特別収容プロトコル: SCP-4246現象の完全な収容は現在実行不可能です。このアノマリーの妨害もしくは終了の努力は正常性の維持に有害なイベントを引き起こす可能性があるという仮説が提唱されています。SCP-4246-1及びその同調者による主張の信憑性を能動的に毀損する欺瞞情報キャンペーンが維持されなくてはなりません。そのような主張はフィクション作品、精神病の結果、あるいは宗教的迷信として却下されなくてはなりません。SCP-4246-1(及び非異常性の関係者)のコミュニティやカルトは綿密に監視されなくてはなりません。
SCP-4246-1タイプBは財団及びその内部の活動について知識を得る超自然的な能力を持つため、彼らを可能な限り速やかに確保及び収容することは最重要項目です。SCP-4246-1タイプB実例はサイキック抵抗ヒューマノイド収容セルに捕縛、収容しなくてはなりません。SCP-4246-1タイプBは、SCP-4246-2やSCP-4246-3のようなSCP-4246送信機の位置の測量時(もしくは近接時)には、彼ら自身の安全のために物理的に拘束しなくてはなりません。SCP-4246-2およびSCP-4246-3、またそれらの製作者の存在は、必要なあらゆる手段を用いて公衆から隠蔽されなくてはなりません。SCP-4246-3の場合、暫定収容エリア-48が建設され、維持されなくてはなりません。サイト管理者の認可のない場合、SCP-4246-3内に入ることを許可される人物は、機動部隊イプシロン-19"精神病棟"の構成員のみです。
説明: SCP-4246は主として夢、幻覚、妄想、海洋及びその内容物に関連した物事への執着といった病的な心理状態として発現します。SCP-4246を発症した人物はSCP-4246-1に分類され、異常な神経病症状の進展といった大きな行動の変化を呈します。SCP-4246-1の殆どは、結果として彼らの異常な体験をある種の天啓や秘術的な知識をもたらす精神的な心象と解釈し、結果的にカルトまたは関連した組織の創設を行います。
SCP-4246を無関係な体験と鑑別するための最も直接的な相違点は、エピソードや反応の不可解な共通性です。よく報告される要素には以下のようなものがあります。
- 不規則に広がった巨大な海底都市のビジョン。窓のない構造物は非ユークリッド的な建築様式を示し、なめらかで継ぎ目がなく、ガラスのようで黒い素材で構成されています。
- おそらくは人間の視覚スペクトラムを超える、名状しがたい色を呈するサンゴの庭園のビジョン。
- しばしば自らを危険な状態に至らしめるほどの、自らを海水に浸したいというコントロール不能な心理的衝動。
- 起源、文脈ともに不明な記号群を含んだ幻覚。通常視界の短い、一瞬の閃きとして出現し、視界辺縁部に次第に消える残像を残します。これらのビジョンは目眩、空間失調、外傷後ストレス、精神異常、躁病及び/あるいはうつ病、殺人/自殺念慮及び行動、さらなる幻覚を引き起こすことが知られています。発症した人物は家族や友人を、不明瞭にもかかわらず、差し迫ったものとされる大災害から「救う」ために殺害することが知られています。
- 幻肢痛に苦しむ人が表現するものに似た感覚と身体完全同一性障害。しかしながら肉体的には健常な人物が、そもそも存在していたこともない肢を喪失した感覚として発現しています。発症した人物はこの感覚は理屈に合わないものであり、人間は(通常は)4本の手足を持つものであると理解していますが、この理解にもかかわらずこの感覚を体験し続けます。
- SCP-4246-1の大部分は海洋にて溺れることにより結果的に自己終了します。全員がそうしたいという衝動に苦しんでおり、抵抗できるものは少数です。
SCP-4246-1はタイプA、タイプB、タイプCのバリエーションに分類できます。タイプAの人物は最も多く、一般的に上述の症状の1つまたは複数を呈します。何人のSCP-4246-1タイプAが存在しているかは不明ですが、SCP-4246への彼らの反応は一般に自制されており、欺瞞情報の流布により容易に打ち消すことができます。
急激に影響された人物は通常の知覚からは隠された情報を発見する能力、及び対象の思考や記憶の超常的な知識といった、超感覚的知覚(extrasensory perception: ESP)を発現します。これらの人物はSCP4246-1タイプBに分類され、数十年の研究の結果、サイ-陽性(非サイコキネティック)受動的受信者──意図せずともESPを通じて情報を受信するが、能動的に中継することはできない──であると結論されました。
SCP-4246-1タイプCに関する情報には、レベル4クリアランスもしくは覚醒せし夢見人計画Project: Awakened Dreamer管理者ジョアン・ヘンリケ博士の認可が必要です。
SCP-4246現象を目録化し、説明しようとする試みのうちで、知られている限り最初のものは、英国のオカルティストであるジョセフ・アドラー(1833~1921)によるものです。彼は19世紀後半から20世紀前半のオカルト、形而上学、および自然科学では説明できない現象の研究と実践を行う組織であった宇宙的智慧の団Hermetic Order of Universal Wisdomの指導者でした。彼の著書である「水没せし王国、あるいは原初の仔の永遠の夢The Drowned Kingdoms, or The Eternal Dreams of the Firstborn」では、アドラーは彼の生涯に渡るビジョンと、彼が「原初の仔Firstborn」と呼ぶ長く忘れられた種族の遺跡の「幽界的な」探索について論じています。失われた世界や文明に関する他の主張(当時はありふれたコンセプトでした)と異なり、アドラーの著作には多数の他のいわゆる「夢見人」(SCP-4246-1タイプA)のインタビューが含まれ、異常な現象に根拠を示し、さらにプレートテクトニクス、進化論、ミーム学、物理学のような概念を論じて科学的で正確な結論を導いています。
1920年10月29日、アドラーと20人の彼の信奉者は、「原初の仔」についてさらなる知識を得ることを求め、「集団幽界投射astral projection」を試みました。試みは3名の心筋梗塞(一般的に心臓発作として知られる)と2名の頭蓋内出血(非外傷性)による死亡、及び4名の自己終了(方法は様々)をもたらしました。アドラー自身は結果的には生存しましたが、恒久的に視力を失いました。
インタビュー対象: ジョセフ・アドラー氏
インタビュー担当: フランツ・シュレーダー博士、偽名としてホワイト医師を使用。
前書: 宇宙的智慧の団指導者ジョセフ・アドラーへのインタビューです。インタビューはイングランド、バークシャー州ブロードムア病院にて行われました。対象は衰弱した様子と視覚の喪失にもかかわらず、警戒心が高く、周囲の状況に異常なレベルの知覚力を見せていました。
<ログ開始>
シュレーダー: ハロー、アドラーさん。私の名前はホワイト医師です。お加減はいかがですか?
アドラー: ここのものではないようだな。
シュレーダー: 最近転属してきまして、以前は……
アドラー: [割り込む]嘘をつくな、シュレーダー博士。君が来ることを触手が教えてくれた。
シュレーダー: ふむ、あなたの異常な能力について聞かされてはいませんでしたな。あなたは私が考えていたものとは違うようです。あなたについての文書によると……
アドラー: [再び割り込む]狂人だと?ミスター・シュレーダー、私は正気そのものだだと約束しよう。
シュレーダー: なるほど、自らの目を抉るほどに狂気に飲まれた男が、未だ正気であるとどのように主張するのですかな?ミスター・アドラー。
アドラー: ほかに手立てはなかった。深海に対して、どうして十分に知識を得ておくことができようか?
