異調査セクションが当該異常をアノマリーとして目録化しました。
その異常はカーブミラーの左側の反射鏡に由来します。左側反射鏡は位置の相違にも関わらず、右側反射鏡と全く同一の反射像を映し出しています。右側反射像に映し出されたリアルタイムの変化は一切のズレなく左側にも反映されます。
しかしながら、時おり左側反射鏡が右側のそれと微妙に異なった反射を映し出す瞬間があります。この第二の異常を「分岐反射」と呼称します。分岐反射時の左側反射鏡は右側反射鏡の像をベースとしながらも、数秒から十数分に渡ってやや異なった (なおかつ現実のそれから乖離した)状況を映し出します。
以下にこれまで報告された、分岐反射の例を列挙します。
右側反射像: 「1名の男児がサッカーボールを手にしながら走って道をかけてゆく」
左側反射像: 「男児は道を走る途中で死角から現れた走行中の自動車と衝突する。男児は地面から多量の血を流して昏睡する。自動車から背の高い男が現れ、地面に転がった血の付いたサッカーボールを手にし、車でその場を去る」
右側反射像: 「小雨が徐々に降り始め、数分の内にゲリラ豪雨へと発展する」
左側反射像: 「小雨が徐々に降り始めるが、その雨は明確な赤色を帯びている。数分に渡り赤い降雨が続いた後、反射像全体が鮮やかな赤で覆われる」
右側反射像: 「黒猫が道を横切る。黒猫は道の中央で一瞬だけカーブミラーに目をやる」
左側反射像: 「頭部がヒガンバナに置き換わった赤毛の猫が道を横切る。猫は立ち止まることなく道を歩き続け、歩行した道路にヒガンバナの花弁が1枚落ちる」
アノマリーの発見直後、カーブミラーを現地から撤去する試みが行われました。直ちにカーブミラーの支柱部分が少なくとも地下500m以上に渡って伸びており、周囲の下水道管や岩盤を貫いて現場に固定されていることが明らかになりました。支柱最下部の末端が地下何mに存在するのかは依然として不明です。
撤去作業時に、エージェント・寺家が右側反射鏡に映った際、左側反射像に別のエージェント・寺家が映り込む分岐反射が生じました。左側反射像内のエージェント・寺家は、SCP財団が1983~1991年まで採用していた旧型防護スーツを着用しており、当該のスーツの右腕には「S研究室 近畿課」と記された三角形のロゴが存在していました。
左側反射像は、基底世界と部分的に同期した平行世界の出来事を反映しており、カーブミラーの支柱末端は第三の異常として、当該の平行世界と接続しているのではないかという仮説が立てられていますが、立証はなされていません。



