SCP-422-JP
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収容作戦前のSCP-422-JP-1。

アイテム番号: SCP-422-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-422-JP-1の周辺地域(エリア-8141に指定)にある建造物は全て財団の管理下にあり、SCP-422-JP-1はその四方を建造物の壁面によって封鎖されているため通常の通行は不可能になっています。また建造物の一部は財団フロント企業によって店舗として利用されていますが、SCP-422-JPの不意の発生を防ぐため全ての店舗で酒類の提供は禁止されています。SCP-422-JP-1上にはSCP-422-JPの自発的出現に備えマイクが設置されており、発声を感知した際は直ちに研究担当職員がSCP-422-JPに対しインタビューを行い出現目的を確認してください。発声を感知していない状態で収容施設からSCP-422-JP-1へ進入しインタビューを行う際は、研究担当職員2名以上の許可を得てから進入してください。

説明: SCP-422-JPは東京都██区にある1本の直線道路(以下、SCP-422-JP-1)で出現する、人間のものと思われる声です。この声の主は現在まで発見されていませんが、声質やインタビューでの応答などから6~70代の泥酔した男性の声であると推測されています。

SCP-422-JPはおよそ午後11時から午前2時の間、SCP-422-JP-1上に出現します。SCP-422-JPの発生源となる実体は発見できないものの、観測される声の大きさが聞き手の移動に応じて変化するため、SCP-422-JP-1上のいずれかの地点あるいは空間がSCP-422-JPの発生源になっていると考えられています。またSCP-422-JP-1外でのSCP-422-JPの発生は確認されておらず、SCP-422-JP-1と他の道路の接続部分がSCP-422-JPの出現範囲の終端になっていると推測されています。

SCP-422-JPは常に周辺人物あるいは周辺店舗に対し罵声を放ちます。意思疎通を図ることも可能ですが、その思考能力及び態度は泥酔した男性のものとほぼ同等であるため困難を極めます。またSCP-422-JPの周辺人物への罵声は非常に攻撃的なものである一方、実際に物理的攻撃が確認されたことは現在までありません。

SCP-422-JPは200█/██/██、警察官数名から「『酔っぱらいが外で騒いでいるので止めてほしい』との通報が入り該当人物を通報地点(後のSCP-422-JP-1)において捜索したものの、声が聞こえるのみで発見できなかった」という報告がなされたことをきっかけに、警察に扮したエージェント・██が調査に入った結果その存在が確認されました。SCP-422-JP-1に面する土地については一般に「飲み屋」と称される酒類の提供を中心とした個人経営の飲食店群が占有していることから、SCP-422-JPと同様に騒ぐ泥酔男性の存在は「よくあること」であったと周辺店舗経営者へのインタビューで判明しています。そのためSCP-422-JPが出現し始めた時期は未だ不明のままです。

インタビュー001 - 日付200█/██/██

対象: SCP-422-JP

インタビュアー: エージェント・██

<録音開始, 200█/██/██>

エージェント・██: えー声について確認しましたが現場にそれらしき実体なし。現場を離れると声が小さくなるため、不可視の実体などにより声が発せられている可能性があります。

SCP-422-JP: [通りすがりの人物に対し]おいてめえ!喧嘩売ってんのかこの野郎!

エージェント・██: 声は60代以上の泥酔した男性のような感じですね。これより声の発生源と思われる場所に接近し意思疎通を試みます。

SCP-422-JP: 何だてめえこの野郎!警察かてめえ!

エージェント・██: あー……お父さんお父さん、周りのお店から騒いでる人がいるって苦情来てるのよ。ちょっとお話聞きたいんだけど静かにしてもらえるかな?

SCP-422-JP: うるせえてめえ!警察はすっこんでろこの[呂律の回っていない罵倒]!

エージェント・██: まあまあ落ち着いて、ね?一体どうしたの?

SCP-422-JP: 関係ねえっつってんだろこの野郎!とっとと帰りやがれこの[呂律の回っていない罵倒]!

エージェント・██: うーん……さっきちょっと聞いてたけどお店とか通りすがりの人に声掛けてるみたいじゃない。何かあったの?

SCP-422-JP: あの[罵倒]みてえな店から出てくる[罵倒]が俺に[呂律が回っていないため判別不能]!

[以降SCP-422-JPは意味不明な罵倒を繰り返す。]

<録音終了, 200█/██/██>

結果: 午前2時になった段階で徐々にSCP-422-JPの声量が小さくなり、1分後にはSCP-422-JPが途絶えていた。また周辺にSCP-422-JP以外の特筆すべき異常性は確認されなかった。

分析: 何を言いたいのか殆どわからなかったが、周辺の店舗や客に何らかの恨みを持っている可能性があることは判明した。といっても酔っぱらいの言ってることなのでただの言いがかりなのかもしれないが…… —エージェント・██

追記: 200█/██、カバーストーリー「再開発事業」を流布した後、SCP-422-JPの収容作戦が実施されました。作戦内容はSCP-422-JP-1を他の道路と切り離し通常のオフィスビルや店舗に偽装した収容施設で完全に包囲するというもので、作戦開始前後でSCP-422-JP-1周辺の飲食店の多くが経営困難により休業し始めた1ため土地買収は円滑に進みました。しかし一方でほぼ同時期にSCP-422-JPの発生頻度が急激に減少し始めたため、緊急に調査が行われました。

この緊急調査の後に周辺建造物建設のため2年間工事が行われましたが、その間SCP-422-JPが出現したのは財団職員がインタビューを行った時のみであり、またインタビューにおいても「寝てたんだからあまり起こさないでくれ」、「別に騒ぎたくて騒いでいたわけじゃない」、「飲み屋が潰れたからもう騒いだりしない」といった旨の発言を繰り返していました。インタビュー内容から推測するとSCP-422-JPはSCP-422-JP-1の声であり、周辺の飲食店で泥酔した客がSCP-422-JP-1に対し毎晩嘔吐することへの怒りを表明していたものの、吐瀉物に含まれていたアルコール分の影響で泥酔していた、ということが異常性の全容であったと考えられています。ただしSCP-422-JP-1は調査の結果一般的なアスファルト舗装道路と同等であり発声器官やアルコール吸収・分解器官などは確認されていないため、吐瀉を感知しアルコールの影響を受けた状態で発声するという生体に近いプロセスをSCP-422-JPがどのように実行しているかは未だ不明であり、上記の説がSCP-422-JPの内観に基づくものであるという点に注意してください。

現在、周辺建造物建設は完了しSCP-422-JP-1は完全に包囲されていますが、SCP-422-JPの自発的な再出現は未だ確認されていません。10年以上の自発的再出現が確認されていないため現状の収容環境は過剰であると判断し、エリア-8141における収容施設部分の縮小と財団フロント企業への一部貸出が申請されています。

20██/██/██、申請は許可されました。— ██████

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