シュレーダー: そこは私の専門ではないですな。そこにどのような──
アドラー: [喋り続ける]海は常に私を魅了してきた。若い頃から、夢の中で遠洋の深淵を探索してきた。私は驚きとともに、長く忘れられた古き種族の壮麗な建築を見た。
我らは彼女の波打つ広漠の、昏く冷たい抱擁を恐れる。その恐れにも関わらず、彼女は我らの心にとてつもない好奇心を掻き立てる。いつか人はその世界を知るだろう。深海では人の身体はどうなるのか、君は知っているかね?
シュレーダー: 溺れる?
アドラー: 人は1杯の水でも溺れる。そうではない。深海は違う。圧力が臓器を潰し、骨を砕く。これが潜水艦が強靭に作られねばならぬ理由だ。いつか人は真の深淵に耐えるものを作るだろう。精神もそのような乗り物と同じだ、そのように作られる前に深くへ潜れば……これだ。
[対象は指を顔へと向け、失われた目を指し示す。]
私はあまりに遠くを見た。誰も見たことのないようなものを見た。概念化することのできない──知覚を超えた恐怖!私はあまりに遠くを、そして何か……何か私の視線を歓迎しないものを見た。
人と比べれば、原初の仔は神のようなものだった。もし彼らにもそれを止められなかったのなら、我らに何ができるというのか?
<ログ終了>
結語: 対象はおそらくはタイプ-3サイ陽性もしくはそれ以上の真のテレパスとみられました。包括的な診断のためにはメイナード-シジウィック試験が推奨されます。
翌日、ジョセフ・アドラーを財団の保護下に置くことを目的として、工作員がブロードムア病院に到着しました。彼は病室で不応答状態で発見され、後に死亡が確認されました。遺体は解剖のためヒューマノイド収容サイト-744に運ばれました。アドラーの死因は確定できませんでしたが、暫定的に未治療の肺炎が外傷により悪化したためと考えられました。
アドラーの所有物の中に、不明な場所を描写した地図の未完成の下書きがありました。一部分のみが描かれた陸地は、明白な海岸線が既知の場所のいずれとも一致しなかったこと及び、下書きそのものの縮尺が不明であったことから、当初は未発見の島であると考えられました。この島を発見しようとするあらゆる試みは失敗し、地図は1956年まで無関係なものとして放置されました。
特別収容プロトコルとして、SCP-4246-1タイプA実例が追跡、監視され続け、SCP-4246-1タイプB実例はヒューマノイド収容サイト-744に確保され続けました。財団のSCP-4246現象への理解は長らく変化しませんでしたが、1954年、チャールズ・ベイカー博士がSCP-4246-1Bのメイナード・シジウィック試験結果に特定のパターンを見出し、SCP-4246に影響された人物は真にサイ陽性なのではなく、彼らは外部の力により単に送られた、および/あるいは移動させられた情報を受信しているのみであるという仮説を提唱しました。この仮説の検証には、新たな情報の提示に対しての、失敗と成功のタイミングを考慮に入れる、新たなサイ評価法の開発が必要でした。
SCP-4246-1タイプBは情報取得のために比較的近傍に対象がいることを必要とすることが発見され、このことは移動される情報は元来の位置から離れるのに応じて劣化すること、あるいは情報源(精神)の数に依存し移動距離には依存しないことを示唆しました(後者の場合、SCP-4246-1タイプBを地球上の反対の位置に配置したならば、SCP-4246の波が通過した後、情報を希釈する他の精神が存在しないなら、互いの精神を明瞭に読み取ることが可能と考えられます)。
タイプ-B実例らとのインタビューの際、インタビュー担当者が質問/回答をあらかじめ知っていた場合と、知らなかった場合の事例の間で、大きな違いがあることが判明しました。前者の事例では、SCP-4246-1タイプBはインタビュー担当者の持つ情報を把握することが可能でした。しかしながら後者の場合、1~12秒の遅れが生じました。同時に複数のインタビューを行うことにより、研究チームはSCP-4246現象はその発信源からサイト-744に達するまでおよそ12秒を要すると結論しました。このことはベイカー博士の仮説は正しく、SCP-4246は電磁放射よりも遥かに遅い(もしその発信源が妨害されておらず、地上にあるならば)が、情報の移動/増幅を引き起こし、不特定多数の人物により(様々な程度で)受信されるに十分な能力がある、不明な波長の周波数のようなものであることを示唆しました。
チャールズ・ベイカー博士の声明:
Xに発信源を持つSCP-4246が速度Yで移動し、サイト-744に12秒で到達する。私はこれはSCP-4246-1タイプBを世界の様々な場所の多数のサイトへと移送し、再度実験を行う事により解くことができるという仮説を提唱している。仮説上、新たに"認識するまでの遅延"を求めることにより、SCP-4246現象の発信源となる場所を測量する助けとなるだろう。
その実験は再度、既に記述したように行われたが、結果は予測外の問題を明らかにした。当初の仮説はSCP-4246の発信源は1つであるという想定のもとに予想されたものだったが、実験結果はSCP-4246は複数の場所から中継されていることを示し──我々の研究を遥かに困難なものとした。
しかしながら、我々のデータからは1つの重要な詳細が得られた。遅延時間は海洋に近い地点では劇的に減少した(内海や淡水にはそのような効果はなかった)。理由は不明だが、大西洋は比較的長い遅延(およそ8秒)をもたらし、太平洋は最も短い遅延(およそ2秒)をもたらした。
これだけは言えるだろう、SCP-4246の発信源は海にある。
ベイカー博士の研究と並行して、SCP-4246-1実例間の症状の類似性についての研究が行われました。ステファン・ガートナー博士に監督された研究により、特定の、しかし以前には記録されていなかった、芸術性の高いSCP-4246-1でしばしば発現する習性が見出されました。これらにはジョセフ・アドラーによる未完成の地図の下書きに似た描写が含まれていました。推定12000の特徴ある絵画が比較され、(アドラーの下書きと共に)組み合わされ、複雑な都市や地理学的な特色を示す完全な地図が作成されました。仔細まで卓越した描写があったにも関わらず、地図のおよそ20%は空白でした(概ね"C"字型をしており、中央やや左寄りにある)。詳細の大部分は当初は水と仮定された地域に書き込まれ、多くのものがアドラーの地図は島というよりも湖を描いたものだという仮説を抱きました。
1956年、財団がプレートテクトニクス理論を受け入れ始めた頃、SCP-4246現象の研究者は、アドラーの地図の完成版のこれまでの解釈全ては誤りであり、地図の空白部分は古生代後期から中生代前期に存在したパンゲア超大陸を描いたものであると気づきました。反面、地図の詳細に描かれた部分は、海底──予想もできなかった、しかし否定できない文明の痕跡を完全に備えた──を描こうと意図されたものでした。
ステファン・ガートナー博士の声明:
ひとつづつ、パズルのピースのように、アドラーの地図は1ヶ月の苦難に満ちた努力のあと完成した。当初、我々はどう考えればよいかわからなかった──完全なイメージは、完成してもなおSCP-4246-1の集合無意識から生まれた漠然とした夢の光景であるかもしれないと。しかし科学的なコンセンサスは急速に不可欠な味方となった。プレートテクトニクスの結論は、さもなくば何十年も悩んだかもしれないパズルを解いたのだ。
SCP-4246-1についての私の研究の一部として、私は毎週のインタビューにこの地図を導入し、この地図が何かわかるかと質問した。彼らの反応は息を止めるほどの恐怖から、多幸感に至るほどの興奮まで様々であった。これが彼らの夢に取り憑いた世界なのだ。
しかし、何故であろうか?
