活性化状態のSCP-4281-JP。
アイテム番号: SCP-4281-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 未発見のSCP-4281-JPが確認された場合、付近のエージェントを現場へ派遣し、当該アイテムを回収してください。回収されたSCP-4281-JPはナンバリング後、サイト-81██の低危険度物品収容ロッカー内に保管されます。関係者は記憶処理の実施後に解放されます。
説明: SCP-4281-JPはプラスチック製の哺乳瓶です。表面にはピンクや紫を基調とした昆虫や花の装飾が施されています。キャップを含め、SCP-4281-JPを構成する素材に異常性は見られません。
SCP-4281-JP内に調乳済のミルクが注ぎ込まれると、SCP-4281-JPは活性化状態へ移行し、ミルクに異常性を付与します。この状態のミルク(以下、SCP-4281-JP-Aと指定)を摂取した人物は、直近期間中における特定の負の情動体験に関する記憶を不可逆的に喪失します。結果として摂取した人物の記憶中には空白の期間が生じますが、摂取者がこの点に疑問を抱くことはありません。
SCP-4281-JPは日本国内の、乳児を有する家庭の玄関ポスト内に不定期に出現します。以下は全事例において同封されていたメモ用紙の転写です。
痛いの飛んでけ哺乳瓶
「赤ちゃんを怖がらせてしまった……」そのままだと、赤ちゃんの大きなトラウマになってしまうかも!赤ちゃんには幸せな記憶だけ覚えていてほしいですよね。そんな怖くて痛くてつらい出来事は、キレイさっぱり忘れてさせてあげましょう。
この哺乳瓶にミルクを入れて赤ちゃんに飲んでもらうだけで、いや~な出来事の記憶が赤ちゃんの頭の中からすっかり無くなっちゃいます!しかもなんとこれ、赤ちゃんがなかなか泣き止んでくれない時にも効果てきめんなんです。困った時は、ぜひこの哺乳瓶を使ってみてください!
上記の内容から、SCP-4281-JPの出現にはシュトルヒ運輸1が関与していると推測されています。
補遺: SCP-4281-JPは、財団のWebクローラが当時SNSにて拡散されていた「家に届いてた哺乳瓶を使用した感想」という題の投稿に含まれる異常性を検知したことで、財団により投稿者の特定・SCP-4281-JPの現地回収が行われ、収容に至りました。なお投稿者及び投稿閲覧者は記憶処理の実施後、解放されています。
以下は過去のSCP-4281-JP使用事例の抜粋です。
指定番号: SCP-4281-JP-1
回収日時: 2024/8/9
摂取者: 長谷川 湊氏(当時2歳)
影響: 視聴していたテレビ番組中のグロテスクな表現に関する記憶を喪失。
付記: SCP-4281-JP-1は湊氏の夜泣き対策として1年前から日常的に使用されていました。湊氏の実母である長谷川 由香里氏は、SCP-4281-JP-1に対し好意的な印象を抱いていました。
指定番号: SCP-4281-JP-17
回収日時: 2024/10/25
摂取者: 湯本 さつき氏(当時1歳)
影響: 自身の実父である湯本 武史氏から受けた身体的虐待や性的虐待、心理的虐待といった虐待全般に関する記憶を喪失。
付記: 摂取の直前に受けた虐待だけでなく、これまでに受けた全ての虐待までもが記憶消去の対象となった点は特筆すべきです。摂取者が「虐待」という一つのカテゴリに分類される複数の記憶に対し負の感情を抱いていた場合、「虐待」という概念そのものが記憶消去の対象になるものと思われます。
指定番号: SCP-4281-JP-35
回収日時: 2025/6/30
摂取者: 並川 梓氏(当時22歳)
影響: 交際相手の品沢氏2との絶縁と、梓氏と品沢氏の実子である並川 凛氏(当時生後6か月)に関する記憶を喪失。
付記: 交際開始から半年が経過した頃、梓氏が凛氏を自宅出産し、密かに養育していたという事実が品沢氏に露見したことで、両者は完全な絶縁状態となりました3。同時期、梓氏は睡眠不足や著しい体重減少などから心療内科にて神経症と診断されていました4。この頃から、梓氏は凛氏を寝かしつける際にSCP-4281-JP-35を使用するようになっていったものと推測されます。
3か月後、梓氏はアルバイト先からの帰宅中に立ち寄った公園でSCP-4281-JP-Aを摂取し、記憶を喪失しました。その後コンビニエンスストアで購入した缶ビールを摂取し、公園内のベンチで昏倒する様子が防犯カメラに記録されています。翌日の朝8時に起床後、梓氏は自宅には戻らずアルバイト先へ直行し、8時間の勤務を完了します。その後ホストクラブへ入店しますが、品沢氏により店外へ追放されました。そして帰宅直後凛氏が自宅内で倒れている所を発見し、警察機関へ通報を行いました。通報内容は、「仕事が終わって帰ってきたら、家の中に知らない赤ちゃんが倒れていた」というものでした。
凛氏は病院への搬送後、死亡が確認されました。死因は重度の栄養失調や脱水症による衰弱死であり、現場の状況から、これは長時間放置に起因するものと見られています。
梓氏の所持していたスマートフォンを調べたところ、品沢氏の画像及び連絡先の一切が消去されていました。本件に関しては、品沢氏と梓氏が両者ともに関与を否定していることから、梓氏が記憶を喪失する以前にこれらを消去していたものと思われます。画像フォルダ内では凛氏の画像が多くを占めており、ロック画面の壁紙画像にも凛氏の画像が採用されていました。当該事実に対し、梓氏は後日行ったインタビューにて強い不快感を示しました。