アドラーの地図はテクトニクスのプレートに応じて分割され、現在の大陸の配置に合致するように並べ替えられました。ベイカー博士の認識するまでの遅延実験からのデータを用い、財団はSCP-4246中継の最も可能性の高い場所を推定することができました。これらの中継装置はSCP-4246-2に分類されました。
SCP-4246-2の実例のひとつが南緯26度、西経112度の太平洋上、イースター諸島西にあります。1959年7月15日、SCP-4246-2が存在する可能性のある地域として、FSSアンモナイトがハワイの海上作戦サイト-67から、発見のためこの地点へと出発しました。
艦が目的地へ近づくと、多数の乗組員が頭痛、吐き気、幻覚を訴えました。その頃、レーダーがFSSアンモナイトを尾行する巨大な移動物体を感知しました。それをもう1隻の潜水艦と考え、FSSアンモナイトはピンを打ちましたが、応答はありませんでした。報告によると、不明な水中物体はレーダーから消えましたが、数時間後に再出現しました。この不明な物体と乗組員の精神状態の悪化をおして、FSSアンモナイトはミッションを続行するよう命令されました。
レーダーは海床に異常を感知し始めました。サーチライトを使用し、FSSアンモナイトは不規則に広がる巨岩による都市のように見えるものを発見したと報告しました。黒い遺跡は光を反射せず、地球上の文明には他に似たものがない非ユークリッド的な構築を呈していました。
その発見から数分後、FSSアンモナイトの乗員は明らかな反乱を発生させました。艦には再浮上命令が下されましたが、バラストタンクは損傷しており(妨害工作の可能性があります)、再加圧は不可能でした。通信は持続しましたが激しく妨害されており、FSSアンモナイトから司令部への通信が可能であった一方で、司令部からのメッセージはFSSアンモナイトには受領されませんでした。
救出ミッションは即時には実行不可能と考えられました。艦からの通信は持続しており、乗組員が暴動の後錯乱に陥っていく様子を伝えました。以下がFSSアンモナイトから受信された最後のメッセージになります:
俺以外は死んだ。残るは俺だけだ。みんな馬鹿みたいに殺し合っていたが、俺はおとなしくして時間を稼いだ。俺が最後の奴に近づいたときにはもう死にかけていた。今そいつも死んだよ。
神が俺に語りかけてくる。これは悲劇ではない──運命だ。守り手が彼らの秘密を守るために作られている。
俺は自分に堕落した奴らの血を塗った。俺が、俺だけが、その価値があるのだ。
触手が俺の心臓を包む。これが……これが彼らの愛。頼む……俺を包んで……
行方不明時の座標がわかっていたにも関わらず、FSSアンモナイトの残骸は発見されませんでした。1977年、水中遠隔操作機がSCP-4246-2Aの初期遭遇の水域へと送り出されました。遺跡は発見されませんでしたが、物理的根拠の欠落にも関わらず、依然として強いSCP-4246発信のため、当該水域のSCP-4246-2Aへの指定は取り消されませんでした。
この場所に移送されたSCP-4246-1タイプBは興奮状態になり、以下のように発言しました:
ID# |
特筆すべき発言 |
覚書 |
SCP-4246-1タイプB #0036 |
「潮が私の名を呼んでいる。私の魂は触手に絡まれ、この下にある。私を投げ落としてくれ!海流が私を完全にするのだ!」 |
対象は支離滅裂となり、試験の残り時間ずっと拘束を解こうと暴れ続けた。 |
SCP-4246-1タイプB #0040 |
「これほど長い時を経てなお、彼らは未だ夢を見ている。あまりに深く測り難い夢を。我らはあまりに小さい。弱く、無価値だ。我々実りなき種族はこの世界にいる価値がない。我々がここまで来たのは宇宙的な喜劇。」 |
対象は意気消沈した。 |
SCP-4246-1タイプB #0043 |
なし |
対象は連れ去られるまで叫び続けた。 |
SCP-4246-2Aから退去した後、全てのタイプBと財団職員は共通した記憶を発生させました。影響を受けたものには、影響を最小限にするため記憶処理が施されました。
第2のSCP-4246-2は北緯6度、東経157度、ミクロネシアのポンペイ島の南西でした。アノマリーは1961年11月のナンマトル遺跡でのオカルト的活動の報告に関する調査の際に発見されました。島は第二次世界大戦後合衆国の管理下にありましたが、SCP-4246現象に関連した異常な行動についての報告など、同様の報告は日本の占領下でもなされていました。
現地人は財団の調査員を遺跡へと案内し、そこが「溺れし者たちDrowned」──「古き神々」と呼ばれるものを崇拝するカルト──に占拠されていると説明しました。財団の調査員はカルトは非敵対的であり、少なくとも幾分協力的であることを見出しました。大多数は現地人でしたが、アメリカ人や日本人も混じっていることが発見されました。概ね平和的であったにもかかわらず、コミュニティーは定期的に人間の生贄を実施していました。生贄に選ばれた者たちは、信仰のために死ぬことを強く望んでいるように見えました。
交渉の結果、財団の調査員は儀式を観察する許可を得ました。溺れし者たちはカヌーで彼らが生贄の場所として選んだ場所へと移動しました。その場所は以降SCP-4246中継機の場所として同定され、SCP-4246-2Bに指定されています。供物は若いパラオ人の女性であり、彼女の四肢を他の者が重い岩に結びつける間、幸福そうに見えました。彼女を取り巻く者たちは詠唱し、彼女の身体に聖油を塗り、海へと捧げました。
溺れし者たちは彼らの行動を致死的なものではなく、むしろ単に彼女の再生もしくはある種の変態を促進したと捉えていました。彼らは彼女は神々と共に、その「サンゴの宮殿」で永遠に生きるであろうと主張しました。SCP-4246-2Aと同様に、財団はSCP-4246-2Bの中継を示す物理的な根拠を発見できませんでした。溺れし者たちとSCP-4246-1タイプBの双方が海床には都市があると主張しましたが、それを示す根拠は発見できませんでした。
溺れし者たちは1963年に消失しました。遺体が続く数カ月の間海岸に漂着し続けました。コミュニティー全員が溺死による集団自殺を遂げたと考えられます。
殆どのコメントが理解不可能なものでしたが、何人かのSCP-4246-1タイプBが以下のような意味のある可能性のある発言を行いました:
ID# |
特筆すべき発言 |
覚書 |
SCP-4246-1タイプB #0027 |
「お前たちが探しているものはここにあるが、どこかに繋ぎ止められている。現実に騙されるな。貪欲なる大地は貪るが、原初の仔は決して真には死なない。彼らは輪廻を外れて存在する。お前はあの夢をもう一度見たのだろうガートナー博士?お前は危険を承知で人を送り込んだのだ。[データ消去]を忘れるな。」 |
対象は高度の機密情報について論じ始める。対応のためサイ-インヒビターが強められる。 |
SCP-4246-1タイプB #0036 |
「あれらはもがき苦しんでいる!お前たちがあれらを奪い去ったのだ、虐殺者ども!私はまだあれらを感じる。あれらはどこにいる?返してくれ!私を完全にしてくれ!」 |
対象は制御不可能に震え、泣く。 |
SCP-4246-1タイプB #0041 |
「沈んだ街は待っている。かつて光があったところ全ては黒い。彼らはかつては神であり、再びそうなるであろうものだ。すぐに誰もが見ることになる。誰もが……」 |
対象は緊張病状態に陥るが、3日後に回復する。 |
財団はすでに1918年10月、フェロー諸島の████████島の放棄された村にオカルト儀式の道具が見出された報告がなされた際に、SCP-4246-2Cの根拠を得ていました。財団のエージェントは行方不明の住人は全員が、対外的にはプロテスタント系キリスト教の教派であると名乗っていたカルトである、聖ヨナの教会の構成員であることを見出しました。回収された非異常性のアーティファクトの中には、54kgの、頭部がチョウチンアンコウであり、棘皮動物のトゲを生やし、蛇もしくは触手に似た付属肢を備え、肥満および/あるいは妊娠したメスのように腹部、臀部、乳房が誇張された、概ね類人猿に似た実体の石像がありました。
聖ヨナの教会の創設者にして指導者であったことが明白な、ブロドゥル・シグルダーソン牧師の日誌が村の中央にあった放棄された礼拝堂で発見されました。以下はその抜粋をデンマーク語から日本語に翻訳したものです:
1904年9月13日
教会が何十年も前に亡くなった牧師の後任として私をこの孤立した島に派遣した。この村では信仰は殆ど重視されていないように見える──我々の祖先の不信心な精神がこのような孤立環境では強く残留するのかもしれない。
不平を言うべきではない。教会のため、その慈悲のもとに、私には挽回のチャンスが与えられたのだ。私の過去の噂も非難も、今だけはついてこないだろう。
1904年10月5日
私の礼拝は小さく、大部分が漁師たちの妻や子供たちだ。彼女らは夫を守るためにヨナの祝福を求めるが、決して我らが主や救世主には求めない。聖人への崇拝は容易に偶像崇拝へと堕するのだ。
男性たちは非協力的な集団だ。地面の上にいる間は酒を呑むのを好む。彼らの酔った目には、未婚の私は不審に見えるようで、私は彼らの妻との姦淫や男色の罪で非難されたこともある。彼らはそのような矛盾を言い放てるほど愚かなのだ。主よ、私に忍耐を授け給え。
1904年12月22日
ここでは呼び声が強い。私は教会にまさにこの理由でどこか内陸へ、ヘアニングやシルケボーのような──島ではないどこかへ転属させてくれるように頼んだのだ。
あれは発作ではなかった。だが彼らはそういうことにして、私は自由を許されたのだ。避けがたい事故だったのだ。
発作ではなかった。私は全てをはっきりと覚えている。あれはただの洗礼のはずだった。子供は水を吸い、窒息した。私は彼女を沈め、その肺に聖なる水を満たした、泡が上がって来なくなるまで。
私には深海からの呼び声が聞こえる。おお主よ、私を守り給え!
1905年1月10日
深淵が私に裏切りと殺意の計画を囁いた。
アブサロン船長の妻は妊娠しているが、彼はお腹の子は彼の子ではありえないことをわかっている。そう、私には彼の秘密の恥──そしてダーギュル、疑いも抱いていない彼の友ということになっている男の罪を知っている。
船長はそれほど賢くない。彼は酔った怒りと恥辱の獣であり、彼のエールの染み込んだ心は私こそが本当の父であるという確信を抱いている。
彼とその兄弟たちは復讐の計画を練り、私の死を願っている。
だが私は行動しない。今はまだ。彼らに来させるのだ。
私には準備ができている。
1905年2月2日。
昨夜共謀者達が私の私室に侵入した。私は真実を語り、去る機会を与えた。
彼らは選択した。今彼らの臓腑は村を飾っている。このようになる必要はなかったのに。私は罪人の血で洗礼され、村の中央に立ち、夜明けを待った。他の者たちが目覚めると、彼らは私の栄光を目撃した。恐怖が彼らの服従を確実とするだろう。
深淵は秘密を囁き、私はその預言者である。キリストの神は死んだ。深き神々こそが永遠である。
[日付不明]
真の信仰こそが勝利するのだ。不信心者の残り全ては引き潮の間に離れ岩に追放され縛り付けられ、清められた。この生贄は深き神々を鎮めるだろうが、暫くの間だけだ。将来的には、安定して持続可能な収穫のための準備をする必要がある。
[日付不明]
神々は我が肉体を新たな活力と尋常ならざる肉欲で祝福するにふさわしいものとみなされた。私は夢の中で海の泡に真珠を狩り、かつてはあのような屈辱を引き起こした衝動に目覚めた。追放により多くの女性達が未亡人となり、私は彼女らを私の花嫁と宣言した。このことに反対はなかった。実際、彼女らは栄誉を感じていた。
関連する証拠がないため、聖ヨナの教会に関連するイベントは潜在的超常インシデントに分類されました。事件は1964年にSCP-4246関連現象との特筆すべき類似性のために再注目されました。1948年以前のプロトコルに基づき、村は完全に破壊されていましたが、SCP-4246-1タイプBがかつて村のあった場所へと移送され、強いSCP-4246周波数が北の遠方から発信されていることが検出されました。信号は北極海の北緯87度東経170度まで追跡できました。SCP-4246-2AとSCP-4246-2Bのように、SCP-4246-2Cには物理的な中継装置に該当するものは見出されませんでした。
この海域の海床には船の残骸が散乱し、それらには漁船、捕鯨船、カヌー、ノルウェー式ロングシップの残骸が含まれます。氷と致命的な寒さにもかかわらず、北極圏のこれほど奥までどのようにして到達したのかは今だに不明です。この場所まで航行してきたこれらの船全ては、生還を意図していなかったと考えられています。
殆どのコメントが理解不可能なものでしたが、この場所まで移送されたSCP-4246-1タイプBは以下のように発言を行いました:
ID# |
特筆すべき発言 |
覚書 |
SCP-4246-1タイプB #0019 |
「全てを繋ぎ止める最後の楔だ。彼らは地上の大国たちには興味がない。北をもって、彼らは自らを完全なものにする。夢は皆のものだ。」 |
対象は特に明晰である。 |
SCP-4246-1タイプB #0025 |
「自ら溺れ、円環を完全にせよ。海はお前を作り変える。お前の肺は水を吸い込むことを学ぶ。やるのだ!やるのだ!彼らが帰ってこれるよう、我々は溺れなくてはならない!」 |
対象は試験が終わると不応答状態になっていた。対象は舌を噛み切り、血を吸い込むことにより窒息したと見られる。 |
SCP-4246-1タイプB #0040 |
「これは残響だ。我々は真の源からあまりに遠い。彼らは彼らの中枢を氷へと埋めた。そこは暗く冷たく、そして中枢は光を望む。」 |
対象はうつ状態に陥る。 |
さらに18のSCP-4246-2実例が存在しうる場所があり、その総数は21になります。これらの中継装置はその現在の地理上の位置に明白なパターンもしくは利点が無いように思われます。しかしながら、3億年前のパンゲア超大陸が存在した頃の地図に挿入すると、SCP-4246-2は海洋上にて到達範囲を最大化するパターンを形成し、結果的に何らかの知性によるデザインがSCP-4246アノマリーの背後にあることを示唆します。
ジョアン・ヘンリケ博士はSCP-4246-2に関する未だ残る疑問への解決を提案しました。SCP-4246-1タイプB#0027のコメントを参考として、彼女はSCP-4246の製作者はSCP-4246-2の存在を次元操作により意図的に隠蔽したという仮説を提唱しました。これらの場所を再調査した結果、カント計は安定して周辺環境に関して60ヒュームの相違を記録し、高い次元不安定性を明らかにしました。ヘンリケ博士はさらに、SCP-4246-2はSCP-4246周波数を受信して中継できる一方で、何らかの未知の方法で基底現実外へと事実上安定して接続されているという仮説を提唱しました。
SCP-4246-2を適切に調査するために、3台のスクラントン現実描(SRA)が海中環境に耐えられるよう改造され、SCP-4246-2Aの推定位置の周辺に三角形に設置されました。1965/08/07、0900時、SRAは起動され、高さ600メートルの、平滑で継ぎ目のない黒い素材で構築された、4重螺旋型の構造を出現させました。物体は基底現実に1分26秒間繋ぎ止められましたが、その時点でおそらくは次元繋留過重イベントによりSRAユニットは破壊されました。翌日0700時に、SCP-4246-2Bに対し2度目の試みがなされました。同様の結果となりましたが、持続時間は55秒でした。さらなる試験は仮説が修正され、統計的に予想されるさらなる財団の資産の喪失は受け入れがたいと考えられたため禁止されました。他のSCP-4246-2も2Aや2Bと同様の構築を持つと想定されています。
現在の根拠に基づき、SCP-4246は全世界を覆うネットワークとして機能するという理論が提唱されています。当該アノマリーからは目的と思われるものが見出されていないため、その目的が不明となっています。SCP-4246の影響のうち観察可能なもの(SCP-4246-1を通じて)はさらなる大規模な現象の意図しない副作用である可能性があります。もしもSCP-4246-1を作り出すことがSCP-4246-2の製作者の本当の目的だったとしたら、更に簡素な方法(例えばミーム)で達成できていたでしょう。
ニュースメディアの定期的なスキャンの際、南極大陸の異常な地震活動の報告が発見されました。財団に関連があるのはその発生時間でした。1965/08/07、0900時に1分26秒、1965/08/08、0700に55秒間であり、SCP-4246-2AとSCP-4246-2BのSRA現実繋留と一致していました。2つの地震イベントの震源は南極の氷河の下、南緯79度西経172度でした。機動部隊デルタ-21"忌まわしき雪男"の工作員がこの地点へと派遣され、以前には記録されていなかった施設を発見しました。
施設はナチスドイツにより建設、運用された前哨基地であり、損傷し放棄されたと判断されましたが、その理由は一見してはわかりませんでした。直径1キロメートルの穴と工業的な採掘設備は大規模な発掘プロジェクトであることを示し、後に公式な文書により確認されました。建造物を調査し、それらが無人であることを確認したあと、MTFデルタ-21は居住施設を確保し、財団の研究者の到着を待ちました。
回収された文書により、採掘の計画はアーネンエルベ・オブスクラ軍団の失われた文明と思われるものの証拠を回収する作戦の一部だったことが確認されました。アーネンエルベ・オブスクラ軍団はSCP-4246アノマリーに少なくとも1930年代前半から気づいており、財団に感知されずに当該事象への独自の研究を進めていました。SCP-4246-1の分析とそのビジョンを通し、彼らは南極のこの地点に何らかの重要性があると推測し、財団より以前にこの情報に取り込むことができました。彼らはこの理論上の文明を何らかの「支配種」とみなしていましたが、この結論は完全に誤った疑似科学もしくは人種差別主義的信仰に基づいています。
不運なことに、彼らの研究は意図的に破壊され、現存する文書には計画については曖昧な記述しか見つかりませんでした。採掘作戦の背後には切迫性があったと見受けられることとあわせ、投入された資源の量は、SCP-4246に学術的興味以上のものがあったことを伺わせます。アーネンエルベ・オブスクラ軍団の最終的な目的はアノマリーの兵器化であったと考えられますが、彼らがどのように完遂しようと計画していたかについては不明なままです。
基地全体を通して、散乱した薬莢や凍った遺体などの紛争を示すものが発見されました。ドックは破壊され、船はすべて意図的に沈められ、発掘のための機械は妨害工作され、ディーゼル燃料を抜かれていました。日誌の記述および散乱したメモには、労働者とアーネンエルベの監督者たちの間に次第に敵意が高まったことが描写されていました。
発掘計画は結果として氷の下の人工構造物の存在を突き止めていました。SCP-4246-3に分類されたこの構築物は、非ユークリッド的構築を呈し、異常に強固で継ぎ目のない素材で作られていました。この素材の化学的分析では、炭酸カルシウム、キチン、火山ガラス、マグネシウム、鉄が検出されましたが、研究室内でこの素材を複製する試みは失敗しました。この素材のスペクトル解析では、人間の可視スペクトル外の周波数の光を知覚できるもののためにデザインされた、常に変化するシンボルの存在を明らかにしました。
SCP-4246-3は音声に異常な影響を及ぼします。その内部で発話された囁きは、反響し、ボリュームを上げます。1秒間の発声はSCP-4246-3を通して5分弱共鳴します。遺跡の近くにいる人物は、近くにいる人物の思考を聞くことになります。暴露が続くと、記憶のオーバーラップが生じることがあります。例えば、パートナーと同じ妻を共有していると信じるようになった財団の工作員がいます。 思考と記憶は、影響された人物が精神障害もしくは緊張病になるまで曖昧になり続けます。幸いにして、これは初期ならば記憶処理の適用により修正することが可能です。
当該遺跡の探索は多数の急な段差や傾斜、加えて内部で発生する激しい知覚異常のために困難であると判明しました。フジツボや同様の非移動性(固着性)生物の存在は、構築物の全てではないとしても大部分が新生代氷河期(3390万年前)以前は海中にあったことを示しています。SCP-4246-3の異常な影響に対する防御は知られていないため、人員の暴露時間を制限する必要があります。このことは、結果的に遺跡の大部分を到達不可能にしています。地面貫通レーダーによると、SCP-4246-3複合体は地表に822km2、ニューヨーク市よりも広く広がっていることが判明しました。
SCP-4246-3の多様なトンネルのうちひとつから、日誌が回収されました。署名はありませんでしたが、内容からドイツ人労働者の1人のものであることが示唆されます。内容の一部は以下になります:
あいつらは俺たちを奴隷みたいに働かせるが、目的については話そうとしない。あいつらは祖国のためだと言うが、何の説明もない!俺はSSは最高のドイツ人の集まりだと聞いてきたが、俺はあいつらを信用できねえ。あいつらは奇妙で、俺たちの仕事のやり方を否定的に見ている。
俺はヨハンの声を聞いたがあいつの口は動いていなかった。俺はお袋を思い出した。俺たちがいなくてどれほど悲しいだろうか。俺のお袋は死んだしヨハンは俺の兄弟じゃねえ。何だこれは?
ここに来てから変な夢を見るが、俺だけじゃないようだ。俺たちはみんな氷の下の黒い街を見ている。アダムより古い王国を。
石が俺たちに歌いかける。
俺たちは聖なる土地を侵している。
こんなことは続けてはならない。
計画が実行に移された。俺たちは神々が俺たちに見せたものをあいつらに見せる。
黒い街は光と共に生きている──なぜあいつらには見えないのか?
あいつらもその美しさがわかるようになるだろう。だが俺たちは戻れない──総統がここをダメにする。
誰もこの凍った地を生きて離れてはならない。
機動部隊イプシロン-19「精神病棟」が探索と内部の地図作成のためにSCP-4246-3へ動員されました。MTFイプシロン-19は多くの訓練、精神修練、および外科的強化によりテレパシー、認識災害、そしてミーム的アノマリーへの耐性を身につけています。
SCP-4246-3の内部の多くは浸水しており、大部分の区画への到達のためにはダムや排水システムの設置が必要でした。SCP-4246-3の非ユークリッド的構造と迷宮的な垂直のシャフトはリペリング装備と技術を必要としました。8年間の探索と様々なベースキャンプの設置により、MTFイプシロン-19はSCP-4246-3の探索を終えました。結果として設置されたロープとアンカーのネットワークは最小限のリフトシステムを作るために使われ、財団が更に効率的に職員と補給物資を複合体内部を移動させることを可能にしました。MTFイプシロン-19のメンバーのみが複合体内部に安全に留まれるため、研究は映像フィードのライブ中継により遠隔的におこなれました。
SCP-4246-3の最深部には推定容積720,000 m2の球形の空間があり、SCP-4246-4を内包しています。SCP-4246-4は主にニューロンとグリア細胞──あらゆる自然発生した地球の生物種の脳に見出される2種類の細胞の大分類です──で構築された有機的な塊です。これらの細胞は明白な保存手段を欠いているにもかかわらず生きており、クラスター全体を通して青い血液(ヘモシアニン)を運ぶ血管が走っています(閉じた循環系の存在を示唆)。SCP-4246-4本体は水中に沈んでおり、半透明のドームに守られています。
徹底した分析の後、SCP-4246-4はその不自然なサイズと複雑さにもかかわらず、完全に機能する脳であると結論されました。現在はSCP-4246はSCP-4246-4の神経発振(脳波)と、世界中での、そして潜在的にはそれ以上での受信とさらなる中継のために設計されたSCP-4246-2により引き起こされているという仮説が提唱されています。SCP-4246-4はこの脳波をSCP-4246-2(強い受信機と中継機)および全ての生物のニューロン(弱いが遥かに多数の受信機と中継機)に構築されるニューラルネットワークを通して世界中に拡散していると見られます。SCP-4246-4は理由は不明なれど、結果として地球全体を連続的なサイクルでスキャンし、情報を収集していると考えられています。したがってSCP-4246-1は、その異なった脳を通じ、この情報の一部をフィルターのように収集し、意図しない汚染により数十年かけて精神の不安定さが進行するという仮説が提唱されています。
テチス文明仮説は、おそらくははるか昔に絶滅した特定の文明が、SCP-4246及び全ての関連した異常なオブジェクトを作成したと仮定するものであり、SCP-4246の研究者の大部分に受け入れられています。彼らが支配したと思われる古テチス海にちなんで名付けられており、テチス文明は少なくとも2億5000万から3億年前の、後期古生代に遡る、非人間の、主として水中の文明だったと考えられています。SCP-4246を製作した種はペルム-三畳紀の絶滅イベントを生き延び、6600万年前の白亜-古第三紀絶滅イベント(K-Pg)まで繁栄したと考えられます。考古学的発見に基づき、テチス文明は少なくとも2億年間存在し、殆ど理解不可能な科学及び技術の理解を得ていたと考えられています。
この絶滅した文明に関連した製作物は、その構築は現在の人類の技術水準では不可能と見受けられ、異常な製作技術の証拠を示しています。彼らの遺跡の殆どがウィルソンサイクルにより永遠に失われ、プレート沈み込みにより破壊されたことが懸念されます。この種は彼らの不在の間海床に何が起きうるかを認識しており、意図を持って南極プレートの比較的安全な部位にSCP-4246-3を建築したと見られます。これがSCP-4246-2の場合には行われなかったことから、SCP-4246-3を非異常的に保存したことには際立った重要性──SCP-4246-2に見られたような次元アンカーは行えない何か──がある可能性が高いと思われます。
テチス種は化石の記録には彼らの存在を明白に示すものは存在しない未知の生物種です。彼らは自身についての映像を残しませんでしたが、SCP-4246-3の構造から確かな特色が示唆されます。当該生物種は水棲であり、その存在の大部分を海床で過ごしました。彼らはおそらく付属肢を使って意図して環境と相互作用し、変化させたと思われますが、彼らの脳はテレパシー的な接続を可能にしたため、テレキネシス的な方法で物体を操作できた可能性があります──このことは、彼らの継ぎ目のない、繊細に形作られた構造物を説明できます。同時に、テレパシーは確かな社会効果をもたらすため、彼らの間では疑いや欺きは存在しなかったのかもしれません。
水棲生物であるため、彼らの技術が人類のものと似た経路で進歩したことは極めて考えにくいです。彼らは熱を水熱噴出孔から留めることはできたかもしれませんが、炎──人類の進歩にとって基本的で必須のもの──を保持することはなかったでしょう。電気を保持することも同様に困難であったでしょう。SCP-4246-4の存在から、テチス種は何らかの形での生物工学およびバイオコンピューター技術を習得していたと考えられています。彼らの現実を改変する能力はSCP-4246-2の現在の状況からも確固として立証できます。
未確認ながら、SCP-4246-4は知識の生きた貯蔵所としてのみではなく、副次的に集合意識として設計されたと推測されています。このことは必ずしもテチス種が単一の意識を共有していたことを意味しませんが、その可能性はあります。SCP-4246-4はテチス種及び、その製作以降存在した他の生物全ての精神の記憶を含んでいる可能性があります。
SCP-4246-1間の、広大なサンゴの庭園のビジョンは、馴染みのある、快適な環境を表している可能性があり、テチス種が潜在的にサンゴ礁を彼らの種の発祥地と見なしていたことを示唆します。彼らは我々のようにはコミュニケートせず、記述よりも感覚により強く依存していました──紋様、色、振動は共同してその製作者の感覚を引き起こし、言語という問題の多い道具なしに個体間に情報を伝達しました。自然発生した肉体あるいはSCP-4246-2やSCP-4246-3の発明を通じて彼らの精神は接続されていたため、我々が言語と考えるような概念を彼らが持っていたとは考えにくいです。
遠く広がったSCP-4246-2の位置を証拠とするように、彼らの文明はパンサラッサ大洋全体に広がり、文明は繁栄しました。特定のSCP-4246-1に呈される暴力的な衝動にも関わらず、テチス種が戦闘的な種族であったことを示唆する証拠はありません。民族主義があったとしても、それらは消滅し、彼らのニューラルネットワークひいては文明の中心となるSCP-4246-4の建設に繋がったと思われます。
警告:以下のファイルは4/4246に分類されています。
レベル4-4246認可無しでのこのファイルへのあらゆるアクセスの試みは記録され、即座に懲戒されます
ジョセフ・アドラーは3種類の人間が存在するという理論を提唱しました。潜伏者Sleeper(SCP-4246現象に見える形では影響されていない人々)、夢見人Dreamer(SCP-4246現象に反応してはいるが、曖昧で歪んでいる人々)、そして覚醒者Awakened(SCP-4246の真の現実を受け止めることのできる人々)。覚醒者は完全に仮説上のものですが、アドラーは自身がこの状態にあと少しで到達すると考えていました。この啓示と思われる現象を電子的に変換する財団の試みは失敗してきました。単に人間の技術とSCP-4246-4の脳波に互換性がない恐れがあります。
SCP-4246アノマリーのさらなる理解および、可能ならばSCP-4246-4そのものとのコミュニケーションに利用することを目的として、SCP-4246-1の新たなるバリエーションを製作する覚醒せし夢見人計画Project: Awakened Dreamerが1988年に開始されました。SCP-4246-1タイプCに分類されたこれらの「覚醒者」はSCP-4246現象のさらに優れた受信機として機能するために、SCP-4246-1と標準的な人間の脳の間に発見された相違に基づき遺伝子工学的に操作されていました。タイプCは松果体の質量の250%増大、大脳皮質の400%の増大、人間の成人の平均に対して推定1200%のニューロン数を呈していました。これらの変更は脳の質量全体の増加を内包するための、外科的な頭蓋の肥大化を必要としました。タイプC個体はまた、カリスト・ナルバエス博士の主張のもと、N,N-ジメチルトリプタミンを主とする知覚変更化学物質の定常的な投与を受けていました。
これらの変更は不利な副作用を伴うことを避けられませんでした。SCP-4246-1タイプCは痙性四肢麻痺を患い、てんかん発作、脳動脈瘤、脳血管障害、急性心筋梗塞のリスクの著明な増大を呈しました。先進的な生命維持処置および適切な薬物の継続的な経静脈投与により、これらの致命的な副作用を最小限にすることができました。
タイプCの大部分は、典型的には自己終了もしくはその他のSCP-4246関連の致命的事象により喪失する可能性の高いタイプBから製作されました。このプロセスを受けた個体の死亡レートは70%と推定されており、このプロセスのさらなる情報は各職員に求められる知識の必要性に基づいて制限されています。この情報への認可無しでのアクセスの試みは終了の理由となります。
ジョアン・ヘンリケ博士の声明:
私は財団の特定の構成員から倫理的な懸念が表明されていることを認知し、それに対し直接的に回答しようと思う。
覚醒せし夢見人計画は残酷ではない──冷酷ではあるかもしれないが、完全に必要なものだ。タイプCプロセス(あるいは「覚醒」)を受けた個体は無駄に苦しんだわけでもないし、その苦しみがそれ以前と大きく違うというわけでもない。拘束衣を着せられ、セルに閉じ込められて大音響を聞かされる──洗練された収容プロトコルは人生を楽しむ余裕など与えはしない。
そして収容前に彼らがどんな人生を送って来たというのか?SCP-4246がやってきたことを見給え──それがどれほど彼らの心を荒ませてきたか、彼らを自傷行為、自殺、そして殺人へと駆り立てたか。彼ら全員がアドラーのように理性を保っていたと考えてはいけない。彼が特異だったのだ。
我々はSCP-4246-4を単に破壊することなどできないし、それは一般的なポリシーにも反する。このアノマリーはずっと、人類(哺乳類は勿論のこと)の誕生よりはるか昔から我々と共にあり、我々の精神を包んできたのだ。我々にはこれがどれほど我々に影響してきたかを知る方法はなく、それが完全に理解されるまでこのアノマリーを終了/阻止するために何かをすることはないだろう。
覚醒せし夢見人計画は、現時点で実行されている唯一の選択肢である。もしより良い解決法を提示できないなら、倫理委員会に不平を言う事をやめることをお薦めする。ここは財団だ──我々は我々のすることをする、なぜなら我々はしなくてはならないからだ。
かつてSCP-4246-1タイプB #0104であったSCP-4246-1タイプC #0016(出生名:ジーナ・アレクソポウロウ)が、SCP-4246-1タイプC中で最も能力があると決定されました。メイナード・シジウィック試験の結果によると、対象は異常な手段での情報の受信と中継の両方に極まった親和性を見せました。タイプC #0016は南極のSCP-4246-3の入り口周辺に建設された暫定収容エリア-48に移送されました。
1992/09/12、MTFイプシロン-19の職員がSCP-4246-1タイプC #0016をSCP-4246-4へと運搬しました。対象は可搬型サイ-インヒビターで拘束され、双方向通信機器を装備していました。インタビューはサイ-インヒビターが次第に弱められる中行われました。
インタビュー対象:SCP-4246-1タイプC #0016
インタビュー担当:サンティアーゴ・カスティロ博士
<ログ開始>
サンティアーゴ・カスティロ博士: 聞こえるかね、C-16?
SCP-4246-1タイプC #0016: はい。
サンティアーゴ・カスティロ博士: よし、1つめのインヒビターを切るぞ。何か耐えられないことがあったら言ってくれ。
SCP-4246-1タイプC #0016: オーケー、わかりました。やってください。私は真実を知りたい。
サンティアーゴ・カスティロ博士: [最初のインヒビターを切る]何を体験してるか言ってくれ。詳細も省略しないで。
SCP-4246-1タイプC #0016: 黒い都市が見えます……何十億もの、瞬きしない目が私を見返しています……水が私の肺を満たして、窒息する!海は怪物でいっぱいです……私は見たことがある……そして感じた……この全てを。お願いします、大丈夫です、もっと見せてください。
サンティアーゴ・カスティロ博士: 了解した。[2つめののインヒビターを切る]
SCP-4246-1タイプC #0016: [対象は震える]私は触手に包まれて方向を見失いました……そしてもはや空気を求めていません……冷たく悴んで……だけど心地よいです。母親が……家へと呼ぶ声が……家へと……彼女は歌っています……言葉も、音すらもなく……だけど光と色の歌で。何と素晴らしい!家……家……私の祖先の庭へと。私は姉とともにいます……共にいる限り、私たちは……
安全に、静かに……シンプルに、光なく。歌は暗くなっていく……だけど暗い中で、安全を感じる……シンプルに、光なく……さもなくば、獣が私たちを見つける。
[対象は身を乗り出す]この歌は遠い記憶です……姉妹たちはどこへ行ったのでしょう?古いラジオは空電だけを奏でます。色は残っていますが意味は失われました。私たちは迷っています……恐ろしく僅かな光の中で、私たちの子供たちは小さく、虚弱にうまれます。そしてその子供たちは星の間の虚無のように暗い。彼らは短く惨めな生涯を送ります……おお、彼らがどれほど自らを嫌悪するようになったことか。我々の魂は砕け、散りました!彼らは口論し、争っています……彼らにはもはや歌は聞こえません。ですがこれが私たちの為されねばならない犠牲だったのです!おしまいには、私たちはもはや私たちを認識できなくなるでしょう。しかし光は戻らない……時が満ちるまでは。お願いします、私はもっと……私は終焉を超えたものを見なくては!
サンティアーゴ・カスティロ博士: これ以上は君の安全は保証できないことを認識してくれ。それでも進むかね?
SCP-4246-1タイプC #0016: これは私の人生全てを呪ってきました。そのために、私は恐ろしい、許されないことをしてきました。やってください。私はなぜかを知らなくてはなりません。何が起きようとも。
サンティアーゴ・カスティロ博士: 了解した。[3つめののインヒビターを切る]
SCP-4246-1タイプC #0016: [対象は震え、耳、鼻、目から出血し始める]
サンティアーゴ・カスティロ博士: 続けられるかね?
SCP-4246-1タイプC #0016: [対象は無言だが、頷き、肯定したように見える]
サンティアーゴ・カスティロ博士: 何を体験しているかね?
SCP-4246-1タイプC #0016: 全てを。私には見える……感じる……全てを!でも理解できない![対象は泣き始める]その私への語りかけかた……私は内部から感じる。触手が言葉のない祈りを私の心に刻みつける![対象は叫ぶ]私に何を望むの!?!私は自分の子供をあなたのために沈めた!それがあなたの望みだと思った!何をしたらいいのか教えて!なぜ私を呼び続けるの!?あなたの夢に溺れている──見えないの?抱きしめて!理解と平穏を!私の狂気を終わらせて!
サンティアーゴ・カスティロ博士: C-16!落ち着いて聞いてくれ。受信しないようにして──ただ中継だけをするんだ!SCP-4246-4から精神を離せ。教えたようにするんだ。
SCP-4246-1タイプC #0016: [対象は叫び、ボリュームは異常なレベルに達する。]
<ログ終了>
タイプC #0016は激しく頭部を左右へ振り、300デシベル以上の音波が発生し、14,000,000 km2の範囲内にいた全員に感じられるサイキックのバックラッシュが続きました。この異常な反応はおよそ3分26秒続き、世界中のSCP-4246-1の発作を引き起こしました。
SCP-4246-3は、その壁や床が液体であるかのように、即座に変形しました。素材は完全に内部構造を変形させた後、再度固体へと戻りました。タイプC #0016と12名のMTFイプシロン-19のメンバーは、装備とともに再構築イベント中に破壊されたと考えられます。暫定収容エリア-48は振動によるダメージを被り、大規模な修理が必要となりました。地上の職員は事案を生き残りましたが、タイプC #0016がSCP-4246-4を中継しようとした試みにより引き起こされたサイキックバックラッシュにより緊張病性となりました。
昏睡したエリア-48の職員は、意識を回復した後、現在の理解を遥かに超えた仮説上の科学技術の知識(空想科学の領域ですら提唱されていない項目を含む)を得ているよう見受けられました。これらのものには、次元フォールド、ワープフィールド操作、神経-電子重力学、宇宙言語シミュレーション、有機量子もつれコミュニケーション、その他多数があります。これらの情報の潜在的有用性にもかかわらず、これらの分野の実験はいずれも今だ実行不可能です。このことは結果として影響を受けた職員のうつ状態とフラストレーションを引き起こし、自殺率の大きな上昇をもたらしました。自己終了の手法には溺死を引き起こすものは未だに無く、SCP-4246関連の衝動は無関係であることを示唆します。
犠牲者の回収のためにSCP-4246-3へと送られた財団の工作員が、さらなる変化を発見しました。その構築に用いられている継ぎ目のない、黒曜石に似た素材は、常に変化する色と波打つ紋様で輝くようになっていました。単独では、これらの光と紋様は明らかな影響をもたらしませんが、複合するとMTFイプシロン-19の構成員にさえ速やかな脳出血を引き起こす非常に危険な認識災害を形成します。ヘンリケ博士の直接の認可がない限り、SCP-4246-3の有人探索はこの時点から厳密に禁止されています。
財団ネットワークサイト内コミュニケーションサービスv.3.155
===アイザック・フリーマン博士からのメッセージを受信しました===
ヘンリケ博士へ、
私の発見についての噂が君にも届いているだろう。私は話の重要性に完全に確信を持っているのでない限り、君の注意をひこうとは思わないことを承知して欲しい。私の研究が極度の懐疑主義に迎えられていることは十分認識している。「原初の仔」が何者であったかについて、誰もがお気に入りの理論を持っていて、それとぶつかるものは快く思わないことが明らかになっている。
私は、ここの誰もと同じように、我々の前にいた巨人たちの肩に立っている。ベイカー、ガートナー、その他の人々が道を開いた。彼らは生きて真実を見ることはなかったし、もしかしたら我々もそうかもしれない。しかし私は自分の発見が我々をより近くへと運んでくれると思う。芝居がかりすぎているようならすまない、だがこの興奮を抑えることは難しい。
詳細に入る前に、考えてみてくれ。テチス種が滅びていなかったなら?
もし彼らがあからさまに見えているのに、かつてそうであったような進歩した種には見えないとしたら?進化とは、知的であったり肉体的に優れていたりするものへと直線のように伸びるのものではない。タイプC #0016の言葉を覚えているか?
「安全に、静かに……シンプルに、光なく」。
1992/09/12の事案以降のニュースメディアのスキャン中に、私はいくつかの目を引く相関を見つけたよ。全ての関連データは添付してある、君には先入観なくそれを追求してほしいと強く求める。見ればわかるが、SCP-4246症状の報告は着実に減っている。それはこのアノマリーが無力化への道を辿っているということではない(それには程遠い)。だが何かが根本から変わったのだ。
私のデータからわかるように、1992/09/12の事案と同時の、突飛な、あるいは異常な行動についての報告が、重複を覗いても多数、水族館、海洋生物学者、そして個人的な飼育者からあがっている。これは全世界的に発生し、およそ3.5分間続いた。海洋生物学部門もこれについて裏付けてくれたよ。彼ら自身の持つ個体も、その肢を用いてリズミックなパターンを奏でたと──それぞれ隔離しているにもかかわらず、全て同一のな。
そして全てが特定の方向を向くように見えた。彼らの現在の位置にかかわらず、全てがSCP-4246-3の場所を、まるでメッカか何かのように向いた。近年、彼らの知性については多くの新しい発見がなされた。彼らはずっと賢い生物だった──その短い寿命と非社会的な行動から考えうるものよりもずっと。
道具の使用、ある程度の社会化と協調すらも、知られるようになってきている。私は当初、これは研究の進歩の結果だと思って無視していた──そのような行動はずっとあったものであり、ただ我々が初めて記録しただけだと。それは確かに最もシンプルな説明だろうが、圧倒的なエビデンスに抗うことはできない。
この突然の多様性は報告されているような心理学的、生理学的な変化にとどまらない。共通の祖先から受け継がれた遺伝子が、複数の種で変異しているのも発見されている。彼らは大型に、強く、そしてさらに見慣れないものにもなってきている。幸いにして、これらの変化は同時には発生しておらず、これらの変異体は比較的稀で、一般的には気づかれていない。
私の仮説は、多くの未だに答えられていない疑問を説明している。なぜ古生物学者はこの種のエビデンスを発見していないのか?なぜなら化石というものは、軟体の無脊椎動物では残りにくいものだからだ。他の完全水棲の生物が脳を持ち、道具を操る能力を持っていたとしたら?魚はその口で小枝を持ち、甲殻類はその爪で物を持つことができるが、どちらも文明へと結びつくのに必須の基本的な道具を作るのに必要な器用さを持ち合わせていない(そしてクジラ目は度外視していい。哺乳類ですらまだ存在していなかったのだから)。今や全てが明らかに見える。
私には彼らの現在の状態が強いられたものだったとは思えない。何か恐ろしいもの──彼らの知性を損なうような、想像も及ばない脅威(「シンプルに、光無く……さもなくば獣が私たちを見つける」)がこの世界にもたらされるのを防ぐために、彼らは変わらなくてはならなかった。彼らはこの次元から逃げることもできたが、代わりに長い眠りの闇を選んだのだ。自然が彼らの文明のほぼすべての痕跡を消し去る間、彼らの精神と肉体を縮めて。もしかしたら彼らは長く奉仕した世界を離れることに耐えられなかったのかもしれない。彼らがいない間に、我々がこの惑星にもたらした破壊的に誤った扱いを、彼らが好意的にとらえないことを私は恐れる。
SCP-4246-4はこの間ずっと彼らを待っていた、そして我々がした何かが、その本来の目的を遂行する時だと確信させたのだ。
彼らが我々を超えた何かだったとしても、テチス種は神などではない。
彼らは頭足類だ。
- フリーマン博士